総合スポーツ医学 実践ハンドブック

  • ページ数 : 268頁
  • 書籍発行日 : 2022年11月
  • 電子版発売日 : 2022年11月2日
8,360
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商品情報

内容

様々な分野のエキスパートが集結し解説したスポーツ医学最新テキスト

スポーツ医学は「総合医学」である.その理念のもと,本書では整形外科のみならず,内科や婦人科疾患,心理,栄養,薬剤,リハビリ,障がい者スポーツ,歯科……など多岐にわたって,スポーツ医学に関連する分野を網羅した.執筆陣には各領域のエキスパートを揃え,基本知識から患者・家族への説明の仕方まで,平易かつ詳細に解説してもらった.総合的な知識を多角的な視点でとらえて実践で生かせる,心強いテキストである.

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序文


スポーツ医学には,実に多様な分野の専門家が関与しており,その活動する場(フィールド)もさまざまです.スポーツ医学に包含される医療分野は,外傷,運動器疾患,内科・婦人科疾患,栄養管理,スポーツ心理,ドーピング,リハビリテーション,メディカルチェック,障がい者スポーツ,競技力向上など多岐にわたります.また,医師,歯科医師,理学療法士,薬剤師,アスレチックトレーナー,基礎医学研究者など多様な職種が関与しています.これらの人々が,医療機関で,競技場で,練習場で,アカデミアで,互いに協力し合い,時には現場の指導者とも連携して医療の実践にあたります.このようにスポーツ医学は,まさしく『総合医学』であると言えます.

本書は,タイトルに「総合スポーツ医学」を掲げました.上に挙げた多様な分野の執筆陣により,わが国におけるスポーツ医学の最新情報と基本事項を多角的・総合的に解説することを目的としました.第Ⅰ章では,スポーツ医学の最前線で多くのアスリートを診療してきた医師が,スポーツの現場での患者の診かたについて解説しています.第Ⅱ章からは整形外科,内科,婦人科,脳外科,眼科,皮膚科,耳鼻咽喉科,歯科・口腔外科におけるスポーツ障害の各論が解説されています.治療については,現場での「初期治療」とその後の「専門的治療」に分けて示しました.そして,初期治療における「患者・家族への説明」の仕方についても提示し,実際の臨床場面で役立つよう工夫しました.疾患各論に続き,第Ⅹ章からは,メディカルチェック,スポーツメンタル,栄養,アンチ・ドーピング,リハビリテーション,パラスポーツの医学サポートについて,それぞれに造詣の深い専門家が解説しています.

執筆陣の多くは札幌医科大学関連のスタッフですが,札幌医科大学からは東京2020や北京冬季オリンピック・パラリンピックに多数の医師・メディカルスタッフが派遣されました.派遣スタッフによる各大会の医学サポート報告では,COVID-19パンデミックの中での大会における奮闘ぶりが臨場感をもって描かれています.

本書を,スポーツ医学に携わる医療スタッフ・研究者の皆様,そしてスポーツ医学を志す学生の皆様に,ぜひ手に取っていただきたく思います.本書を介してスポーツ医学に関係する異なる分野の医療者・研究者間のコミュニケーション・連携が促進され,『総合医学』としてのスポーツ医学が,ますます発展することを願っています.


