ここが知りたい 急性心不全の救急・集中治療管理

  • ページ数 : 424頁
  • 書籍発行日 : 2016年3月
  • 電子版発売日 : 2016年11月18日
7,260
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商品情報

内容

急性心不全はチームで診る!

急性心不全を集中・救急治療と管理の視点からとらえ, 医師と他のメディカルスタッフが治療目標を設定できるような内容を目指した一冊。

序文

高齢化社会を迎え心不全患者は増加している.慢性心不全と急性心不全の状態を繰り返しながら,心不全は徐々に悪化するため,慢性心不全患者の治療は,急性心不全を再発しないように生存率を改善させるように治療が行われる.一方,急性心不全患者ではまず救命が中心となり,その後に慢性心不全の管理に準じた治療,指導が行われる.

従来,急性心不全の成書での記述は,カテコラミンや血管拡張薬などの薬剤と酸素化の記述,血行動態の記述などが中心であった.しかし最近では短期効果としてバイタルサインの安定,症状の改善,BNP の改善などを評価し,長期効果として心血管イベントを検討するようになっている.Worsening heart failure やworsening renal function という概念や心腎連関,心肝連関も論じられるようになってきた.初期対応はクリニカルシナリオにしたがって行い,長期効果を狙った薬剤の治験も始まっている.また実際の臨床現場における急性心不全患者は,系統だった集中・救急治療管理を必要とすることが多く,致死性不整脈への対応,機械的補助の知識の他,栄養管理,せん妄管理などの包括した知識が必要である.さらに慢性心不全では多職種チーム医療の概念が普及してきたが,急性心不全にもチーム医療の視点は必要である.

従来,心不全は難解な領域とされていたが,心不全とは,学問的にも社会的にも奥が深い領域であり,今後ますます時代に即して進化し,形態を変えていく領域と考えている.本書は,急性心不全を集中・救急治療の視点より捉え,多職種とともに治療目標を設定できるような書とした.

2016年2月

佐藤 幸人

目次

1章 急性心不全の疫学・病態

1.疫学 〈佐藤直樹〉

1.日本の急性心不全患者背景

2.国際間比較

3.疫学研究から得られた本邦の課題

4.レジストリー研究の今後の展開

5.大規模臨床試験のあり方

6.大規模臨床試験結果を実臨床に活かす

2.病態

A.予後予測指標としてのバイタルサインの活用法 〈梶本克也〉

1.入院時収縮期血圧と予後の関係:欧米と日本のデータの比較

2.入院時収縮期血圧と左室駆出率の関係

3.入院時収縮期血圧と年齢の関係

4.入院時心拍数と院内予後の関係

B.肺うっ血をきたす血行動態異常 〈大西勝也〉

1.急性心不全と慢性心不全の血行動態

2.肺うっ血の発症様式

3.肺うっ血の胸部X 線所見

4.肺毛細管・肺間質の生理

C.心腎連関 〈小山智史〉

1.心不全と腎不全

2.急性心不全における心腎連関

3.急性心不全における予後予測因子としての意義

4.心腎連関のバイオマーカーとその課題

D.心肝連関 〈谷口達典 坂田泰史〉

1.肝臓の解剖

2.急性心不全でみられる肝障害

3.liver stiffness

E.Worsening heart failure 〈小笹寧子〉

1.WHF の概念

2.WHF の頻度

3.WHF の意義

4.WHF の予測とその予防

2章 心不全の集中治療に必要な検査

1.評価項目としての身体所見 〈山本絵里香〉

1.治療効果指標としての身体所見

2.予後予測指標としての身体所見

2.酸素飽和度と血液ガス分析 〈蔵垣内 敬〉

1.ヘモグロビンによる酸素の運搬と酸素解離曲線

2.低酸素血症の機序

3.パルスオキシメーターとは

4.酸塩基平衡異常の評価

3.胸部X 線写真 〈大西勝也〉

1.胸部X 線写真を評価する前に

2.心疾患の胸部X 線写真を読む順序

3.心不全の胸部X 線写真の読みかた

4.心不全における心陰影の評価

5.心不全における肺血管陰影の評価

6.心不全の治療効果の判定

4.BNP,NT⊖proBNP 〈新妻晋一郎 岩永善高〉

1.バイオマーカーとしてのBNP,NT―proBNP の基礎知識

2.急性心不全の診断におけるBNP,NT―proBNP

3.急性心不全の予後予測,治療効果判定におけるBNP,NT―proBNP

4.BNP,NT―proBNP に関する最近の話題

5.救急における高感度心筋トロポニン測定 〈佐藤幸人〉

1.心筋梗塞の診断基準の歴史

2.ガイドライン推奨のトロポニン測定系について

3.日本のガイドラインと診療報酬に関する記載

4.心不全におけるトロポニン測定

5.心筋炎におけるトロポニン測定

6.心エコー法 〈芝本 恵 辻川恵美 石井克尚〉

1.収縮機能評価

2.拡張機能評価

3.左室充満圧の推定

4.肺動脈圧の評価

5.右室機能の評価

6.機能的僧帽弁逆流症の評価

7.治療効果判定

7.Swan⊖Ganz カテーテル検査 〈小林泰士〉

1.Swan―Ganz カテーテルの挿入方法と正常圧・圧波形

2.ベッドサイドモニタリング

3.臨床でのSwan―Ganz カテーテルの必要性に関して

4.その他の低侵襲血行動態モニタリング(フロートラックシステム)

