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- 小児看護2025年4月号(48巻4号)はじめまして こどもまんなか小児看護技術
商品情報
内容
2023年4月にこども家庭庁が創設され、“こどもまんなか”な社会づくりが政策として始まった。本特集では医療現場における「こどもまんなか小児看護技術」について、専門家の視点からこどもを中心とした実践、研究、教育、コミュニケーションの例を紹介する。日々の成長・発達により変化するこどもの声を聴き、常にこどもが権利の主体としてケアに参加するために、新しい環境・ケアの創造を目指した一冊。
序文
特集にあたって
小児看護に携わる私たちは「こどもにとっての最善の利益を本当に保障できているのか?」ということを問い続け,こどもの権利をまもることをずっと大切にしていることと思います。しかし,子どもの権利条約が国会で批准された1994年から30年を経た今でも,こどもの権利が十分にまもられていない現実が続いています。本特集では,一人二人ではできない大切なこと,“こどもまんなか”の“ 小児看護技術”についての共有,再考,創造,発展につながる可能性をもつたいへん貴重な機会をいただきました。
本特集のタイトルに“はじめまして”と入れました。“はじめまして”には“初めまして”と“始めまして”の両方の意味を込めました。“こどもまんなか小児看護技術”とは,書籍『いい顔生まれる こどもまんなか小児看護技術』1)において,子どもの権利条約の理念に基づいて創成した用語です。このなかで「こどもまんなか小児看護技術とは,成長・発達しているこどもをいつも中心に据え,こどもの最善の利益を守るためのこどもの看護を実践すること」2)としました。こどもと家族をケアの対象とする私たち看護師の立ち位置は,子どもの権利条約の第5条に定められている,親がこどもに行う責任,権利,義務を尊重すること,すなわち「こどもの最善の利益を念頭におき,こどもの発達に応じてこどもを育てている保護者を尊重し,家族と一緒に発達課題への取り組み方を考え,こどもと家族の発達を支えていく」3)としています。本書のなかで詳しく紹介していますが,一貫して,こどもの最善の利益を看護の思考・行動の基盤にしています。
さて,「初心忘るべからず」は,室町時代の能の大成者,世阿弥の言葉です。世阿弥は,著書『花鏡』でこの言葉の意味を広げて「是非の初心忘るべからず」「時時の初心忘るべからず」「老後の初心忘るべからず」の三カ条を記しました。「初心」は,年齢として未熟な者だけでなく,各年齢にふさわしい芸を修得した者にもあり,幾度も積み重ねられ,修める芸には終わりがないことを説いています。そしてそれは,向上心を失わず,子孫に伝えていくという世阿弥の成長と一体のものです4)。
筆者らは,この言葉が示すように,看護職のキャリアのどの段階にあっても初心を忘れずに研鑽して,こどもの声を聴き,こどもの最善の利益をまもるための実践知を積み上げ,次世代に伝えていくことを意識しながら,より質の高いケアの実現と発展へつなげていきたいと思いました。
2050年の日本の平均世帯人員は1.92人になると推定されています5)。こどもの総数が減少しても,豊かな人生をおくる基盤となるこどもの健康に寄与する専門性の高い看護へのニーズとそれに応え得る小児看護と「こどもまんなか小児看護技術」はあり続けると考えています。
本特集では,従来の小児看護技術の枠を超えて,こども中心の実践,教育,研究の専門家に執筆いただきました。読者の皆さんのそれぞれの春のはじまりに,こどもの最善の利益をまもる看護の創造と発展に役立つ一冊となることを願っています。
横浜創英大学看護学部准教授/小児看護専門看護師
染谷奈々子
順天堂大学大学院医療看護学研究科,同大学医療看護学部教授/小児看護専門看護師
平田美佳
【文 献】
1) 染谷奈々子,平田美佳・編:いい顔生まれる こどもまんなか小児看護技術.へるす出版,東京,2024.
