- m3.com 電子書籍
- ライフキャリアから診る1型糖尿病
商品情報
内容
1型糖尿病診療のスペシャリストたちが,臨床現場で役に立つエビデンスと経験を惜しげもなく披露します.ライフキャリアレインボーを軸に,食事・運動・薬物療法はもちろん,生活や病態のステージ別に,「1型糖尿病を持つ人をいかに支えていくか」のリアルをお伝えします.移行期は? 仕事は? 結婚は? 出産は? などの多様な疑問に対し,スペシャリストたちがどう考えていくのかをぜひご覧ください.
※本製品はPCでの閲覧も可能です。
製品のご購入後、「購入済ライセンス一覧」より、オンライン環境で閲覧可能なPDF版をご覧いただけます。詳細はこちらでご確認ください。
推奨ブラウザ: Firefox 最新版 / Google Chrome 最新版 / Safari 最新版
序文
はじめに
この度,1型糖尿病の診療ガイドブックを編纂する機会を賜り,光栄至極に存じます.私自身が1型糖尿病を持つ糖尿病専門医としてこれまで取り組んできた臨床,研究および啓発活動の経験について,出し惜しみのないよう本書に詰め込みました.しかしながら,1型糖尿病治療の理論については敬愛する諸先生の手によって素晴らしい指南書がすでに広く世に出ております.また,昨今のインスリン療法の進歩は目覚ましく,技術的な面で血糖コントロールに難渋することは少なくなってきました.ですから本書では,それでも解決に至らず私たちを悩ませている実臨床上のアンメットニーズに焦点を絞り,解決策の模索を行うことといたしました.
そうしますと,エビデンスよりも経験論に基づいた1型糖尿病「あるある」を可能な限りたくさん抽出することが必要となります.そこで,私個人が絶大な信頼を置く各分野のスペシャリストの先生方に執筆をお願いいたしました.結果的に私と同じ1型糖尿病を持つ先生方,あるいは患者さん自身の貴重な経験談を多く頂戴することになりました.いったい,どんな本になるのか,手に取る日が楽しみでなりません.
さて,英文誌に論文を投稿されたことがある方はご存じのことと思いますが,“ 糖尿病患者”のことを私たちは“diabetic patient”とは呼びません.“a person (people)with diabetes”すなわち“糖尿病を持つ人(たち)”と表記するように強く推奨されています.確かに,“You are DIABETIC.”というと直感的に無礼極まりない感じがしますね.しかし,“You have DIABETES.”であれば納得できます.この語感の違いを紐解くと,最近糖尿病医療でさかんに使われるようになった言葉「スティグマ(烙印)」の本質に気づきます.つまり,“diabetic patient”だと「糖尿病」というレッテルを患者さんに貼って全人格を修飾しているため,表現として適切ではないということです.糖尿病はあくまで一個の人格を成す1つの「要素」にすぎません.
ですから,私は1型糖尿病患者さんと接するときには,“diabetic”の視点を排除するように心がけています.そうすると,「あなたは糖尿病だからこうあるべきだ/ こうなれないだろう」あるいは「あなたは糖尿病だからこれをしてはいけない/これはできないだろう」という先入観に満ちた治療や療養指導にはならないはずです.
一方で,実際問題としては糖尿病を持つという事実がその人の人生を左右する障壁となることが多々あります.もちろん,“diabetes”という持ち物にも軽重がありますが,その重さを支える患者さん側の特性や心理社会的背景にも十分な配慮と対策が必要だと考えられます.個々によって1型糖尿病がもたらす問題の大きさや種類は実に多様であり,一個の人生のなかでもキャリアステージによって刻々と変化します.
本書を手に取られた皆さんが,1人1人のライフキャリアに応じた1型糖尿病診療を各地で育んでくださることを願ってやみません.