3章 初期救急治療

1.初期対応,クリニカルシナリオ 〈青山直善 西井基継〉

1.早期治療の重要性とプレホスピタルケア

2.初期評価と対応

2.初期治療に必要な呼吸管理 〈横山広行〉

1.急性心不全治療における呼吸管理の手順

2.急性心不全治療におけるNIPPV の使用

3.急性心不全に対するPEEP の効果

4.NIPPV の初期設定と効果判定

5.NIPPV の離脱方法

3.初期治療に必要な基本薬剤

A.利尿薬 〈末永祐哉〉

1.各ガイドラインでの利尿薬の位置づけ

2.利尿薬の作用機序

3.利尿薬の種類・特徴

4.利尿薬の投与方法

5.利尿薬抵抗性

6.トルバプタンの位置づけ

B.カテコラミン 〈加藤貴雄〉

1.短期的効果から長期予後重視へ

2.では,どういうときが出番なのか

3.悪くなる前から内服していたβ遮断薬はどうする?

4.心原性ショックとは?

5.各論 212

C.PDEIII阻害薬 〈加藤真帆人〉

1.強心薬の適応

2.強心薬の種類

3.病態に応じた選択と投与方法

4.効果の評価

D.血管拡張薬 〈猪又孝元〉

1.急性心不全の治療標的は何か―血管拡張薬の立ち位置を考えるうえで

2.基本病態に基づく血管拡張薬

3.血管拡張薬―各論

4.新たな「失敗しない治療」の考え方〜急性期での血管拡張薬の守備範囲

4.初期治療に必要な不整脈の知識

A.致死性心室性不整脈の治療 〈加藤祐子 山下武志〉

1.致死性心室性不整脈に対する考え方

2.致死性心室性不整脈に対する治療

3.致死性心室性不整脈治療で使われる薬剤

B.頻脈性上室性不整脈の治療 〈絹川弘一郎〉

1.なぜ心拍数コントロールが必要なのか?

2.至適な心拍数とは?

3.心拍数コントロールに使用する薬剤

4.J―Land 試験

5.静注β遮断薬の臨床的意義

4章 機器管理

1.人工呼吸器 〈片岡裕貴〉

1.基本的概念,回路,設定

2.適応と設定

3.離脱のタイミング

4.その他,実際の管理でトラブルになりそうな点

5.症例の解説

2.大動脈内バルーンパンピング 〈佐賀俊介〉

1.基本的概念

2.IABP の管理

3.適応と禁忌

4.合併症

3.PCPS 〈柴 昌行 佐藤幸人〉

1.基本的概念,回路,設定

2.適応

3.離脱のタイミング

4.合併症・その対策

4.ECUM,CHDF 〈黒田揮志夫 加藤倫子〉

1.基本的概念,回路,設定

2.適応

3.離脱のタイミング

5.VAD 〈肥後太基〉

1.補助循環における補助人工心臓(ventricular assist device: VAD)の位置づけ

2.VAD の分類

3.VAD 使用の目的

4.VAD の適応

5.VAD の管理と合併症

6.VAD 離脱のタイミング

5章 特殊な心不全

1.CS4: 急性冠症候群 〈福原 怜〉

1.STEMI に伴う心不全の病態生理とその対処法

2.CS 5: 右心不全 〈江本憲昭〉

1.CS5 に分類される右心不全の病態

2.右心不全の症状・所見

3.急性右心不全に対する治療の原則

4.基礎疾患別の対応

6章 急性心不全に対する多職種管理

1.看 護 〈大北亜樹〉

1.急性心不全患者の呼吸管理

2.急性心不全患者の栄養管理

3.急性心不全患者の心臓リハビリテーション

4.急性心不全患者のせん妄予防と看護

5.急性心不全患者における患者指導

2.病院関連肺炎(HAP),人工呼吸器関連肺炎(VAP)予防〈黒住祐磨〉

1.院内肺炎と人工呼吸器関連肺炎について

2.定義と診断

3.発症機序

4.治療と予防

3.心不全集中治療領域における栄養管理 〈中山寛之〉

1.集中治療室での栄養管理

2.急性心不全特有の病態を考える

4.急性心不全における急性期心臓リハビリテーション〈谷口良司〉

1.心不全の心臓リハビリとは?

2.急性心不全における急性期心臓リハビリとは?

3.当院での急性心不全における急性期心臓リハビリの取り組み

5.心不全集中治療領域における疼痛・不穏・せん妄管理〈中山寛之〉

1.疼痛管理

2.不穏管理

3.せん妄管理

4.症例提示

5.解説

6.慢性期につなぐ患者指導 〈加藤尚子〉

1.退院前に調節されるべき生命予後改善薬:ACE 阻害薬とβ遮断薬

2.退院に向けた患者指導

7.終末期心不全 〈佐藤幸人〉

1.救急・集中治療における終末期の定義と判断

2.終末期心不全治療の考え方

3.終末期心不全における緩和ケア

34.カルテの記載と死後カンファレンス

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書籍情報

  • ISBN:9784498136380
  • ページ数:424頁
  • 書籍発行日:2016年3月
  • 電子版発売日:2016年11月18日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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