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Jackler 耳科手術イラストレイテッド
Robert K. Jackler (著) / Christine Gralapp (イラスト) / 欠畑 誠治 , 神崎 晶 (監訳) / 中山書店
商品情報
内容
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序文
監訳者序文
手術がうまくなりたければ,師や先輩から手術を教えてもらうのにくわえて,手術の名手といわれる先生の手術を実際に現地で見るのが良い(Meet the experts).現地に行けなければ,YouTubeで手術動画を見るのもいいだろう.しかし,手術動画を見るだけではどこがポイントかわからないこともあるだろうし,術野外の状況はわからない.例えば,どんな吸引管をどのように把持しているのか,患者さんの体位はどんな体位で準備しているのか,術者はどのようにしてErgonomicsを保っているのか,などなど.
イラストの力は,いろいろな時間,いろいろな視点を理想的な形で一枚の描画に落とし込み表現することができるということである.このテキストは,優れた耳科・神経耳科医であるRobert K. Jackler教授と,卓越したメディカルイラストレーターであるChristine Gralappさんとの幸福な出会いが生んだ2冊目の手術アトラスである.あの名著『Atlas ofSkull Base Surgery and Neurotology』から10年たって生まれたこの本.10年前と同じように,文章や写真,動画だけでは表現できない,手術で大切な立体解剖の把握や,一つ一つの手術手技のポイント,そしてその奥にある重要なコンセプトなどを,数々の簡潔にしてカラフルなイラストたちに語らせている.
ともかく綺麗.読み進むのが楽しい(いや,読み進むというよりは見進む?).手術が終了するまでの流れが俯瞰できる(動画ではそうはいかない).そして,写真や動画では示すことのできない,理解を深めてくれるイラストならではの透視図や断面図.
一方,イラストはそれを補完してくれる必要にして十分な説明を必要としている.余分なdetailを取り除いた理想の状態を表現したイラストと,それを簡潔な言葉にしたフィギュアレジェンド.なぜそうするのか,そうしなければならないのか.同じ手術は二つとない.安全で確実な結果を生むための一連の手技の目的,tips and pitfalls.それらを言葉にして脳内に落とし込み自分のものとする.
今回の翻訳作業の前,これだけのイラストがあれば英語版でいいじゃないかという意見もあった.しかし,自分自身,翻訳作業を通じて日本語にすることで初めてわかった事が多くあった.日本語を母国語にしている多くのものたちにとって,母国語で考えることで曖昧さがなくなり,いわば内言語化されることで腑に落ちることを実感した(英語で夢を見るような人には当てはまらないだろうが).翻訳にあたっては,耳科医にかぎらず国内のエキスパートにお願いし,用語のすりあわせも厳密にしていただいた.この日本語版を手に取っていただければ,読者の皆さんもその違いを納得していただけると確信している.
安全で確実な結果を出せる手術の習得のため,このテキストで学んだコンセプトを理解し頭の中に記憶する.そして,そのコンセプトをカダバーやアニマルを使ったウェットラボや3Dモデルを使ったドライラボでの実習(off-the-jobtraining)を通じて3次元化された知識を体感し,さらに実際の手術機器を用いてHand-Eye Coordinationを体得する.その上でon-the-job trainingへと続けていくことが重要となる.
最後に,これらの美しいイラストは,教育目的ならだれでも使用できることは伝えておくべきであろう.
2023年4月
山形大学名誉教授/
太田総合病院中耳内視鏡手術センターセンター長
欠畑誠治
刊行によせて
外科医はその技術をどのように習得するのでしょうか? 手術の基本は,術野を立体的に把握するために解剖学的な知識を身につけることで,教科書や図譜,写真,模型,献体解剖などを通じ学ぶことができます.古典的な方法として,まず教科書を手に取り,局所解剖の解説を読むことになります.このとき記述の内容を心的イメージに変換することが必要です.また,講義を聴講し学ぶこともありますが,この場合も同様に言語をイメージ化することが必要となります.
耳科手術を学ぶ方々には,『Jackler耳科手術イラストレイテッド』で手技を視覚的に習得することで,誤った手技のイメージを植え付けてしまうリスクを避けることができます.また本書とあわせて,様々な種類の学びの機会で繰り返し学習をすることにより,耳科手術の知識や技術を相乗的に身につけることができるでしょう.
本書でRobert K. Jackler博士はその稀有な能力を発揮し,複雑な耳科の手術解剖を,読者に手技の鍵となるランドマークを照らし出したりポイントとなる解剖の関係性や概念を明快に説明して,手術の指針を示しています.また,Jackler博士の共同制作者であり,才能あるメディカルイラストレーターのChristine Gralapp氏は,博士のイメージを実際のイラストに描き出してくれています.この2人の偉大な指導者は,数え切れないほどの適切で理解しやすいイメージを生み出し,すべての世代の耳鼻咽喉科医や頭蓋底外科医に広く活用されてきました.彼らの功績は他に類をみません.
