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- Q&Aで考える神経内科診療
商品情報
内容
研修医、神経内科を何となく避けてきた内科医、そして神経内科を志して奮闘している医師に、ぜひお読みいただきたい、第一線の診療現場で日々悩みながらも患者のために働いている執筆者たちの情熱が込められた一冊です。
序文
私の勤める病院では,研修医が2カ月ごとに神経内科にローテートしてくる.彼らはその多くの時間を病棟で過ごし,入院が必要な神経疾患患者を診療している.将来神経内科を専門とすることはおそらくないであろうが,彼らは神経内科をまわっている間に,神経疾患のうち重要度の高いものを勉強したいと思っている.そういう研修医のための優れた案内書が実はあまりないのではないかと筆者は思っていた.この本は,すべての疾患を網羅的に取り上げるのではなく,入院して治療を要することが多い疾患,すなわち研修医が実際に遭遇する可能性の高いものを取り上げている.そしてそれぞれの疾患を概説するのではなく,むしろその疾患の患者とであったとき何が問題なのか,そしてどうすべきかがQ and A方式で書かれてある.研修医をみていると,入院してきた患者の何をどうすべきかがわからずしばしば戸惑っている.またこんなことを神経内科の専門医に質問していいのだろうかというためらう様子もみてとれる.以前筆者もそうであったので,そのことはよくわかるのである.できれば彼らにこそ,この本を読んで日々の臨床に役立てていただきたい.この本がもし難しいとすれば,中外医学社から同じく出版されている「はじめての神経内科」を先に読まれることをお勧めする.その後でこの本を手にとってもらえたら,内容の理解がかなり容易になっていることがおわかりいただけることだろう.
執筆したのは,第一線で神経疾患を診療している神経内科の専門医である.それぞれの職場で日々悩みながらも患者のために働いている医師の情熱がこの本には感じられると思うが,読者の皆さんはいかがだろうか.後に続く医師に託す彼ら専門医の思いを,ただ研修医だけに味わってもらうのはもったいない.神経内科を何となく避けてきた内科医,そして神経内科を志して奮闘している医師にもこの本をお読みいただきたい.それは,この本の各章を書き上げた執筆者の共通の思いであると思う.
最後に,完成までに思いのほか長くかかってしまったが,ずっと出版まで導いていただいた中外医学社小川孝志さんに感謝申し上げる.
2011年 6月
国際医療福祉大学三田病院神経内科
武田 克彦
目次
CHAPTER1 頭痛
1.頭痛が脳腫瘍由来であるという頻度はどのくらいあるのでしょうか?
2.発熱と頭痛がある患者さんがきました.どういう場合に神経内科医にコンサルトするのがよいですか?
3.髄膜炎は迅速な診断と治療が肝要であるときいています.どのような流れで検査していくのでしょうか?
4.髄膜炎の初期治療法を教えてください.細菌性髄膜炎における抗菌薬の用い方を教えてください
5.結核性髄膜炎を疑うのはどのような場合ですか?
6.脳炎と髄膜炎はどのように違いますか?脳炎で不穏・錯乱をきたしている時どう治療したらよいですか?
7.慢性の頭痛の鑑別と治療法を平易に教えてください
CHAPTER2 めまい
1.めまいと立ちくらみ,ふらつきはどう違うのでしょうか?立ちくらみ,ふらつきはめまいに含まれるのでしょうか?
2.めまい患者の病歴を聴取するうえで重要なポイントは?
3.救急外来で前庭性のめまいと小脳性のめまいを診察でどう見分けますか?あるいは診察で見分けられるのでしょうか?
4.めまいの検査としてまず何をすべきでしょうか?眼振を見ろ!といわれますが,所見だけで中枢性か末梢性か区別がつくのでしょうか?また,危険な眼振とは何でしょうか?
5.めまいだけの人に頭部単純CT検査は意味があるのですか?やはりMRI検査を行うべきでしょうか?
6.脳梗塞でめまいを生じるのはどういう場合でしょうか?
7.眼振の表記の仕方がわかりません
8.救急外来にめまいを主訴に受診.めまいはすでになくて,多少吐気を訴えるだけです.高血圧,糖尿病などリスクがありますが,やはり入院は必要でしょうか?入院すべき人はどんなめまいですか?
