心臓カテーテル介助 スタンダードマニュアル

  • ページ数 : 224頁
  • 書籍発行日 : 2022年11月
  • 電子版発売日 : 2022年12月2日
3,960
(税込)
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商品情報

内容

写真チャート式で解説! 間接・直接介助,心カテ室業務をビジュアル化

内助の功ならぬ“介助の功”を目指す。1分1秒を争う術者を救う助手業務にフォーカス。
タスクシフトが進む現状にいち早く対応し,多職種向けの写真チャート式で心カテ検査・治療の具体的な操作・手順を解説。清潔の確保,カテ台の操作とアームのフレーミング,デバイス特有のリカバリー方法やその他の合併症対策,使用される薬剤,医行為に伴うリスク・注意喚起などを網羅。
若手医師,初学者から熟練のメディカルスタッフまで必読。

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序文

刊行に寄せて


筆者がカテーテル検査を始めたのはおよそ40年近く前で,当時はディスポの製品はほとんどなく再滅菌をした器具を医師自らが準備する必要があり,またカテーテル介助を行う専門的なスタッフは少数で,1例検査を行うのに非常に時間がかかっていた。

その後,PCIが導入され普及するに従いカテーテル室(以下,カテ室)専属のコメディカル(メディカルスタッフ)が配置されるようになり,その専門性は飛躍的に高いものとなってきた。

今日の心臓カテーテル検査・治療は医師単独で行えるものではなく,カテ室全体のチームワークが重要であり,臨床工学技士,看護師,放射線技師など多職種の協力がなければ成り立たない医療行為である。また,不適切に行われると重大な合併症,死亡などに直結する可能性もある。従って,カテ室で医師ならびに患者を適切に介助することがきわめて重要である。

本書は心臓カテーテル介助を第一線のコメディカルの方々がきわめて実践的に解説し,最新の知識も網羅されている。カテ室ではしばしば俗語が飛び交うが,それらも収載されているのは非常にユニークで,実際の業務に役立つものと思われる。これからカテーテルの介助を始めようとする方だけではなく,ある程度経験を積んだ方にも役立つ内容であり,医師の立場で通読しても十分に参考になると考えられる。本書を読めば,次に出る医師の指示や患者の状態変化も予想することが可能となり,カテ室におけるあらゆるクオリティが向上すること請け合いである。本書が心臓カテーテル介助のバイブルになることを期待している。

最後に,本書の企画や分担執筆に多大なご尽力をいただいた皆様に感謝申し上げたい。


2022年9月

井上直人



はじめに


医療は日進月歩といわれます。PCI(PTCA)の歴史は,1977年にスイスの医師グルンチッヒ(Dr. Andreas R. Gruzig)がバルーン(風船)で血管を膨らませたことに始まるといわれ,医療業界のなかでは比較的歴史が浅いといえるかもしれません。一方,関連学会においては「PCIは成熟した」というテーマもみられます。そのような,短いようで,成熟期を迎えているとされる文脈や時間感覚のなかでも,PCIを取り巻く環境は保険償還からメディカルスタッフにかかわる業務内容まで幅広く変化し続けています。

本書は,直接介助を担う研修医や若手医師をはじめ,近年,厚生労働省が提案している「タスク・シェア/シフト」に関連職が対応できることを目的としています。本書内でも度々触れているように,実際のところ,「タスク・シェア/シフト」に関するグレーゾーンが大変広く,執筆にあたりはなはだ苦慮したところでもありますが,端境期における著作である点をご理解いただき,法令や自施設の基準などに則り,現場で活用していただくようお願いしたいと考えています。

心臓カテーテル室では,医師,看護師,臨床工学技士,臨床検査技師,診療放射線技師など多職種がかかわります。心臓カテーテルチームとして行う検査や治療は,実際に手技を行う医師の力により発展してきたことに間違いはなく,そのチームのなかでメディカルスタッフが寄与してきた部分もまた大きいかと思います。次世代の医師・メディカルスタッフへの知識・知恵の伝承というところの思いをメジカルビュー社に理解いただき,本書を発刊することができました。特に編集の井上様の企画・編集力があっての書籍となり,感謝してもしきれません。

さらに,ご自身の病院業務が大変多忙となるなか,快く総監修をお引き受けいただいた東京蒲田病院理事長の井上直人先生に多大なる感謝と御礼を申し上げます。そして,医師の立場として査読を含む総監督的な役割を担っていただいた真壁 伸先生のご厚意に拝謝いたします。

また,実行部隊として企画段階から執筆・校正やさまざまな雑務にかかわっていただいた岐阜ハートセンターの今井俊輔氏,東京大学医学部附属病院の村澤孝秀氏両名に深謝いたします。そして,最後になりますが,本書のデザインご着想をいただいたArtistic Design:Yunchiru様,多忙な業務のなかで素晴らしい執筆をしていただいた先生がたに篤く御礼申し上げます。

