移植人生のための患者・医療者マニュアル

  • ページ数 : 298頁
  • 書籍発行日 : 2024年9月
  • 電子版発売日 : 2024年11月5日
6,600
(税込)
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商品情報

内容

移植患者と医療者の絆を深めるための座右の書!移植人生とは? 医療チームとの二人三脚で歩むための要点をわかりやすく解説。ドナーやレシピエントの本音を「コラム」「インタビュー」に記載!臓器移植にかかわる医師、看護師、コーディネーターなど、医療従事者必携の書‼

序文

はじめに―読者の皆様に―

「移植人生 Transplant Life」とは、私が移植された多くの患者さんと出会い、これまで長く寄り添いながら診てきた経験の中で自然に生まれた言葉です。おそらく本書が最初に使っている言葉だと思います。

移植を受ける患者さんたちは、移植日である第二の誕生日に移植人生の旅に出ます。患者さんはその切符を贈っていただいたドナーさんに心から感謝し、その後の人生が実りあるものになることを念じて出発します。

移植後は、学校に行ったり働いたり普通の社会生活を送っていきますが、同時に、拒絶、感染症、腫瘍などの予防と治療、他臓器の管理について、医療チームと二人三脚で、健康的な移植人生を築いていきます。

わが国における移植患者さんの末永い健康を願い、患者さんと医療者の絆をより強くするための座右の書としてまとめました。患者さんをはじめ、読者の皆様に少しでもお役に立てますことを心より願っております。

本書は、各臓器移植のエキスパートばかりでなく多くの方々から多大なご協力を頂きました。山梨大学医学部教授の荒神裕之氏には、患者と医療チームの絆のための医療メディエーションの重要性についてご指導頂きました。ぱーそん書房の山本美惠子氏には類を見ない本書の上梓に献身的な努力を積み重ねて頂きました。

ありがとうございました。


2024年9月吉日

「移植人生のための患者・医療者マニュアル」編集委員長
一般社団法人 日本移植学会 医療安全委員会 前委員長
東京女子医科大学 特任教授
布田 伸一

目次

総論

1. 移植人生における患者と医療者の相互理解

移植待機前から移植後慢性期に至る長期間の医学的管理

相互理解における行き違いへの対応 

移植医療におけるNBMの重要性

2. 移植人生における医療メディエーターの役割

わが国における医療メディエーターを取り巻く状況

移植医療における医療メディエーターの展開

移植人生を支える医療メディエーター

コラム グリーフケアとは

3. 救命救急医からみる臓器提供現場への想い

患者自身の想い

患者・家族の支援

臓器提供の選択肢の提示

臓器提供のプロセス

コラム 救急現場での救命救急医の本音

4. JOTドナーコーディネーターからみる臓器提供現場への想い

ドナーコーディネーターの必要性

臓器提供プロセスと関係機関との連携

ドナーコーディネーターによる家族支援

コラム ドナーコーディネーターの涙と笑顔

5. 地域医療における臓器提供

臓器提供とは

地域における臓器提供の事例

臓器提供にかかる対話

6. 脳死下・心停止後臓器移植待機中の患者と医療者の信頼構築

わが国における脳死下臓器移植の現状

長い待機期間の苦悩(具体例)

7. 脳死下・心停止後臓器移植後の患者と医療者の信頼構築

移植後の身体的側面

移植後の精神的側面

信頼構築

小児期に心臓移植を受けた具体例

8. 生体腎移植前におけるドナー・レシピエント・医療者の信頼構築

腎代替療法選択のジレンマ

生体移植における意思決定プロセス

信頼構築についてー医療サイドから思うこと

言いにくいが言わねばならないこと

9. 生体腎移植後におけるドナー・レシピエント・医療者の信頼構築

相互理解を阻む「溝」

「溝」を埋める説明方法

EBMとNBM

生体ドナーとの「溝」

それぞれの段階での留意点

10. 移植患者のこころの変遷

移植まで

「移植」という言葉

待機期間

周術期

社会復帰

その後の人生

11. 移植医療における精神科リエゾンの役割

移植前に行われる精神科リエゾンによる精神・心理面の評価

臓器不全や移植に関連して生じる精神障害への対応

アドヒアランスへの対応

12. 医療ネットワークによる患者と医療者の相互理解

移植前における医療ネットワークの必要性

移植後における医療ネットワークの必要性

患者会、患者同士のネットワーク

13. 地域における遠隔医療ネットワーク

遠隔診療の実際

北海道における遠隔医療の取り組み

14. 小児移植医療におけるネットワーク

デジタル化で実現する質の高い移植後の管理

病院(医療者)間のネットワーク

病院(医療者)と患者をつなぐネットワーク

患者と患者(社会)をつなぐ医療ネットワークーSNSの活用

医療ネットワークの課題

15. 小児移植医療とチャイルド・ライフ・スペシャリスト

小児臓器移植医療のさまざまな状況

「選ぶ」「待つ」「つなぐ」を支える

きょうだい・家族との「つながり」を支える

移植人生を支える

移植とともにある希望を支える

16. 小児における終末期、移植時の注意点、アセント方法

子どもの権利

話し合いのあり方

チェックリスト

話し合いの実際

コラム 小児移植における移行期医療(トランジション)

