糖尿病治療ガイド2024

  • ページ数 : 164頁
  • 書籍発行日 : 2024年11月
  • 電子版発売日 : 2024年11月26日
1,100
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商品情報

内容



本書は日本糖尿病学会が総力を挙げて編集・執筆したガイドブックで,コンパクトな1冊ながら,糖尿病診療の基本的な考え方から最新情報までをわかりやすくまとめた,充実した内容となっている.内科医はもとより,他科の医師,医療スタッフなどにもご好評いただき,広く活用いただいている.今回の改訂でも,GIP/GLP-1受容体作動薬の追加をはじめ,2024年10月現在の最新の内容となるようアップデートしている.

【主な改訂のポイント】
◎「糖尿病診療ガイドライン2024」に準拠しつつ,診療上必要な専門家のコンセンサスも掲載.
◎GIP/GLP-1受容体作動薬の追加など,最新の薬剤情報にアップデート.
◎「2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム(第2版)」に基づいた経口薬療法および注射薬療法の解説.
◎緩徐進行1型糖尿病の診断基準や糖尿病患者の脂質管理目標値,糖尿病性腎症の病期分類など,最新の基準・目標値の内容を反映.
※本書は2024年10月現在の内容に基づきます.

序文

はじめに

この『糖尿病治療ガイド』は1999年に初版が作成され,以降ほぼ2 年おきに改訂され,約25 年にわたって発行されている.本書は基本的には糖尿病を専門としないが糖尿病の診療に携わっておられる実地医家の先生方や医療スタッフの方に役立つように,現時点での糖尿病診療を行ううえでの標準コンセプトを示すことを目的としている.したがって,本書では,専門的すぎる内容に関しては記載していない.さらには,診療ガイドラインとの整合性を重視しつつも,現時点で必ずしもエビデンスが十分でないことについても,診療上必要なことに関しては,わが国の診療実態等を勘案したうえで専門家のコンセンサスとして掲載していることに留意していただきたい.

本書は,日本糖尿病学会会員から選ばれた委員に加えて,日本医師会から黒瀨巌常任理事にも御参画頂いて「“ 糖尿病治療ガイド」編集委員会”を組織し,著作・編集を行った.今回の改訂では,主に,本学会の出版物・ガイドラインならびに他学会のガイドラインとの整合性の観点から内容の見直しを行い,「緩徐進行1 型糖尿病の診断基準」(9 ~10 頁),「表19 糖尿病患者の脂質管理目標値」(72 頁),「表21 糖尿病性腎症病期分類2023」と「付表」(78・79 頁),「図18 糖尿病関連腎臓病(DKD)の概念図」(80 頁),およびこれらに関連する記述の部分に変更を加えている.とくに,6章「薬物療法」では,今回新たに「図15 2 型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム(第2 版)」と「別表」(50・51 頁)を掲載した.アドボカシー活動の進展を受け,本書で用いている言葉の変更が必要かどうかについて,前回に引き続き今回の改訂でも議論がなされたが,いまだ適切な基準がないため,全面的な変更は見送った.ただし,一部の用語については本書全体で表現の見直しを行っている.また,毎回の改訂と同様に6 章「薬物療法」(49 ~ 72 頁)および付録(134 ~ 143 頁)において,GIP/GLP–1 受容体作動薬を追加するなど2024 年10月現在の最新の薬剤情報にできるだけアップデートした.

それ以外にも,本学会の学術評議員の皆様や日本医師会などからのご意見を基に,必要な修正を加えた.ご協力いただいた皆様に,この場をお借りして厚く御礼を申し上げたい.本書が,日々進歩している糖尿病治療の理解に役立ち,毎日の診療に一層活用されることを願ってやまない.


※ 本書は「糖尿病診療ガイドライン2024」や日本糖尿病学会のRecommendation,委員会報告等に準拠しつつ,現時点の標準的な糖尿病の治療指針についてまとめたものである.診療現場では,個々の患者の状態を正確に把握したうえで本書を参考としていただきたい.


