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胆と膵 2023年4月号(Vol.44 No.4)【特集】あの議論の決着はつきましたか?

  • ページ数 : 110頁
  • 書籍発行日 : 2023年4月
  • 電子版発売日 : 2023年5月2日
3,300
(税込)
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商品情報

内容

【特集】あの議論の決着はつきましたか?
十二指腸乳頭括約筋切開術/拡張術後に胆道癌は増えるのか?/EUS―TA は播種や needle tract seeding を助長するのか?/胆門部領域胆管癌の術前至適胆道ドレナージ治療 ほか

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序文

序文

医療は不確実な科学の実践の場であり,統計学的有意差をもってエビデンスが構築されていく。そのためもっとも治る可能性が高い治療法を選択するわけであるが,その確率すら国や地域,時代により変わってくる。最近はさまざまなclinical question に対して臨床研究が行われ,その内容の質の高さでエビデンスレベルが格付けられ,標準治療としてガイドラインで推奨される。しかし,臨床研究を組むこと自体が難しい場合や,結果がいかようにも解釈できることも多く,どの治療法が本当によいのかわからないまま日々行っている診療行為が多いことも事実である。今回,胆膵領域のなかで長く議論の対象となりながら,いまだ決着がつかずに現在に至っていると思われる話題を集めてみた。

内視鏡的十二指腸乳頭括約筋切開術は胆石症の治療を低侵襲なものに大きく変えたが,処置後には胆汁と膵液が混和した十二指腸液が胆管内に逆流するリスクがある。そうすると膵・胆管合流異常と同様の病態が起こりうるわけで,結果として慢性炎症刺激による胆道発癌が懸念される1)。しかし実臨床で発癌患者を経験することはほとんどないのが現状ではないだろうか。また胆膵癌手術でもこれまで当然のようにD2 リンパ節郭清が実施されていたが,本当に予防的郭清効果があるのかの検証がされないまま標準治療となっており,過剰な手術で合併症を増やし,かえって患者の生命予後を短くしている可能性もある2,3)。

実臨床ではある程度折り合いをつけながら状況に合わせてエビデンスのない治療法を選択していくこともあるが,エビデンスの少ないところでは経験に勝る者や声の大きい者の意見が主流となり,検証されないまま,あるいはできないまま現在に至っているものも多い。本企画にあげられた内容が,新たな研究テーマとして再考される機会になることを期待している。

他にも未決着のテーマは数多くあるが,今回は企画者自身が興味を持っているものに,一部編集委員からの提案も加えて特集を組んだ。したがって続編も検討している。是非この話題の現状を知りたいというものがあれば編集部までご連絡いただければ幸いである。

参考文献

1) Peng YC, Lin CL, Hsu WY, et al.:Association of endoscopic sphincterotomy or papillary balloon dilatation and biliary cancer:a population‒based cohort study.Medicine(Baltimore)94:e926, 2015.

2) Imamura T, Yamamoto Y, Sugiura T, et al.:Reconsidering the optimal regional lymph node station according to tumor location for pancreatic cancer. Ann Surg Oncol 28:1602‒1611, 2021.

3) Kurahara H, Mataki Y, Idichi T, et al.:Spread of lymph node metastasis and adjuvant therapy for distal cholangiocarcinoma. Int J Clin Oncol 27:1212‒1221, 2022.


大塚 隆生
Preface:Has that Controversial Issue in Pancreatobiliary Field Been Resolved? Takao Otsuka
1) 鹿児島大学消化器・乳腺甲状腺外科(〒890‒8544鹿児島市桜ヶ丘8‒35‒1)

目次

特集 あの議論の決着はつきましたか? 企画:大塚 隆生

序文:あの議論の決着はつきましたか?

 大塚 隆生

Ⅰ.内科関連

十二指腸乳頭括約筋切開術/拡張術後に胆道癌は増えるのか?

 石井 重登ほか

EUS―TA は播種や needle tract seeding を助長するのか?

 中坪 良輔ほか

胆門部領域胆管癌の術前至適胆道ドレナージ治療

 中岡 和徳ほか

抗がん薬の副作用と治療効果に相関はあるのか?

 福島 泰斗ほか

膵IPMN の経過観察はいつまで行えばよいのか?

 大野栄三郎ほか

Ⅱ.病理・放射線関連

Low―grade PanIN は膵癌の前駆病変なのか?Low―grade PanIN は胃型IPMN の前駆病変なのか?

 大森 優子ほか

胆膵系腫瘍におけるムチン発現様式と悪性度は関係するのか?

 東 美智代ほか

アブスコパル効果は胆膵系腫瘍でも得られるのか?

 芝本 雄太ほか

膵癌に対する放射線照射は遠隔転移を助長するのか?

 篠藤  誠ほか

Ⅲ.外科関連

胆道癌に予防的リンパ節郭清効果はあるのか?

 蔵原  弘ほか

肝門部領域胆管癌における胆管断端の癌遺残が予後に与える影響

 細川  勇ほか

膵癌の随伴徴候を惹起する因子は同定されたのか?(耐糖能低下因子,凝固能亢進)

 藪下 泰宏ほか

膵癌に予防的リンパ節郭清効果はあるのか?

 池永 直樹ほか

偶然発見された小さな非機能性膵神経内分泌腫瘍は切除しないといけないのか?

 青木  琢

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書籍情報

  • ISBN:9784019104404
  • ページ数:110頁
  • 書籍発行日:2023年4月
  • 電子版発売日:2023年5月2日
  • 判:A4判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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