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- 動画&イラスト&写真でわかる眼瞼手術の極意 [動画付き]
商品情報
内容
眼瞼手術を受ける患者は視機能の改善だけでなく「きれいに美しく治してほしい」という整容的な要望も強い。そのため、術者には患者満足度の高い手術が求められる。眼瞼下垂手術を中心に主要な眼瞼手術を取り上げ、基本やコツ、トラブル時の対処、患者説明のポイントを解説!
序文
推薦のことば
私は二十数年前に眼瞼手術を独学で始めました.きっかけは眼科開業医の大学の先輩から眼瞼周囲の皮膚腫瘍の手術を依頼されたことに始まります.月に1回ほど,開業医の下で手術をしていたある日,突然「形成外科医なんだから眼瞼の手術ぐらいできるだろう」と一冊の教科書を手渡されました.形成外科医である私は,それまで形成外科学のシリーズとして刊行されていた眼瞼関連の手術書は読んでいましたが,眼科医が執筆した教科書を読んだのは,その時が初めてでした.その本は疾患ごとに執筆者が変わる形式で構成されており,各疾患の手術を特技としている先生方による執筆であることがわかる内容でした.私の周囲には眼瞼手術の指導医がいないだけでなく,動画もない時代であったため,文字とシェーマで手術内容を理解するには時間を要しましたが,その本はやがて私のバイブルとなりました.
話は変わりますが,私が以前に主催した学会では,テーマを『特技からの脱却−教育と標準化』としました.そう定めた理由は,私のように独学で眼瞼手術を始めた先生方が後進の教育に力を入れ,一部の医師が特技として行っていた眼瞼手術の時代から誰でも行える標準化された手術の時代に変えることこそが本邦に必要と感じたからです.
本書を拝読したところ,まさに今,その手術をしている現役の眼科医,形成外科医,美容外科医が執筆しています.眼科医は眼瞼疾患の治療を第一としながらも整容的視点も学びたいと思い,形成外科医,美容外科医は美容外科の最たるものである重瞼術に興味を持ち,そこから眼瞼下垂を代表とする眼瞼疾患の手術をしたいと思うのではないでしょうか.このようにそれぞれの医師の立ち位置によりスタートは違っても,本書を読むと眼瞼手術に求められるゴールが同じになりつつあると気付かされます.
本書では,眼瞼疾患をたくさん扱ってきたトップランナーの先生方が伝えたいことを丁寧に文字にし,豊富な写真と動画を提示しながら,特技を惜しみなく公開しています.さらに同じゴールを目指す眼科医,形成外科医,美容外科医が協力して執筆することで,眼科医主体で執筆された私のかつてのバイブルを大きくバージョンアップした内容になっています.私は本書から「眼瞼手術の極意」を学べば,それは特技から脱却の一助,これから始める先生方への教育の一助となり,いずれは本邦における眼瞼疾患診療の標準化への一助にもなると確信しました.
眼瞼手術に興味のある先生方は,ぜひ本書をバイブルにしてください.そして,本書を通して眼瞼手術の楽しさを知ってください.
2023年8月
まぶたとヒフのクリニック 千駄木プラザ形成外科 院長
日本医科大学形成外科・眼科 非常勤講師
村上 正洋
編者のことば
この本を手に取ってくださり,ありがとうございます.先生方は次のように思ったことはありませんか?