2024年11月

「糖尿病治療ガイド」編集委員会

目次

1.糖尿病 疾患の考え方

A.糖尿病とは

B.糖尿病に関する指標

 1.平均血糖値を反映する指標

 COLUMN HbA1cの国際標準化に伴う表記法の変更

 2.インスリン分泌能の指標

 3.インスリン抵抗性の指標

 4.脂質代謝の指標

C.糖尿病の分類

 1.糖尿病の成因分類

 2.糖尿病における成因(発症機序)と病態(病期)

D.糖尿病に関わるスティグマとアドボカシー

2.診 断

A.病歴聴取の注意点

 1.現病歴

 2.既往歴

 3.家族歴

 4.治療歴

 5.病気に関する知識と生活歴

B.身体所見のポイント

 1.皮 膚

 2.眼

 3.口 腔

 4.下 肢

 5.神経系

C.診断のための検査

 1.糖代謝異常の判定区分と判定基準

 2.75gOGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)

D.糖尿病の診断

E.境界型とメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)

 1.境界型とは

 2.境界型の鑑別

 3.境界型を見出したときの取り扱い

3.治 療

A.治療目標とコントロール指標

 1.糖尿病治療の目標

 2.コントロールの指標

B.治療方針の立て方

 1.インスリン非依存状態

 2.インスリン依存状態

C.糖尿病自己管理支援

 1.糖尿病教育

 2.自己管理行動を促進する心理・行動学的方法

 3.心理的問題の扱い方

 4.チーム医療の重要性

D.災害への備えと災害時の対応

 1.災害時の糖尿病の特徴

 2.病院・診療所・医療者レベルでの備えまたは対応

 3.糖尿病患者レベルでの備えまたは対応

 COLUMN 災害時に糖尿病患者を支援する糖尿病医療支援チーム(DiaMAT:Diabetes Medical Assistance Team)の活動

4.食事療法

A.食事療法の進め方

 1.エネルギー摂取量

 2.栄養素の構成

B.食事療法の実際

 1.患者への食事指示

 2.食事療法の評価と指導

 3.食品交換表

C.合併症の予防のために

5.運動療法

 1.運動療法の進め方

 2.運動の種類

 3.運動の強度

 4.運動時間と頻度

 5.運動の消費エネルギー

 6.運動療法指導上の注意点

 7.運動療法を禁止あるいは制限した方がよい場合

6.薬物療法

A.経口薬療法および注射薬療法

 1.α‒グルコシダーゼ阻害薬

 2.SGLT2阻害薬

 3.チアゾリジン薬

 4.ビグアナイド薬

 5.イメグリミン

 6.DPP‒4阻害薬

 7.GLP‒1受容体作動薬

 8.GIP/GLP‒1受容体作動薬

 9.スルホニル尿素(SU)薬

 10.速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)

 11.インスリン療法

 12.配合錠および基礎インスリン製剤とGLP‒1受容体作動薬の配合注射薬

B.その他の薬物療法

 1.糖尿病に合併した高血圧

 2.糖尿病に合併した脂質異常症

 COLUMN 減量・代謝改善手術

7.糖尿病合併症・併存疾患とその対策

A.糖尿病合併症とは

B.急性合併症

 1.糖尿病性ケトアシドーシス

 2.高浸透圧高血糖状態

C.慢性合併症

 1.糖尿病網膜症

 2.糖尿病性腎症

 3.糖尿病性神経障害

 4.動脈硬化性疾患

 5.糖尿病性足病変

D.併存疾患

 1.感染症

 2.骨病変

 3.手の病変

 4.歯周病

 5.認知症

 6.癌

 7.心不全

 8.非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)/非アルコール性脂肪肝炎(NASH)

 COLUMN 糖尿病予防のための戦略研究(Japan Diabetes Outcome Intervention Trial:J‒DOIT)