2022年10月

札幌医科大学理事長・学長
山下敏彦

目次

I スポーツ選手の診かた

1)スポーツ選手の特性〈渡邉耕太〉

2)競技復帰に向けた機能評価のポイント〈片寄正樹〉

3)現場での対応〈渡邉耕太〉

4)指導者・コーチへの対応〈寺本篤史〉

5)多職種連携の必要性〈寺本篤史〉

II 運動器のスポーツ傷害

1.膝・下肢のスポーツ傷害

1)膝靭帯損傷〈興村慎一郎〉

[理学療法のポイント]前十字靭帯再建術後リハビリテーション〈池田祐真〉

2)半月板損傷〈興村慎一郎〉

[理学療法のポイント]半月板縫合術後リハビリテーション〈池田祐真〉

3)オスグッド・シュラッター病〈興村慎一郎〉

4)離断性骨軟骨炎〈岡田葉平〉

5)膝蓋腱炎(ジャンパー膝)〈岡田葉平〉

[理学療法のポイント]膝蓋腱炎に対するリハビリテーション〈池田祐真〉

6)膝蓋骨脱臼〈岡田葉平〉

7)滑膜ひだ障害(タナ障害,plica syndrome)〈渡邉耕太〉

8)腸脛靭帯炎,鵞足滑液包炎〈渡邉耕太〉

9)変形性膝関節症(中高年スポーツ)〈岡田葉平〉

10)下腿疲労骨折,シンスプリント〈寺本篤史〉

[理学療法のポイント]シンスプリントに対するリハビリテーション〈池田祐真〉

11)アキレス腱周囲炎〈寺本篤史〉

12)アキレス腱断裂〈寺本篤史〉

[理学療法のポイント]アキレス腱断裂術後リハビリテーション〈河合 誠〉

2.足・足関節のスポーツ傷害

1)足関節捻挫〈寺本篤史〉

[理学療法のポイント]足関節外側靭帯修復術後リハビリテーション〈河合 誠〉

2)足関節果部骨折〈寺本篤史〉

3)足底腱膜炎〈渡邉耕太〉

4)外脛骨障害〈渡邉耕太〉

5)三角骨障害〈寺本篤史〉

6)足根骨癒合症〈渡邉耕太〉

7)足部の骨端症:Köhler病,Freiberg病,Sever病,Iselin病〈渡邉耕太〉

8)足部の疲労骨折〈寺本篤史〉

3.股関節・鼠径部・大腿のスポーツ傷害

1)弾発股:内側型,外側型,関節内型〈清水淳也〉

2)鼠径部痛症候群〈清水淳也〉

[理学療法のポイント]関節唇縫合術後リハビリテーション〈池田祐真〉

3)恥骨結合炎,恥骨下枝疲労骨折〈清水淳也〉

4)骨盤裂離骨折:上前腸骨棘裂離骨折,下前腸骨棘裂離骨折,坐骨結節剝離骨折〈清水淳也〉

5)ハムストリングス肉離れ〈渡邉耕太〉

[理学療法のポイント]ハムストリングス肉離れに対するリハビリテーション〈池田祐真〉

4.腰部のスポーツ傷害

1)腰痛症(非特異的腰痛)〈家里典幸〉

[理学療法のポイント]腰痛症に対するリハビリテーション〈河合 誠〉

2)腰椎椎間板ヘルニア〈塚本有彦〉

3)腰椎分離症〈家里典幸〉

[理学療法のポイント]腰椎分離症に対するリハビリテーション〈河合 誠〉

4)腰部脊柱管狭窄症(中高年スポーツ)〈吉本三徳〉

5.頸部のスポーツ傷害〈山下敏彦〉

1)頸髄損傷

2)頸椎症,頸椎椎間板ヘルニア

3)頸椎捻挫

4)バーナー症候群

6.肩のスポーツ傷害

1)肩関節脱臼〈杉 憲〉

[理学療法のポイント]肩関節脱臼 鏡視下Bankart修復術後リハビリテーション〈戸田 創〉

2)肩鎖関節脱臼〈杉 憲〉

3)肩腱板損傷〈芝山雄二〉

4)投球障害〈芝山雄二〉

[理学療法のポイント]投球障害肩に対するリハビリテーション〈戸田 創〉

7.肘のスポーツ傷害

1)野球肘(内側型野球肘)〈齋藤 憲〉

[理学療法のポイント]野球肘に対するリハビリテーション〈戸田 創〉

2)離断性骨軟骨炎(外側型野球肘)〈齋藤 憲〉

3)テニス肘(上腕骨外側上顆炎)〈齋藤 憲〉

4)尺骨神経障害〈齋藤 憲〉

8.手のスポーツ傷害

1)突き指,マレット指(槌指)〈射場浩介〉