「刊行によせて」の筆者である私たちもまた,Jackler博士とGralapp氏の恩恵を受けてきました.というのも,他の多くの方々と同様,彼らが作成したイラストをプレゼンテーションや教育活動で長年にわたり広く活用してきたのです.私たち2人は耳科手術の集大成が本書に結実したことに,大きな喜びを感じています.『Jackler耳科手術イラストレイテッド』は,彼らのこれまでの活動と同様,現在そして未来の耳科医に向け,基礎となる知識を提供することでしょう.
最後に,完璧なる外科医には解剖学の深い理解が必要ですが,それは有能な外科医がもつべき能力の1つに過ぎません.熟慮した計画,患者の意思の尊重,患者のために成し得る外科の智慧があることで,最高レベルの診療が実現できるのです.Jackler博士は,医学生,研修医,フェロー,教授陣の指導者として,実践を通してそれを示してきました.私たちはJackler博士の多大なる貢献に感謝いたします.
Colin L.W. Driscoll, MD
Professor and Chair
Department of Otolaryngology
Mayo Clinic
Rochester, Minnesota
Samuel H. Selesnick, MD, FACS
Professor and Vice Chairman of Otolaryngology and Neurological Surgery
Weill Cornell Medical College
New York, New York
Past President, American Otological Society
Past President, American Neurotology Society
序文
外科医のRobert K. JacklerとメディカルイラストレーターのChristine Gralappは,30年以上にわたり共同で数千ものイラストレーションの制作を行い,多くの医学図譜を刊行してきました(下記リスト).本書は,それらの共同作業から結実した手技書で,“Atlas of Skull Base Surgery and Neurotology”(第1版1996年,第2版2009年)の姉妹編になります.前作では,神経耳科医と脳神経外科医を対象とし,後頭蓋窩,中頭蓋窩,頭蓋底の腫瘍をテーマにしました.その後の10年間,私たちは耳科疾患の外科診療を行う耳科医もしくは耳鼻科医を対象とした教材を提供するために,耳科顕微鏡手術に関心を向けてきたのです.本書のコンセプトは,手技をステップ毎にテクニカルな解説を行うことで,より安全で効果的な耳科顕微鏡手術をめざしています.取り上げた内容は,側頭骨を含む主要な耳の外科的疾患を包括的にカバーするようにしました.本書に掲載したイラストレーションの大部分は新規に制作されたものですが,特に耳科に関連するいくつかの部分では,私たちが以前刊行した図譜からの転載もしています.
21世紀の今日にあっても,解剖学と外科学の教育において芸術的なイラストレーションは重要な役割を担っています.本書では,イラストレーションを中心に解説を行い,文章は手術手技の簡潔な説明にとどめように編集しました.手術ビデオや静止画も手術教育に重要な役割を果たしますが,イラストレーションには明確な利点があります.絵を簡略に描くことで,手技の重要なポイントを強調することができるのです.それは,手術を安全に進めるために必要な概念的・知的基盤となります.側頭骨は,非常に複雑で入り組んだ3次元構造をもつ解剖学的な宝石箱ですが,手術写真では詳細になりすぎるため,経験豊富な術者であっても解読が困難な場合があります.また手術ビデオは,特に注意深く編集され,適切にナレーションされていれば,非常に価値がありますが,学習に長い時間がかかり,編集にはより多くの時間と労力が必要となります.イラストレーションは,誇張された色彩とハイライトの使用,余計なディテールの除外,および外科的に最も関連性の高い構造の強調により,ほんのわずかな画像で多くの有用な解剖学的および技術的情報を伝えることができます.ただし解剖学的に正確なイラストレーションは,手術のための知的な枠組みを提供することができますが,真の技術修得には実際の手術経験が不可欠です.
耳科顕微鏡手術には,唯一の「正しい方法」が存在しないことを指摘しておかなければなりません.地域間あるいは同じ地域内であっても修練の背景の違いにより,その方法やスタイルはかなり異なっています.本書は包括的なアトラスではあるものの,決して全てのアプローチを網羅するものではありません.ですが,筆者の好みのアプローチだけでなく,いくつもの代替アプローチも紹介するよう努めています.
本書に掲載されているイラストレーションの著作権は,JacklerとGralappにあります.これらの著作物が教育的な目的のために活用されることを望んでいますが,出版または商業利用に際しては,事前に私たちに書面での許諾申請を行ってください.
Robert K. Jackler, MD
・ Jackler RK. Atlas of Skull Base Surgery and Neurotology. 1st edition Mosby. St. Louis 1996, 2nd edition. Thieme. New York. 2009.