例えば,眼科の先生,「まぶたの手術は血が出るので苦手だ」「白内障の手術はできるが,ほかにもオプションが欲しい」「まぶたの手術は整容面に気を遣うから手を出しにくい」「形成外科医や美容外科医が何を意識してまぶたの手術をしているか知りたい」
例えば,形成外科の先生,「眼瞼下垂手術の経験はあるが,いつも挙筋腱膜タッキングしかしていない」「挙筋腱膜前転をしたが,思ったような開瞼が得られない」「上眼瞼の手術は得意だが,下眼瞼は経験した症例数が少なく苦手意識を持っている」「上の先生のやり方を真似しているが,あまり上達していない」
例えば,美容外科の先生,「埋没法重瞼術と眉下リフトは自信があるが,それ以外は……」「術式をまるまる完全コピーするのは得意だが,時折うまくいかない症例もある.もしかしたら体系的に勉強してこなかったことが原因かもしれない」
このように感じている人は何とか現状を打破しようとしている非常に向上心の高い人だと思います.本書はこのような悩みに対してわかりやすく,理論とコツを解説しています.そして,術後結果にコミットできるように「術式」と「ポイント」に多くのページを割いています.また,術式のコンセプトがすぐにわかるようにできるだけイラストを各項目の冒頭に用い,全体像をイメージした上で細かいテクニックに取り組めるように構成してあります.
術式を理解するにあたって術中写真はとても重要です.しかし私自身,学び始めの時には「赤っぽい写真が並んでいるだけでわかりにくいな」と感じていました.術中写真がわかりにくい理由は,コマ切れとなった写真と写真の間の流れを把握できるような動画がないからです.本書の動画には手術の流れだけでなく,写真では表現しづらい術者のコツやこだわりも含まれています.
私は2012年に聖隷浜松病院眼形成眼窩外科に国内留学しました.以降,眼形成分野を専門とし,手術を行う傍ら眼科と形成外科,両方の学会で発表を行ってきました.そして,様々な先生方にお世話になり今の私があります.本書の編集に際しても眼科,形成外科,美容外科の先生方に協力をしていただき,本書を世に出すことができました.一方,教育に関しては10年前から動画を用いて眼形成手術を後輩に指導してきました.そこで感じたことは「動画の威力は絶大である」ということです.思うようにできなかった手技を術者自身が客観的に把握し,次の手術に生かせます.これは動画の特権です.術中動画を撮っていれば,術後3カ月経った患者に気になることがあった時にさかのぼって動画を見直せます.そこで新たな上達へのキッカケに出会うこともしばしばあります.ぜひ先生方ご自身で眼形成手術の動画を撮影し,見直してみてください.
本書が先生方の眼形成手術の上達の一助となれば本当に嬉しいです.眼瞼手術に関わるすべての人が協力し合えば,本邦の眼形成分野は学問としてさらなる発展を遂げることに疑いの余地はありません.互いに足りない所は補い合いながら皆で前に進んでいきたいと考えています.
2023年8月
横浜市立大学附属市民総合医療センター 形成外科部長 小久保 健一
編者のことば
私が以前在籍した大学病院の形成外科では,手術日の朝には術前カンファレンスが開かれ,指導医の助手につく専門医取得前の医師がホワイトボードの前でプレゼンテーションし,どれだけ理解し,準備して手術に望んでいるのか先輩医師にチェックしてもらうことが慣例であった.ある日,眼瞼下垂患者のプレゼンテーションをしていた時,指導医に手術の方法をまぶたの断面図を描いて説明するように言われた.何となく教科書で見たことのある挙筋やミュラー筋や眼窩脂肪を描いて説明したつもりだったが,指導医には曖昧な部分が一目瞭然で,そのポイントについて質問されると答えられず,準備不足を痛感させられた記憶が25年以上経った今でも鮮明に残っている.当時は手術動画もあまり普及しておらず,論文も白黒のものがほとんどで,実際に見たことのない手術を術前に文書だけで理解することは困難であった.現在ではインターネットが普及し,検索すれば様々なウェブサイトやツールで手術動画を視聴できるため,恵まれていると感じる.しかし,助手で手術を実際に見ていても眼瞼手術は術野が狭いため,術野には見えていない部位の解剖も熟知した上で手術に臨まなければ,どの組織を操作しているかすら,わからないことがある.
