呼吸ECMO おたすけハンドブック

  • ページ数 : 280頁
  • 書籍発行日 : 2023年3月
  • 電子版発売日 : 2023年2月7日
4,620
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商品情報

内容

現場の生の声を集めたECMO超実践集!

ECMOを使用する医療従事者がモヤモヤを感じている、ちょっとした疑問・難問100テーマを総勢73人の専門家がすみずみまで解説! 医師・看護師・臨床工学技士・理学療法士・薬剤師・管理栄養士がそれぞれの視点から、経験に基づいたヒント・テクニックを紹介する。

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序文

はじめに

わが国で呼吸ECMO が本格的に使用されるようになったのは、2009 年の新型インフルエンザ(H1N1)流行の頃からですので、まだ14 年の歴史しかありません。そして近年では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の大流行に伴い、日本全国で呼吸ECMO が実施されるようになりました。これは、多くの施設で呼吸ECMO が経験可能になったというプラスの側面もありますが、逆に、多くの施設できちんと呼吸ECMO を使用しないといけなくなったという責任も伴います。

最初はうまくいくことも、うまくいかないこともあるでしょう。ですが重要なことは、良い結果が得られたのはなぜか、あるいは思うようにいかなかったのはなぜかを常に考え続けることだと思います。この小さな積み重ねが次のECMO 患者さんを治療する際の成功・自信につながっていきます。

呼吸ECMO を管理するためには、肺だけでなく、循環・感染・血栓・出血・水分バランス・鎮静・筋弛緩・栄養・リハビリなど、さまざまな要素をバランス良く管理する必要があります。これはまさに、ICU 管理の全てが詰まった「ICU の縮図」と言えると思います。

本書は、ECMO エキスパートの間でもしばしば議論されることの多いトピックを100 項目集めました。ECMO 初心者からECMO エキスパートを目指す人まで「あれってどうだったっけ?」と疑問に感じたときに本書を手に取っていただけると幸いです。そして、本書の執筆にご協力くださった総勢72 名もの先生方に心より感謝いたします。


2023年1月

大下慎一郎

目次

【1章 概論】

1 ECMOとはどんな医療機器ですか?

2 ECMOはどんな患者にどんな目的で使用しますか?

〈Ohshimo’s EYE〉V-V ECMOに適した長期耐久型ECMO

【2章 適応】

3 ECMO適応年齢の上限は何歳ですか?

4 年齢以外にECMO適応を判断する指標にしているものは何ですか?

5 人工呼吸期間が7日を超えるとECMOは適応できないのですか?

6 胸部外傷もECMOの適応になりますか?

7 どのような症例が長期ECMOの適応になりますか?

〈Ohshimo’s EYE〉適応判断で最も難しいのは肺病変の可逆性の評価

【3章 カニューレ】

8 カニューレのサイズはどのように決定していますか?

9 カニュレーション時にうまく刺入できないときの対処のコツはありますか?

10 カニュレーション時にガイドワイヤーが折れ曲がったらどのように対処しますか?

11 IVC脱血・内頸静脈送血に慣れている施設が逆(右房脱血・IVC送血)を行うのはどのような症例ですか?

12 右房脱血・IVC送血に慣れている施設が逆(IVC脱血・内頸静脈送血)を行うのはどのような症例ですか?

13 両大腿静脈を使ったV-V ECMOはどのような症例に使用するのですか?

14 ダブルルーメンカニューレはどのような症例に使用するのですか?

15 ダブルルーメンカニューレ使用時にはどんなトラブルが起こりますか?

〈Ohshimo’s EYE〉ガイドワイヤーの扱い方がカニュレーション上達のキモ

【4章 ECMO 管理】

16 ECMO開始時の血液流量はどのように決めていますか?

17 脱血圧がいくらになると溶血するのですか?

18 人工肺のウェットラングと血漿リークは何が違うのですか?

19 リサーキュレーション(再循環)はどのようにして発見しますか?

20 リサーキュレーションが起こったらどう対処しますか?

21 ECMO中はいつまで筋弛緩薬を使いますか?

22 ECMO中の腹臥位はどのようなときに行いますか?

23 ECMO中の腹臥位は何日間行いますか?

24 回路内圧はP1~P4で測定すると習いましたが、実際に4カ所も計測していますか?

25 人工肺の酸素化性能はどのように評価しますか?

