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- 医学・看護論文を読み解いて臨床に活かす方法 Evidence-based Medicine/Nursingのすべて
商品情報
内容
「Evidence based medicine/nursing(EBM/N)の実践はむずかしい…」と感じている看護師の皆さんへ!
EBM/Nって具体的にどういうものかをしっかり知りたい医療従事者の皆さんへ!
本書では、
・もやもやとした臨床疑問を明確なものにする!
・あふれるほどの情報源から正確かつ必要な情報にたどりつく!
・統計や研究デザインを理解して、論文を批判的に読みこなす!
・質の高いエビデンスを患者さんに役立つよう現場に取り入れる!
・実践したエビデンスをきちんと評価して、今後に活かす!
という5つのステップに沿って、EBM/Nの基礎知識から実践的なスキルまで
わかりやすく解説していきます。
本書の監修となっているのは
EBMを実践する基盤となる学問領域である臨床疫学分野で
医療ビッグデータやさまざまな研究データを分析し、
多岐にわたる研究成果を上げてきた東大・康永秀生先生。
そして、著者・森田先生は、看護師経験を経て
康永研で学んだ知識と経験を本書に反映させ、
臨床で役立つようにEBM/Nのステップをわかりやすく示しています。
「よりよい臨床をつくっていきたい!」という思いを抱えているみなさん、
本書をそのスタートとしてください!
序文
はじめに
Evidence-Based Medicine(科学的根拠に基づく医療)やEvidence-BasedNursing(科学的根拠に基づく看護)という言葉をよく耳にするようになりました.本書は,看護分野だけでなく幅広い医療分野の題材も取り上げているため,Evidence-Based Medicine/Nursing( EBM/N)という総称を用いています.
しかし,EBM/N という言葉の意味が,次のように誤解されることがあります.
「エビデンスには従わなくてはいけない」
「エビデンスがなければやってはいけない」
「すべての論文の結果は正しい」
「論文の結果に従っておけば何でもできる」
これらはすべて間違った認識です.本書は,このようなEBM/N に対する誤解を解きながら,読者の方々にEBM/N に関する基礎知識と実践的なスキルを身に付けていただくことを目的としています.
本書執筆のきっかけは,筆者自身の臨床経験にあります.筆者は看護師として臨床に従事していました.その際,EBM/N の実践に困難を感じていました.個々の臨床研究が,どのような対象や条件で実施され,得られた結果がどのような意味を持つのか,研究の限界は何か? ―これらについて考慮されることがないまま,「エビデンスがある」という言葉で片付けられ,安易に実践に導入されることがあります.このようなEBM/N に対する誤解に対して,強い違和感を覚えました.
筆者はその後,東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻(公衆衛生大学院)に入学し,修士・博士課程で臨床疫学を修めました.その過程でEBM/N の本質について学び,臨床看護師であった当時の違和感が正しい感覚であることに自信を持てました.そして,医療の現場ではいまだにEBM/N の本質が正しく理解されておらず,エビデンスが誤って臨床に適用されていることに危機感を持ちました.そのような経緯から,本書の執筆に至った次第です.
すでにEBM/N は医療において当たり前の考え方とされているにもかかわらず,医学教育や看護教育において十分に教育されているとは言えません.これまでのEBM/N に関する教育プログラムや書籍は,文献検索や文献の批判的吟味に重点が置かれてきました.しかし,実際に目の前の患者にどのようにエビデンスを適用するのか,というEBM/N の本質にかかわる教育や情報提供が不足しています.
本書は,EBM/N に必要なステップのすべてをカバーしています.本書を参考にすれば,ステップを踏みながらEBM/N の実践から評価までが行えるように構成されています.2018 年のJAMA Network Open 誌に,「医療従事者のためのEBM/N 実践におけるコアコンピテンシー」という文献が公表されました〔JAMANetw Open.1(2) : e180281, 2018〕.本書はこの文献に基づいて,EBM/N 実践に必要な能力として挙げられている項目を網羅し,詳細な解説を加えました.
本書の読者対象は,すべての看護師・看護学生です.初学者の方にもわかりやすい解説を心掛けました.EBM/N 実践の先導役となりえる管理職の方々や,認定看護師・専門看護師などのスペシャリストにも,十分に読み応えのある内容となっています.また,看護師以外のすべての医療従事者にもお読みいただける内容となっています.
具体的に,各章の内容を簡単に紹介してみます.
第1 章「Evidence-Based Medicine/Nursing とは?」では,導入としてEBM/N の誤解や困難感を共有することから始め,臨床上の疑問を6 つのタイプに分類・整理する考え方を提供しています.
第2 章「EBM/N のStep 1・2:臨床上の疑問を明確にしてエビデンスを探し集める」では,EBM/N のStep 1 ~2について解説しています.Step 1 として,頭の中でもやもやしている曖昧な臨床疑問を明確にする方法を解説しました.つぎに,Step 2として,「エビデンスの元になるような情報とは?」「学術論文とは?」などの基礎知識やさまざまな情報源から情報収集する方法を解説しました.ぜひ本書を片手にPC を操作して情報収集してみてください.
第3 章「EBM/N の Step 3:①批判的吟味に必要な疫学・統計学の基礎知識」と第4 章「EBM/N のStep 3:②研究デザインを把握しよう」では,避けては通れない疫学・統計学・研究デザインの基礎知識について解説しました.ここでは難しい専門用語や概念が多く含まれるため,通読だけではなく状況に応じて必要な箇所を読むのもおすすめです.
第5 章「EBM/N のStep 3:③論文の読み方と批判的吟味」では,論文の読み方のポイント,批判的吟味が持つ本来の意味合い,批判的吟味ツールやGRADE アプローチなどを紹介しています.