本書は手術動画や写真を見て,局所の状態を確認しながら術者がどのようなことを考えながら治療を行っているのか断面のイラストを交えて, 手術全体を俯瞰的に捉え,理解が深まるような構成になっている.術前に手術を擬似体験できる本書を手元に置いて熟読し,動画を視聴していただければ,新たな発見があると期待している.
眼瞼は視機能に関係した重要な部位であり,整容的にも重視される.治療は眼科,形成外科,美容外科等の複数の科で行われている.機能的と整容的のベクトルは決して違う方向ではなく,同じ方向の違う側面を見ているだけで,整容的にきれいな眼瞼は機能的にも良いと考えている.治療する医師は機能的,整容的の両面に注意して手術することで,患者満足度の高い治療を提供できる.本書では同じ結果を目指す治療においても各科のスペシャリストに執筆していただいたため,異なる側面が見えてくると思われる.
本書が初心者から上級者まで,眼科,形成外科,美容外科等すべての眼瞼手術を行う術者にとって参考になれば幸いである.
2023年8月
銀座ファインケアクリニック/井上眼科病院 奥村 仁
目次
・推薦のことば
・編者のことば
・編者・執筆者一覧
・WEB動画の視聴方法
【第1章】眼瞼手術をする前に知っておくべきこと
1 眼瞼手術に必要な解剖
はじめに/眼瞼の外観/眼瞼を構成する組織,機能と病態
2 眼瞼手術の基本手技(術前消毒,ドレーピング,マーキング,局所麻酔,皮膚切開,止血,縫合,ドレッシング)
はじめに/体位/術前消毒/ドレーピング/マーキング/局所麻酔/皮膚切開/止血/縫合/ドレッシング/おわりに
【第2章】眼瞼下垂手術:最強の実践
1 眼瞼下垂とは(定義および先天下垂と後天下垂)
はじめに/眼瞼挙上のメカニズム/眼瞼下垂の障害組織による分類
2 挙筋腱膜前転術
はじめに/手術適応/挙筋腱膜前転術の手順とポイント/術後管理/合併症/症例提示
3 経皮ミュラー筋タッキング
はじめに/手術適応/経皮ミュラー筋タッキング手術の手順とポイント/術後管理/合併症/症例提示
4 経結膜ミュラー筋,挙筋腱膜タッキング
はじめに/手術適応/経結膜ミュラー筋,挙筋腱膜タッキングの手術の手順/手術のポイント/術後結果/術後管理/術後合併症/症例提示/おわりに
5 挙筋群短縮術
はじめに/手術適応/挙筋群短縮術の手順とポイント/術後管理/合併症/症例提示
6 前頭筋吊り上げ術
はじめに/手術適応/前頭筋吊り上げ術の手順とポイント/術後管理/合併症/症例提示
7 眼瞼下垂手術:形成外科医の視点とアプローチ(合併症を回避するための工夫)
患者満足度の低下する症状・合併症
8 眼瞼下垂手術:美容外科医の視点とアプローチ
はじめに/想定される整容上のトラブル/患者説明/手術のポイント
【第3章】皮膚弛緩症の手術:最強の実践
1 上眼瞼皮膚弛緩とは
はじめに/上眼瞼皮膚弛緩の鑑別疾患/上眼瞼皮膚弛緩の状態と術式の選択/おわりに
2 重瞼部皮膚切除
はじめに/手術適応/手術のポイントとバリエーション/重瞼部皮膚切除の手順とポイント
3 眉毛下皮膚切除術
はじめに/手術適応/眉毛下皮膚切除術の手順とポイント/術後管理/合併症/症例提示
4 皮膚弛緩症の手術:形成外科医の視点とアプローチ(顔面神経麻痺に対する眉毛挙上術)
視点/症例提示/皮膚弛緩症の手術の手順とポイント/まとめ
5 皮膚弛緩症の手術:美容外科医の視点とアプローチ/上眼瞼の皮膚弛緩に対する治療方針/術式選択手順
【第4章】内反症の手術:最強の実践
1 睫毛内反と眼瞼内反とは
はじめに/解剖/睫毛内反/眼瞼内反
2 上眼瞼の睫毛内反症の手術(埋没法)
はじめに/手術適応/埋没法手術の手順とポイント/術後管理/合併症/症例提示