26 人工肺交換のタイミングは何を指標にしていますか?

27 人工肺が血漿リークしたらすぐに人工肺交換が必要ですか?

28 V-V ECMO中に循環が不安定になったら、V-AとV-VA ECMOのどちらにすべきですか?

29 どのメーカーのECMOを使うか、使い分けをしていますか?

30 上気道狭窄などで仰臥位になれないときは、どのようにカニュレーションしますか?

〈Ohshimo’s EYE〉機器の発展と共に進化しつつあるECMO管理

【5章 呼吸管理】

31 気管切開のタイミングはいつ頃がよいですか?

32 ECMO中は具体的にどのような人工呼吸器設定にしていますか?

33 ECMO中の無気肺は改善させた方がよいですか?

34 ECMO中に低SpO2で管理すると努力様呼吸が強くなる人がいるのはなぜですか?

35 ECMO中は「SpO2 80%台で十分」とよく聞きますが、なぜ普通の人工呼吸時はSpO2 80%台ではダメなのですか?

36 ECMO中に敗血症を合併しても「SpO2は80%台で十分」なのですか?

37 超肺保護換気(lung rest)はいつまで続けるべきですか?

38 自発呼吸開始時の振り子現象(pendelluft現象)で注意することは何ですか?

39 ECMO中の経肺圧はどのように使用しますか?

40 ECMO中の電気インピーダンス・トモグラフィー(EIT)はどのように使用しますか?

〈Ohshimo’s EYE〉ECMOと人工呼吸の呼吸生理の違いを整理して理解しよう

41 難問を深掘り! Pros&Consセッション①

ECMO中もなるべく高PEEPで肺胞を開いた方がよいですか?

「高PEEPで肺胞を開く派」vs.「肺胞虚脱を気にしない派」

〈Ohshimo’s EYE〉PEEP 10〜15cmH2O程度で肺胞を開けないなら、それ以上は深追いしない

42 難問を深掘り! Pros&Consセッション②

自発呼吸を再開するタイミングの指標は何ですか?

「呼吸生理優先派」vs.「CT優先派」

〈Ohshimo’s EYE〉自発呼吸の再開には病態と病期(フェーズ)が重要

【6章 看護・ケア】

43 ECMO回路の血栓を発見するコツは何ですか?

44 ECMO中の口腔ケアで注意することは何ですか?

45 ECMO中のルート類の固定・配置で注意することは何ですか?

46 ECMO中の皮膚トラブルの注意点は何ですか?

47 喀痰が多い場合は積極的に喀痰吸引を行ってよいですか?

48 具体的に毎日のECMO回路チェックはどのように行っていますか?

49 ECMO中は尿道バルーンを常に留置しますか?

50 ECMOのガスフラッシュはどのくらいの頻度で行いますか?

51 ECMOナースは具体的にどんな仕事をしていますか?

〈Ohshimo’s EYE〉使用日数の長い呼吸ECMOはより繊細な配慮を要する

【7章 検査・輸血】

52 ECMO中に肝機能障害が起こる原因は何が多いですか?

53 ECMO中のCT撮影はどのくらいの頻度で行いますか?

54 酸素含量(CaO2)維持のため、実際に目標としているヘモグロビン値はいくらですか?

〈Ohshimo’s EYE〉赤血球の維持に伴う水分過剰のリスクに注意

【8章 出血・凝固管理】

55 実際に目標としている血小板数(PLT)の値はいくらですか?

56 血小板減少の鑑別にはどのような病態が多いですか?

57 盲点になりがちな出血部位はどこが多いですか?

58 カニュレーション時にはメス(皮膚切開)を使わない方がよいですか?

59 胸腔ドレナージ時にはドレーン刺入部に電気メスによる焼灼止血を行いますか?

60 気管切開は外科的気管切開と経皮的気管切開キットのどちらがよいですか?

61 凝固管理はROTEM(R)を使用して行った方がよいですか?

62 実際のところ、HITは高頻度に合併するのですか?

63 アルガトロバンは具体的にどのように使用しますか?

64 DIC合併例ではどのようにAPTTを調整していますか?

65 ヘパリンなしでECMO管理するとき、血栓形成のリスクはどのくらいありますか?

