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- 新生児・乳児の救急電話相談ガイドブック
商品情報
内容
初めての子育てのうえ、わが子が病気かもしれないと戸惑う親の安心を得るために、電話のなかでどのように伝えたらよいか。そのスキルを身につける一助に本書が役立ちます。
序文
序文
夜間に子どもの病気やけがで困ったときに電話で相談できる#8000(子ども医療電話相談)には多くの利用があります。電話では子どもの姿が見えず,保護者の言葉だけから確実な所見を得ることは難しく,相談員は保護者が聞きたいことに対して,保護者が行動するための情報提供を行う支援的対応が求められます。筆者らは電話相談のあり方について『これからの小児救急電話相談ガイドブック』1)を作成し,研修を行ってきました。
#8000 では0歳児の保護者からの相談が多く,うち約5%が生後1か月未満の新生児の相談です2)。新生児は未熟で,保護者はまだ数日~数週間しか接していない子どもの状態を把握することが難しく,夜間救急受診も母子の負担になるため,電話の対応も難しいと感じます。重症疾患のほとんどは胎生期や出生直後に発見されているので,大きなトラブルがなく退院した母子における相談は,子どもの未熟性や生理的範囲のものであるのかがわからない育児相談的な内容がほとんどです。しかし,わずかに潜む重症疾患では急変する危険性もあります。保護者が落ち着いて子どもを観察できるために,相談員には,一定の尺度や知識をもち,保護者の不安を受け止め,納得を得る情報提供が求められます。本書は新生児に関して生理的範囲で起こりうる状態と,疾患を示唆する症状について解説しています。また,生後2~4か月とおよそ5か月以後においては前述の書籍1)を補うように本書を編集しました。新生児や乳児の相談を受ける立場にある小児期や周産期の医療者に活用していただければ幸いです。
夜間に受診が必要な場合,在宅の新生児の受け入れ先は一次救急医療機関ですが,周産期センターなど産科と小児科が併設されている病院で出産した場合はその施設で,育児不安が非常に強い場合は出産した産科で受け入れが可能な場合も多いようです。育児の具体的なケアを電話で伝えるには限界があり,対面の指導が必要でしょう。日中の育児相談は市町村の保健センターなどをとおして,新生児訪問事業や産後ケア事業などが利用できます。切羽詰まって電話した保護者の気持ちを受け止め,心配を軽減できることで,人を頼る気持ちを育て,よい形で次につながることが期待されます。
本書を編集する過程で,新生児の経過観察をどうするか検討し,「次の授乳まで様子をみてください」というフレーズを思いつきました。新生児は2~3時間ごとの授乳が必要で,その間隔で哺乳力を確認することが,異常に気づくことに役立ちます。「○時間ごとに,○○の症状をチェック」ではなく,新生児の哺乳しようとする力を母親の感じる力で受け止める母子相互関係が大きな力になることを再認識しました。
本書の多くは診療経験をとおして得た情報ではなく,成書を調べて執筆したものです。診療現場の感覚でみると,言葉足らずや誤解を招く表現があるかもしれません。お気づきの点やご意見がありましたらご一報いただき,本書を育てていただければ幸いです。本書は,大阪府小児救急電話相談において作成された「新生児マニュアル」を土台に内容を整理し,さらに乳児版を加えました。「新生児マニュアル」の作成にご協力いただいた阿部榮子さん,小倉あゆみさん,川内千晴さん,的場仁美さん,芝奈都子さんに深謝いたします。
文献
1) 福井聖子,白石裕子・著:これからの小児救急電話相談ガイドブック.へるす出版,東京,2017.
2) 福井聖子,三瓶舞紀子,金川武司,他:大阪府小児救急電話相談(#8000)に寄せられる新生児の相談と育児不安の検討.母性衛生 58(1):185-191,2017.
8月吉日
福井聖子
目次
第Ⅰ章 総 論
新生児期の電話相談を受けるにあたって
新生児期の生理的特徴(機能的発達)
乳児期の電話相談を受けるにあたって
1 発熱
+α 新生児敗血症
2 低体温
+α 先天性甲状腺機能低下症
+α 重症感染症
3 嘔吐,吐乳溢乳
+α 胃軸捻転
+α 腸回転異常
4 お腹が張る腹部膨満
+α ヒルシュスプルング病
5 便の異常(回数色)
+α 新生児と乳児のビタミンK欠乏性出血症
6 尿の異常(回数色)
7 呼吸の異常
+α 先天性横隔膜ヘルニア
8 鼻閉(鼻づまり)
9 飲まない
10 泣きやまない
+α ヘアターニケット症候群
11 眠らない,眠りすぎる
12 手足のピクつき,異常運動,発作
+α 新生児発作(新生児けいれん)
13 頭部外傷
14 皮膚の色①チアノーゼ
+α 先天性心疾患
15 皮膚の色②黄疸
+α 胆道閉鎖症
16 皮膚のトラブル(湿疹)
+α ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)
17 口腔の症状
18 眼の症状
19 臍の症状
20 外陰部の症状
21 しゃっくり
22 胸の形態異常など
第Ⅲ章 乳児期の症状
1 発熱
2 嘔吐,吐乳溢乳
+α 新生児乳児食物蛋白誘発胃腸症(新生児-乳児消化管アレルギー)
3 下痢,便の異常
4 便秘
5 咳
6 呼吸困難,息が苦しそう,喘鳴
7 飲まない
8 泣きやまない,不機嫌
+α 不整脈
9 手足が冷たい,顔色が悪い
+α 乳幼児突然死症候群(SIDS)
+α 乳幼児突発性危急事態(ALTE)およびBRUE
10 けいれん手足のピクつき
+α 点頭てんかん(West症候群)
11 発疹
12 熱中症
13 外傷
14 誤飲
第Ⅳ章 新生児期の感染症
新生児期の特徴
細菌感染症
ウイルス感染症
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書籍情報
- ISBN:9784867190982
- ページ数:144頁
- 書籍発行日:2024年9月
- 電子版発売日:2024年9月12日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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