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- あなたは物品を操作する手の動作を分析できますか? 手本位が解釈できる鎌倉方式の理解と応用
商品情報
内容
あなたは、患者さんが物品を操作する動作を分析できているだろうか。
手の回復に見合った、日常生活を獲得するための課題練習を提供できているだろうか。
障害手の評価が、手の動作分析ではなく、関節の動きの分析になっていないだろうか。
手の動作の、なにを、どのような目的と根拠で、どのような結果を目指して訓練しているのか、経過の中で何がよくなったのか、患者さんや他職種に説明することができ、そして共有できているだろうか。
練習課題として動作の獲得を目指すならば、セラピストも患者も障害手が有している現時点の特性を知るとともに、目標となる動作の特徴を詳しく理解する必要がある。そのために、セラピストは”手そのもの”を直に観察し、表記し、その動作の特徴を説明できる力を備える必要がある。
本書ではこのことを可能とする “手本位”の動作分析・表記方式である『鎌倉方式』を紹介するともに、『鎌倉方式』を習得するための演習を提供し、応用実践例や身近な手の動作の特徴の理解、練習課題の例を提案する。
あいまいな巧緻性動作訓練から脱却し、この方式を使って、手の動作の本質を見る目を養おう。
序文
序文
ひとはどのように手を使っているのでしょうか.実はあまり知られていないのが現状ではないでしょうか.物品を操作する手については,なおさらです.多くは対象物品について分析していることが多く,その物品を手がどのように動かしているのかについて,明確に書かれているものは少ないように思います.
手の物品操作について説明しているものの多くは,“手,そのものの動き”よりも,手が扱う物体に着目していることが多いと思います.そうすると,臨床的評価も動作練習も“物体中心”の観点から行うことになると思います.もちろん,手の動作をみるときには,手が把握したり,操作している物品の側面からみることも必要です.しかし練習課題として動作の獲得を目指すならば,障害手が有している現時点の特性を知るとともに,目標となる動作の特徴を詳しく理解する必要があります.そのために,セラピストは“手そのもの”を直に観察し,表記し,その動作の特徴を説明できる力をそなえる必要があります.
鎌倉先生は,そのたぐいまれな分析力,表現力,創造力を駆使して,永年,手と対峙し,“手本位”の分析・表記方式を創りだしました.これがまさに,『鎌倉方式』なのです.
本書の目的は,その『鎌倉方式』の使い方を知ってもらい,臨床で利用してもらうことです.
具体的には,①動作の分析と記述に関する鎌倉方式の存在を知ってもらうこと,②鎌倉方式とはどのようなものかを伝えること,③演習の提供によって鎌倉方式の理解と習得を助けること,④鎌倉方式を使うことの利点を知らせること,⑤応用実践例を紹介し,身近な動作の特徴の理解,練習課題の例を提案すること,などにあります.
鎌倉先生には,本書の構成および『鎌倉方式』の解説について,たび重なるご指導をいただきました.なんとか完成を見届けていただきたいと願って思っておりましたが,とても残念なことに,それはかなわぬことになってしまいました.
この『鎌倉方式』,それ自体は非常に明確に構成されているのですが,今までだれも思いつかなかった独特の用語や表記法を用いており,ともするとその用語の馴染みにくさから,難解で面倒に見えるかもしれません.これはとても残念なことだと強く感じています.しかし,実際に試してみると,意外に簡単だと思われるのではないかと思います.これほど明快に手の動作を分析し,それを簡潔に記述できるものはないと考えます.これを使っていただくことで,見えてくる手の動作の詳細を期待して,実際に物品を使い,手を動かしながら読み進めていただきたいと思います.
最後になってしまいましたが,第5章の分析について,佐々木裕子氏(独立行政法人国立病院機構 横浜医療センター)に臨床家の立場からたいへん貴重なご意見をいただきました.ここに紹介し,お礼申し上げます.
