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- 神経内科Clinical Questions & Pearls 認知症
商品情報
内容
認知症に関する多くの質問と、それに対する解説から構成。実際の現場で役立つ知識が凝縮。認知症に関わる専門医や若手医師、研修医だけでなく、看護師、保健師、介護職などの専門職の方へも間違いなくお勧めできます。
神経内科Clinical Questions & Pearlsシリーズ
序文
序文
「認知症」という言葉を,テレビや新聞などで,目にしない日はないように思います.外来受診や入院される様々な疾患の患者さんが,生活習慣病と並んで,認知症で治療を受けていますといわれることも多くなりました.ところで,思いのほか気になるのは,高血圧や糖尿病のように,認知症という用語だけがあたかもひとつの疾患を表すかのように使われていることです.「認知症」は,もちろん単一疾患を示す用語ではありませんが,こういった背景には,個々の患者さんの病態を丁寧に検討していないこともあるでしょうが,我々医療サイドが,ほかのコモンな疾患と同様に,認知症という状態への理解を深める必要もありそうです.
この本はタイトルにもあるように,認知症に関する多くの質問とそれに対する解説から構成されています.質問に関しては,日常の診療でよく遭遇するけれど,どう答えてよいかわからないような多くの質問が準備されました(本当はもっと多かったのですが,諸事情で減らしました).お答えくださった方は,認知症診療や基礎研究の第一人者として活躍される先生や若手臨床医として大活躍されている先生へお願いしました.さらに,多くの患者さんの診療にあたられて,経験豊富な家庭医の先生からも多くのご解説をいただきました.一方,認知症に関わるのは,医師だけでなく,ほかの職種の方々の力も必要です.そのような観点から,社会的体制や看護に関する質問へも,MSW や看護師さんから丁寧なご対応をいただきました.
目次をご覧くださればおわかりになるように,個々の疾患における,きわめて基本的な事柄や,ちょっと教科書などを参照すればすぐにわかるような内容よりも,もっと実際の現場で(今風に言えばreal world です),役立つものを目指しました.皆様も少なからず経験したような内容が多くあるかと思います.私自身,認知症の患者さんや家族とお話をしているときに,たくさんの疑問が湧いてきますが,同時に多くのご質問をいただくことになります.でも,うまく答えられているかどうか,自信がないことをよく経験します.そういった点からも,この本は,認知症に関わる専門医や若手医師,研修医だけでなく,看護師,保健師,介護職などの専門職の方へも間違いなくお勧めできるものと思います.
本自体は電車,バスなどどこでも読めるサイズですし,ご解説をいただいた方々には,限られたページの中で,コンパクトかつすぐにでも患者さんやご家族へ説明できそうな内容にまとめていただきました.明日からの認知症診療に役立てていただければ幸いであります.そして,いろいろなご経験を直接書き込んでいただき,皆様独自の認知症対応マニュアルとなればと願っております.最後に,シリーズ監修の鈴木則宏教授(慶應義塾大学),出版社の方々へ御礼を申し上げます.
2016年11月吉日
埼玉医科大学国際医療センター神経内科・脳卒中内科
髙尾 昌樹
目次
Ⅰ 認知症の総論,用語の整理,症候,社会資源
1 認知症という言葉がどうして使われるようになったのですか?
2 認知症と認知機能障害の違いはなんですか?
3 DSM--5で導入されたNeurocognitive disorderの意義はなんですか?
4 中核症状やBPSD といった用語の意味と,具体的にはどういった症状でどんな特徴があるのかを教えてください
5 軽度認知障害,preclinical ADなど早期の状態を表す用語の定義と意義などを教えてください
6 認知症をきたす疾患を疫学的な面を含めて教えてください
7 認知症はどのような経過で進行しますか?
8 認知症の患者さんが受けることのできる社会資源にはどのようなものがありますか?
9 新オレンジプランとはなんですか?
10 認知症診療における訪問看護の役割,具体的な業務を教えてください
11 介護保険施設,特別養護老人ホーム,グループホームなどに関してその目的,適応,違いなどを教えてください
12 専門医とかかりつけ医との連携をどのように行えばいいですか?
13 認知症患者における成年後見制度,自動車運転など法的問題とその解決に関して実例をもとに教えてください
case approach 若年性認知症
Ⅱ 診断
1 専門医に紹介できない環境で,診断をどのようにすすめたらいいですか?
2 専門医として,認知症の代表的疾患の診断をどのようにすすめればいいですか?
3 レヴィ小体型認知症とアルツハイマー病の診断に迷うことがしばしばあります.鑑別するにはどのようにすればいいですか?
4 高次機能検査としてベッドサイドや外来でできるスクリーニング検査はどのようなものがありますか?その解釈を教えてください
5 専門的な高次機能検査にはどのようなものがありますか?どのような時に行えばいいですか?
6 認知症診断における頭部CT,MRIの撮像方法,読影のポイントを教えてください
7 頭部CT,MRI 以外で,認知症検査に必要な画像検査,またその結果の解釈,適応のタイミングを教えてください
8 画像検査以外に必要な認知症の検査を教えてください
9 認知症診断における髄液検査の意義とその適応を教えてください
10 前頭側頭型認知症の診断はどのように行いますか?
11 前頭側頭型認知症と前頭側頭葉変性症との違いがわかりません
12 前頭側頭葉変性症に分類される疾患に関して解説をお願いします
13 筋萎縮性側索硬化症における認知障害とはどのようなものですか?どのように対応すべきですか?