2023年2月
前田泰孝
目次
I 総論
1 1型糖尿病の治療と心理社会的支援の必要性〈前田泰孝〉
「糖尿病」はなぜ重要な病気なのか
インスリン発見以降の1型糖尿病
1型糖尿病の病態
1型糖尿病は予防または根治できるのか
1型糖尿病の発症年齢
1型糖尿病と女性
1型糖尿病の経済的負担
1型糖尿病に欠かせない心理社会的支援
2 1型糖尿病ライフキャリアレインボーの提案〈前田泰孝〉
ライフキャリアレインボーとは
1型糖尿病ライフキャリアレインボーの描き方
ライフキャリアレインボーを用いた1型糖尿病ライフプランニング
1型糖尿病ライフキャリアレインボーのテンプレート
[コラム]1型と2型の分類は妥当か?〈前田泰孝〉
1型と2型の境界線
糖尿病の再分類プロジェクト
II 1型糖尿病治療の理論Up-to-Date
1 頻回注射法〈前田泰孝〉
インスリン発見から100周年
インスリン注入デバイスと手技
頻回注射法
補正インスリンと残存インスリン
暁現象とソモジー効果
食後高血糖の原因と対処法
月経周期による月内血糖変動への対処法
アイデンティティーに応じた自由なMDI
インスリン注射療法のアドヒアランスの問題
MDIとCSIIの長所・短所を知って選択する
2 CSII・SAP〈川嶋 聡,加藤 研〉
CSIIの適応について
入院/外来での導入
CSII症例の病診連携
ポンプ診療の実際
CSII,SAPの今後
3 SMBGとCGM〈前田泰孝〉
血糖自己測定(SMBG)の登場
SMBGの限界
CGM:血糖測定は点から線の時代へ
CGMメトリクス
AGPレポート
管理栄養士による指導
健康運動指導士による指導
看護師・医師による指導
CGMメトリクスの時系列:血糖測定は線から面へ
4 カーボカウント〈黒田暁生,松久宗英〉
1型糖尿病における食事用のインスリンの基本
カーボカウントとは
黒田式カーボカウントの紹介
低血糖での対応
応用カーボカウントに進む前にインスリンの打ち方を知る
応用カーボカウント
外食を食べるときの対応法
脂質,タンパク質の多い食事での対応方法
経験則
5 スポーツ〈神内謙至〉
運動生理
運動時の実際の注意点と私の体験
6 SGLT2阻害薬〈阿比留教生〉
1型糖尿病におけるSGLT2阻害薬の有効性
1型糖尿病におけるSGLT2阻害薬の安全性
推定されるケトアシドーシスの発症機序とリスク因子
1型糖尿病患者へのSGLT2阻害薬処方時のリスクマネージメント
7 低血糖とDKA〈前田泰孝〉
低血糖症
糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)
8 血管合併症〈前田泰孝〉
1型糖尿病における合併症の疫学Up-to-Date
ジョスリン50年メダリスト研究
1型糖尿病の肥満
併存疾患の管理
9 骨折〈小森田祐二〉
1型糖尿病と骨折(疫学)
なぜ1型糖尿病で骨折が多いのか(メカニズム)
どのように予防,診断,治療するか
[コラム]根治を目指す取り組み〜移植医療・再生医療〜〈白川 純〉
1型糖尿病の根治とは?
