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- 臨床画像 2023年10月号 特集1:まれに出会うと悩ましい 膝・足の疾患/特集2:顔面骨骨折の画像診断
商品情報
序文
【序説】特集1:まれに出会うと悩ましい 膝・足の疾患
日常の医療画像診断業務では,病態が理解しやすく,典型的な所見をもつ疾患の診断にはそれほど時間を要しません。しかし,見慣れない所見を呈し,病態が把握しきれない疾患の場合,教科書や文献の検索に多くの時間を費やし,結局,満足のいくレポートを作成できないままに,次のレポートの作成に進まざるをえないことがよくあります。逆に,異常所見に気付かずに不十分なレポートを提供してしまう可能性もあるのです。
『臨床画像』2023年10月号の「特集1 まれに出会うと悩ましい 膝・足の疾患」では,読影時の迷いを少しでも低減し,的確な診断を支援する情報を提供することを目指しました。
この特集を編集・執筆するにあたり,私単独では不十分であることを早期に自覚し,日本骨軟部放射線研究会に所属する放射線診断専門医に助けを求めることにしました。幸いにも,膝の画像診断の第一人者である新津 守教授(埼玉医科大学病院)と,足の画像診断のエキスパートである小橋由紋子先生(日本大学)が快く協力してくださりました。お二人はそれぞれ膝と足に関する優れた教科書を執筆されています。
さらに,スポーツ医学の画像診断に詳しい髙尾正一郎先生(徳島大学),骨軟部腫瘍の画像診断に精通する常陸 真先生(東北大学病院)にも執筆を依頼しました。彼らの豊富な経験と知識が,この特集の信頼性と価値を高めたことを確信しています(常陸 真先生ご担当の「足の滑膜肉腫」の「おわりに」に貴重なメッセージが含まれていますのでぜひご一読ください)。また,「鵞足包炎に伴う骨の二次性変化」については,髙橋正秀先生(国立国際医療研究センター病院)に執筆いただきました。髙橋正秀先生は非常に興味深い症例をおもちであることを放射線診断専門医のSNSを介して存じ上げておりました(関連して,自治医科大学の森 墾教授が印象的なコメントをSNSに共有されていました)。
ところで,歳をとると歴史的なことに興味が湧くもので,新津 守教授が取り上げられた「Pellegrini–Stieda disease」のStieda先生と,私が「三角骨障害」で触れたStieda結節のStieda先生との異同が気になりました。新津 守教授の原稿を拝見すると,「Pellegrini–Stieda disease」のStieda先生はドイツ人外科医Alfred Stieda(1869−1945年)とあります。一方で,Stieda結節のStieda先生はLudwig Stieda(1837−1918年)で,やはりドイツ人ですが,解剖学者・人類学者だったようです。これも新津 守教授の原稿にありますが,前者の発表が,Röntgen博士によるX線発見(1895年)から十数年後であったのに対し,後者の発表は1869年と,X線発見の20年以上前であったことがわかります。現在に至るまで骨軟部医学領域に名前を残す同姓の両巨人は,それぞれX線発見前後の研究者として色分けできそうです。
さて,この特集で,髙尾正一郎先生(徳島大学),松下知樹先生(徳島大学病院)らは「膝部Morel–Lavallée病変」に焦点をあてていますが,私自身は2011年に香港でDonald Resnick教授の講義を受けるまで,この病態を知りませんでした。また,私の「三角骨障害」については,2000年にThomas Jefferson大学病院でMark Schweitzer教授から学んだことが最初でした。もちろん,すべての疾患について特別な思い出があるわけではありませんが,さまざまな人との出会いのなかで印象強く学び,日々の画像診断の実践で知識を定着・蓄積させ,それが現在の読影の糧となっています。この特集の読者にも,自身の学びや経験を充実させ,診断に活かしていただけたらと思います。
最後に,私の筆が遅く,編集作業も遅れがちであったにもかかわらず,辛抱強くお付き合いいただいた,メジカルビュー社 坂口もも子様ほか『臨床画像』編集部の皆様に深く感謝申し上げます。
神島 保
【序説】特集2:顔面骨骨折の画像診断
顔面骨骨折は,事故やけんか,スポーツ外傷など,さまざまな原因によって引き起こされます。適切な診断と治療が遅れると,患者の日常生活や審美的な面で長期間にわたり深刻な影響を及ぼすことがあります。こうした問題に対処するために,画像診断,特にCTは患者の治療方針の決定と外見の整復にあたり,骨折の位置,種類,重症度を正確に評価し,迅速に最適な治療計画を立てるうえで不可欠なツールとなっています。
今月号の特集2では,顔面骨骨折のCTを中心に,解剖学的事項と画像診断のポイントに焦点をあてています。まず執刀医の視点から,岩科裕己先生らに比較的遭遇することが多い顔面骨骨折について,治療方針の決定にあたり解剖学的に重要なポイントをわかりやすく箇条書きでまとめていただきました。それに続いて,画像診断医の視点からCT所見を中心に,狩野洋輔先生によって眼窩骨折について,山内英臣先生らによって鼻骨骨折・鼻眼窩篩骨骨折について,勇内山大介先生らによってLe Fort骨折について,齋藤尚子先生によって頬骨骨折,頬骨弓骨折,頬骨上顎複合体骨折について,周藤壮人先生らによって下顎骨骨折について,臨床的に重要な事項に絞り込み,明快に執筆していただきました。
顔面骨骨折は単独でみられることもありますが,多発外傷の一部分症として遭遇することもあり,その場合は全身CTを施行されていることが多いでしょう。今回の顔面骨骨折についての記述は,『改訂第6版 外傷初期診療ガイドラインJATEC』に則れば,主に第3段階の詳細な読影法を概説したものともいえます。
個々の骨折は独立して解説されていますが,顔面骨は狭い範囲に複雑な形状をした多数の骨から構成されているため,複数の骨折が混在することもしばしばです。顔面骨骨折は,読影時に1つの病変を見つけて安心してしまい,ほかの病変を見逃す“satisfactionof search(SOS)”が生じやすい疾患の1つかもしれません。まずは全体を通読して,ぜひ自分なりの顔面骨骨折における,系統的なCTの読影手順も身につけてください。
この特集によって初学者の先生は,顔面骨骨折の詳細な画像診断を効率的に学ぶことができると考えています。また,ベテランの先生方にとっても,知識の整理と確認のため,大いに役立つ内容になったと確信しています。執刀医にとって有用で,ひいては患者の診療により貢献できる画像診断レポート作成のため,活用していただければ編者としてこのうえなく嬉しく思います。
浮洲龍太郎
目次
特集1:まれに出会うと悩ましい 膝足の疾患 企画編集:神島 保,新津 守,小橋由紋子
鵞足炎に伴う骨の二次性変化
Pellegrini–Stieda disease(Stieda陰影)
Morel Lavallée lesion
傍骨端線部限局性骨髄浮腫
足の滑膜肉腫
Lisfranc靭帯損傷
三角骨障害
Os peroneumの障害
特集2:顔面骨骨折の画像診断 企画編集:浮洲龍太郎
顔面骨骨折のCT−執刀医はここが知りたい−
眼窩骨折
鼻骨骨折鼻骨眼窩篩骨骨折など
Le Fort骨折の理解と実際の画像診断
頬骨骨折頬骨弓骨折頬骨上顎複合体骨折
下顎骨骨折の画像診断
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書籍情報
- ISBN:9784008004310
- ページ数:121頁
- 書籍発行日:2023年9月
- 電子版発売日:2023年9月15日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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