14 海馬硬化による認知症とはどのようなものですか?
15 てんかんと認知症との関連に関して教えてください
16 血管性認知症はどのように診断すればいいですか?
17 慢性の髄膜炎で認知症をきたすことがあるそうですが,どういった疾患ですか?
case approach プリオン病
Ⅲ 治療
1 アルツハイマー病治療薬の効果はどのようなものですか?また種類とその違いについても教えてください
2 コリンエステラーゼ阻害薬の副作用とその具体的な対応,予防を教えてください
3 コリンエステラーゼ阻害薬を開始しましたが,効果がないと家族からいわれました.変更するタイミングやその意義について教えてください
4 メマンチンはどういった場合に使用するのですか?また,どういった副作用がありますか?
5 レヴィ小体型認知症の治療はどのように行いますか?
6 レヴィ小体型認知症に抗パーキンソン病薬を使用すべきですか?
7 レヴィ小体型認知症にコリンエステラーゼ阻害薬を処方するときの注意点はなんですか?
8 FTDの治療・対処方法に関して教えてください
9 BPSDに対する治療法のストラテージを教えてください
10 血管性認知症の治療はどのようにすべきですか?
11 抑肝散をはじめとした認知症治療における漢方薬の意義と適応,投与のタイミング,中止のタイミングを教えてください
case approach コリンエステラーゼ阻害薬
Ⅳ 日常診療におけるポイント,BPSDを中心とする対応
1 認知症の患者さんが受診したときに,家族と本人へはどのような接し方をすればいいですか?
2 介護者に対して,暴力を振るうようになってしまいました.どういったことを考え対応したらいいですか?家族への説明方法も教えてください
3 認知症にみられる幻覚(幻視)の種類とその対応はどのようにすればいいですか?
4 BPSDに対する非定型抗精神病薬などの使用はどのように注意すればいいですか?
5 認知機能障害を生じる薬にはどのようなものがありますか?どういったことに気をつけて処方すべきですか?
6 アルツハイマー病の危険因子にはどのようなものがありますか?
7 アルツハイマー病の予防因子にはどのようなものがありますか?
8 BPSDの様々な症状は,認知症の経過でどのようにかわるものですか?
9 レヴィ小体型認知症における嗅覚障害やRBD にはどのように対応するのですか?
10 夜間も頻尿で1 時間おきにトイレに行きます,どのようにすればいいですか?
11 症状がはっきりしない尿路感染や呼吸器感染をどのように見抜き,治療を開始しますか?
12 摂食不良などをどのように見抜き,対応すればいいのですか?
13 胃瘻を造設するにあたり,その適応,家族対応などを具体的に教えてください
14 経腸栄養剤の選択,使用方法,使用時の下痢・便秘などへの対応について教えてください
15 いわゆるゴミ屋敷といわれる状態になっています.その背景と対応を教えてください
16 いつも家中に鍵をかけたり,ものをかくしたりしてしまいます.なぜそうなるのですか?どのようにすればいいですか?
17 不眠が強く,睡眠導入剤を検討しています.どのような点に注意したらいいですか?内服のしかたも教えてください.処方しないほうがいい薬もありますか?
18 医療スタッフが認知症の患者さんに殴られてしまいました.どのような対応をしていけばいいですか?
19 かなり進行した認知症ですが,自動車やオートバイの運転をやめさせることができません.どういった対応をしていけばいいですか?
20 徘徊が強く,いつ事故になるかわかりません.どのようにしていけばいいですか?
21 認知症患者の予防接種に関して,どのようにアレンジすべきですか?
22 認知症患者における全身の疾患の定期検査などはどのようにすればいいですか?
23 認知症患者の口腔ケアのポイントは?
24 非薬物療法は有効ですか?科学的なエビデンスも含めて教えてください
25 認知症患者における性的要求(脱抑制を含む)などに対してどのような対応をしたらいいですか?
26 終末期における対応とは具体的にはどういったことなのですか?
27 在宅療養をしている認知症患者に対しては,日頃どのような注意をすればいいのですか?
case approach カプグラ症候群
Ⅴ 病理学的な背景から認知症を理解する
1 認知症診断において病理解剖にはどういった意義があるのですか?
2 病理解剖の際には,どういったことに注意すればいいですか?
3 認知症の病理所見にはどのようなものがありますか?
4 臨床診断と病理診断はどの程度一致しますか?
5 認知症における脳生検の意義はどういったものですか?
6 認知症における脳以外の生検も有用ですか?
7 アルツハイマー病におけるアミロイド血管症と血管炎との関連について教えてください
8 Treatable dementia という言葉がありますが,どういった疾患がありますか?
9 Treatable dementia の診断と治療はどのように進めますか?通常はどこまで検査をすべきですか?
10 プリオン病とはなんですか?
case approach 病理学的理解
Ⅵ 基礎的な展開とこれからの展望
1 認知症の動物モデルに関して教えてください
2 iPS細胞による研究の果たす役割に関して教えてください
3 認知症をきたす疾患とその遺伝子,タンパクとの関連に関してまとめてください
4 認知症の最新の治療法開発に関して教えてください
5 百寿者研究と認知症医療との展望について教えてください
6 頭部外傷と認知症,認知機能障害との関連について教えてください
7 CTE,PART,ARTAG に関して教えてください
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書籍情報
- ISBN:9784498129863
- ページ数:436頁
- 書籍発行日:2016年12月
- 電子版発売日:2017年4月21日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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