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胆と膵 2023年7月号(Vol.44 No.7)【特集】新時代のKRAS 変異~診断の主役から治療の標的へ~

  • ページ数 : 102頁
  • 書籍発行日 : 2023年7月
  • 電子版発売日 : 2023年7月28日
3,300
(税込)
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商品情報

内容

【特集】新時代のKRAS 変異~診断の主役から治療の標的へ~
膵癌におけるKRAS 変異発見の歴史/膵胆道癌の化学療法におけるKRAS 変異標的治療の可能性/オルガノイド発がんモデルで紐解く膵発がんにおける KRAS 変異の意義 ほか

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序文

序文


膵癌の大部分にKRAS変異が存在することがはじめて報告されて以来,およそ30年以上が経過した。ゲノム解析技術の発展に伴いKRAS変異は生検組織や膵液・血液などの臨床微量検体からも検出可能となっている。これまでの遺伝子改変マウスなどを用いた基礎研究の成果により,この変異が膵癌のドライバー遺伝子変異であることが示され,TP53,CDKN2A,SMAD4の異常とともに膵癌のBig4変異とよばれているのはご承知の通りである。しかしながら実際にヒト膵癌がKRAS変異にどれほどaddictしているかを含め,ヒト生体内でのKRAS変異の膵癌における生物学的意義の全貌が十分明らかにされたとは必ずしも言えないのも事実である。

そのKRAS変異に対する阻害剤の開発は長年にわたり成功に至らなかったが,ゲノム医療時代を迎えたタイミングでついにKRAS変異のひとつG12C変異の低分子阻害薬が開発され,すでに非小細胞肺癌においては実臨床で使用されている。残念ながら膵癌ではその変異の陽性率が必ずしも高くないものの,年頭にNEW ENGLAND JOURNAL OF MEDICINEに発表された多施設研究の結果では,先行治療が行われた膵癌に対しても一定の効果が認められ,その有効性が期待される結果であった。さらに現在では膵癌で主要なKRAS変異であるG12D変異を阻害する低分子化合物が開発されつつあることもあり,今後これらKRAS変異を標的とした治療が膵癌のみならず胆道癌にも効果を発揮する可能性が期待される。

本特集では膵癌および胆道癌においてKRAS変異を阻害する意義と作用点,そしてその効果を最適化するために役立つ情報・知見を整理できれば幸いである。そのために膵癌・胆道癌治療の最前線でご活躍の先生方とともにKRAS変異についての研究に携わる多方面の筆者の方々から,これまでの知見と将来への展望についてご寄稿いただいた。本特集号が近い将来のKRAS変異標的治療を理解し臨床活用するうえでの一助になれば幸いである。末筆になりますが,大変ご多忙の中,本企画にご執筆いただいたエキスパートの先生方に心から感謝申し上げます。


立石 敬介
聖マリアンナ医科大学消化器内科学

目次

特集:新時代のKRAS 変異 ~診断の主役から治療の標的へ~ 企画:立石 敬介

序文

立石 敬介

膵癌におけるKRAS 変異発見の歴史

多田 稔

膵胆道癌の化学療法におけるKRAS 変異標的治療の可能性

小林 智ほか

オルガノイド発がんモデルで紐解く膵発がんにおける KRAS 変異の意義

筆宝 義隆

遺伝子改変マウスから紐解く膵癌におけるKRAS 変異の意義

飯森 啓ほか

変異型KRAS が駆動する膵癌の代謝特性

山本 恵介

KRAS 変異が起点となる細胞内ストレスと発現における意義

濱田 晋ほか

KRAS 変異阻害のがん治療への応用と細胞内シグナルへの影響

池上 恒雄

膵・胆道癌の内視鏡診断におけるKRAS 変異の現状

三重 尭文ほか

膵癌における血中KRAS 変異を含めた新たな遺伝子診断法の開発

新城 恵子ほか

膵癌多施設コホート研究からみえるKRAS 変異の臨床的意義

濵田 毅

若年膵癌とKRAS 変異

梅本久美子

IPMN 発癌におけるKRAS 変異

小野 裕介ほか

膵神経内分泌癌におけるKRAS 変異

田中 宏樹ほか

胆道癌におけるKRAS

柴田 龍弘

固形癌に対するKRAS G12C 変異標的治療戦略の現状

久保木恭利

コラム:KRAS Q61 変異~サイレント変異が沈黙を破る~

小林 祥久

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書籍情報

  • ISBN:9784019104407
  • ページ数:102頁
  • 書籍発行日:2023年7月
  • 電子版発売日:2023年7月28日
  • 判:A4判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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