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消化器クリニカルアップデート 2023年(Vol.5 No.1)【特集】胆膵疾患の内視鏡治療─beyond the ガイドライン !! ─

  • ページ数 : 126頁
  • 書籍発行日 : 2023年5月
  • 電子版発売日 : 2023年7月28日
3,850
(税込)
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商品情報

内容

【特集】胆膵疾患の内視鏡治療─beyond the ガイドライン !! ─
ゲルイマージョン法による内視鏡診断 ・ 治療/消化器癌に対する重粒子線や陽子線治療─保険適用となったことを受けて─/悪性胆道狭窄に対する内視鏡的マネージメント ほか

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序文

序文


胆膵疾患はその疾患の種類,病態,そして解剖学的特徴から,診断から治療に難渋することも少なくない。

こうした日常診療に役立つのがエビデンスをもとに作成される診療ガイドラインである。現在では胆膵疾患の診断から治療まで数多くの診療ガイドラインが出版されており,日常診療に携わるわれわれも常にアップデートする必要がある。ただし,診療ガイドラインはあくまでも“標準的な”,“最大公約数的な” 診療を行うことを基本とするものである。したがって,いわゆる“規格外” の困難例に関してはさらなる工夫や試みが行われている。そこで本特集では内視鏡治療にフォーカスを当て,これまでに出版された胆膵疾患関連の最新のガイドラインとそれを超えた最新の知見を本邦のエキスパートの先生方に解説していただいた。

悪性胆道狭窄に対する胆道ドレナージは胆道癌診療ガイドラインに記載されているが,近年ERCPによるドレナージが不成功の症例を中心に超音波内視鏡(EUS)下胆道ドレナージ(EUS-BD)が行われている。これらのエビデンスも増えてきており,専用デバイスの開発と相まって,近い将来EUS-BDとERCPとの立ち位置がより明らかになると思われる。

内視鏡的乳頭切除術診療ガイドラインも最近発刊されたが,一般的な適応は腺腫でかつ,胆管内膵管内への腫瘍の進展がないものであった。一方,近年従来非適応である管内腫瘍進展症例に対してもラジオ波を用いた高周波腫瘍焼灼術が行われている。外科的手術に比べて低侵襲治療であり,今後の長期成績の結果が待たれる。

胆石性膵炎や胆石性胆管炎は重症化すると致死的となる疾患である。これらの治療に関して,一部の軽症例を除き緊急内視鏡的経乳頭的ドレナージが推奨されている。ただし,ERCPによる胆管挿管は100%ではなく,ERCPを行うことで,治療が完遂できないばかりでなく,膵炎を発症,助長してしまう可能性もある。こうしたERCP困難例に対して近年ではEUS下ランデブー法も行われており,100%を目指した挿管率の改善が図られている。こうしたERCP関連手技は,バルーン内視鏡の進歩により,正常解剖例だけではなく,Billroth Ⅱ 法再建胃や胃切除後Roux-en-Y再建などのいわゆる消化管術後症例にも積極的に行われている。しかし,前述したようにERCPは必ずしも成功するとは限らない。そこで,同様なERCP不成功例に対して消化管術後症例EUS下治療が行われ,良好な成績が報告されている。

急性胆囊炎は日常臨床で比較的多く遭遇する疾患である。以前より東京ガイドライン(TG)が診療指針として出されており,非外科的治療として,経皮経肝胆囊ドレナージ(PTGBD),ERCPによる経乳頭的胆囊ドレナージ(ETGBD),EUS下胆囊ドレナージ(EUS-GBD)が紹介されている。このうち,ETGBDは胆囊炎の原因の胆囊管狭窄や結石の胆囊管や頸部への嵌頓により成功率が高くないことが知られている。一方,最近では新しいステントやデバイスの登場によりこうしたハードルを超える試みもされており,今後が期待される。

急性膵炎後の局所合併症の主たるものは,仮性囊胞や被包化壊死(walled-off necrosis:WON)などの膵液体貯留(pancreatic fluid collection:PFC)である。近年発刊された急性膵炎診療ガイドラインでこれらPFCに対する治療が詳細に記載され,日常診療に役立っているものの,標準的治療で改善しない症例も多々経験する。こうした症例に対して,IVRや外科的治療までも見据えたstep-up approachを理解することが生命予後改善のためには極めて重要と考えられる。

