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しくじり症例から学ぶ精神科の薬~病棟で自信がもてる適切な薬の使い方を精神科エキスパートが教えます

  • ページ数 : 219頁
  • 書籍発行日 : 2023年5月
  • 電子版発売日 : 2023年5月2日
¥3,740(税込)
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商品情報

内容

精神科の薬,正しく使えていますか?やさしくわかる基本とコツ

レジデントノートの好評連載が単行本化!入院患者さんが精神症状を発症したとき,起こりうる「しくじり」を防ぎ,病棟トラブルを解決!研修医・非専門医が精神科の薬を使うなら必ず読んでおきたい一冊

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序文

はじめに


人生に失敗がないと,人生を失敗する.

これは,“モタさん”の愛称で知られる精神科医・斎藤茂太先生の言葉です.生活を送るうえで,致命的な失敗はもちろん避けるべきですが,われわれ人間は失敗する動物ですし,その失敗から多くのことを学んできた歴史があります.医療にも,失敗はつきものです.学生時代,いかにたくさんの知識を詰め込んでも,目の前の患者さんの治療やケアは,教科書通りにいかないことばかり.特に研修医のうちは,「なぜうまくいかないのだろう…」「あっちにすればよかった…」の連続と言っても,決して過言ではありません.ただし,失敗から学ぶことが大切で,失敗にいち早く気づき,真摯に受け止め,次に活かしていく姿勢こそが必要なのだと思います.

本書は,私が研修医向け雑誌『レジデントノート』に連載した「しくじりから学ぶ 精神科薬の使い方」をベースとして,新たにいくつかの原稿を書き下ろしてまとめたものです.一般病院における入院患者への対応で想定される失敗例を切り口として,精神科薬の使い方や使い分けについて具体的に解説した,現場目線の一冊となっています.「失敗は成功のもと」「人の振り見て我が振り直せ」という趣旨のもと,しくじり症例から多くの学びが得られ,記憶に残ることは間違いありません.ぜひ,明日からの臨床にお役立てください!

本書の工夫として,リエゾン精神科医である私と研修医との会話形式になっているため,臨場感があって読みやすいのではないかと思います.研修医の先生はぜひご一読いただき,頭がフレッシュなうちに正確な知識を身につけてください.また,本書は研修医の先生ばかりではなく,ベテランの先生にもオススメです.私自身もそうなのですが,経験を積むにしたがって自分の失敗は自分で気がつきにくくなり,さらに困ったことには周囲からも指摘されなくなってしまいます.結果として,知らないうちに何度も同じ失敗をくり返すことになるため,本書で多くの気づきを得ていただければ幸いです.そのほか,医師だけでなく,精神科の薬に興味・関心のある看護師さんや薬剤師さん,心理士さんなど,多職種の方々にも読んでいただきたいと思っています.

さいごに,総合病院で勤務している精神科医は全国的にもきわめて少ないのですが,その一方で,そこには多様なニーズが存在しています.入院患者の高齢化に伴い,認知症(Dementia),せん妄(Delirium),うつ病(Depression)のいわゆる「3D」が急増しているのもその一因と考えられます.そのような実情を踏まえ,全国各地で活躍中の日本総合病院精神医学会・若手委員会のメンバーに,それぞれの立場や経験を踏まえて,“リエゾン精神科医の魅力”をテーマにコラムを書いていただきました.この場をお借りして,深く御礼申し上げます.

そのほか,リエゾン精神科医である私が,ふだんの臨床で意識していることについても,コラムでいくつか触れるようにしました.ちなみに,私がリエゾン精神科医を志したきっかけは,ある総合病院で勤務していた際,せん妄や認知症の患者さんの対応で病棟スタッフが日夜困っておられたことと,統合失調症の患者さんがその既往ゆえ十分な身体的治療を受けられないまま早期退院となったことの両方を経験し,そこに精神科医としてのやりがいや使命を感じたからです.

本書を読まれた研修医の先生が,少しでも精神科リエゾンに興味・関心をもってくださることを願ってやみません.


