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CLINICAL NEUROSCIENCE Vol.41 2023年9月号 認知症―Alzheimer病治療の新しい時代を迎えて

  • ページ数 : 144頁
  • 書籍発行日 : 2023年9月
  • 電子版発売日 : 2023年8月24日
2,970
(税込)
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商品情報

内容

認知症―Alzheimer病治療の新しい時代を迎えて

変性性認知症における病態解明と治療薬開発の現状にもとづく展望を取り上げた特集です.Alzheimer病における疾患修飾薬レカネマブの登場を受け,患者会,行政,基礎・臨床研究者,臨床医,マスメディアと,多方面からお話をいただいた座談会も掲載しています.

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序文

認知症―Alzheimer病治療の新しい時代を迎えて


2022年11月Alzheimer病の疾患修飾薬としてアミロイドβに対する抗体薬レカネマブの有効性が発表され学会のみならず世界中で大きな話題となり,FDAは2023年7月に治療薬として承認を与えた.これは症状を良くするだけの対症療法ではなく,アミロイドβの異常蓄積という発症機序に基づいた治療薬であり,これまで膨大な数の類似薬が治験で成功しなかったことを考えてもその意義はきわめて大きい.ただ,まだまだ効果は小さく患者自身や担当医が自信をもって良くなったと実感できる状態ではないといわれている.

一般に神経変性疾患は進行性の神経細胞脱落をきたすことから,疾患修飾薬は仮に完璧に進行をストップしたとしてもすでにある症状を戻して良くすることはきわめて難しい.また,これまでのほとんどの研究が蓄積するアミロイドβの除去という,病的プロセスの入り口での介入をめざしているが,細胞死に至る病的プロセスの全容の解明はあまり進んでおらず,神経原線維変化などのタウ病変との関連もまだよくわかっていない.より出口に近いところに大きな効果をもつ標的分子が存在する可能性も十分あり,複数の分子,複数のレベルでの介入とその組み合わせが,より強力な効果をもたらすと期待される.

今回はAlzheimer病における初めての疾患修飾薬の成功というこの機会に,座談会を開催し,患者会,行政,基礎・臨床研究者,臨床医,マスメディアの皆さんに多方面からお話をいただいた.もちろん,いつも通りに,主な変性性認知症における病態解明と治療薬開発の現状に基づく展望もまとめていただいた.とくに急速進行性認知症の代表でありながら,あまり取り上げられる機会のなかったプリオン病についてはむしろ神経変性疾患のプロトタイプと見なすこともできることを示し,その病態研究と治療薬開発が他の神経変性疾患の克服にも大きく貢献するであろうと思われる.本特集が読者の皆様の認知症の診療と研究に役立つことを強く祈念する次第である.


水澤英洋

目次

認知症―Alzheimer病治療の新しい時代を迎えて

座談会

Alzheimer病治療の新しい時代を迎えて…水澤英洋、和田幸典、岩坪 威、三村 將、南 砂、鈴木森夫

A.Overview

認知症の克服をめざして………水澤英洋

B.Alzheimer病(AD)

アルツハイマー病の病態はどこまでわかったか………岩坪 威

臨床診断………和田健二

MRI検査による領域・回路異常の検出………重本蓉子 他

SPECT・PET………松田博史

髄液・血液バイオマーカー………中村昭範

対症治療………下濱 俊

疾患修飾薬治療………岩田 淳

生活習慣と認知症発症予防………塚本 忠

C.Lewy小体型認知症(DLB)・Parkinson病認知症(PDD)

病態はどこまでわかったか………常深泰司 他

臨床診断………別宮豪一 他

MRIを用いた領域・回路異常の検出………渡辺宏久 他

SPECT・PET………互 健二 他

血液・髄液検査………徳田隆彦

現在の対症治療………織茂智之

パーキンソン病疾患修飾治療開発の動向………佐藤一輝 他

リハビリテーションの有効性………進藤淳彦 他

D.前頭側頭型認知症(FTD)

病態はどこまでわかったか………村山繁雄 他

Pick病タイプ(tau)………森 康治 他

ALSタイプ(TDP‒43)………渡辺亮平 他

E.Prion病

急速進行性認知症タイプ(古典型孤発性CJD)………松林泰毅 他

緩徐進行性認知症タイプ(MM2‒皮質型CJD,V180I遺伝性CJD)………雑賀玲子 他

臨床診断と感染予防………小田真司 他

治療開発状況………照屋健太 他

連載

細胞のメカニズムと神経疾患

[生殖に関連する新しい神経内分泌機構 ⑥]

Kisspeptin受容体発現と機能的意義………肥後心平 他

臨床中枢神経生理A to Z

[視覚誘発電位 ③]パターンリバーサル検査………飛松省三

臨床医のための神経病理 再入門(編集協力:亀井 聡)

エンテロウイルスD68関連急性弛緩性脊髄炎………多屋馨子

脳と神経の医学の歴史

ウィリスによる脳の解剖と病気………坂井建雄

検査からみる神経疾患

横隔膜のエコー検査………山﨑博輝 他

ニューロサイエンスの最新情報

PETによる脳内ミトコンドリア機能の画像化………尾内康臣

素顔のニューロサイエンティスト

Michio Hirano………久保田暁

Q & A―神経科学の素朴な疑問

二度寝をすると,怖い夢や,焦る夢をみることが多いのはなぜですか?………北浜邦夫

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書籍情報

  • ISBN:9784002104109
  • ページ数:144頁
  • 書籍発行日:2023年9月
  • 電子版発売日:2023年8月24日
  • 判:AB判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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