慢性膵炎ガイドラインも近年発刊された診療ガイドラインである。重要なことは,慢性膵炎の病態を理解するとともに,最新の内視鏡治療(ERCP,EUS)の有用性と限界を知ることである。最近の内視鏡治療の進歩は目覚ましく,膵石症をはじめ従来では困難とされていた病態も改善することが可能になっている。

本特集でガイドラインの現状とそのガイドラインを超えた内視鏡治療の進歩を理解していただければ幸いである。


糸井 隆夫
東京医科大学消化器内科

目次

トピックス

ゲルイマージョン法による内視鏡診断・治療

自治医科大学内科学講座消化器内科部門 矢野 智則

消化器癌に対する重粒子線や陽子線治療─保険適用となったことを受けて─

量子科学技術研究開発機構QST病院 篠藤 誠,他

特集 胆膵疾患の内視鏡治療─beyond the ガイドライン!!─

序文

東京医科大学消化器内科 糸井 隆夫

1)悪性胆道狭窄に対する内視鏡的マネージメント

愛知医科大学肝胆膵内科 井上 匡央,他

2)乳頭部腫瘍に対する内視鏡的乳頭切除術─膵胆管内進展病変に対するRFA併用治療─

東京医科大学臨床医学系消化器内科学分野 山本健治郎,他

3)胆石性胆管炎・胆石性膵炎に対する緊急ドレナージ

長崎大学病院消化器内科 髙橋 孝輔,他

4)総胆管結石に対する内視鏡的治療

岐阜大学医学部附属病院第一内科 岩下 拓司,他

5)急性胆囊炎に対する内視鏡的胆囊ドレナージ

聖マリアンナ医科大学消化器内科 中原 一有,他

6)膵炎後の局所合併症に対する内視鏡治療

慶應義塾大学医学部消化器内科 岩崎 栄典

7)慢性膵炎の合併症に対する内視鏡治療

九州大学病院肝臓・膵臓・胆道内科 藤森 尚,他

連載企画

私の履歴書

継続は力なり! 人生において無駄な経験はない

公立学校共済組合四国中央病院内科 香川美和子

岡久稔也先生よりコメント

外から見た日本医療への提言─今後の医療界に期待すること─

日本大学文理学部情報科学科 大澤 正彦

【コラム】Slow life, No Medical life!

京都府立医科大学消化器内科 吉田 直久

今日のカンファレンス

家族性地中海熱(MEFV 遺伝子関連腸炎)

東京慈恵会医科大学内科学講座消化器・肝臓内科 澁谷 尚希,他

・消化器医にちょっと役立つ豆知識

1)プレゼンスライドの作り方について(全3回)

第1回:情報の結合パターンで設計するプレゼンテーションのストーリー作り

日本大学芸術学部 片桐 祥太

2)臨床に役立つ病理(全4回) 胆膵細胞診・生検診断 第3回:膵細胞診

久留米大学病院臨床検査部 内藤 嘉紀

3)腹痛を診る(全4回) 第2回:心窩部痛で受診した22歳女性

大船中央病院内科 中野 弘康

4)腹部エコー(全4回) 第3回:超音波検査における“造影検査”の意義について考える

日本大学医学部内科学系消化器肝臓内科 小川 眞広

5)医療機器開発のイロハ(全4回) 第3回:非臨床試験の重要性と臨床要否の考え方

岡山大学病院新医療研究開発センター 内田 大輔

ライブセミナーレポート

第15回広島消化管内視鏡ライブセミナー

静岡県立静岡がんセンター内視鏡科 岸田 圭弘

クローズアップ! メディカルスタッフ!

消化器がん患者に対するリハビリテーション治療

東京慈恵会医科大学附属第三病院リハビリテーション科 桂田 功一

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書籍情報

  • ISBN:9784019500501
  • ページ数:126頁
  • 書籍発行日:2023年5月
  • 電子版発売日:2023年7月28日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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