E.合併症の検査

 1.急性合併症のための検査

 2.慢性合併症のための検査

8.低血糖およびシックデイ

A.低血糖

 1.症 状

 2.高血糖性の昏睡との鑑別

 3.低血糖の誘因

 4.低血糖時の対応

 5.再発予防

B.シックデイ

 1.シックデイとは

 2.シックデイ対応の原則

 3.入院加療が早急に必要な場合

9.ライフステージごとの糖尿病

A.小児・思春期における糖尿病

 1.1型糖尿病

 2.2型糖尿病

B.妊娠と糖尿病

C.高齢者の糖尿病

 COLUMN サルコペニアとフレイル

 COLUMN 就労期における未治療と治療中断

10.専門医に依頼すべきポイント

A.糖尿病専門医に依頼する場合

 1.血糖コントロール目標未達成

 2.教育入院

 3.慢性合併症

 4.急性合併症

 5.手術・化学療法・入院

B.他科専門医に依頼する場合

 1.眼 科

 2.腎臓内科

 3.脳神経内科,皮膚科,外科

 4.循環器科

 5.泌尿器科

 6.整形外科

 7.精神科,心療内科

 8.歯 科

 9.感染症 

C.地域連携,医療連携

11.病態やライフステージに基づいた治療の実例

診断と初期治療

 〔症例1〕境界型のときからの生活習慣改善が重要

 〔症例2〕糖尿病を初めて指摘された肥満患者への対応

 〔症例3〕認知症が疑われる糖尿病患者における初期治療方針

 〔症例4〕劇症1型糖尿病を疑うとき

 〔症例5〕小児における尿糖陽性

 〔症例6〕妊娠糖尿病の診断となったとき

定期受診における薬剤調整と指導

 〔症例7〕治療強化前の注意点

 〔症例8〕定期通院中で血糖コントロール目標達成患者には減薬も考える

 〔症例9〕グリニド薬(またはSU薬)+α‒GIで治療中の患者の低血糖にはブドウ糖を

 〔症例10〕SU薬投与中の患者にDPP‒4阻害薬・SGLT2阻害薬を追加するときにはSU薬減量を

 〔症例11〕SU薬投与中の高齢者には低血糖に注意

 〔症例12〕高齢者で長年高用量SU薬を使用している患者への治療見直し

 〔症例13〕定期治療中の糖尿病患者の血糖値が急に上昇したら

 〔症例14〕著明な高血糖の治療時には血糖降下の速度にも配慮を

 〔症例15〕緩徐進行1型糖尿病患者だとわかったときには

 〔症例16〕1型糖尿病患者におけるSGLT2阻害薬投与の可否

 〔症例17〕定期受診患者におけるフットケア

合併症・併存疾患を持つ患者における治療

 〔症例18〕心不全治療中の糖尿病患者にはSGLT2阻害薬の処方を検討

 〔症例19〕心血管疾患既往者に対しては血糖だけではなく脂質も厳重に管理

 〔症例20〕腎機能低下患者には投薬内容の見直しを

 〔症例21〕腎機能低下患者における降圧薬の選択は,尿検査結果によって異なる

 〔症例22〕NAFLD(MASLD)を合併した2型糖尿病

 〔症例23〕肝硬変に伴う血糖上昇

 〔症例24〕インスリン療法が必要であるが自己注射できない認知症患者

 〔症例25〕癌化学療法中の糖尿病患者の血糖値が上昇したとき

 〔症例26〕高度肥満症を合併した2型糖尿病

特殊な状況における対応

 〔症例27〕シックデイにおける対応

 〔症例28〕インスリン依存の1型糖尿病における体調不良

 〔症例29〕糖尿病治療中断患者が久しぶりに受診したら,治療の見直しを

 〔症例30〕検査・治療による絶食の際の対応

 〔症例31〕周術期の血糖コントロール

 〔症例32〕妊娠前の血糖管理

付録

特定健診・特定保健指導の進め方─糖尿病予防の立場から

主な自己検査用グルコース測定器一覧表

血糖降下薬一覧表

インスリン製剤および主なペン型注入器一覧表

参考書

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書籍情報

  • ISBN:9784830614019
  • ページ数:164頁
  • 書籍発行日:2024年11月
  • 電子版発売日:2024年11月26日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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