第6 章「EBM/N のStep 4:エビデンスの患者への適用と現場への導入」では,質の高いエビデンスが得られたあとに,患者への適用で考慮すべきポイントと,近年発展を遂げている実装科学の知見に基づいてエビデンスを現場に取り入れる方法について実例を交えて紹介しています.
第7 章「EBM/N のStep 5:EBM/N 実践を振り返ろう」では,EBM/N にもとづく実践を評価するときのポイントを解説しています.
特に,第6 ~ 7 章の内容を網羅的に解説した成書は,私の知る限り日本には存在しません.そのため,この書籍がEBM/N 実践に関わるすべての医療従事者に役立つと期待しています.
また,「より深く学ぶためのワンポイント」では中~上級者でも満足できるような重要ポイントの解説,「Case に学ぶ」では実際の研究例や実践例を紹介するなど,本書の内容がより理解しやすくなる項目も随所に配置しました.
本書がEBM/N を学びたい皆さんや,EBM/N 実践を行いたいと考えている皆さんの助けになれば幸いです.
2024年1月
森田光治良,康永秀生
目次
【第1章 Evidence-Based Medicine/Nursingとは?】
1.Evidence-Based Medicine/Nursingとは?
1.Evidence-Based Medicine/Nursingの定義
2.EBM/Nにおけるエビデンスとは?
3.EBM/Nに対する誤解
4.EBM/Nを実践する手順
5.EBM/Nを実践するうえでの障壁
2.EBM/Nの第一歩:臨床上の疑問を挙げてみよう
1.EBM/Nのために探求心を持とう!
2.背景疑問と前景疑問
3.EBM/Nにおける前景疑問のタイプ
4.各前景疑問のタイプに適した研究デザイン
5.エビデンスのレベルに関する注意点
【第2章 EBM/NのStep 1・2:臨床上の疑問を明確にしてエビデンスを探し集める】
1.EBM/NのStep 1:臨床上の疑問を明確にしよう
1.問題の定式化とPI(E)COの利用
2.PI(E)CO設定のポイント
3.PI(E)COを用いた疑問の定式化
2.EBM/NのStep 2:エビデンスを探し当てよう
1.一次資料と二次資料
2.原著論文と学術雑誌
3.6Sモデルと6Sモデルに基づく情報収集
3.EBM/NのStep 2:エビデンスを集めよう
1.サマリーからの情報収集
2.統合の要約からの情報収集
3.統合からの情報収集
4.PubMedによる個々の研究の情報収集
5.Google Scholarによる個々の研究の情報収集
章末資料1.主な診療ガイドラインの情報源
章末資料2.看護師を対象とする診療ガイドラインの主な発行元
章末資料3.UpToDateに掲載される看護師向けの主なトピック
【第3章 EBM/NのStep 3:①批判的吟味に必要な疫学・統計学の基礎知識】
1.批判的吟味に必要な疫学の基礎知識
1.因果関係と関連性
2.誤差
3.妥当性と信頼性
4.内的妥当性と外的妥当性
5.アウトカム
6.利益相反
2.批判的吟味に必要な統計学の基礎知識
1.データの種類
2.統計学的指標
3.サンプルサイズと検定力
4.検定とP値
5.信頼区間
6.サブグループ解析
【第4章 EBM/NのStep 3:②研究デザインを把握しよう】
1.研究デザインを把握しよう
1.研究デザインの分類
2.ランダム化比較試験
3.コホート研究
4.症例対照研究
5.横断研究
6.症例報告/症例シリーズ
7.システマティックレビュー
8.診断研究
9.臨床予測モデル
10.質的研究
【第5章 EBM/NのStep 3:③論文の読み方と批判的吟味】
1.論文の読み方
1.原著論文の構造
2.情報の批判的吟味
1.批判的吟味とは?
2.批判的吟味を行うスキルは必要か?
3.批判的吟味ツールの活用
4.GRADE
5.報告ガイドライン
【第6章 EBM/NのStep 4:エビデンスの患者への適用と現場への導入】
1.エビデンスの患者への適用
1.患者への適用
2.一般化可能性と適用可能性
3.患者への適用に際して考慮すべきポイント
2.組織や患者を巻き込んでエビデンスを現場に取り入れる
1.エビデンス・プラクティス・ギャップと実装研究
2.障壁(阻害要因)と強み(促進要因)の評価
3.実装戦略のリスト
4.実装戦略の助けになるプロセスモデル
5.意思決定の共有と支援
【第7章 EBM/NのStep 5:EBM/N実践を振り返ろう】
1.EBM/N実践を振り返ろう
1.監査とフィードバック
2.EBM/Nの普及
おわりに
索引
コラム
①医療における10大進歩
②ランダム化比較試験でノーベル経済学賞!?
③ナイチンゲールは統計家としても有名?
④日本におけるEBM/Nに関連する情報源の利用状況
⑤文献検索エンジンは今や、聴診器と同じくらい必要不可欠!?
⑥ミルクティーは紅茶が先か? ミルクが先か?
⑦新薬開発の成功確率は?
⑧言語翻訳サービスの利用
⑨巨人の肩の上に立つとは?
⑩絆創膏をゆっくり剥がすのと早く剥がすのは、どちらが痛い?
⑪看護に関するChoosing Wiselyキャンペーン
⑫医療で「馬の鼻先にニンジンをぶら下げる」とどうなるか?
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書籍情報
- ISBN:9784880021300
- ページ数:180頁
- 書籍発行日:2024年3月
- 電子版発売日:2024年2月16日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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