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- 医学のあゆみ286巻11号 多嚢胞性卵巣症候群UPDATE――病態を理解しライフステージに応じた管理を考える
商品情報
内容
・2016年以降,PCOSが生涯を通じて健康に与える影響に関する研究が増加しており,さらにPCOSの発症予防,長期間にわたる合併症の管理へと研究内容が発展していることが明らかとなっている.
・本特集では,このようなPCOS研究・診療の展開を踏まえて,第一線で活躍される専門家の先生方に,近年の病態研究の最新の成果と,診療上重要となるライフステージごとの健康課題について解説いただく.
序文
はじめに
多囊胞性卵巣症候群(polycystic ovary syndrome:PCOS)は,生殖年齢女性において最も罹患頻度の高い内分泌疾患で,日常診療で遭遇する頻度が高い.一方で,生殖機能異常と代謝異常とからなるその病態は複雑で,いまだ十分には解明されていない.さらに(特に人種ごとに)多彩な表現型を呈するという特徴と相まって,管理の標準化が長年なされてこなかった.
興味深いことに,2012~2021年の10年間のPCOSに関する研究論文の解析結果より,病因・病態解明に関する論文数が最も多いことは従来から変化はないが,2016年以降,PCOSが生涯を通じて健康に与える影響に関する研究が増加しており,さらにPCOSの発症予防,長期間にわたる合併症の管理へと研究内容が発展していることが明らかとなっている1).このようにPCOSの病態理解が進み,徐々に知見が整理されてきたことが,2018年にPCOSについての初のインターナショナルガイドラインである「International evidence-based guideline for the assessment and management of polycystic ovary syndrome2018」2)が上梓された背景となっており,またこのガイドラインが出たことにより,共通認識に基づく病態理解がさらに加速してきていると考えられる.なお,2023年中にこのガイドラインの2023年版が公表される予定である.
本特集では,このようなPCOS研究・診療の展開を踏まえて,第一線で活躍される専門家の先生方に,近年の病態研究の最新の成果と,診療上重要となるライフステージごとの健康課題について解説いただいた.PCOSは,その診断基準が直接的には生殖機能に関わる評価項目よりなること,さらに日本人を含む東アジア人種では高度肥満の頻度が低いことから,日常診療においてはその病態のうち生殖機能異常のみが着目され,挙児を希望する患者では妊娠成立が,希望しない患者では子宮内膜保護がしばしば管理の目標となっているのが現状である.本特集がPCOSの研究,診療に携わる多くの方々にとって,最新の知見の理解の一助となれば幸いである.
原田美由紀
東京大学大学院医学系研究科産婦人科学
1) Shi N, Ma HB. Front Endocrino(l Lausanne)2023;13:1027945.
2) International PCOS network in collaboration with funding partner and collaborating partners. International evidence- based guideline for the assessment and management of polycystic ovary syndrome 2018. (https://www.monash.edu/__data/assets/pdf_file/0004/1412644/PCOS_Evidence-Based-Guidelines_20181009.pdf)
目次
特集多囊胞性卵巣症候群UPDATE─ 病態を理解しライフステージに応じた管理を考える
はじめに
原田美由紀
PCOSの病態の捉え方
草本朱里・原田美由紀
診断基準の考え方
岩佐 武・他
【ライフステージごとの課題】
思春期PCOSの診断,管理とプレコンセプションケア
大須賀智子・三宅菜月
多囊胞性卵巣症候群(PCOS)に対する新しい排卵誘発法の開発─ 卵巣過剰刺激症候群(OHSS)を完全に発生させず,さらに良質な卵子を発育させる方法
田中 温・佐藤達也
PCOSの周産期管理─ そのリスクとプレコンセプション管理
熊澤惠一
中高年期PCOS女性のヘルスケア
岩瀬 明・他
連載
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書籍情報
- ISBN:9784006028611
- ページ数:70頁
- 書籍発行日:2023年9月
- 電子版発売日:2023年9月4日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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