2023年4月

新見公立大学 健康科学部 看護学科
井上 真一郎

目次

はじめに

本書の見かた

chapter1 不眠(せん妄ハイリスクの場合)

1 自信をもって使える精神科の薬を増やそう!/ 2 不眠の患者さんがせん妄を発症してしまった症例/ 3 どこが “しくじり” だったのか?/ 4 せん妄の発症リスクを考慮した不眠症治療薬とは?/ 処方例集

[コラム]私がふだんの臨床で大切にしていること① ~「そうなんです」を引き出す【井上真一郎】

chapter2 不眠(せん妄の発症リスクが低い場合)

1 不眠の患者さんが転倒・骨折してしまった症例/ 2 しくじりポイントを探せ!/ 3 不眠症かどうかの判断は, “昼” の症状に着目する!/ 4 せん妄の発症リスクが低い患者さんに対する不眠症治療薬とは?/ 5 内服中のベンゾジアゼピン受容体作動薬をどうするか?/ 処方例集

[コラム]私がふだんの臨床で大切にしていること② ~ “大人の発達障害” の視点を患者さんの評価や対応に活かす【井上真一郎】

chapter3 低活動型せん妄

1 多くの医師は,せん妄を正確に診断できていない!?/ 2 活気のない患者さんが誤嚥性肺炎を起してしまった症例/ 3 しくじりポイントを探せ!/ 4 そもそも,病棟スタッフに “低活動型せん妄” という概念がない!?/ 5 低活動型せん妄とうつ病の鑑別ポイントを知っておこう!/ 6 見当識障害や注意障害をどう評価する?/ 7 低活動型せん妄とうつ病の対応の違いを整理しておこう!/ 処方例集

[コラム]私がふだんの臨床で大切にしていること③ ~気がかりを尋ねる【井上真一郎】

chapter4 過活動型せん妄

1 せん妄の対応に難渋し,長期間の身体拘束でDVT(深部静脈血栓症)を併発してしまった症例/ 2 今回のしくじりポイントは7つ!/ 処方例集

[コラム]リエゾン精神科医の魅力とは? ~多様なスキル・多職種との協同【平山貴敏】

chapter5 うつ病・適応障害

1 うつ病と診断して抗うつ薬を開始したものの,結果的に中止となってしまった症例/ 2 がん患者さんでは,①抑うつ気分 ②食欲不振 ③不眠の3つがみられやすい/ 3 スルピリドを安易に出さない!/ 4 ミルタザピンを内服してもらうためのコツ/ 5 抗うつ薬は,増やしてナンボのもん(増やしてこそ価値がある)/ 6 抗うつ薬のなかでも,ミルタザピンとエスシタロプラムを使いこなそう!/ 7 実は…うつ病でなかった可能性!?/ 処方例集

[コラム]リエゾン精神科医の魅力とは? ~ “裏方” としての役割【大矢 希】

chapter6 パニック障害・発作

1 パニック発作をきたした患者さんが,救急受診をくり返すようになってしまった症例/ 2 パニック発作を起こすと,患者はまず精神科以外の診療科を受診する/ 3 パニック障害と過換気症候群との違い/ 4 すぐに “精神的なもの” と決めつけない/ 5 パニック障害の薬物療法/ 6 救急外来ではどのような声掛けをするか?

[コラム]リエゾン精神科医の魅力とは? ~リエゾン精神科医の美学【和田佐保】

chapter7 アルコール依存症・離脱せん妄

1 多量飲酒の患者さんが食道がんの手術をした後,アルコール離脱せん妄をきたした症例/ 2 アルコール依存症の患者さんは,生活習慣病で外来通院しがち&健診で引っかかりがち/ 3 アルコール依存症の患者さんは,飲酒量を過少申告しがち/ 4 アルコール依存症の患者さんは,優しく尋ねられるとつい本音を話しがち/ 5 入院中はアルコール離脱症状の出現に目を光らせておく/ 6 アルコール離脱症状の出現が予測される場合の薬剤指示とは?/ 7 アルコール依存症そのものを治療するために

[コラム]リエゾン精神科医の魅力とは? ~信念対立を解決する:主治医は誰?【貞廣良一】

chapter8 精神科の薬の処方カスケード

1 多くの精神科の薬を処方された患者さんが入院となった症例/ 2 処方カスケードとは?/ 3 知識を総動員しながら,想像力を働かせてみよう!/ 4 処方カスケードを解決しよう!