2)母指中手節関節ロッキング〈射場浩介〉

3)三角線維軟骨複合体損傷〈射場浩介〉

[理学療法のポイント]三角線維軟骨複合体損傷に対するリハビリテーション〈渡邊祐大〉

III 内科的スポーツ障害

1)循環器系障害:長時間運動における急性心不全,スポーツ心臓症候群〈橋本暁佳〉

2)呼吸器系障害:運動誘発気管支喘息,過換気症候群〈千葉弘文〉

3)代謝系障害:運動誘発性低血糖,運動誘発性高尿酸血症,運動後急性腎不全〈橋本暁佳〉

4)心肺蘇生法〈沢本圭悟〉

5)熱中症〈沢本圭悟〉

6)高山病〈沢本圭悟〉

7)突然死〈沢本圭悟〉

IV 婦人科的スポーツ障害

1)月経異常(運動性無月経)〈寺本瑞絵〉

2)月経周期調節〈小川万梨絵〉

3)妊婦のスポーツ〈寺本瑞絵〉

V 頭部のスポーツ傷害〈宮田 圭〉

1)スポーツ脳震盪

2)頭蓋内出血

VI 目のスポーツ傷害〈日景史人〉

1)前房出血

2)雪眼炎

VII 皮膚疾患のスポーツ障害〈菅 裕司,宇原 久〉

1)接触皮膚炎

2)蜂窩織炎

3)日焼け:紫外線による皮膚障害

VIII 鼻・耳のスポーツ傷害

1)鼻出血〈山本圭佑〉

2)鼻骨骨折,眼窩吹き抜け骨折〈大國 毅〉

3)側頭骨骨折〈角木拓也〉

IX 歯・口腔のスポーツ傷害〈宮崎晃亘〉

1)歯の損傷

2)顎骨骨折,顎関節骨折

X メディカルチェック

1)整形外科的メディカルチェック〈渡邉耕太〉

2)内科的メディカルチェック〈千葉弘文〉

3)デンタルチェック(歯科的メディカルチェック)〈宮崎晃亘〉

XI スポーツとメンタル〈蓑内 豊〉

1)スポーツ選手における心理的問題

2)メンタルトレーニング

XII スポーツと栄養

1)アスリートの食事の考え方〈蜂谷 愛〉

2)目的別栄養管理:期分け別のコンディショニング,骨格筋増量,減量,貧血と食事,水分補給,エネルギー不足の問題,スポーツ外傷・障害(栄養管理,体重管理)〈蜂谷 愛,東郷将成〉

XIII アンチ・ドーピング〈青山弘達〉

1)ドーピングとは

2)ドーピング検査の実際

XIV 理学療法とコンディショニング

1)競技復帰に向けた理学療法とコンディショニングの考え方〈片寄正樹〉

2)理学療法の実際〈河合 誠〉

3)コンディショニング,リコンディショニング,パフォーマンス向上〈吉田昌弘〉

  ヨガ・ピラティス〈本橋恵美〉

4)スポーツ外傷・障害の予防〈戸田 創〉

XV パラスポーツに対する医学サポート〈岩橋孝弥,坂野元彦,田島文博〉

1)わが国におけるパラスポーツの現状

2)パラスポーツに対する医学サポートの実際と課題

Appendix

1)TOKYO2020医学サポート報告(1)〈渡邉耕太〉

2)TOKYO2020医学サポート報告(2)〈寺本篤史〉

3)TOKYO2020医学サポート報告(3)〈片寄正樹〉

4)TOKYO2020医学サポート報告(4)(選手村ポリクリニック理学療法ルームでの活動報告)〈戸田 創〉

5)北京冬季オリンピック医学サポート報告(1)(張家口)〈渡邉耕太〉

6)北京冬季オリンピック医学サポート報告(2)(北京)〈寺本篤史〉

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書籍情報

  • ISBN:9784498073203
  • ページ数:268頁
  • 書籍発行日:2022年11月
  • 電子版発売日:2022年11月2日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
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