コラム イスタンブール宣言の本意と移植ツーリズム

コラム 外来受診心得のヒント

各論

1 心臓移植

1. 移植前における移植実施施設と非実施施設の連携

心臓移植の適応となる患者の紹介

移植待機中の移植実施施設と非実施施設の連携の工夫

アドバンス・ケア・プランニング、意思決定支援

具体例

2. 移植後における移植実施施設と非実施施設の連携

免疫抑制薬

感染症

日常生活

服薬の注意点

栄養および代謝異常

悪性腫瘍

具体例

3. 移植人生における患者と医療者の相互理解

移植実施施設への紹介~移植の適応に至るまで

移植実施施設での診療開始~移植の適応検討に至るまで

心臓移植待機から移植手術、そして退院まで

退院後のケア

レシピエントコーディネーターからみた患者と医療者間の相互理解

コラム 心臓移植を待機している40歳代男性の想い

コラム 心臓移植から30年を経て、今思うこと

2-1 肺移植

1. 移植前における移植実施施設と非実施施設の連携

紹介のタイミング

移植適応評価

待機中の外来の役割

待機中における非実施施設の関与

待機中の患者に対するアドバンス・ケア・プランニング

伝えたい症例

コラム 移植実施施設間の連携、日本臓器移植ネットワークとの連携

2. 移植後における移植実施施設と非実施施設の連携

免疫抑制薬

感染症

自己モニタリングの重要性

妊娠・出産について

栄養・代謝異常など

悪性腫瘍

コラム 脳死下肺移植患者の想い

3. 移植人生における患者と医療者の相互理解

待機前から移植後慢性期に至る長期間管理

患者と医療者の相互理解

コラム さまざまな部署との連携で成り立つ移植医療

2-2 生体肺移植

1. 生体肺移植特有の患者と医療者の相互理解

生体肺移植患者の想い

生体肺移植ドナー

意思決定とそれぞれの想い

生体肺移植特有の問題

患者の意思が確認できない時

生体肺移植に係る費用、社会制度

生体肺移植を支える家族の協力体制

生体肺移植手術とリハビリテーション

維持管理

コラム 生体肺移植患者の想い

コラム 生体肺移植ドナーの想い

3-1 肝臓移植

1. 移植前における移植実施施設と非実施施設の連携

アドバンス・ケア・プランニングの重要性

非実施施設の役割と移植実施施設との連携

2. 移植後における移植実施施設と非実施施設の連携

非実施施設の役割と移植実施施設との連携

移植後管理の注意点

3. 移植人生における患者と医療者の相互理解

移植検討から移植決定、移植待機

移植後、急性期から一般病棟、退院へ

退院から長期外来管理

3-2 生体肝移植

1. 生体肝移植特有の患者と医療者の相互理解

生体肝移植ドナーの心理学的状態

ドナー手術に伴うリスクへの理解

生体肝移植におけるドナーの心情

インタビュー 生体肝移植後ドナーの想い

インタビュー 生体肝移植後レシピエントの想い

4-1 腎臓移植

1. 移植前における移植実施施設と非実施施設の連携

腎不全に対する治療法としての腎臓移植

移植実施施設への受診

移植待機

腎臓移植の費用

インタビュー 献腎移植登録後、20年以上待機

2. 移植後における非実施施設の役割

免疫抑制薬

感染症

退院後の生活

3. 移植人生における患者と医療者の相互理解

移植腎機能低下への心配

再発腎炎への心配

移植腎機能廃絶の時間経過

腎臓移植後の透析の可能性

移植腎機能が悪化した次の治療法

移植腎廃絶後の問題点

ドナーに移植腎機能の悪化を言えない

4-2 生体腎移植

1. 生体腎移植におけるドナーと医療者の相互理解

生体ドナーの要件 221

生体ドナーになるか迷っている時の相談相手

生体ドナーになれるかどうかの検査

待機中の管理

生体ドナー不適格の際の対応

腎臓提供後の腎機能

腎臓提供後の管理

腎臓提供後の心の問題

生体ドナー手術の実際

コラム レシピエントの私―生体ドナーになった夫への想い

コラム 生体腎移植ドナーの立場から

コラム 生体腎移植レシピエントの立場から

5-1 膵臓移植

1. 膵臓移植と膵島移植

膵臓移植と膵島移植の違い

膵臓移植と膵島移植の両方の登録

2. 膵臓移植前における移植実施施設と非実施施設の役割

適 応

登録までの流れ

登録時の検査

登録から移植まで

3. 膵臓移植後における移植実施施設と非実施施設の役割

膵臓移植希望の患者数と移植順

待機期間

入院のタイミングと入院期間

治療成績

免疫抑制療法と注意点

拒絶反応

感染症予防と治療

通院、血糖測定、インスリン注射など

4. 移植人生における日常生活

食事、運動、性生活などの制限

費用と社会保障

5-2 膵島移植

1. 膵島移植前における移植実施施設と非実施施設の役割

膵島移植について

対象糖尿病患者

実施までの流れ

登録のための検査

待機期間中の留意点

2. 膵島移植後における移植実施施設と非実施施設の役割

膵島移植登録患者数

治療成績

免疫抑制療法

免疫抑制薬の注意点

拒絶反応への対応

感染症予防

食事、運動、性生活

通院、血糖測定、インスリン注射など

3. 移植人生における日常生活

膵島移植の待機期間

費用、社会保障

待機中の注意事項

入院期間

日常生活での注意点

社会復帰

結婚、妊娠・出産

6 小腸移植

1. 移植前における移植実施施設と非実施施設の連携

非実施施設からの紹介のタイミング

腸管リハビリテーションとは

待機中の非実施施設の関与

待機中の患者サポートと教育

非実施施設~移植実施施設~腸管リハビリテーションの例

2. 移植後における移植実施施設と非実施施設の連携

腸管リハビリテーションプログラムにおける非実施施設の役割

非実施施設における術後管理

患者からみた小腸移植

3. 移植人生におけるメンタルケアと日常生活

メンタルケア

日常生活

レシピエントコーディネーターの役割

付録

1. 移植の方法

2. 費用と社会保障

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書籍情報

  • ISBN:9784907095918
  • ページ数:298頁
  • 書籍発行日:2024年9月
  • 電子版発売日:2024年11月5日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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