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- よくわかる精神科治療薬の考え方,使い方 4版
商品情報
内容
精神科における的確な薬物治療を行う上でどの薬剤を選択し,どのように使えばよいのかを平易に解説した書の改訂4版.疾患のポイントや薬物療法の成否のカギを握る患者・家族に対する説明など,できるだけ具体的に解説している.今回はWHOから公開された新たな診断基準(ICD-11)を踏まえ,新薬や既存薬の適応追加などを盛り込み、全体をアップデートした.精神科医だけでなく,精神科医療に携わる医療職の学習の一助となる一冊.
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序文
第4版の序
本書は,著者一同がふだん行っている薬物療法を,できる限りわかりやすく文章化したものである.精神科医師が薬物療法を行う際の基本を,実際に即して初学者にもわかるように伝えることを意図している.駆け出しの精神科医師,精神科を学ぶ初期研修医,臨床実習で精神科を回る医学生や薬学部生,さらには精神科医療に携わる看護師,薬剤師,公認心理師,作業療法士,精神保健福祉士などの方々を読者に想定している.
数ある精神科薬物療法解説書のなかで,本書の特徴として特筆できるのは,治療導入にあたって患者と家族に対して行う疾患や治療に関する説明を,具体例をあげながら詳しく解説していることである.患者と家族の理解と納得なしに,長丁場にわたる精神科薬物治療は成立しない.治療導入の際の丁寧な説明は薬物療法の成否のカギを握っているといっても過言ではない.適切な薬物の選択はその次の段階である.
適切に選択された薬物はその薬理作用を通して,症状を緩和し,病態を修正する.しかし,実際の臨床現場ではそれがすべてではない.症状を傾聴し,疾患の性質と治療方針を丁寧に説明し,専門家としての助言を与えながら行う薬物療法は,単なる薬理効果だけでなく,精神療法的な効果を合わせ持っている.また薬物療法によって症状が改善すると,社会復帰に向けた心理社会的治療を円滑に進めることができるというメリットも生じる.薬物療法の射程は思いのほか広いのである.
第3版出版から8年を経て,いくつもの新薬の導入や既存薬の適応追加があり,世界保健機関(WHO)からは新たな診断基準(ICD-11)が公開された.これらを踏まえて全体をアップデートした.病名は日本精神神経学会によるICD-11病名を優先し,旧名を括弧内に付記している.初版の著者は当時徳島大学精神科のスタッフだったが,編者自身を含め現在は異動した者も多い.また今回新たに改訂に加わった者もいる.全体の統一を編者が図った.旧版に引き続き,関係の方々の学習の一助となれば幸いである.
2022年12月
編者 記
目次
1.精神科薬物療法の基本〈大森哲郎〉
1.薬物療法の目的
a.対症レベルでの改善
b.病態レベルでの改善
c.再発予防への効果
2.薬物療法の指針
a.必要最小限の介入
b.適切な薬物の選択
c.臨床エビデンスの活用
3.薬物療法の実際
a.診断と評価
b.本人への病気と治療の説明
c.家族への説明
4.薬物療法と心理社会的治療
2.向精神薬の種類・作用・副作用〈田吉伸哉,大森哲郎〉
A.抗精神病薬
1.分類
a.非定型抗精神病薬(第二世代抗精神病薬)
b.定型抗精神病薬(第一世代抗精神病薬)
2.薬理作用
a.ドパミン系への作用
b.セロトニン系への作用
c.ノルアドレナリン系への作用
d.ヒスタミン系への作用
e.アセチルコリン系への作用
f.キニジン様作用
3.副作用
a.錐体外路症状
b.悪性症候群
c.内分泌・代謝系
d.けいれん誘発作用
e.その他
B.抗うつ薬
1.分類
a.選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)
b.セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)
c.ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA)
d.セロトニン調節薬(セロトニン再取り込み阻害・受容体調節薬)
