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- ICD/CRTの考えかた,使いかた
商品情報
内容
研修医、ME、看護師などの初学者が現場で困った疑問にエキスパートが答える「Q&Aコーナー」も充実。ICD・CRTの基礎知識から日々の管理まで、体系的に身につく実用書。
序文
プロローグ
植込み型除細動器(ICD)がわが国で保険償還されてから二十年,心臓再同期療法(CRT)が保険償還されて十数年がすでに経過した.その間,テクノロジーの進歩からデバイスの小型化,長寿命化が進んだ.また,多くの大規模試験により,デバイス治療のエビデンスが多く構築されてきた.それに伴って,適応ガイドラインも更新されてきた.
ICDに関しては,二次予防目的の植込みは確立し,一次予防目的の適応が議論されるようになった.CRTは,突然死予防目的でICD機能付きのCRT-Dも使用可能となった.その有用性から,当初よりも早期の心不全状態から,あるいは,非同期の程度がより軽度な症例にも適応が拡大された.リードのデリバリーシステムの改良,多点リードなどが開発されて,より高い効果が期待できるようにもなった.
最近では,両デバイスにリモートモニタリングシステムが搭載され,心不全のモニター装置としての機能を持つのが普通になってきた.また,数年前まで,両デバイスともMRI装置使用は禁忌であり,国家試験の問題にもされていた.しかし,最近はそのMRI撮影も可能となる機種が登場してきた.
このように,ICD,CRTシステムの進歩は,立ち止まることを知らず,デバイスを取り扱う私たちは,新しい情報を取り入れた本の出版を切望していた.この度刊行する『ICD・CRTの考えかた,使いかた』は,この要望に応えて最新の情報を,その分野のエキスパートに執筆してもらい,解説することを心がけた.さらに,この領域に興味を持ち始めた人,研修医,MEの方々に,実用書として読んでいただくために,研修医,MEの方々からの質問に専門家が答える形のコーナーを多く設けた.この回答も2名の先生方に答えてもらう形にした.場合によっては,お二人の先生で解決方法が大きく異なる場合もあるかもしれないが,これが日常の臨床である.お二人の回答を参考に自分の施設にあった,あるいは患者さんにあった方法を選択して問題を解決していただきたい.最後の章は,体外式除細動器(AED),着用型自動除細動器(WCD),皮下植込み型除細動器(S-ICD)に関する最新の情報を解説していただいた.
執筆の先生方には,ICD・CRTのみかたは基礎編,ICD・CRTの考え方は応用編を念頭に置いて解説していただいた.さらに,この本が医師・研修医あるいはMEの皆様方に,単なる解説書ではなく明日の日常臨床に役立つような書籍になるように,執筆内容を考えていただいた.
最後に,読者の皆様方には,是非この本をお手に取って読んでいただき,明日からの臨床に役立ていただきたい.