膵β細胞からみて
ジョスリン50年メダリスト研究
膵β細胞を増やすには〜ヒト膵島研究〜
1型糖尿病に対する移植医療
1型糖尿病に対する再生医療
III 1型糖尿病を取り巻く社会環境
1 仕事〈錦戸慎平〉
1型糖尿病における「スティグマ」と「アドボカシー」
1型糖尿病におけるスティグマの実態調査
私にとっての1型糖尿病の「スティグマ」と「アドボカシー」を振り返る
[患者の声]患者家族としてどう糖尿病と向き合ったか〈大村利恵〉
[患者の声]相棒とともに歩む〈太田晃司〉
2 結婚・妊娠・出産〈小谷紀子〉
結婚
妊娠に備えて
妊娠中の過ごし方
出産と子育て
[患者の声]妊娠をきっかけに受け入れられた1型糖尿病〈小谷紀子〉
[患者の声]ワタシらしくいるために〈岡田果純〉
[コラム]1型糖尿病の患者さんの心理を考える〈波夛伴和〉
IV 1型糖尿病治療の実際
1 発症直後〈前田泰孝〉
1型糖尿病と診断を受けた者の想い
慢性期医療を見据えた急性期の糖尿病教育
発症初期の1型糖尿病ケアのポイント
発症後の1型糖尿病教育ツール
発症時に注意すべき身体的な変化
ハネムーン期とその終焉
その他の自己免疫疾患を見落とさない
高齢発症1型糖尿病
2 小児思春期(成長)〈高谷具純〉
幼児期
学童期
思春期
移行について
ディスカッションウィズ・コロナ時代のサマーキャンプ〈前田泰孝,高谷具純,小島基靖〉
はじめに
リアルのサマーキャンプができずに困っていること
失われて知るキャンプの大切さ
ニューノーマル下でのキャンプ再開の条件
オンラインキャンプを魅力的なものにするために
3 移行期(自立)〈小川洋平〉
慢性疾患を持つ子どもの自律と自立
1型糖尿病に成人医療への診療移行は必要か
本邦における移行期医療の現状
自立を支援し,成人科への診療移行を円滑に行うために
成人期医療移行チェックリストについて
[コラム]小児思春期糖尿病と自立に向けての取り組み〈南 昌江〉
チェックリストの作成(幼児期・学童前期・学童後期)
母親のケア
ライフスタイルに応じた糖尿病ケア
4 成人期(確立・維持)〈服部 麗〉
1型糖尿病は不幸?
糖尿病による健康リスクの低減
糖尿病に対する正しい認識の浸透
経済的負担の軽減
5 高齢者(衰退)〈前田泰孝〉
1型糖尿病人口の高齢化
高齢1型糖尿病の精神身体的問題
高齢1型糖尿病の社会的問題
人生観を尊重した血糖コントロール目標
高齢1型糖尿病の治療ガイドライン
おわりに〈前田泰孝〉
便利機能
- 対応
- 一部対応
- 未対応
-
全文・
串刺検索 -
目次・
索引リンク - PCブラウザ閲覧
- メモ・付箋
-
PubMed
リンク - 動画再生
- 音声再生
- 今日の治療薬リンク
- イヤーノートリンク
-
南山堂医学
大辞典
リンク
- 対応
- 一部対応
- 未対応
対応機種
-
iOS 最新バージョンのOSをご利用ください
外部メモリ:8.1MB以上(インストール時:20.8MB以上)
ダウンロード時に必要なメモリ:32.6MB以上
-
AndroidOS 最新バージョンのOSをご利用ください
外部メモリ:8.1MB以上(インストール時:20.8MB以上)
ダウンロード時に必要なメモリ:32.6MB以上
- コンテンツのインストールにあたり、無線LANへの接続環境が必要です(3G回線によるインストールも可能ですが、データ量の多い通信のため、通信料が高額となりますので、無線LANを推奨しております)。
- コンテンツの使用にあたり、m3.com電子書籍アプリが必要です。 導入方法の詳細はこちら
- Appleロゴは、Apple Inc.の商標です。
- Androidロゴは Google LLC の商標です。
書籍情報
- ISBN:9784498223028
- ページ数:208頁
- 書籍発行日:2023年5月
- 電子版発売日:2023年4月19日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
お客様の声
まだ投稿されていません
特記事項
※ご入金確認後、メールにてご案内するダウンロード方法によりダウンロードしていただくとご使用いただけます。
※コンテンツの使用にあたり、m3.com 電子書籍が必要です。
※eBook版は、書籍の体裁そのままで表示しますので、ディスプレイサイズが7インチ以上の端末でのご使用を推奨します。