2) 前掲1,p 32.
3) 前掲1,p 31.
4) 西野春雄:世阿弥;能の本を書く事,この道の命なり.ミネルヴァ書房,京都,2024.
5) 国立社会保障・人口問題研究所:日本の世帯数の将来推計(全国推計);令和6(2024)年推計.2024.https://www.ipss.go.jp/pp-ajsetai/j/HPRJ2024/hprj2024_PR.pdf(2025年2月21日最終アクセス)
目次
特集 はじめまして こどもまんなか小児看護技術
編集:染谷奈々子,平田美佳
【カラーグラフ】
イラストを見て考える「子どもの権利条約」とこどもまんなかな居場所
川名はつ子
【特集にあたって】
初心忘るべからず;こどもの最善の利益をまもる看護を実践する染谷奈々子,他
【総 論】
①いい顔生まれる こどもまんなか小児看護技術;日常的にこどもの最善の利益を守る倫理的実践知 平田美佳,他
②こどもまんなか社会の実現に向けて;こども家庭庁の現在 内川麻実子
③病院のこども憲章;最善の利益に向けて,“ こどもまんなか”の「こども憲章」を実現させるために 三輪富士代,他
④『改訂版 小児看護の日常的な臨床場面での倫理的課題に関する指針』と「こどもまんなか」の日常的な倫理的実践 石浦光世
【実践・教育・研究】
①こどもまんなか NICUのこどもが示すサインをとらえ,読み解く看護 井出由美
②こどもまんなか トラウマインフォームドケアとchild and family centered careの実践 来生奈巳子
③こどもまんなか 就園支援 品川陽子
④こどもまんなか 地域で暮らす重症心身障害児・医療的ケア児のための小児看護技術 仁宮真紀
⑤こどもまんなか 小児看護学実習受け入れの実際 荒俣千晶,他
⑥こどもまんなか 小児看護専門看護師としての実践力を培う大学院における教育 有田直子
⑦こどもまんなか こども・家族との相互作用と協働で築く小児看護学研究 新家一輝
⑧こどもまんなか 学校教育と院内学級におけるこどもも一員のチーム モデルの実践 副島賢和
【こどもまんなか小児看護技術のコミュニケーションの実際】
①清潔ケアをいやがる幼児前期のこどもとのコミュニケーション 熊谷祐美
②ステロイド内服中で感染予防行動が必要な学童期のこどもとのコミュニケーション 村山有利子
③小児がんの学童期のこどもと家族とのコミュニケーション 福地麻貴子
④旅立ちが近い幼児後期の小児がんのこどもとのコミュニケーション 中谷扶美
【特別寄稿】
こどもの声が聞こえていますか?;ケアリング環境を創造するためのアクションリサーチ 筒井真優美
心が歌えば,世界が揺れる(45)
自分の育てかた 佐藤聡美
むかしといまを繋ぐ知恵;故事・ことわざ・名言をたずねて(34)
郷に入っては郷に従え;見知らぬ土地に行ったらその土地の風俗やしきたりに従って生活することだ 磯崎三喜年
あまの橋架け;病院にかかわるみんなのコミュニケーション(30)
市民団体の活動を受け入れた医療政策にかかわる担当者の声は 阿真京子
医law医lawな関係(143)
検査及び治療が行われないことによる親の精神的損害 木村佳生
ひとりごとスケッチ(103)
ポートライナー 土田菜摘
かれいどすこーぷ(147)
夜行列車にも今,「春」がくる? 小鳥遊遊鳥
看護系絵本堂(147)
もし ぼくのかみがあおいろだったら;If my hair was blue… 谷口あけみ
学んで驚く!子どもの応急手当㉔
下痢・嘔吐のホームケア 飯村知広
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書籍情報
- ISBN:9784012204804
- ページ数:128頁
- 書籍発行日:2025年4月
- 電子版発売日:2025年3月25日
- 判:AB判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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