9.急性期のめまいの治療はどうしたらよいでしょうか?メリスロン®などの内服,メイロン®点滴は効くのですか?(対症療法の選択,エビデンス)
10.慢性期のめまいの治療は?
CHAPTER3 しびれ
1.しびれが意味するものは何ですか?
2.しびれを訴えても客観的には感覚の低下がない場合,どうしたらよいですか?
3.中枢神経疾患によるしびれと末梢神経疾患によるしびれとはどう異なりますか?
4.しびれを評価するにはどのような検査が必要ですか?神経伝導速度検査はどういう時に必要になるのでしょうか?
5.しびれを訴える場合で,脊椎疾患が疑われるのはどういう場合ですか?
6.救急的な対応を要するしびれにはどのような場合がありますか?
7.慢性のしびれの治療としてはどのような方法がありますか?
8.視床の脳出血などの後に激しいしびれを訴える患者さんがいますが,どのような治療がありますか?
9.しびれの鑑別に必要な内科的知識にはどのようなものがありますか?
CHAPTER4 意識障害
1.一過性に意識消失を起こした患者さんを神経内科にコンサルトしたところ,循環器科にコンサルトするように返事をもらいました.どうしてですか?
2.意識障害(一過性を含む)で脳波をとる必要があるのはどのような場合ですか?
3.脳波でアーチファクトとスパイク(棘波)の区別がつきません.どう区別しますか?また脳波でてんかんを思わせる異常があった場合,治療はどうしたらよいですか?
4.成書には,てんかんの重積状態の時,最初はセルシン®を投与し,次にアレビアチン®を投与するように書いてあります.しかしその後はどうしたらよいですか?
5.意識とは何ですか?意識を支える脳の機構について教えてください
6.意識障害の程度を表現する方法を教えてください
7.意識障害の患者さんがきました.まず何をしたらよいですか?
8.意識障害の患者さんですが,CTに異常がありません.どう考えたらよいですか?
9.脳血管障害で意識障害をきたすのはどのような場合ですか?
10.意識障害と高次脳機能障害,この2つを鑑別する方法を教えてください
CHAPTER5 脳血管障害
1.心房細動の患者さんに対する,抗血栓療法はいつ,どの薬で開始します?
2.心房粗動でも予防は必要ですか?
3.脳梗塞でも頭痛は起こりますか?
4.TIA(transient ischemic attack)の患者さんにどのように対応すべきでしょうか?
5.A-to-A(embolism)って何?
6.動脈解離の治療は?
7.抗血小板薬は種類が多いのですが,どのような時にどれを使いますか?
8.脳卒中の患者さんへの,高次機能障害検査にはどんなものがありますか?
9.ワルファリンやアスピリンを服用している人の手術,抜歯,内視鏡について
10.安静度UPのタイミングがわかりません
11.無症候性脳梗塞,慢性虚血性変化が強い人に対して,抗血小板薬は投与すべきでしょうか?
CHAPTER6 認知症
1.家族が「最近ぼけてきた」といって患者さんを連れてきました.これは認知症と考えてよいのですか?
2.認知症であるとどう診断しますか?特に短い診察時間で診断する仕方を教えてください
3.認知症ではないかと疑った場合にこの検査(心理検査とは限らない)だけはしなくてはいけないというものがありますか?
4.アルツハイマー病は画像で診断できるでしょうか?
5.アルツハイマー病と鑑別すべき認知症について教えてください
6.アリセプト®はどのような認知症に適応になりますか?
7.アリセプト®以外の治療薬について教えてください(開発中を含む)
8.認知症の方には介護保険を勧めるのがよいとされていますが,介護保険のシステムがよくわかりません
9.認知症の精神症状に対してどう対応したらよいでしょうか?
10.正常老人の健忘とアルツハイマー病のそれとはどう異なりますか?
CHAPTER7 パーキンソン病(Parkinson disease)
1.筋固縮と拘縮あるいは単に力が抜けない状態とはどう鑑別したらよいですか?
2.手がふるえています.パーキンソン病でしょうか?
3.パーキンソン病で行う検査にはどのようなものがありますか?MIBGシンチは必ず行うのですか?
4.パーキンソン病の初期の人はどのように治療を開始しますか?
5.パーキンソン病とパーキンソン症候群の違いを説明してください
6.パーキンソン病で認知症はみられますか?
