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- 臨床画像 2024年10月号 特集1:絶対苦手分野にしない 小児の画像診断/特集2:小児領域の核医学検査・PET検査の読影と管理上の注意点
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内容
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序文
特集1 絶対苦手分野にしない 小児の画像診断
本特集のテーマ『絶対苦手分野にしない 小児の画像診断』を目にしたとき,たいそう難しいお題だと感じた。「絶対」というのはハードルが高く,また,領域やモダリティを限定せずに「小児全般」の画像診断が対象である。小児専門病院以外の医療施設では小児症例は成人症例に比べて圧倒的に少なく,少ない症例のなかに多岐にわたる疾患が含まれることを考えると,「苦手」というか「かかわりたくない」と思われてしまうのも仕方のないことかもしれない。一方で,小児画像診断に関するセミナーや教育講演は受講者も多く,需要があると感じており,「かかわりたい」と考えている放射線科医は少なくないとも思う。
そこで,これから放射線診断を学ぶ若手の先生方にとって小児画像診断が「苦手」とならないことを願い,日常診療で画像診断が行われる比較的頻度の高い疾患や検査目的を8項目設定し,モダリティの選択や読影の際の注意点などをわかりやすく解説する内容を企画した。
中枢神経系では,周産期センターやNICUをもつ施設では避けて通れない新生児の頭部画像診断について,横浜市立大学医学部 放射線診断学 加藤亜結美先生らに解説していただいた。頸部腫瘤は日常診療で画像検査の対象になることが多く,先天性疾患や後天性疾患などさまざまであるが,診断の進め方や鑑別のポイントについて,名古屋市立大学大学院医学研究科 放射線医学分野 中川基生先生らに解説していただいた。胸部領域は,呼吸器感染症と先天性心疾患を取り上げ,慶應義塾大学医学部 放射線科学教室 巷岡祐子先生と埼玉県立小児医療センター 放射線科 田波 穣先生に解説していただいた。腹部領域のcommondiseaseの代表である急性腹症,肝・胆・膵疾患,尿路感染症については,聖マリアンナ医科大学 放射線診断・IVR学講座 渕上淳也先生ら,兵庫県立こども病院 放射線診断科 赤坂好宣先生,国立成育医療研究センター 放射線診療部 宮坂実木子先生にご執筆いただいた。そして,小児の骨折について自治医科大学とちぎ子ども医療センター 小児画像診断部 古川理恵子先生に解説していただいた。いずれも,本特集の主旨をご理解いただき,総論・各論を交えた放射線科医が知っておくべき事項を,わかりやすく,限られた誌面に凝集された玉稿ぞろいで,日常診療にすぐに役立つ内容がぎっしり詰まった希望した以上の素晴らしい内容となった。依頼医に伝わる画像診断報告書の作成や,画像診断の進め方・検査モダリティの選択などで他科医師からの相談への対応にも役立つ内容が含まれている。
ご多忙のところ,特集の主旨をご理解いただき快くご執筆くださりました先生方に改めて深謝申し上げます。
本特集を,放射線診断専門医を目指す若手医師のみならず,すでに少なからず小児に苦手意識をおもちの放射線科医の先生方にも手にとっていただきたい。始めから小児全般ではなく,ご自身の得意な領域からでも小児画像診断に興味をもっていただき「小児も読影しますよ」と小児科や小児外科医に対応する放射線科医が1人でも増えれば望外の喜びである。
企画・編集:野澤久美子 神奈川県立こども医療センター 放射線科
特集2 小児領域の核医学検査・PET検査の読影と管理上の注意点
「子どもは小さな大人ではない」この言葉は小児科学の教科書の冒頭にしばしば記載されています。これは17世紀のフランスの啓蒙思想家ジャン=ジャック・ルソーが掲げた教育論『エミール』で説かれた言葉であり,17世紀までの子どもは未成熟な大人として扱われていたことに対して,子どもには子ども時代という特別で固有な世界を有しており,それに適した対応が必要になるという趣旨の一種のアンチテーゼとして述べられています。
放射線診断学・核医学の領域においても小児は成人のミニチュアではなく,
・小児は成長・発達の段階にあり,正常像も年齢とともにダイナミックに変化していく。
