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- Rp.+レシピプラス 2024年冬号 Vol.23 No.1 降圧薬はこう扱う! 管理につながる,服薬指導に活きる,血圧のはなし
商品情報
内容
健康寿命を延伸するためにも,全身の臓器機能を維持・向上させる必要があります.臓器の力をしっかり引き出すためには,十分で適切な血液循環が欠かせません.その血液循環に重要な役割を果たすものの一つに血管があげられます.この大切な血管にトラブルや機能低下が生じたとき,“血圧”の変化として現れる場合があります.“血圧”を通して届く血管の声を無視し続けると,予後に大きな影響を及ぼす疾患につながる可能性もあるため,患者本人も,医療者も,「たかが血圧」と軽視してはいけません.
血管機能に限らず,“血圧”は,循環系や体液調節がうまく働いているかを評価する重要なパラメーターです.高血圧は将来の重大な疾患イベントの予兆であるため,早期からの介入が大切です.しかし,高血圧のみでは生活に支障をきたすことはまれなため,患者さんの自己管理や治療継続へのモチベーションはなかなか上がりません.
また,降圧薬はおおよそ顔ぶれが変わらず,医療者にとっても“いつもの薬”として右から左に受け流されやすい傾向にあります.しかし,血圧の調整には,自律神経系や内分泌系,心血管系や体液調節機構が関与するため,患者背景や状態の変化を見逃し漫然と使用していると,避けられたはずの重大なトラブル(副作用)や重篤な脳心血管イベントの発生を引き起こす可能性があります.
そうなると,降圧薬の処方箋を前に気を緩めてはいられません.薬剤師がしっかり目を光らせておくことで,患者さんの健康上の安全が守られ治療も継続できるということです! 本特集を通じて,降圧治療の流れを改めて整理し,薬学管理に活用できる薬剤師・医療スタッフを目指しましょう.
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序文
序文
血圧とは血管内に生じる圧力で,心臓から全身組織に送り出された血液が血管の壁に及ぼす圧力(側圧)のことです.心臓は1日に約10万回の収縮と拡張を繰り返し,そのたびに血圧も変動します.血圧は心機能,腎機能,神経系機能,内分泌系機能などにより恒常性が維持されていますが,心臓や血管,血液量に変化がでてくると高くなってきます.疫学調査より安静時の血圧値が常に高くなると脳心血管病リスクが高くなることが示され,高血圧という概念が定義されました.ただ高血圧はサイレントキラーといわれ,特異的な症状がないため,血圧を測定しなければわかりません.今では高血圧が脳卒中,心臓病,腎臓病および大血管疾患の重要な要因であり,血圧を下げること(降圧)でこれらの病気を予防できることがわかっています.
高血圧の治療には,生活習慣の是正など非薬物治療と降圧薬による薬物治療があります.降圧薬治療の役割は血圧を確実に下げ,脳心血管病の発症を予防することです.ただ,高血圧患者といっても併存疾患を有している方,臓器障害をきたしている方,あるいは脳心血管病を発症して再発予防が必要な方など,さまざまな臨床背景をもっています.もちろん降圧薬治療は血圧を下げることが一義ですが,どうやって下げるか,そしていかに安全に治療を継続してもらうかが治療成功の鍵となります.ここに医師,薬剤師をはじめ医療者の力が必要となります.
日本の高血圧患者数は約4,300万人と推定され,60歳以上では2人に1人は高血圧を有しているといってよいでしょう.おそらく高血圧患者に遭遇しない医療者はいないと思います.本特集では,まず高血圧とその治療の役割について正確な知識をもつことからはじめ,血圧調節のしくみを理解し,各降圧薬が何を標的にしているのか,そのうえで患者の背景に応じた降圧薬の使い分けと組み合わせ,そして安全性を視野に入れたフォローアップ,副作用のポイントを学べるよう構成しています.高血圧の全体像を理解することで,より一歩進んだ降圧薬の管理,服薬指導ができるものと期待しています.
東京慈恵会医科大学臨床薬理学講座 教授
志賀 剛
目次
甘く見ると結構怖い…?! 血圧のアツいはなし
1.どうして血圧のコントロールが必要なの?
2.血圧測定・管理の重要性を患者さんと共有する!
3.高血圧と診断されたときの治療の流れ
薬学管理に活かそう! 血圧調節に関わる身体のしくみ
1.体液量の調節と体液分布
2.心臓の収縮力と拍動
3.血管収縮と抵抗
降圧薬(高血圧治療薬)の特徴の違いを知る!
1.おもに血管を広げるくすり(血管拡張薬)
2.おもに体液を調整するくすり(利尿薬)
3.おもに自律神経系を調節するくすり
4.妊娠高血圧症候群と降圧薬
5.降圧薬の処方監査時に注意したい患者背景
6.降圧薬の使い分け,組み合わせ
漫然と受け流さない! 薬学的管理に役立つ降圧治療の目のつけどころ
ケースで学ぶ副作用対策,フォローアップのコツ
case1.薬局編:過降圧(低血圧)
case2.薬局編:心電図異常,電解質異常
case3.薬局編:浮腫,心不全の悪化
case4.薬局編:腎機能低下
case5.入院編:代謝異常(耐糖能低下,高尿酸血症など)
コラム
・期外収縮の心電図波形
・QT延長
Series
・最近のコクシ「血圧とくすり」
・ハマゾン.co.jp「ソルト・パラドックス」
・プレイバック物化生「血圧は……,圧力?」
・漢方検分録 ケースで学ぶ漢方薬の安全チェック「循環器系に副作用のある漢方薬に注意する」
book review
・症状・体質からしっかり選べる! 薬剤師・登録販売者のためのフローチャートでわかる漢方薬虎の巻(南山堂)
・調剤と服薬指導がわかる 小児科これだけ(南山堂)
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書籍情報
- ISBN:9784525922412
- ページ数:123頁
- 書籍発行日:2024年1月
- 電子版発売日:2023年12月13日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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