3 上眼瞼の睫毛内反症の手術(皮膚切開法)
はじめに/手術適応/睫毛内反症手術(皮膚切開法)の手順とポイント
4 下眼瞼の睫毛内反の手術(埋没法)
はじめに/手術適応/睫毛内反手術(埋没法)の手順とポイント/術後管理/合併症
5 下眼瞼の睫毛内反の手術(皮膚切開:Hotz変法とその併用術)
はじめに/下眼瞼の睫毛内反の手術の手順とポイント
6 上眼瞼睫毛乱生症の手術(前葉移動術)
はじめに/手術適応/上眼瞼の前葉移動術の手順とポイント
7 下眼瞼内反症の手術(埋没法)
はじめに/手術適応/2つの埋没法/埋没法(wide everting suture)手術の手順とポイント/まとめ
8 下眼瞼内反症の手術(皮膚切開:Jones変法およびその併用術)
はじめに/手術適応/Jones変法およびLTSの手術の手順とポイント/術後管理/合併症/症例提示
9 下眼瞼内反に対する経結膜アプローチ
はじめに/手術適応/経結膜アプローチによる手術の手順とポイント/術後管理/合併症/症例提示(手術方法と同一症例)
10 内反症手術:美容外科医の視点とアプローチ
はじめに/睫毛内反症手術の手順/手術のポイント/おわりに
【第5章】その他の眼瞼手術:最強の実践
1 睫毛乱生・睫毛重生の手術(処置)
はじめに/睫毛の構造と成長サイクル/睫毛電気分解の適応/睫毛電気分解の手順とポイント/術後の処置/合併症/ブロック切除の適応/ブロック切除の手順とポイント/術後の処置/合併症/睫毛根切除の適応/睫毛根切除の手順とポイント/術後の処置/合併症/睫毛重生に対する手術/睫毛根冷凍凝固術の手順とポイント/術後の処置/合併症
2 重瞼術(切開法・埋没法)+内眥形成術
はじめに/挙筋腱膜を用いた重瞼固定法の手術適応/挙筋腱膜を用いた重瞼固定法の手順とポイント/術後管理/症例提示/内眥形成術を追加するケース/埋没法とは/埋没法の手術適応/埋没法の手順とポイント/まとめ
3 結膜下脂肪ヘルニアの手術
はじめに/手術適応/結膜下脂肪ヘルニアの手術の手順とポイント/術後管理/術後合併症/症例提示
4 霰粒腫の治療(保存療法,経皮切開法,経結膜切開法)
はじめに/霰粒腫の治療/保存療法の適応/保存療法の手順とポイント/経皮切開法の適応/経皮切開法の手順とポイント/術後の処置/経皮切開法のポイント/経結膜切開法の適応/経結膜切開法の手順とポイント/術後の処置/経結膜切開法のポイント/化膿性肉芽腫の処置/おわりに
5 ハムラ法による下眼瞼のbaggy eyelidsの手術
はじめに/下眼瞼のbaggy eyelidsの成因/目の“くま”がなぜ目立つのか/手術方法・適応/下眼瞼の手術を行う上で重要な解剖/ハムラ法による下眼瞼のbaggy eyelidsの手術の手順とポイント/合併症/症例提示/まとめ
6 経結膜的眼窩脂肪移動術を用いた下眼瞼形成術
はじめに/手術適応/経結膜的眼窩脂肪移動術を用いた下眼瞼形成術の手順とポイント/術後管理/合併症とその対策/症例提示
【Column】
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きっかけ
患者訴えあるある?
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書籍情報
- ISBN:9784840481984
- ページ数:256頁
- 書籍発行日:2023年10月
- 電子版発売日:2023年9月14日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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