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- 医学のあゆみ264巻7号 薬物動態学UPDATE
商品情報
内容
楠原 洋之(東京大学大学院薬学系研究科分子薬物動態学教室)
薬物動態学は,医薬品の体内動態の解析およびその予測法の開発を通じて,薬効・安全性を定量的に考える学問領域として発展してきた.本特集では「薬物動態学UPDATE」と題して,薬物動態学研究の最前線の現状を紹介したい.
薬物が服用された後にどのような血中・組織中濃度の時間推移をとるかについて,その予測を精緻化することは,薬物動態学における重要課題のひとつである.さらに,同じ薬物量を服用したとしても,薬物の血中濃度や組織への滞留性には個人差がみられ,それが薬効・安全性の個人差を生み出す一因ともなる.したがって,個人間変動の機序の正確な理解を深めるとともに,その評価法も含めて医薬品開発の現場へフィードバックすることが求められている.(序文より一部抜粋)
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序文
はじめに
薬物動態学は,医薬品の体内動態の解析およびその予測法の開発を通じて,薬効・安全性を定量的に考える学問領域として発展してきた.本特集では「薬物動態学UPDATE」と題して,薬物動態学研究の最前線の現状を紹介したい.
薬物が服用された後にどのような血中・組織中濃度の時間推移をとるかについて,その予測を精緻化することは,薬物動態学における重要課題のひとつである.さらに,同じ薬物量を服用したとしても,薬物の血中濃度や組織への滞留性には個人差がみられ,それが薬効・安全性の個人差を生み出す一因ともなる.したがって,個人間変動の機序の正確な理解を深めるとともに,その評価法も含めて医薬品開発の現場へフィードバックすることが求められている.
近年,薬物動態の個人間変動要因として,代謝酵素やトランスポーターの遺伝子多型,疾患,併用薬との相互作用(薬物相互作用)などの諸要因が明らかとされている.また,時間治療とも関連して,薬物動態関連因子の発現・機能の概日リズムが薬物動態に与える影響も明らかになりつつある.既存薬の体内動態の情報を統合して解析することで,新規薬物の体内動態および前述の諸要因により生じる個人間変動を予測するためのモデリング&シミュレーション研究も大きく進展している.
また,ヒト肝細胞を免疫不全マウスに移植したキメラマウスやあらたな培養細胞・培養系の開発など,ヒトへの外挿性を高めるための方法論開発や,従来は測定が困難であった局所における薬物濃度の時間推移を測定する技術開発によって,より精緻な実測データを基盤として,薬効や有害事象発現をとらえることが実現しつつある.
これら薬物動態学領域の研究成果は,医薬品開発の成功確率を高めるとともに,市販後の医薬品の適正使用や育薬にも貢献するものと期待される.
薬物動態学研究を紹介する機会をいただいた本誌関係諸氏,執筆のご助力を賜りました先生方にこの場を借りて深謝するとともに,本特集が読者の薬物動態学の現状を把握するうえでの一助になれば幸いである.
楠原 洋之(東京大学大学院薬学系研究科分子薬物動態学教室)
目次
特集 薬物動態学UPDATE
はじめに 楠原洋之
Virtual Clinical Study を用いた薬物動態の個人間変動予測 年本広太・杉山雄一
体内時計の分子機構を基盤にした時間薬物動態 大戸茂弘
腎・肝障害患者における薬物動態変動-臓器内・臓器間連鎖の関与 荒川 大・加藤将夫
薬物相互作用リスクの定量的予測に向けた取組み 前田和哉
生体内の局所で薬物の濃度動態とその作用を追尾する計測基盤の開発 緒方元気・他
医薬品のヒト体内動態評価のためのin vitro 培養細胞の現状 石田誠一
前臨床における薬物性肝障害リスク予測 伊藤晃成
ヒト肝細胞移植キメラマウスを用いた薬物代謝・動態研究 山崎浩史
連載
テレメディシン-遠隔医療の現状と課題(18)
医学・創薬におけるビッグデータ 佐藤憲明・他
救急医学-現状と課題(9)
Hybrid ER の登場で変わる救急診療-ハードとソフトの充実をめざし,日本型救急診療を確立する 藤見 聡
TOPICS
生化学・分子生物学 転写因子NRF2 活性化による急性腎障害の予防 村松亜紀・他
薬理学・毒性学 抗精神病薬とD2 受容体シグナリング 衣斐督和
脳神経外科学 VP シャントのための手術シミュレーション 山田茂樹
FORUM
人を対象とする医学系研究に関する倫理指針の改正の要点と運用上の課題 倉田真由美
次号予告
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書籍情報
- ISBN:9784006026407
- ページ数:70頁
- 書籍発行日:2018年2月
- 電子版発売日:2023年7月25日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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