胆膵内視鏡 診断・治療の基本手技 第4版

  • ページ数 : 352頁
  • 書籍発行日 : 2023年10月
  • 電子版発売日 : 2023年11月7日
10,450
(税込)
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商品情報

内容

胆膵内視鏡に関わる医師必携の定番書が6年ぶりに改訂!
胆膵内視鏡に関わる医師必携!ERCP・EUSの定番書が6年ぶりに改訂し,新しい技術やデバイスを盛り込みアップデート.初学者 エキスパートまで押さえておきたい手技の基本と心構えを惜しみなく伝授!

序文

推薦のことば


「胆膵内視鏡 診断・治療の基本手技 第4版」(編集:糸井隆夫教授)が,羊土社から刊行された.2017年に第3版が発行されてから6年が経過して,新しい技術・デバイス,文献など必要な情報がアップデートされた.本書の初版が2008年であり,実に15年にわたるロングセラーとなっているが,ガイドラインなど学会関連以外で,15年以上にわたって改訂版が続いている書籍は,ほかに見当たらない.長年にわたり,全国の多くの先生方から支持されてきたことに深く敬意を表したい.本書は,糸井隆夫教授と東京医科大学消化器内科のスタッフがほとんどの項目を執筆され,胆膵内視鏡の基本手技を一貫した流れで解説している.特徴的なことは,編集者である糸井隆夫教授自身が全体の1/3近くの多くの項目を執筆され,手技の感覚的な部分も文章にされていることにある.また,入門者にもビジュアル的にわかりやすく解説するというのは初版から続く1つの主軸であり,フルカラーの写真・図が豊富に掲載されている.手技の手順だけでなく,疾患のプロセス・前処置・偶発症への対策への解説も十分になされている.

近年,胆膵内視鏡の診断と治療法は,飛躍的に発展してきている.しかしながら,この領域は,解剖学的にも生理学的にも複雑であるために,消化管や肝臓領域に比べて手技が多岐・多彩で,偶発症の頻度が高い.しかも,いったん偶発症が起きると重篤化しやすいので,安全で確実に施行するために細心の注意が最も必要な分野である.そのような観点からも本書は,これまでの書籍にないほど,胆膵内視鏡の診断・治療の基本手技を明快かつ丁寧にわかりやすく解説しており,今や“バイブル”と言っても過言ではない.なお,2022年に「胆膵内視鏡のトラブルシューティング」も発行されており,姉妹書としてセットでぜひとも活用していただきたい.

糸井隆夫教授は,世界中の医師から世界一の胆膵内視鏡医と認められる実力を有している.「不断の努力」「積極性」「旺盛な好奇心」に基づき,新しい手技や知見をいち早く取り入れ,さらに自分なりの工夫を加えて発展させる卓越した能力がある.また,常に仲間や同僚に優しく気遣いをされ,後輩に温かい思いやりをもって接することから,糸井隆夫教授のもとには多くの若い先生が集まっている.このような糸井隆夫教授自身の日頃の診療姿勢と哲学を本書の随所に垣間見ることができる.

コラムに記載されている「海外留学のすすめ」,「僕がアメリカ(ヨーロッパ)を目指した理由」は,糸井隆夫教授の友人や後輩達からのメッセージであるとともに,日本の第1人者からさらに世界に大きく羽ばたいている糸井隆夫教授自身が次世代を担う先生方に送る熱いメッセージでもある.

これから胆膵内視鏡を目指す若い先生には本書に記載されている手技の基本と実際を会得していただき,また内視鏡の指導的立場にある先生におかれては,改めて基本手技と指導法を見直して,施設内での偶発症に対する予防対策を万全にするためにも本書を日常の診療に役立たせていただきたいと願っている.


2023年10月

WEO(世界内視鏡学会) 理事長
田尻久雄



第4版の序
― To be a BilioPancreatic Endoscopy Master ―


時が経つのは本当に早いものである.つい先日第3版を出版させていただいたと思ったが,すでに6年前のことであった.この時間の速さの原因の大部分は歴史的な“新型コロナ感染症”によりいわゆる空白の期間があったことも影響しているであろう.いずれにしても,一般的にガイドラインでは内容のアップデートのために5年ごとの改訂が望ましいとされているが,胆膵内視鏡領域もこの10年急激な進歩を遂げており,今回の改訂はまさに機が熟したものであると考えている.この15年間,本書が皆様に愛され,お手に取っていただいたおかげで,今回第4版を出版することができ,本当に感謝の念に堪えない.これを機にベストセラーからロングセラーを目指したいと願っている.

これまでにも述べてきたが,ERCPを行うための“はじめの一歩”である,カニュレーション等の基本は大きくは変わらない.したがって,第4版になっても理論的な戦略はこれまで同様である.しかし,デバイスは常に開発,改良されており,アップデートされた知識をもち合わせていくことはERCPマスターになるためには必須と考えられる.いわゆる“弘法筆を選ぶ”であり,よりよい手技を行い予期せぬ偶発症を最小限にするために,ぜひ本書からそのノウハウを学んでいただきたい.こうしたERCPの発展に加えて,EUSの進歩は目を見張るものがある.特に,治療的EUSにおいては,日本が誇るデバイス開発や手技の工夫が満載である.その基本を含めて,コンセプトを本書で堪能していただたい.また,今回も,若手の先生方をEncourageすべく,欧米で医師免許を取得し,それぞれのユニットで活躍している(日本人離れした)日本人内視鏡医に,海外に目を向けることの重要性を説いていただいた.

本書がこれからも胆膵領域の内視鏡関連手技において,多くの初学者の指南本となり続けることを願ってやまない.

