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- 一発明解! 腫瘍内科医が教える 見えるがん化学療法(ケモセラ)
商品情報
内容
がん化学療法は難しいと思われがちですが,本書ではイラストを用いて,がん治療薬の特徴や違いが一目でわかるようにまとめました.総論では,腫瘍学をコンパクトにわかりやすくまとめ,各論では,ほぼすべての抗がん薬の適応や特徴などを解説し,医薬品集としても使用できる一冊です.
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序文
序文
私は医学部卒業後にそのまま消化器内科学専攻科目の大学院に進学し,分子生物学研究室でLynch症候群に関する論文で学位を取得した.その後,縁があって1998年6月~2000年9月までアメリカのノースカロライナ州にあるThe National Institute of Environmental Health Sciences(NIEHS)で,細胞の不死化の研究を行い日本に帰国した.帰国当時,同期はすでに消化器内科で内視鏡治療やインターベンショナル・ラジオロジー(IVR)などの治療を積極的に最前線で行っており,自分はおいていかれたような気がした.そこで自分が進むべき道を考えたときに,今まで行ってきたがんの基礎研究を生かしたことを専門にしたいと考え,当時,化学療法を専門にする医師が医局にはいなかったことから,2000年12月より消化器内科で悪性腫瘍の化学療法を専門に行うことにした.当時は化学療法を勉強しようと思ったらがん専門の医療施設での研修が必須であったが,私にはそのような時間も指導をしてくれる先輩医師もいなかったため,学会や講演会などでがんの専門家の講演を聴講したりして,非常に苦労しながら最新の知識を得ていた.
近年,化学療法の分野は急速に進化をしており,毎年のように新規薬剤が承認され,治療レジメンも複雑多岐にわたっている.私は抗がん薬に関する講義を薬学部で行っているが,毎年,学生には新たな薬剤の話をしなければならず,学生が覚える内容は年々膨大になってきている.また,医師・看護師・薬剤師の中でも腫瘍学に特化した専門医療人の育成が必須であるが,なかなか増えていない.若い医師に腫瘍学の世界を勧めても,多くの若手医師には「腫瘍学は難しすぎて…」と言われてしまい敬遠されがちである.しかし,腫瘍学は決して難しい学問ではなく,やればやるほど新しい知見が増え楽しい学問である.なぜ多くの若手は難しいと感じるのか? それは今まで出版されている腫瘍学の教科書が難しく書かれすぎているためさっぱり理解できないからである.重要なのはわかりやすいイラストと平易な文章による解説である.
私は若いころ腫瘍学を指導してくれる先輩がいなかったことから,非常に苦労した経験がある.きっと今の学生や若手の医療スタッフも,昔の私と同様に苦労しているのではないかと思う.そこで私は自分が得た知識を,イラストを用いたわかりやすい書籍としてまとめたいと以前から考えていた.今回,南山堂と縁がありこのような機会をいただいた.本書の総論は,これからがんについて勉強しようと思っている医師・看護師・薬剤師を目指す学生や若手の医療スタッフの入門書としては最適である.また,各論は普段からがんの診療をしている医療スタッフが医薬品集として使用できる内容になっている.ぜひ,ご一読いただき日々の学習・診療にお役に立てれば本望である.
2022年9月
東邦大学医学部 臨床腫瘍学講座 准教授
菊池由宣
目次
第1章 総論
1.DNAと遺伝子
2.がんに関連する遺伝子
3.腫瘍血管
4.がんと免疫
5.がん治療の基本
6.治療効果判定と有害事象判定
7.腫瘍学に必要な統計学
8.新薬の開発
第2章 各論
Ⅰ 殺細胞性抗がん薬
1.代謝拮抗薬
① プリン代謝拮抗薬
② ピリミジン代謝拮抗薬
③ 葉酸代謝拮抗薬
2.アルキル化剤・白金製剤
① ナイトロジェンマスタード類
② ニトロソウレア類
③ その他
④ 白金製剤
3.抗がん性抗生物質
① アントラサイクリン系
② その他
4.トポイソメラーゼ阻害薬
① トポイソメラーゼⅠ阻害薬
② トポイソメラーゼⅡ阻害薬
5.微小管阻害薬
① タキサン系
② ビンカアルカロイド系
③ その他
6.抗悪性腫瘍酵素製剤
Ⅱ 分子標的治療薬
1.ALK阻害薬
2.BCL-2阻害薬
3.BCR-ABL(c-KIT)阻害薬
4.BRAF阻害薬・MEK阻害薬
① BRAF阻害薬
② MEK阻害薬
5.BTK阻害薬
6.CDK4/6阻害薬
7.EZH2阻害薬
8.FGFR2阻害薬
9.FLT3阻害薬
10.HDAC阻害薬
11.EGFR(HER1)阻害薬
① EGFR-TKI
② 抗EGFR抗体薬
12.HER2阻害薬
13.HSP90阻害薬
14.JAK阻害薬
15.KRAS阻害薬
16.MET阻害薬
17.mTOR阻害薬
18.NTRK阻害薬
19.PARP阻害薬
20.RET阻害薬
21.ソマトスタチンアナログ製剤
22.プロテアソーム阻害薬
23.血管新生阻害薬
24.抗CCR4抗体薬
25.抗CD抗体薬
26.抗GD2抗体薬
27.抗SLAMF7抗体薬
28.抗体薬物複合体
Ⅲ ホルモン療法薬
① LH-RH(GnRH)アゴニスト
② LH-RH(GnRH)アンタゴニスト
③ 抗エストロゲン薬
④ アロマターゼ阻害薬
⑤ 男性ホルモン薬
⑥ 黄体ホルモン薬
⑦ エストロゲン薬
⑧ 抗アンドロゲン薬
⑨ その他
Ⅳ レチノイド関連薬
Ⅴ 免疫関連薬
1.免疫チェックポイント阻害薬
① 抗CTLA-4抗体薬
② 抗PD-1抗体薬
③ 抗PD-L1抗体薬
2.BRM(biological response modifier)
3.免疫調節薬(IMiDs)
Ⅵ 内包リポソーム製剤
Ⅶ 放射性医薬品抗悪性腫瘍薬
Ⅷ 再生医療等製品
Ⅸ 子宮頸癌ワクチン
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書籍情報
- ISBN:9784525422011
- ページ数:277頁
- 書籍発行日:2022年10月
- 電子版発売日:2022年10月12日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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