e.セロトニン2A受容体アンタゴニスト/再取り込み阻害薬(SARI)
f.三環系抗うつ薬(TCA)
g.四環系抗うつ薬
h.ベンザミド系抗精神病薬
2.薬理作用
a.急性薬理作用
b.抗うつ効果発現メカニズム
c.解剖学的作用部位
3.副作用
a.activation症候群
b.セロトニン症候群と悪性症候群
c.離脱症状
d.その他の副作用
e.併用薬との相互作用
C.気分安定薬
1.lithium
2.carbamazepine
3.valproate
4.lamotrigine
D.抗不安薬と睡眠薬
1.ベンゾジアゼピン(BZD)系薬物の分類
a.抗不安薬
b.睡眠薬
c.抗てんかん薬
d.注射製剤
e.BZD系薬物の薬理作用
f.BZD系薬物の副作用
2.5-HT1A受容体アゴニスト
a.抗不安作用
b.薬理作用
3.抗不安薬としての抗うつ薬
4.バルビツール酸系薬物
E.精神刺激薬
1.精神刺激薬の種類
a.methylphenidate
b.pemoline
c.mazindol
d.methamphetamineとlisdexamfetamine
2.作用機序
3.副作用
3.薬物動態と薬物相互作用〈山内 健,伊賀淳一〉
A.総論
1.吸収
2.分布
3.代謝
4.排泄
5.相互作用
B.各論
1.fluvoxamine
2.paroxetine
3.sertraline
4.escitalopram
5.vortioxetine
6.duloxetine
7.venlafaxine
8.mirtazapine
9.carbamazepine
10.lamotrigine
11.lithium
12.valproate
13.その他の薬物
4.薬物療法と並行して行う心理社会的治療〈友竹正人〉
1.病態レベルに応じた対応
2.支持的精神療法
5.統合失調症〈沼田周助〉
1.疾患の概念,疫学,症状,病態
2.治療導入
3.薬物治療
4.心理社会的治療
a.作業療法
b.生活技能訓練
c.デイケア
6.気分症群(気分障害)〈伊賀淳一〉
A.うつ病(単一エピソードうつ病,反復性うつ病)
1.疾患の概念,疫学,症状
2.治療導入
3.薬物治療
4.心理社会的治療
B1.双極症(躁エピソード)
1.疾患の概念,疫学,症状
2.治療導入
3.薬物治療
B2.双極症(抑うつエピソード)
1.疾患の概念,疫学,症状
2.治療導入
3.薬物治療
4.心理社会的治療
7.不安症,強迫症,身体的苦痛症,解離症〈住谷さつき〉
A.パニック症(パニック障害)
1.疾患の概念,疫学,症状,病態
2.治療導入
3.薬物治療
4.心理社会的治療
B.全般不安症(全般性不安障害)
1.疾患の概念,疫学,症状,病態
2.治療導入
3.薬物治療
4.心理社会的治療
C.強迫症(強迫性障害)
1.疾患の概念,疫学,症状,病態
2.治療導入
3.薬物治療
4.心理社会的治療
D.社交不安症(社交不安障害)
1.疾患の概念,疫学,症状,病態
2.治療導入
3.薬物治療
4.心理社会的治療
E.身体的苦痛症,心気症
1.概念,疫学,症状
2.治療導入
3.薬物治療
4.心理社会的治療
F.解離症(解離性障害)
1.概念,症状
2.治療導入
3.薬物治療
8.ストレス関連症群〈瀧川裕美子,住谷さつき〉
A.適応反応症(適応障害)
1.概念,症状
2.治療方針
3.薬物治療
B.心的外傷後ストレス症(PTSD)
1.概念,症状
2.治療導入
3.薬物治療
4.心理社会的治療
9.摂食症,睡眠障害
A.摂食症〈友竹正人〉
I.神経性やせ症
1.疾患の概念,疫学,症状
2.アセスメント
3.薬物治療
4.心理社会的治療
II.神経性過食症
1.疾患の概念,疫学,症状
2.アセスメント
3.薬物治療
4.心理社会的治療
B.睡眠障害(不眠症)〈友竹正人,富永武男,大森哲郎〉
I.不眠症
1.疾患の概念,疫学,症状
2.薬物療法
3.心理社会的治療
II.その他の睡眠障害:睡眠障害の鑑別
a.ナルコレプシー
b.睡眠時無呼吸症候群
c.過眠症
d.睡眠・覚醒スケジュール障害
e.睡眠時遊行症(夢遊病)
f.睡眠時驚愕症
g.悪夢
h.レム睡眠行動障害
i.むずむず脚症候群(Restless legs syndrome)