〈Ohshimo’s EYE〉ECMO中の止血処置は通常の集中治療とは別物と考えて

【9章 薬剤・補助療法】

66 ECMO回路に吸着しやすい薬剤には何がありますか?

67 原疾患に対してステロイド(パルスを除く)を使用しますか?

68 原疾患に対してステロイドパルスを行いますか?

69 ECMO中の一酸化窒素(NO)はどのように使いますか?

〈Ohshimo’s EYE〉各施設でも悩ましいステロイドの使用法

【10章 感染対策】

70 ECMO中は予防的抗菌薬を使用すべきですか?

71 ECMO中に合併する感染症は何が多いですか?

72 ECMO中に中心静脈カテーテルやAラインは定期的に入れ替えますか?

〈Ohshimo’s EYE〉原因不明の血圧低下・乳酸値上昇などは感染症を疑う足掛かりとなる

【11章 水分管理】

73 ECMOの脱血不良が起こったら輸液してよいですか?

74 ECMO開始何日目から利尿・除水を開始しますか?

75 ECMO離脱時の水分バランスはどのくらいを目指しますか?

76 積極的な除水を行うときは何に気をつけるべきですか?

〈Ohshimo’s EYE〉ECMO成否の鍵を握る水分管理

77 難問を深掘り! Pros&Consセッション③

水分バランスは何を指標にして評価していますか?

「検査・計算優先派」vs.「とりあえず利尿薬派」

〈Ohshimo’s EYE〉重症呼吸不全では早期の除水が非常に重要となる

【12章 栄養】

78 ECMO中の目標エネルギー量・タンパク質量はいくらですか?

79 栄養はなるべく早期から投与するのがよいですか?

80 十分な栄養投与と水分制限のジレンマはどのように対応していますか?

81 ECMO中の便秘や下痢の対策はどのようにしていますか?

〈Ohshimo’s EYE〉エネルギー・タンパク質の増量スケジュールには注意が必要

【13章 鎮静・鎮痛】

82 急性期と回復期の鎮静・鎮痛はどのように使い分けますか?

83 ECMO中にawake管理できるのはどんな症例ですか?

84 ECMO中に抜管できるのはどんな症例ですか?

85 いくら鎮静しても大呼吸・頻呼吸が続くときはどうすればよいですか?

〈Ohshimo’s EYE〉大事なのは「攻め」の管理ではなく肺の回復促進を念頭に置くこと

【14章 リハビリテーション】

86 体位変換時に脱血不良が起こったらどうすればよいですか?

87 ECMO中のリハビリで注意することは何ですか?

88 急性期と回復期のリハビリはどのように使い分けますか?

〈Ohshimo’s EYE〉リハビリに伴う呼吸仕事量増大や脱血不良には細心の注意を

【15章 離脱】

89 ECMO離脱テストは何時間くらい行いますか?

90 カテーテル感染した場合はECMOを終了しますか?

91 出血が制御できなくなった場合はECMOを終了しますか?

92 ECMO離脱時の努力様呼吸はなぜ出現するのでしょうか?

93 ECMO離脱を目指す際、咳が止まらない患者はどうすればよいですか?

94 肺移植を考慮すべきなのはどんな症例ですか?

95 肺に器質化・線維化が残ったときは、どのようにECMO離脱を目指しますか?

〈Ohshimo’s EYE〉原疾患の改善が十分ではない場合、非常に厳しい選択を迫られる

【16章 終末期】

96 ECMOを開始して何日くらいで治療縮小(DNAR)を考慮し始めますか?

97 DNARの方針となった場合、ECMOの処置はどうしていますか?

98 長期ECMOの継続/終了についてスタッフの意見が割れた場合、どのような話し合いをしていますか?

〈Ohshimo’s EYE〉「原疾患の不可逆性」と「ECMOの無益性」の判断の難しさ

99 難問を深掘り! Pros&Consセッション④

肺傷害の不可逆性をどのように判断していますか?

「CT優先派」vs.「病理優先派」

〈Ohshimo’s EYE〉CTを複数回撮影した上で判断は慎重に

【17章 教育】

100 ECMOセンターではどのようなトレーニングをどのくらいの頻度で行っていますか?

〈Ohshimo’s EYE〉日本の施設ではどのようなトレーニングが適しているか

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書籍情報

  • ISBN:9784840481496
  • ページ数:280頁
  • 書籍発行日:2023年3月
  • 電子版発売日:2023年2月7日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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