本書が一人でも多くの方に役立つことを願います。


2022年10月

編集者を代表して 中村康雄

目次

Ⅰ章 検査・術前&術後評価・治療の基礎

(1)血液検査と術前・術後評価

検体検査   (清水速人)

(2)生理検査と術前・術後評価

生理検査(心電図,心エコー,負荷心電図)    (辻井正人)

(3)そのほかの検査における術前術後・評価

心臓CT,FFR-CT,心筋SPECT,心臓MRI   (山口隆義)

(4)検査で使用するカテーテル

右心カテーテル(SGカテーテル,造影用)   (伊藤朋晃)

診断カテーテル(CAG,LVG)   (伊藤勝祥)

ガイディングカテーテル    (二上倫嗣)

(5)機能的虚血評価

FFR,NHPR(resting index),CFR   (村澤孝秀)

(6)治療デバイス

バルーン,DCB   (武井和明)

DES,BMS   (武井和明)

DCA   (二上倫嗣)

ロータブレーター, OAS   (山本基善)

(7)不整脈に対するデバイス

一時ペーシング   (野崎暢仁)

除細動器   (野崎暢仁)

(8)補助循環

IABP    (佐生 喬)

PCPS(ECMO)   (山本基善)

Impella,VAD   (新美伸治)

Ⅱ章 術中介助

(1)準備

清潔の確保(滅菌手袋装着,ガウン・テクニック)   (中村康雄)

術前のセッティング(トレー,薬剤,デバイスの準備)   (村瀬早苗)

清潔野のセッティング(消毒,ドレーピング)   (村瀬早苗)

造影ラインと自動注入器に必要なデバイス   (今井俊輔)

シース組立てから挿入まで   (新美伸治)

(2)清潔野における検査・治療介助

右心カテーテル,診断カテーテル,ガイディングカテーテル   (二上倫嗣)

アクセサリーキットの準備   (野崎暢仁)

ガイドワイヤー,マイクロカテーテル,ガイドエクステンション   (口ノ町俊嗣)

IVUS,OCT/OFDI,FFR,血管内視鏡    (口ノ町俊嗣)

バルーン,DCB,ステント(各セットアップ)   (口ノ町俊嗣)

血栓吸引,フィルターデバイス   (野崎暢仁)

ロータブレーター,OAS    (山本基善)

DCA(カテーテルのセットアップ)   (二上倫嗣)

ELCA(設備,使用薬剤,キャリブレーション)   (山本基善)

IABP   (新美伸治)

PCPS(ECMO)   (新美伸治)

Impella,VAD   (新美伸治)

一時ペーシング,除細動   (野崎暢仁)

用手圧迫止血   (湯面真吾)

(3)造影の見かた・フレーミング・パンニング

心臓の解剖と造影の向き   (武田和也)

冠動脈造影(CAG)   (武田和也)

左室造影(LVG)   (武田和也)

大動脈(AoG)   (武田和也)

(4)安全管理

医療従事者の被ばく管理   (石橋 徹)

医療安全からみたIC,カテーテル室のリスク管理と記録   (木下博子)

タイムアウト   (木下博子)

(5)帰室時の安全管理

出血,迷走神経反射,不整脈   (中村康雄)

Ⅲ章 合併症への対応

(1)合併症の種類と対応

再灌流障害,穿孔,解離   (伊藤朋晃)

不整脈,一時ペーシング   (佐生 喬)

使用される薬剤   (大竹陸希光)

放射線被ばく   (石橋 徹)

(2)手技による合併症と対応

デバイスの断裂(PCIワイヤー断裂遺残例)   (塩田裕啓)

デバイスの脱落(ステント脱落例)   (塩田裕啓)

IVUSのスタック   (塩田裕啓)

OCT/OFDIのスタック   (口ノ町俊嗣)

ロータブレーター,OASのスタック   (山本基善)

心臓カテーテル室特有の胸骨圧迫   (湯面真吾)

IV章 清潔介助の掟

(1)各職種のタスクシフト

医師の役割   (真壁 伸)

看護師の役割   (中村康雄)

診療放射線技師の役割   (今井俊輔)

臨床工学技士の役割   (村澤孝秀)

臨床検査技師の役割   (清水速人)

Ⅴ章 感染症対策

(1)スタッフ全員に求められる手順

新型コロナウイルスへの対応   (藤野絹代)

血液感染への対応   (藤野絹代)

new arrival shockwave治療

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書籍情報

  • ISBN:9784758322010
  • ページ数:224頁
  • 書籍発行日:2022年11月
  • 電子版発売日:2022年12月2日
  • 判:B5変型
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
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