また,三輪書店書籍第一編集室の佐々木理智氏には,多大なお力添えをいただきました.本書の膨大で詳細な記述や記号による表記について,佐々木氏の緻密で丁寧な編集作業がなければ,本書は完成できなかったと思います.心から感謝申し上げます.
本書が,鎌倉矩子先生の手にたいする積年の思いと,後生のセラピストに託した夢を伝え,『鎌倉方式』が普及するきっかけとなることを切に願って.
2024年2月 中田眞由美
目次
第1章 まずカードの繰り出し動作を分析してみよう
1・1 関節運動の視点から観察と記述を試みる
1・1・1 カードの繰り出しA
1・1・2 カードの繰り出しB
1・1・3 カードの繰り出しA,Bにおける関節運動
1・2 フォームとパターンの視点から動作の観察と記述を試みる
1・2・1 カードの繰り出しAの分析と記述
1・2・2 カードの繰り出しBの分析と記述
1・3 鎌倉方式の特色
◆ 鎌倉方式では手の“全体”と“部分”が明らかになる
◆ 鎌倉方式では“静”と“動”が明らかになる
◆ 鎌倉方式は“指の分離”の状況を明らかにする
◆ 鎌倉方式は物品を扱う動作のための表記法である
◆ 鎌倉方式は動作の“理解”をたすける
1・4 まとめ
第2章 鎌倉方式とは―手のフォームと動きのパターンを表記する方法
2・1 “手本位”の動作学
2・2 静的な過程と動的な過程
2・3 把握のフォームとその表記
2・3・1 把握とは
2・3・2 把握のフォームの分類
2・3・3 把握の類型とその特徴
2・3・4 類型に当てはまらない場合の対処法
2・3・5 把握の類型と物品・個人との関係
2・4 非把握のフォームとその表記
2・4・1 非把握とは
2・4・2 非把握のフォームの分類
2・4・3 非把握の類型とその特徴
2・4・4 “受け身の手”について
2・5 手の動きのパターンとその表記
2・5・1 手の動きのパターンとは
2・5・2 動作の区間とその分析
2・5・3 指列の動きとその種類
2・5・4 母指列の特殊性
2・5・5 5本の指列の動きを“1つのパターン”に変換する方法(XYZ連記法)
2・5・6 反力の影響下にある指列の扱い
2・5・7 実動作への適用
2・5・8 “指の分離”について
2・5・9 指の分離が生じる状況とは
2・6 まとめ
第3章 基礎演習―鎌倉方式を使いこなすために
3・1 基礎演習1:把握のフォーム
3・1・1 鉛筆を使って把握のフォームをつくってみよう
3・1・2 鉛筆を用いた把握のフォームの形成結果
3・2 基礎演習2:非把握フォーム
3・2・1 非把握のフォームをつくり,以下の動作を行ってみよう
3・2・2 非把握のフォームの形成結果
3・3 基礎演習3:指列の動き
3・3・1 指列の動きを読みとってみよう
3・3・2 関節運動の観察と指列の動きへの変換の結果
3・4 基礎演習4:動きのパターン
3・4・1 XYZ連記法を使って動きのパターンに変換しよう
3・5 まとめ
第4章 私たちはこんなふうに手を動かしている―鎌倉方式を使うとわかる手の動作の詳細
4・1 はさみを使う
4・1・1 はさみを開閉する手を分析してみよう
4・1・2 はさみを使う手を観察するポイントとは
4・1・3 練習課題の進め方
4・2 机上のコップを取り上げる
4・2・1 コップを上から掴む動作を分析してみよう
4・2・2 コップを側面から掴む動作を分析してみよう
4・2・3 接近方法の異なる“コップを掴む動作”を比較してみよう
4・2・4 コップを掴む動作を観察するポイントとは
4・2・5 練習課題の進め方
4・3 筆記具を使う
4・3・1 鉛筆を使う手を分析してみよう
4・3・2 鉛筆を使う手を観察するポイントとは
4・3・3 練習課題の進め方
4・4 箸を使う
4・4・1 手は箸をどのように開閉しているのだろうか
