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- 形成外科 2023年12月号 重度四肢外傷と形成外科
商品情報
内容
序文
企画にあたって
重度四肢外傷は骨,関節,筋・腱,神経や血管など,四肢が複合的に損傷を受け,治療に難渋する重篤な外傷です。受傷した患者の人生を大きく左右するような外傷であり,一刻の猶予もありません。この外傷は数万人に1 人の頻度で発生するものであり,外傷再建センター所属の医師以外はあまり遭遇するものではありません。しかし,形成外科医として病院に勤務している限り,当該患者が自院に搬送され初期治療に携わる,あるいは再建治療に携わることも予想されます。明日,いや今日にでも搬送されてくるかもしれません。
われわれ形成外科医は,救急科や整形外科から主要血管の血行再建や軟部組織再建を依頼される場合もあります。軟部組織再建は,われわれ形成外科医にとっては重要な仕事の1 つです。これらの軟部組織欠損も,単に皮弁や植皮で欠損部をカバーすればよいと考えている医師も実際にいるかもしれません。しかし,このような外傷再建を腫瘍再建と同じ時間軸で考えてはいけません。「皮弁がうまければ治療は完遂する」と考えるようでは,患者の大切な四肢を救うことはできません。
重度四肢外傷は外傷再建外科医による一貫した治療が最も望ましいともいわれていますが,骨接合も皮弁手術も高いレベルで実施可能な外傷再建外科医は多くはありませんし,簡単に養成はできません。また「外傷再建センター」の看板を掲げ,豊富な人員と充実したシステム,優れた技術で一貫した治療を実践している施設もありますが,まだまだ日本には少ないのが現状です。外傷再建外科医が少ない今,現実的には日本各地で整形外科医と形成外科医が共同して行うコラボレーション治療が行われています。このコラボ治療はさまざまな問題を孕んでいますが,現段階ではこの治療システムを取らざるを得ないのではないかと考えています。
そこで,この重度四肢外傷治療においてわれわれ形成外科医はどのように対応すればよいのかを提言し,また通常の腫瘍再建や潰瘍再建とは異なるスタンスを取る必要があることを,一般形成外科の読者に周知したいと思い立ちました。現在,巷ではPeer Review Meeting(症例事例検討会)がweb 上で数多く展開されており,数々の形成外科医も参画しています。しかし数的にも質的にもはまだまだ不十分で,一般形成外科医の裾野が広がっている状況にはありません。そこで,一般形成外科医への啓蒙の一助になるようにと本特集「重度四肢外傷と形成外科」を企画しました。
現在,重度四肢外傷の分野で活躍されている先生方に執筆をお願いし,一般形成外科医に必要な知識,心構え,手技などを専門家の立場から解説していただきました。
この分野は「素人は手を出してはならない」と個人的には思っていますが,本特集は,将来この分野に飛び込んできたいと思っている若手形成外科医に対するイニシエーションにもなるだろうと思います。
最後になりますが,本特集により形成外科が誤った対応をすることなく,重度四肢外傷治療に従事できることを願って,また多くの患者さんに利益と幸福をもたらすきっかけとなることを祈念いたします。
本誌「共同編集者」
仙台医療センター形成外科・東北ハンドサージャリーセンター
鳥谷部荘八
目次
随想
メンターシップ (林 寛子)
特集 重度四肢外傷と形成外科
企画にあたって (鳥谷部荘八)
形成外科医が知るべき重度四肢外傷治療の今 (土田芳彦)
形成外科医が知るべき主要血管損傷とコンパートメント症候群の実際 (善家雄吉)
形成外科医に知ってもらいたい骨折の骨再建 (前川尚宜)
形成外科医に望む血行再建・軟部組織再建 (鳥谷部荘八)
形成再建外科医が従事する重度四肢外傷の実際 (桜庭 実ほか)
形成手外科医による整容的重度四肢外傷再建 (高木信介)
若手形成外科医が進む重度四肢外傷への道 (伊師森葉ほか)
ここまでできる究極の重度四肢外傷再建 (工藤俊哉)
コラム:編集委員長コラム[第52回] (細川 亙)
連載:私の心に残る1症例
No.45 (小室裕造)
連載:みんなで考えよう! 足病カンファレンスSeason
装具療法のアドヒアランスをどう高めるか―その2:効果的な装具療法へ向け,どう行動変容を促すか― (佐藤智也)
連載:形成外科NEXT―次世代の本音―
今を,生きる (柳林 聡)
連載:教室だより北~南
No.108 埼玉医科大学 形成外科・美容外科 (斎藤順平)
症例
楔状骨片移行術を施行し長期の経過観察を行った裂足症の1例 (切石梨菜ほか)
外視鏡の形成外科領域における有用性 (生坂圭輔ほか)
外国文献抄訳 PRS Vol.151 No.4 (榊原俊介)
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書籍情報
- ISBN:9784014106612
- ページ数:151頁
- 書籍発行日:2023年12月
- 電子版発売日:2023年11月30日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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