最後に,たいへんお忙しいなか執筆,ビデオ作製をしていただいた各執筆者および執筆協力者に厚く御礼を申し上げるとともに,タイトなスケジュールの中,発刊に尽力された企画担当 鈴木美奈子氏ならびに制作担当 阿部壮岐氏に感謝申し上げたい.


2023年10月

糸井隆夫

目次


推薦のことば[田尻久雄]

第4版の序[糸井隆夫]

初版の序[糸井隆夫]

執筆者一覧

略語一覧

動画視聴ページのご案内

第1章 胆膵内視鏡の基本

1)胆膵内視鏡と周辺機器[糸井隆夫]

2)胆膵内視鏡に必要な胆膵周辺解剖図[糸井隆夫]

3)胆膵内視鏡に必要なスタンダードプリコーションと処置具の滅菌,消毒[殿塚亮祐]

4)前処置・セデーション(鎮静薬の適切な使い方など)[殿塚亮祐]

5)抗血栓薬内服患者のマネージメント[向井俊太郎]

6)CO2 送気による胆膵内視鏡検査および治療[土屋貴愛]

7)胆膵内視鏡に必要な放射線に関する知識[土屋貴愛]

8)超高齢者における胆膵内視鏡[石井健太郎]

9)インフォームドコンセント[田中麗奈]

10)胆膵内視鏡の偶発症の対策(総論)[祖父尼 淳]

第2章 EUS関連手技

1)標準的描出法

①EUSスコープ挿入操作の基本[糸井隆夫]

②電子ラジアル式EUS描出法[糸井隆夫]

③コンベックス式EUS描出法[糸井隆夫]

2)EUS画像診断

①胆道疾患におけるEUS診断フローチャート[糸井隆夫]

②膵疾患におけるEUS診断フローチャート[糸井隆夫]

3)EUS-FNA[入澤篤志]

4)EUS-FNAによる病理診断[内藤嘉紀]

5)EUS下膵周囲液体貯留ドレナージ[向井俊太郎]

6)EUS下胆管ドレナージ[糸井隆夫]

7)EUS下胆嚢ドレナージ[土屋貴愛]

8)EUS-PD(EUS下膵管ドレナージ)[向井俊太郎]

9)EUS-RV(EUS下胆管ランデブー)[向井俊太郎]

10)偶発症の予防と実際[土屋貴愛]

第3章 ERCP関連手技

1)スコープ挿入

①スコープ挿入の基本:挿入から十二指腸乳頭正面視[土屋貴愛]

②スコープ挿入困難例での対処法[糸井隆夫]

2)カニュレーションテクニック

①カテーテルの選択と取り扱い[祖父尼 淳]

②乳頭の形態とカニュレーションの基本[糸井隆夫]

③深部挿管[糸井隆夫]

④ガイドワイヤー先行法(Wire-guided cannulation)[糸井隆夫]

⑤ERCP撮影とその読影の基本[糸井隆夫]

3)ガイドワイヤーによる処置具の交換

①ガイドワイヤー(GW)の種類[祖父尼 淳]

②ガイドワイヤー(GW)操作の実際[祖父尼 淳]

4)ERCP関連手技に必要な処置具と手技の実際(胆道編)

①EST(内視鏡的乳頭括約筋切開術)・プレカット[糸井隆夫]

②EPBD(内視鏡的乳頭バルーン拡張術)[安田一朗]

③EPLBD(内視鏡的乳頭ラージバルーン拡張術)[向井俊太郎]

④結石除去術〜BML(機械式砕石具),バスケット,バルーン[潟沼朗生]

⑤EBD(内視鏡的胆管ドレナージ)プラスチックステントを中心に[土屋貴愛]

⑥EGBD(内視鏡的経乳頭的胆嚢ドレナージ)[田中麗奈]

⑦胆管IDUS(胆管内超音波検査)[祖父尼 淳]

⑧胆管生検組織診・ブラッシング細胞診[祖父尼 淳]

⑨POCS(経口胆道鏡)[田中麗奈]

⑩術後胃(B-I,B-II)におけるERCP[殿塚亮祐]

⑪術後胃(PD後,R-Y)・肝管空腸吻合術後におけるERCP[糸井隆夫]

⑫EP(内視鏡的乳頭切除術)[山本健治郎]

5)ERCP関連手技に必要な処置具と手技の実際(膵臓編)

①EPST(内視鏡的膵管口切開術)[糸井隆夫]

②結石除去術[糸井隆夫]

③ENPD(内視鏡的経鼻膵管ドレナージ)[良沢昭銘]

④膵管ステンティング[祖父尼 淳]

⑤膵管IDUS(膵管内超音波検査)[祖父尼 淳]

⑥膵管生検組織診・ブラッシング細胞診[祖父尼 淳]

⑦POPS(経口膵管鏡)[山本健治郎]

6)偶発症予防の実際とその対策[田中麗奈]

索 引

Column

・僕がアメリカを目指した理由①:冨澤医師の場合[冨澤 裕]

・僕がアメリカを目指した理由②:相原医師の場合[相原弘之]

・僕がアメリカを目指した理由③:西村医師の場合[西村 誠]

・僕がヨーロッパを目指した理由:森医師の場合[森 悠一]

・胆膵内視鏡マスターへの道 in USA(一般論)[深見悟生]

・Young Endoscopists, Be ambitious!(海外留学の勧め)

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書籍情報

  • ISBN:9784758110815
  • ページ数:352頁
  • 書籍発行日:2023年10月
  • 電子版発売日:2023年11月7日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
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