・Jackler RK, Brackmann DE. Neurotology. Mosby. St Louis. 1994. 2nd edition Elsevier/Mosby. Philadelphia. 2005.
・Jackler RK, Driscoll CLW. Tumors of the Ear and Temporal Bone. Lippincott, Williams & Wilkins. Philadelphia. 2000.
目次
執筆者一覧・訳者一覧
監訳者序文 (欠畑誠治)
刊行によせて (ColinL. W. Driscoll, Samuel H. Selesnick)
序文 (Robert K. Jackler)
謝辞
1 耳科の手術解剖
1.1 はじめに
1.2 側頭骨
1.3 外耳
1.4 中耳と乳突部
1.5 耳管
1.6 聴覚系
1.7 前庭系
1.8 内耳道と小脳橋角部
1.9 耳腫瘍
2 耳科手術の基本
2.1 はじめに
2.2 患者のポジショニング
2.3 マイクロ器具の持ち方
2.4 人間工学
2.5 耳後部切開
2.6 後外耳道皮弁の作成
2.7 耳内切開
2.8 閉創
3 外耳
3.1 はじめに
3.2 耳介形成
3.3 小耳症の手術
3.4 先天性外耳道閉鎖症の手術
3.5 耳後法による外耳道入口部形成
3.6 耳内法による外耳道入口部形成
3.7 外耳道外骨腫
3.8 外耳道前壁形成
3.9 耳前部嚢胞切除
4 アブミ骨手術
4.1 はじめに
4.2 アブミ骨手術の概要
4.3 露出
4.4 アブミ骨底開窓術
4.5 アブミ骨摘出術
4.6 アブミ骨手術の課題
4.7 欠損したキヌタ骨
4.8 アブミ骨手術の再手術
4.9 鼓室硬化症によるアブミ骨固着
5 鼓室形成術
5.1 はじめに
5.2 鼓膜穿孔
5.3 筋膜採取
5.4 耳珠軟骨採取
5.5 内側グラフト法による鼓室形成術
5.6 前方の穿孔の修復
5.7 外側グラフト法による鼓室形成術
5.8 “Butterfly”法
5.9 耳管形成術
6 耳小骨再建術
6.1 はじめに
6.2 耳小骨連鎖病態のパターン
6.3 自家組織による連鎖再建
6.4 人工材料による連鎖再建
6.5 耳小骨連鎖再建手技
6.6 経顔面神経窩連鎖再建
6.7 ツチ骨の内側偏位
6.8 段階的耳小骨再建
7 乳突削開術
7.1 はじめに
7.2 外耳道後壁保存型乳突削開術
7.3 乳突削開術における解剖学的バリエーション
7.4 乳突削開術の合併症
7.5 顔面神経窩へのアプローチ
7.6 乳突削開術における顔面神経
7.7 乳突腔充填
8 真珠腫
8.1 はじめに
8.2 真珠腫の成長様式
8.3 外耳道後壁削除型乳突削開術
8.4 真珠腫の摘出手技
8.5 Retrograde 法
8.6 上鼓室の再建
8.7 真珠腫手術における顔面神経
8.8 真珠腫手術における鼓室洞と顔面神経窩
8.9 上鼓室前方の真珠腫
8.10 真珠腫による半規管瘻孔
8.11 真珠腫症例の耳小骨
8.12 先天性真珠腫
9 顔面神経
9.1 はじめに
9.2 顔面神経の解剖
9.3 顔面神経の修復
9.4 舌下-顔面神経縫合による動的再建
9.5 舌下神経-三叉神経-顔面神経縫合
9.6 薄筋微小血管顔面再建術
9.7 顔面再建のための静的・動的再建法
10 めまいに対する手術
10.1 はじめに
10.2 内リンパ嚢手術
10.3 内耳破壊術
10.4 上半規管裂隙
11 人工内耳
11.1 はじめに
11.2 人工内耳手術
11.3 人工内耳手術バリエーション
12 側頭骨骨折,脳瘤および髄液漏
12.1 はじめに
12.2 側頭骨骨折
12.3 脳瘤
12.4 髄液漏
12.5 外耳道閉鎖術
13 側頭骨切除術
13.1 はじめに
13.2 外側側頭骨切除
13.3 拡大側頭骨切除
14 錐体尖
14.1 はじめに
14.2 錐体尖開放術
14.3 錐体尖切除術
14.4 経蝶形骨洞法による錐体尖へのアプローチ
15 拍動性耳鳴
15.1 はじめに
15.2 静脈洞に起因する拍動性耳鳴
15.3 頸動脈および頸静脈球に起因する拍動性耳鳴
16 付録:患者向け教育用ハンドアウト
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書籍情報
- ISBN:9784521749969
- ページ数:504頁
- 書籍発行日:2023年5月
- 電子版発売日:2023年5月1日
- 判:A4判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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