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アルコール性肝障害(アルコール関連肝疾患)診療ガイド2022

  • ページ数 : 68頁
  • 書籍発行日 : 2022年10月
  • 電子版発売日 : 2022年10月21日
1,650
(税込)
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商品情報

内容

アルコール性肝障害診療のポイントを具体的・実践的にまとめた全臨床医向けのガイドブック!

日本肝臓学会編集によるアルコールによる臓器障害を取り上げた初の診療ガイドブック.日本におけるアルコール性肝障害による死亡者数は増加傾向にある.本書ではアルコール性肝障害の疫学,病態生理,診断に関する最新のエビデンス,生活指導から薬物療法に至るマネジメント・治療の実際までを網羅して取り上げ,エキスパートオピニオンとして,診療で必要な知識やスキルの具体的なポイントを解説した.全臨床医必携の一冊.

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序文

序文


肝硬変や肝癌の背景疾患として,非ウイルス性肝疾患の頻度が急増しています.そのなかで最多のものがアルコール性肝障害です.日本人のアルコール消費量は漸減しているというデータもありますが,残念ながら肝疾患という疾患ベースでみるとアルコールによる臓器障害は増加しているといえます.

日本肝臓学会では,これまでにウイルス肝炎,肝硬変,肝癌,非アルコール性脂肪性肝疾患などに関する診療ガイドラインや診療ガイドを出版し,疾患の啓発や診療の標準化に努めてまいりました.此度,非ウイルス性肝疾患のなかで最も疾患ボリュームの大きいアルコール性肝障害を取り上げ,診療ガイドを発刊することになりました.疾患概念から,疫学,病態生理,診断/治療にいたるまで,包括的で最新の情報を盛り込んでいます.

アルコール性肝障害の患者さんの発生や疾患の進行を抑制し,そして患者さんの生活の質を向上させ,アルコールによる肝疾患関連死を抑制していくためには,アルコール性肝障害をよく理解し,その診断/治療に精通することが必要です.

本書が,日本のアルコール性肝障害の診療の一助になることを祈念しております.


2022年10月吉日

一般社団法人日本肝臓学会理事長
竹原徹郎


刊行にあたって


過度の飲酒は,アルコール依存症を形成し,消化器,循環器,中枢・末梢神経系などさまざまな臓器障害(身体疾患)を引き起こし,生命予後を脅かします.アルコール性肝障害(アルコール関連肝疾患)は特に発症頻度の高い代表的なアルコール性臓器障害です.わが国における1日平均アルコール摂取量60 g以上の多量飲酒者は約860万人と推測されており,最近では肝硬変の約25%,肝細胞癌では約20%がアルコールに起因すると報告され,アルコール性肝障害の死亡数も増加傾向にあります.

アルコール性肝障害の背景には,多くの場合アルコール依存症が存在します.アルコール依存症の生涯経験者数は約100万人と推計されていますが,厚生労働省の調査ではそのうち医療機関に通院中の患者数はわずか約5万人に過ぎず,適切な医療に結びついていない治療ギャップが存在し,その対応は喫緊の課題です.また飲酒量低減によるアルコール性臓器障害の治療(ハームリダクション)など,大きく変貌しつつある最新の治療法に基づいてアルコール性肝障害へアプローチすることが時代の要請になりつつあります.

日本肝臓学会ではアルコール性肝障害の現状とその重要性を鑑み,竹原徹郎理事長の主導のもとガイドライン統括委員会での審議を踏まえ,「アルコール性肝障害(アルコール関連肝疾患)診療ガイド2022」を作成いたしました.

本書はアルコール性肝障害診療に必要な最新の知識やスキルに関してそれぞれの分野のエキスパートによって実践的に記述されています.アルコール性肝障害の疫学,病態生理,診断に関する最新のエビデンス,非専門医の理解を助ける「アルコール使用障害(依存症)」の基本情報,生活指導から薬物療法に至るマネジメント・治療を網羅して具体的なポイントが纏められています.今まで肝臓専門医が直面していても前に進みにくかった問題への対処をガイドしてくれる画期的な書であり,多くの先生方に利用されることを期待しています.


2022年10月吉日

三重大学名誉教授
竹井謙之

目次

第1章 疾患概念

1. アルコールによる健康被害と肝障害

2. アルコール依存症とアルコール使用障害─その概念と診断

[1]アルコール依存症の概念

[2]アルコール依存症の診断

[3]アルコール依存症とアルコール使用障害の概念の相違と問題点

3. わが国におけるアルコール性肝障害(ALD)の診断基準─その変遷と現状

4. ALDの病型分類と進展様式

5. 重症アルコール性肝炎の問題

6. ALDの概念の国際動向

7. ALDと非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)

8. 飲酒量低減治療とハームリダクション

第2章 疫学的側面

1. わが国のアルコール消費の実態

2. わが国のアルコール使用障害の実態

3. アルコール性肝障害(ALD)の国際的動向とわが国における実態

4. ALDの予後

第3章 病態生理

1. 概論

2. 肝細胞障害機序

[1]肝細胞におけるエタノール代謝とミトコンドリア障害 

[2]酸化ストレスや小胞体(ER)ストレスを介した肝細胞死 

[3]腸内細菌叢の肝細胞障害への関与 

[4]肝微小循環障害の肝細胞障害への関与 

3. 肝細胞内脂肪滴貯留機序

4. 肝線維化進展機序

5. 肝発癌機序

6. 炎症による他臓器を介した肝臓との連関

7. アルコール性肝障害(ALD)と性差

第4章 診断

1. 病理診断(肝生検)

[1]肝生検 

[2]病理所見 

2. 臨床診断(バイオマーカー・非侵襲的診断の活用)

[1]飲酒マーカー 

[2]肝線維化マーカー 

[3]重症度スコア

第5章 マネジメント・治療

1. 脂肪肝・脂肪肝炎への対応

[1]代謝異常の頻度 

[2]肥満 

[3]糖尿病 

2. 重症アルコール性肝炎,acute-on-chronic liver failure(ACLF)の治療

[1]治療の概要 

[2]内科的治療の各論 

[3]全国集計からみた治療の実態 

3. アルコール性肝硬変のマネジメント

[1]栄養サポート 

[2]合併症対策 

4. アルコール性肝癌の対策

5. 非代償性肝硬変,アルコール性肝炎/ACLF,肝細胞癌合併例に対する肝移植

[1]アルコール性の非代償性肝硬変 

[2]重症アルコール性肝炎/ACLF 

[3]肝細胞癌合併例 

6. 臓器障害に対する断酒と飲酒量低減治療

[1]アルコール関連臓器障害に対する断酒 

[2]アルコール関連臓器障害に対する飲酒量低減治療

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書籍情報

  • ISBN:9784830621130
  • ページ数:68頁
  • 書籍発行日:2022年10月
  • 電子版発売日:2022年10月21日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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