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- 臨床放射線 2019年4月臨時増刊号 64巻4号 乳癌の診断と治療【電子版】
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内容
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序文
乳房の画像診断は、かつてその中心は外科医であり、私が専門としてやっていこうと決めた時には先輩の放射線科医から、乳腺なんか選んでどうするのか、と問われたこともあった。当時はまとまったガイドラインや教科書もなく、ガイドライン作りからこの領域に携わって四半世紀が過ぎた。現在、乳房の画像診断は、放射線科医にとって身に付けるべき読影能力の1つになり、放射線科のなかでも一部の専門家の領域ではなく、一般の放射線科医に裾野が広がってきているのを感じている
2018年は、乳癌学会編集の診療ガイドラインが出され、臨床・病理取扱い規約が大きく舵を切った年である。診療ガイドラインの作成方法は過去のガイドラインと大きく異なり、いままでクリニカルクエスチョンだけで構成されていた項目が、バックグラウンドクエスチョン、クリニカルクエスチョン、フューチャーリサーチクエスチョンと分けられた。また、推奨決定においては委員の合意率を記載するという新たな作成方法がとられている。取扱い規約では、国際的な方向性と臓器横断的な考え方が取り入れられた。これらの新たなガイドライン・規約が乳房の画像診断、放射線を含む治療に大きく影響することは間違いない。
このよいタイミングで、臨床放射線の特集号として乳房の画像診断が取り上げられることになり、その編集を任せていただいたことには大変感謝している。編集にあたりまず考えたのは、ガイドラインや取扱い規約の変更のなかで、委員の先生方がどのように考えて今ある最終形になったのかを広めたいということであった。そこで、それぞれの委員長に変更内容を詳しく解説いただいた。ガイドラインや取扱い規約を一読しただけではわからない意味合いを、読者の方々に知っていただくことを期待している。
診断面については、それぞれの所見をどうみるかをまずまとめてみたいと考えた。たとえば、石灰化であればマンモグラフィの教科書はよく見かけるが、超音波、MRI ではどう考えたらよいのかについては、十分な解説をみない。同様に腫瘤やその他の所見についてもモダリティごとに執筆いただいた。またサブタイプを考慮した診断が重要であることは間違いなく、これも俎上に挙げた。超音波診断に関しては編集部よりQRコードから動画をみるという手法を提案いただき、読者に、より日常臨床に即した形で提供できるのはうれしい。
その他、知っておきたい手法におけるトピックス、検診に関しては、一般的リスクといわゆる家族性乳癌のリスクを有する女性とは分けて考える必要があり、それぞれの考え方などをまとめていただいた。
放射線診断と放射線治療とは、同じ放射線科医といいながら、専門的にはそれぞれ独立している。しかし、診断医は乳房における放射線治療の進歩と方向性を、治療医は診断のモダリティやその臨床応用をお互いに認識する必要がある。その意味で、同じ特集号にそれぞれの専門家からの執筆をいただけたのは大きなメリットであったと考えている。
初稿を読ませていただき、どの章からも執筆者の深い思いが伝わってきた。この特集号を手にとる放射線科医をはじめ、乳房の画像診断に関わる医療者に、有益な情報を提供できることを信じている。最後に、ご多忙ななか快く執筆いただいた先生方、そして編集部の皆様、この特集号を出版する過程に携わったすべての方に感謝の意を表します。
2019年4月
聖路加国際病院 放射線科
角田 博子
目次
特集 乳癌の診断と治療
序文
総論
乳癌診療ガイドライン2018 検診・画像診断:変更のポイント
乳癌の病理診断
診断
・所見別鑑別診断
<腫瘤>
マンモグラフィ
超音波検査
MRI
<石灰化>
マンモグラフィ
超音波検査
MRI
<その他(構築の乱れを含む)>
マンモグラフィ
超音波検査
MRI
・乳癌
<DCISの画像診断>
マンモグラフィ
超音波検査
MRI
<サブタイプ別浸潤癌の画像診断とその鑑別>
病理診断
マンモグラフィ
超音波検査
MRI
・知っておきたい検査法
トモシンセシス
エラストグラフィ
MRIの新しい手法
骨シンチグラフィ
PET/CT
・乳がん検診
乳癌検診の流れと最近の話題
乳がん検診の利益と不利益
遺伝性乳癌とそのサーベイランスについて
放射線科医、乳腺外科医が知っておくべき造影剤
治療
乳癌に対する周術期化学療法
乳癌外科療法
・放射線治療
術後照射
寡分割照射(部分照射を含めて)
乳癌の小線源治療
乳癌に対する粒子線治療
再発・転移乳癌に対する放射線療法
乳がん患者へのアピアランスケア
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