医学のあゆみ284巻10号 神経眼科の最前線

  • ページ数 : 70頁
  • 書籍発行日 : 2023年3月
  • 電子版発売日 : 2023年3月7日
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内容

企画:石川 均(北里大学医療衛生学部リハビリテーション学科視覚機能療法学専攻視能矯正学研究室)
・抗アクアポリン4抗体と抗ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク抗体の発見と光干渉断層法の進歩によって,多発性硬化症による視神経炎は診断法,治療法ともに大きく変化した.
・両眼性複視を訴える症例の多くは,眼窩内と眼球周囲に存在する結合組織であるプリーの異常が原因となっていることが判明し,“sagging eye syndrome”として注目されている.
・本特集ではこのように神経眼科の最前線フォーカスを当て,各分野のエキスパートの先生方にまとめていただく.

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序文

はじめに

神経眼科は主に視神経,眼球運動,瞳孔・調節異常をきたす疾患を扱う.本特集ではそれらにフォーカスを当て,「神経眼科の最前線」と題して,各分野のエキスパートの先生方にまとめていただいた.

視神経疾患は神経免疫学の進歩によって,抗アクアポリン4(aquaporin-4:AQP4)抗体と抗ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク(myelin oligodendrocyte glycoprotein:MOG)抗体が発見されたことにより,さらに光干渉断層法(optical coherence tomography:OCT)の進歩によって従来の多発性硬化症(multiple sclerosis:MS)による視神経炎とは診断法,治療法ともに大きく変化した.

両眼性複視を伴う眼球運動障害は従来,神経原性疾患である動眼神経,滑車神経および外転神経とその複合麻痺,神経筋接合部疾患である重症筋無力症と甲状腺眼症を中心とした外眼筋疾患に分類されると考えられてきた.しかし,両眼性複視を訴える症例の多くは,眼窩内と眼球周囲に存在する結合組織であるプリーの異常が原因となっていることが判明し,“sagging eye syndrome”として注目されている.このように,両眼性複視の原因がかならずしも内科的疾患や頭蓋内病変ではないことが明らかとなり,不要な検査の省略や早急に治療を開始することが可能となった.麻痺性斜視と甲状腺眼症に対する外科的治療もめざましく進歩している.

最後に自律神経支配である瞳孔反応に関して,われわれ眼科医は視細胞である錐体・杆体のみが光感受性細胞と考えていた.しかし,視細胞からの光情報なくして活性化(脱分極)するメラノプシン含有網膜神経節細胞が発見された.それは,ものを見る(image forming)機能はほとんどなく,サーカディアンリズム調整,一種の対光反射に寄与することが示された.今後の展望として,対光反射の光刺激条件を変化させることにより網膜疾患が非侵襲かつ簡便に発見できるなどの臨床応用が期待される.

本特集をお読みいただき,最前線の神経眼科に触れていただければ幸いである.


企画:石川 均(北里大学医療衛生学部リハビリテーション学科視覚機能療法学専攻視能矯正学研究室)

目次

特集 神経眼科の最前線

はじめに 石川 均

昨今の視神経炎の疫学的特徴 髙橋洋平

視神経炎治療 ─ これまでとこれから 植木智志

新たなる複視の原因 ─ Sagging eye syndrome 國見敬子・後関利明

斜視の外科的治療の進歩 根岸貴志

甲状腺眼症の外科治療の進歩 ─ 眼窩減圧術 三村真士

対光反射とメラノプシン 浅川 賢

神経眼科領域におけるOCT,OCTAの役割 前久保知行

連載

医療DX ─ 進展するデジタル医療に関する最新動向と関連知識䣵スマートフォン医療機器“Smart Eye Camera”を使用した眼科遠隔診療 清水映輔・他

救急で出会ったこんな症例 ─ マイナーエマージェンシー対応のススメ❶

はじめに 間藤 卓

トゲが刺さった! ─ 対応と合併症 鷹栖相崇

TOPICS

加齢医学

宿主と細菌の共生関係の理解に基づく褥瘡感染制御戦略 仲上豪二朗・國光真生

神経精神医学

治療抵抗性統合失調症に対する非定型抗精神病薬クロザピンの使用 上野幹二

FORUM

病院建築への誘い ─ 医療者と病院建築のかかわりを考える❾ 亀谷佳保里

速報

高気圧酸素治療 ─ 現状と今後の可能性 合志清隆

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書籍情報

  • ISBN:9784006028410
  • ページ数:70頁
  • 書籍発行日:2023年3月
  • 電子版発売日:2023年3月7日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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