4・4・2 箸の開閉動作(AV型)を観察するポイントとは
4・5 手袋をはめる
4・5・1 手はどのようにして手袋をはめているだろうか
4・5・2 手袋をはめる動作を観察するポイントとは
4・5・3 練習課題の進め方
4・6 まとめ
第5章 “治療用具”を使う意味―鎌倉方式による分析から物品操作の基本を理解しよう
5・1 円錐形物体の把握
5・1・1 どのような把握のフォームで持っているだろうか
5・1・2 把握のフォームの維持と変換
5・1・3 円錐形ブロックから日常物品の把握へと練習を進めよう
5・2 2個のボールを掴む動作
5・2・1 2個のゴルフボールを掴む動作を分析してみよう
5・2・2 2個のゴルフボールを掴む動作の特徴とは
5・2・3 2個のゴルフボール掴み動作を観察するポイントをつかもう
5・2・4 練習課題としての意義と練習方法―2個のボール掴み
5・3 2本の鉛筆を取り上げる動作
5・3・1 2本の鉛筆を取り上げる動作を分析してみよう
5・3・2 2本の鉛筆を取り上げる動作の特徴とは
5・3・3 2本の鉛筆を取り上げる動作を観察するポイントをつかもう
5・3・4 2種類の物体の取り上げ動作を比較してみよう―難易の度合いが高いのはどちらか,またその理由は?
5・3・5 練習課題としての意義と練習方法―2本の鉛筆の取り上げ
5・4 手の中で物品を回転する動作―ペグの回転
5・4・1 ペグを回転する動作を分析してみよう
5・4・2 ペグを回転する手の動作を比較してみよう
5・4・3 ペグを回転する動作を練習する意義とは
5・5 手の中で物品を回転する動作―コインの回転
5・5・1 コインを回転する動作の分析
5・5・2 コインを回転する動作の特徴とは
5・5・3 コインを回転する動作を観察するポイントをつかもう
5・5・4 練習課題としての意義と練習方法―コインの回転動作
5・6 手の中で物品を持ち直す動作―鉛筆の持ち直し
5・6・1 鉛筆を持ち直す動作の分析
5・6・2 鉛筆を持ち直す動作の特徴とは
5・6・3 鉛筆の持ち直し動作を観察するポイントをつかもう
5・6・4 練習課題としての意義と練習方法―鉛筆の持ち直し動作
5・7 手に載せた2個の物体をまわす動作―2個のボールまわし
5・7・1 2個のボールを手の中でまわす動作を分析してみよう
5・7・2 2個のボールをまわす動作の特徴とは
5・7・3 2個のボールをまわす動作を観察するポイントをつかもう
5・7・4 練習課題としての意義とその練習方法―2個のボールまわし
5・8 まとめ
第6章 動作のどこを変えるのか―鎌倉方式を使って見つける箸操作練習の要点
6・1 箸操作練習
6・1・1 健常者の箸操作パターンの類型
6・2 箸操作の練習に“ピンセット型箸”を使う意味はどこにあるか
6・2・1 ピンセット型箸の操作
6・2・2 介助箸と普通箸を使った手の動作を比較してみよう
6・3 箸の操作パターンを変更してみよう
6・3・1 箸操作パターンのAV型とAI型の違いについて理解しよう
6・3・2 AI型からAV型の箸操作パターンに変更してみよう
6・4 箸操作の練習方法とは
6・5 まとめ
文献一覧
索引
付録 早見表:手のかたちと動き(静止のフォームと動きのパターン)
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書籍情報
- ISBN:9784895908153
- ページ数:142頁
- 書籍発行日:2024年4月
- 電子版発売日:2024年4月23日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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