7.抗パーキンソン薬の注意すべき副作用は何でしょうか?
8.パーキンソン病の精神症状について,どう治療しますか?
9.パーキンソン病の人がある手術を受けることになり,薬の内服がしばらくできません.抗パーキンソン薬はその間どのようにしたらよいですか?
10.パーキンソン病の外科的治療について教えてください
CHAPTER8 ALS(amyotrophic lateral sclerosis)
1.ALSの初発症状は様々であるといわれています.診断を示唆する重要な症候について教えてください
2.ALSと鑑別すべき疾患について教えてください.どのような検査をして鑑別を進めますか?
3.ALSの経過について教えてください.どのような経過をとることが多いですか?
4.ALSであると本人にどのように告知するのがよいとお考えですか?
5.治療薬について教えてください
6.胃瘻を作ったほうがよいと考えられる時期を判断する目安があるのでしょうか?
7.呼吸器をつけることに対して,どう考えたらよいでしょうか?
8.家庭でのケアはどこまで可能なのでしょうか?(支援する制度について)
CHAPTER9 多発性硬化症
1.時間的空間的多発とは具体的にはどのようなことを指しますか?
2.1回目の発症で多発性硬化症の診断は可能ですか?
3.多発性硬化症を疑う場合,重要な検査は何ですか?
4.経過はどのようであることが多いですか?再発寛解するタイプだけではなく,進行性の場合もあるとききましたが
5.いわゆる視神経脊髄型はどのように診断し,治療しますか?
6.インターフェロンは必ず用いるのですか?
7.日常生活で注意すべきことは何ですか?
CHAPTER10 末梢神経障害
1.末梢神経障害の臨床症状はどのようなものですか?
2.末梢神経障害の検査にはどのようなものがありますか?
3.よくみられる単麻痺にはどのようなものがありますか?
4.多発性単神経麻痺と多発ニューロパチーとは,症状はどう異なりますか?またそれぞれを引き起こす疾患にはどのようなものがありますか?
5.Bell麻痺の治療は?
6.糖尿病でみられる末梢神経障害にはどのようなものがありますか?
7.Guillain-Barré症候群の診断と治療について教えてください.予後はよいのでしょうか?
8.CIDP(慢性炎症性脱髄性多発根神経炎)とはどのような病気ですか?治療は?
9.薬剤性の末梢神経障害にはどのようなものがありますか?
CHAPTER11 重症筋無力症
1.重症筋無力症の初発症状あるいは症状は何が多いですか?易疲労性はどのようなことで判断しますか?
2.診断に必要な検査について教えてください
3.抗アセチルコリンレセプター抗体以外の抗体はあるのでしょうか?
4.どのような治療の選択がありますか?どういう場合に胸腺を摘出しますか?
5.眼筋型の場合にはどういう治療の選択がありますか?
6.タクロリムスなどはどのような場合に使われますか?
7.クリーゼとは何でしょうか?どう対処したらよいですか?
8.重症筋無力症の患者に使用してはいけない薬は何ですか?
CHAPTER12 筋疾患
1.筋疾患を考えさせる筋力や筋萎縮の分布はどういうものですか?
2.血清CKが上昇している時に筋疾患と考えてよいですか?
3.筋疾患を考える場合にどのような時に筋生検を行うのでしょうか?
4.筋ジストロフィーを考えるのはどのような場合ですか?遺伝子診断がどのような場合に必要ですか?
5.多発筋炎と皮膚筋炎とはどう異なりますか?また他の筋疾患とはどう異なりますか?
6.筋炎では長くステロイドを用いることが多いのですが,どのくらい用いてどう減量していくのですか?またステロイドが無効な場合にはどうしたらよいですか?
7.筋痛を主訴とする病気にはどんなものがありますか?
CHAPTER13 コラム
1.臨床医学は奥が深い
2.嚥下障害:意外な原因・合併症に注意
3.意識障害
4.心因性疾患
5.医者の資質
6.患者は正しい
7.指導医に2種類あり
8.診察のコツ1つ2つ
9.知識とセンス
10.学会発表のこと
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書籍情報
- ISBN:9784498128927
- ページ数:204頁
- 書籍発行日:2011年8月
- 電子版発売日:2012年11月17日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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