10.アルコール依存,薬物依存〈谷口京子,富永武男〉
A.アルコール依存
1.疾患の概念,疫学,症状,病態
2.治療導入
3.薬物治療
B.睡眠薬・抗不安薬依存
1.疾患の概念,疫学,症状,病態
2.治療導入
3.薬物治療
11.せん妄〈上野修一〉
1.疾患の概念,疫学,症状,病態
2.治療導入
3.薬物治療
12.認知症〈安藝浩史,大森隆史,亀岡尚美,上野修一〉
1.疾患の概念,疫学,症状,病態
a.認知症
b.認知症に伴う行動・心理症状(BPSD)の概念,疫学,症状,病態
2.治療導入
3.薬物治療
4.心理社会的治療
13.発達期の障害〈井崎ゆみ子,梅原英裕〉
A.注意欠如・多動症(ADHD)
1.疾患の概念,疫学,症状
2.治療導入
3.薬物療法
4.心理社会的治療
B.自閉スペクトラム症(ASD)
1.疾患の概念,疫学,症状
2.治療導入
3.薬物療法
4.心理社会的治療
C.チック
1.疾患の概念,疫学,症状
2.治療導入
3.薬物療法
4.心理社会的治療
14.てんかん〈中瀧理仁,渡部真也〉
1.疾患の概念,疫学,症状,病態
2.治療導入
3.薬物治療
4.心理社会的治療
15.リエゾン精神医学—他科往診の基本〈田吉純子,多田幸雄〉
1.コンサルテーション・リエゾン精神医学の概念
2.コンサルテーション・リエゾン精神医学の実践時の注意点
a.精神科受診について説明と同意
b.身体診療科主治医との連携
c.看護師との情報交換
d.フォローアップ
3.コンサルテーション・リエゾン精神医学で遭遇する頻度の高い疾患
a.せん妄
b.うつ病
16.合併症のある患者への向精神薬投与の注意,精神腫瘍学〈山内 健,多田幸雄〉
A.合併症のある患者への向精神薬投与の注意点
1.循環器疾患を有する患者
a.抗精神病薬
b.抗うつ薬
c.気分安定薬・抗てんかん薬
2.肝障害を有する患者
a.抗精神病薬
b.抗うつ薬
c.気分安定薬・抗てんかん薬
d.抗不安薬
3.腎障害を有する患者
a.抗精神病薬
b.抗うつ薬
c.気分安定薬・抗てんかん薬
4.メタボリックシンドロームを有する患者
a.抗精神病薬
b.抗うつ薬
c.気分安定薬・抗てんかん薬
B.精神腫瘍学
1.概念
2.がん患者における心理的反応
3.がん患者に対する接し方についての注意点
4.がん患者のQOLを向上するためにできること
5.がん患者にみられる精神症状と薬物療法
a.うつ病
b.適応反応症(適応障害)
c.せん妄
17.子ども,妊産婦,高齢者の薬物治療
A.子どもの薬物治療〈梅原英裕,井崎ゆみ子〉
1.総論
a.適応の問題
b.薬物の代謝・排泄
c.薬物感受性
d.成長発達との関係
e.家族,保護者との関係
2.各論
a.抗精神病薬
b.抗うつ薬
c.気分安定薬
d.抗不安薬
B.妊娠中の薬物の影響〈中瀧理仁〉
1.総論
a.母体への影響
b.胎児・新生児への影響
2.各論
a.抗精神病薬
b.抗うつ薬
c.気分安定薬
d.抗不安薬,睡眠薬
e.抗てんかん薬
C.高齢者の薬物治療〈田吉伸哉,渡部真也〉
1.総論
a.老年期の患者の薬物動態
b.老年期の患者の精神科治療薬への感受性
c.老年期の患者と合併症
2.各論
a.抗精神病薬
b.抗うつ薬
c.抗不安薬,睡眠薬
d.気分安定薬
e.抗パーキンソン病薬
18.精神科救急医療〈田吉純子,久保弘子〉
1.精神科救急医療の現場
a.救急外来での診断
b.面接時の注意点
c.救急外来での診察手続き
2.治療
a.救急入院治療
b.自殺念慮,自殺未遂
c.急性精神病
19.薬剤師による服薬指導〈坂東 寛,桐野 靖〉
1.服薬指導とは
2.服薬指導の実際
3.精神科薬物療法における適応外使用
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書籍情報
- ISBN:9784498129733
- ページ数:274頁
- 書籍発行日:2023年2月
- 電子版発売日:2023年2月6日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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