[コラム]リエゾン精神科医の魅力とは? ~ココロもカラダも救うために【兼久雅之】

chapter9 睡眠薬のポリファーマシー

1 多くの睡眠薬を処方された患者さんが入院となった症例/ 2 ベンゾジアゼピン受容体作動薬はポリファーマシーになりやすい/ 3 エチゾラムにご用心!/ 4 「睡眠薬がポリファーマシーになっていないか?」という視点をもつ/ 5 処方医への十分な配慮を忘れずに

[コラム]リエゾン精神科医の魅力とは? ~次世代につなぐ周産期メンタルヘルス【須田哲史】

chapter10 周術期に精神科の薬を内服している患者への対応

1 精神科の薬を内服している患者さんが術後に精神症状をきたした症例①/ 2 診療情報提供書の依頼のしかた/ 3 精神症状の悪化? それとも…?/ 4 等価換算表の活用/ 5 精神科薬を内服している患者さんが術後に精神症状をきたした症例②/ 6 精神症状の悪化? それとも…?

[コラム]リエゾン精神科医の魅力とは? ~ただ,ただ,苦しむ人のそばにそっと寄り添う【久保田陽介】

chapter11 認知症の患者に抗認知症薬は必要か?

1 認知症の患者さんは何科を受診する?/ 2 抗認知症薬の処方カスケード/ 3 抗認知症薬を安易に処方してはいけない理由/ 4 BPSDに対するアプローチ/ 5 レビー小体型認知症の可能性を考える

[コラム]リエゾンコンサルテーションに携わっての気づき【伊達泰彦】

chapter12 ステロイドによる精神症状

1 精神症状があっても精神科受診を拒否された症例/ 2 ステロイドによる不眠に対する薬物療法/ 3 躁状態の評価ポイントは “行動観察” / 4 ステロイド投与中にみられる躁状態に対する薬物療法

[コラム]リエゾン精神科医の魅力とは? ~これからのAI(人工知能)活用の未来【五十嵐江美】

chapter13 周産期における精神科の薬

1 もしも妊婦の患者さんに, 不眠や気分の落ち込みをみとめたら?/ 2 しくじりポイント①:ブロチゾラムの中止/ 3 しくじりポイント②:パロキセチンの投与/ 4 しくじりポイント③:精神科受診のすすめ方/ 5 添付文書における精神科の薬の位置づけ(『禁忌』『準禁忌』『有益性投与』)

[コラム]リエゾン精神科医の魅力とは?~病院という組織のなかでのリエゾン【齋藤 円】

chapter14 精神科の薬とCYP

1 CYPの影響で,薬の効果が強く出てしまった症例/ 2 “初回通過効果” と “薬物相互作用” / 3 薬を投与して過鎮静となった場合,薬物相互作用にも注意する/ 4 痛みに対するセロトニン作用薬の併用に注意する

[コラム]リエゾン精神科医の魅力とは? ~その精神症状は身体疾患に伴うものかも!?【中神由香子】

chapter15 慢性疼痛に対するアプローチ

1 慢性疼痛の患者さんに対して,多くの精神科の薬を処方してしまった症例/ 2 慢性疼痛には心理的な要素が加わりやすい/ 3 慢性疼痛の患者さんへの対応で気をつけるべき5つのしくじりポイント/ 4 おわりに

[コラム]「橋渡し」というたしなみ【田中裕記】

索引

薬剤名索引

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書籍情報

  • ISBN:9784758124041
  • ページ数:219頁
  • 書籍発行日:2023年5月
  • 電子版発売日:2023年5月2日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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