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- Medical Practice 2023年3月号(40巻3号) COPD―Common diseaseに対する一般内科医の役割とは―
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序文
COPD
common diseaseに対する一般内科医の役割とは
慢性閉塞性肺疾患chronic obstructive pulmonary disease(COPD)は主にタバコ煙の曝露によって発症する生活習慣病で,わが国に500万人以上潜在しているcommon diseaseである.しかし診断と治療が行われている患者はその5%程度に過ぎない.未診断のCOPD患者はタバコを吸い続け,不十分に管理されることで,診断時には既に病期が進行してしまっていることも少なくない.common diseaseであるがゆえに,潜在している患者に対して呼吸器専門医だけが精力的に取り組んでも,今後も診断率の向上,さらに早期発見・早期治療開始による健康寿命の延長という目標を達成することは困難であろう.
2022年6月に「COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン2022〔第6版〕」が発行された.その中で,COPD診断率の向上を目指して,旧版からいくつかの点が改訂されている.まずは「診断の契機」を明記することで,未診断の患者を減らすことを目指している.これまで,高血圧や糖尿病などの呼吸器非専門医外来の高齢者に多くのCOPD患者が潜在することが報告されている.その高齢者が長期間喫煙していれば,本疾患が潜在している可能性がさらに高くなる.わが国では多くの高齢者が高血圧や糖尿病といった生活習慣病で一般内科に通院しており,そこから多くのCOPD患者が発見できるはずである.次にガイドライン第6版ではCOPDの「作業診断」に関しても言及している.これまで,日本呼吸器学会ではスパイロメトリーへの啓発活動を積極的に行ってきたが,多くの呼吸器非専門医はそれを活用していないというのが現実である.そこで第6版では「COVID-19流行期日常診療におけるCOPDの作業診断と管理手順」を掲載し,スパイロメトリーを行えない場合のCOPDの作業診断と管理の手順を明記した.最終診断にはスパイロメトリーは行われるべきであるが,一向に向上しないスパイロメトリーの実施率と,患者の多くが未診断で放置されているという現実を鑑みると,COPDを作業診断して対応してゆくという手法は,それに引き続く治療・管理によって患者の健康状態を改善させる可能性がある.
本特集においては呼吸器非専門医の日常診療の中に潜むCOPD患者を診断に結び付ける方法ならびにcommon diseaseとして非専門医が行うべき治療・管理をまとめた.特にセミナーにおいては,COPDが多くの疾患と併存し,その管理も日常診療では重要であるため,併存症に関して紙面を多く費やしている.COPDに関する知識の向上が,患者の健康寿命の延長につながることを期待したい.
柴田陽光
福島県立医科大学医学部呼吸器内科学講座
目次
【特集】
扉……柴田陽光
座談会 COPD患者の健康寿命延長はどうすれば達成されるのか?―一般内科医の役割も含めて―
出席者:山内敏正・柴田陽光・室 繁郎・川山智隆
総説 疾患概念と診断
COPDの疾患概念と病態(自然歴など)……小荒井 晃ほか
COPDの診断……小賀 徹
セミナー 一般内科医のCOPD診療の役割
COPD:一般内科外来における潜在……井上純人
COPDの作業診断の可能性……室 繁郎
COPDの健康寿命延長を達成するためにはどうするか……川山智隆ほか
かかりつけ医の役割:併存症管理(骨格筋機能障害,フレイル,骨粗鬆症)……佐藤 晋
かかりつけ医の役割:併存症管理(心血管疾患,心不全,不整脈)……大西勝也
かかりつけ医の役割:併存症管理(糖尿病,高血圧)……飯塚秀人ほか
かかりつけ医の役割:併存症管理(GERD,SAS,貧血)……寺本信嗣
かかりつけ医の役割:肺合併症管理(喘息,肺癌)……鈴木 雅
COPD:病診連携─どのような症例を病院に紹介するか─……青木康弘
COPD:吸入指導医療連携……大林浩幸
トピックス
マイクロバイオーム……小林 哲
肺発達障害とCOPD……松元幸一郎
治療 COPD診療のコツ
禁煙:かかりつけ医の取り組み……浅井一久ほか
ワクチン:かかりつけ医の取り組み……中山勝敏
呼吸リハビリテーション:非専門医でも可能な取り組み……高橋仁美
気管支拡張療法:どんな症例がDual治療の対象か……髙橋浩一郎
ICSをどのような患者に使用するか……小荒井 晃
この症例から何を学ぶか
禁煙を達成できず重症化が進んだCOPD症例……柴田陽光ほか
Self–assessment test
【連載】
One Point Advice
その腹痛,ほんとうに過敏性腸症候群か?……清原裕貴
透析室においでませ……古瀬 智
血小板関連パラメータ……宮﨑浩二
犬レンサ球菌におけるバイオフィルム産生能とその関連因子……高橋 孝ほか
血糖値とHbA1c……今川彰久
検査結果を言い当てる医師……櫻井俊之
抗凝固療法が悩ましい症例に対する経皮的左心耳閉鎖術……近藤祐介
アルツハイマー病の疾患修飾薬レカネマブについての質問に答える……井原涼子
今月の話題
医療デジタルツイン……田村雄一
知っておきたいこと ア・ラ・カルト
寒冷凝集素症……山口正木
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書籍情報
- ISBN:9784011304003
- ページ数:150頁
- 書籍発行日:2023年3月
- 電子版発売日:2023年3月6日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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