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- 医学のあゆみ286巻9号 覚醒下手術の最前線―臨床的意義と神経科学
商品情報
内容
・覚醒下手術は,脳腫瘍やてんかん焦点といった摘出率が予後に相関する脳実質病変を“安全かつ最大限に”摘出する手術方法である.現在では脳腫瘍手術を多数行っている施設での治療選択肢のひとつとして確立している.
・現在の覚醒下手術では言語や随意的運動・体性感覚を検査対象とするのが一般的であるが,視覚や頭頂葉,さらには高次脳機能の検査を行う試みも報告されている.
・本特集では覚醒下手術に関わる各領域のスペシャリストから特に“臨床的意義と神経科学”の最前線をわかりやすく解説していただく.
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序文
はじめに
覚醒下手術は,脳腫瘍やてんかん焦点といった摘出率が予後に相関する脳実質病変を“安全かつ最大限に”摘出する手術方法である.現在では脳腫瘍手術を多数行っている施設での治療選択肢のひとつとして確立している.
その歴史は古く,脳神経外科医のルーツともいえるVictor Horsley先生やHarvey Cushing先生が1900年前後に詳細な手術記録を残している.1950年代にコデインなどの鎮静剤を鎮痛剤に適宜組み合わせることにより,全身麻酔から必要なときだけ覚醒状態に変更できるようになり,Wilder PenfieldやHerbert Jasperらが,てんかん外科手術中の電気刺激による脳皮質機能局在を詳細に報告した(ホムンクルス図)ことによって,近代の覚醒下手術ははじまる.覚醒下手術が全世界に普及してきたのは,1990年にプロポフォールによる静脈麻酔が可能になってからである.同時期に脳機能イメージングやニューロナビゲーションをはじめとした手術支援器機の進歩も伴い,脳機能局在を提示したMRI上で,術中脳電気刺激部位を確認しながら病変摘出する,覚醒下手術手技の安全性と臨床的有用性が検証された.日本では覚醒下手術の安全性とガイドライン確立を目的として,日本AwakeSurgery研究会が2003年に設立された.本学会では脳神経外科医が単独で行う手術ではなく,麻酔科医,言語・高次脳機能研究者,リハビリ担当者が術前・術後にも関わるチーム医療との位置づけで,各分野を取りまとめた和文,英文ガイドラインを出版し,本技術が安全かつ効果的に行えるよう国内施設認定も行っている.このような経緯を経て,診療報酬点数加算対象となる技術として確立している.
現在の覚醒下手術では言語や随意的運動・体性感覚を検査対象とするのが一般的であるが,視覚や頭頂葉,さらには高次脳機能の検査を行う試みも報告されている.そして“安全かつ最大限に”脳腫瘍やてんかん焦点を摘出する本手術を通じて,ニューロサイエンスの最新知見も多数報告がある.本特集では覚醒下手術に関わる各領域のスペシャリストから特に“臨床的意義と神経科学”の最前線をわかりやすく解説していただいた.
三國信啓
札幌医科大学医学部脳神経外科
目次
特集:覚醒下手術の最前線─ 臨床的意義と神経科学
はじめに
三國信啓
覚醒下手術の歴史と適応
成田善孝
運動機能温存における覚醒下手術の臨床的意義
齋藤太一
言語機能温存を目指したlower grade gliomaに対する覚醒下手術 ─ 臨床的意義と神経科学
本村和也・齋藤竜太
高次脳機能を温存する覚醒下手術 ─ 臨床的意義と神経科学
中田光俊
覚醒下手術の麻酔管理
茶木友浩・山蔭道明
覚醒下手術におけるリハビリスタッフの役割 ─ 現状と今後の課題
二村美也子・藤井正純
連載
救急で出会ったこんな症例 ─ マイナーエマージェンシー対応のススメ16 胸骨骨折:保存治療後偽関節
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書籍情報
- ISBN:9784006028609
- ページ数:70頁
- 書籍発行日:2023年8月
- 電子版発売日:2023年8月22日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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