・頻度の高い疾患も成人と大きく異なり,これらも年齢とともに変化していく。
・成人と比較して放射線に対する感受性が高い。
といった特徴を有しています。
Image Gently Alliance は2007年に米国小児放射線学会(Society for PediatricRadiology;SPR),米国放射線専門医会(American College of Radiology;ACR),米国診療放射線技師会(American Society of Radiologic Technologists;ASRT),米国医学物理士協会(American Association of Physicists in Medicine;AAPM)の4組織を母体として設立された団体であり,小児の医療被ばく低減を推進する世界規模のキャンペーンを展開しています。安全で質の高い小児画像診断を世界中に提供することを目的としており,核医学領域では2008年より米国核医学会(Society of Nuclear Medicine and MolecularImaging;SNMMI)が加盟,日本国内からは2017年より日本小児放射線学会(JapaneseSociety of Pediatric Radiology;JSPR),2018年より日本放射線専門医会(JapaneseCollege of Radiology;JCR)の2つの組織が加盟しています。「Image Gently」,「One sizedoes not fit all」,「Go with the Guidelines !」を合言葉として活動が行われ,この10数年の間に小児放射線診断学・核医学の標準化がグローバルに進展してきました。
わが国においても小児に対する核医学検査・PET検査は幅広く実施されており,日常診療のなかで重要な役割を果たしています。しかしながら,
・国内の小児専門病院でPET装置を保有する施設はなく,核医学専門医の数も限られている。
・総合病院では小児患者に対する検査数が相対的に少ない。
・主診療科の専門分化の影響を受け,施設ごとの疾患群の偏りが比較的大きい。
といった問題点があり,小児核医学検査全般について網羅的な経験を積むことはなかなか難しいのが現状です。そのため小児核医学検査に対して放射線診断専門医・核医学専門医ともに苦手意識のある医師も少なくないと考えます。
そのような背景を踏まえて,本特集では各領域のエキスパートに執筆をお願いし,それぞれの施設がもっている小児核医学検査に関するノウハウを読者の皆様と共有することを目的として企画させていただきました。本特集が明日からの皆様の診療の一助となれば幸甚です。最後にお忙しいなかご執筆をいただいた先生方に心より感謝を申し上げます。誠にありがとうございました。
企画・編集:西村元喜 京都中部総合医療センター 放射線科
目次
特集1:絶対苦手分野にしない 小児の画像診断 企画・編集:野澤久美子
序説 野澤久美子
新生児の頭部画像診断のエッセンシャル−正常解剖と主要病態− 加藤亜結美ほか
頸部腫瘤 中川基生ほか
呼吸器感染症 巷岡祐子
先天性心疾患 田波 穣
急性腹症 渕上淳也ほか
肝・胆・膵疾患 赤坂好宣
尿路感染症 宮坂実木子
骨外傷 古川理恵子
特集2:小児領域の核医学検査・PET検査の読影と管理上の注意点 企画・編集:西村元喜
序説 西村元喜
小児核医学検査適正施行のコンセンサスガイドラインについて 西村元喜
核医学検査(腎・泌尿器領域) 伊藤和夫ほか
小児シングルフォトン検査の工夫と使い方 小谷知也ほか
小児のPET検査 中井義知ほか
連載
・何としても読んでもらいたい あの論文,この論文
[第27回]
PET/CTの吸収補正で造影CTを用いるとPETの定量値はどの程度変化するか? 中本裕士
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書籍情報
- ISBN:9784008004410
- ページ数:0頁
- 書籍発行日:2024年9月
- 電子版発売日:2024年9月21日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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