2018年1月
清水 昭彦
目次
第1章 基礎編 ─ICD・CRTの考えかた─
1 ICD・CRT(D)の歴史と概要
1.心臓突然死と除細動治療
2.ICDの歴史
3.ICD電極リード
4.ICD治療アルゴリズムの進歩
5.心臓再同期療法(CRT)と,両室ペーシング機能付き植込み型除細動器(CRT-D)の歴史と概要
6.皮下植込み型除細動器(S-ICD)
2 仕組みと基本的設定
❶ICD(基本的仕組み,設定とその理由)
1.ICDの基本的仕組み
2.ICDの設定とその理由
3.実際の設定
4.不適切作動とその対策
❷CRT-P(D)の仕組みと基本設定
1.CRTの仕組み
2.基本的な設定
3 適応とガイドライン
❶非薬物治療ガイドライン ─致死的不整脈に対するデバイス治療
1.Case study 1:基礎心疾患に起因する持続性単形性心室頻拍
2.Case study 2:基礎心疾患に起因する無症候性非持続性心室頻拍
3.Case study 3:冠攣縮性狭心症による心室頻拍
4.Case study 4:失神を主訴に来院したBrugada症候群
5.Case study 5:失神を主訴に受診した拡張型心筋症
❷CRT-P(D)をめぐる臨床試験・ガイドライン
1.代表的な臨床試験
2.ガイドライン
4 植込み術・周術管理
❶ICDの基本的な植込み方法と術後管理
1.はじめに
2.ICDの基本的な植込み手術方法
❷CRT-P(D)の基本的な植込み方法と術後管理
1.CRT-P(D)の植込み手技の基本
2.左室リードの至適留置部位
3.除細動試験
4.冠静脈洞リードの合併症
❸臨床上のポイントQ&A
Q1 ポケット洗浄の意義と方法
Answer ❶
Answer ❷
Q2 皮膚が菲薄化している場合のポケット作成
Answer ❶
Answer ❷
Q3 交換術時の本体カプセル部の処置
Answer ❶
Answer ❷
Q4 左上大静脈遺残(PLSVC)症例とリード留置
Answer ❶
Answer ❷
Q5 胸郭外穿刺時のガイド方法の種類と有効性・留意点
Answer ❶
Answer ❷
Q6 挿入困難事例における対応
Answer ❶
Answer ❷
Q7 右室心尖部留置による心不全リスクと解決策
Answer ❶
Answer ❷
Q8 CRT-D植込み時のリード挿入順と留意点
Answer ❶
Answer ❷
Q9 リード追加のトラブルシューティング ─鎖骨下静脈閉塞症例
Answer ❶
Answer ❷
Q10 左室(LV)リード挿入時の秘訣 ─CSカニュレーション難渋症例
Answer ❶
Answer ❷
Q11 植込み当日の発熱患者の対応
Answer ❶
Answer ❷
Q12 リード抜去の実際は?
Answer ❶
Answer ❷
5 管理・経過観察
❶ICD・CRT患者の経過観察における社会復帰と自動車運転
1.植込みデバイス患者の経過における一般的な生活指導
2.ICD患者の就労について
3.心臓デバイス患者の自動車運転制限について
❷CRT患者の経過観察
1.心臓再同期療法(CRT)とは
2.CRTのfollow up
❸臨床上のポイントQ&A
Q1 非持続性心室頻拍(NSVT)の管理
Answer ❶
Answer ❷
Q2 胸郭内インピーダンスモニタ(OptiVol)の特性と活用法
Answer ❶
Answer ❷
Q3 日常生活と注意事項
Answer ❶
Answer ❷
6 特別基礎編 ─MEのための臨床上のポイントQ&A
Q1 植込み位置と大胸筋下植込み時の留意点
Answer ❶
Answer ❷
Q2 CLSの仕組みと透析患者
Answer ❶
Answer ❷
Q3 AdaptiveCRT®の仕組み
Answer ❶
Answer ❷
Q4 外部からの物理的衝撃とデバイス
Answer ❶
Answer ❷
Q5 外来チェック時の患者への対応
Answer ❶
Answer ❷
Q6 左室リード植込み時の枝の選択と留意点
Answer ❶
Answer ❷
Q7 心室中隔ペーシングの場所と留意点
Answer ❶
Answer ❷
Q8 冠静脈攣縮の特徴と対処法
Answer ❶
Answer ❷
Q9 至適AV delay・至適VV delayの設定と留意点
Answer ❶
Answer ❷
第2章応用編─ ICD・CRTをより賢く使う ─
1 ICDの考えかた
❶虚血性心疾患
1.ICDによる二次予防
2.ICDの一次予防の効果
3.急性心筋梗塞早期の致死性不整脈への対処
4.ハイリスク症例の層別化
5.ICD治療の実状
6.冠攣縮性狭心症に対するICD治療
❷非虚血性心疾患 ─疾患特異性を加味した適応と効果
1.拡張型心筋症
2.肥大型心筋症
3.心サルコイドーシス
4.不整脈源性右室心筋症
5.先天性心疾患
❸器質的疾患のない症例
1.Brugada症候群に対するICDの考え方
2.早期再分極症候群に対するICDの考え方
3.QT延長症候群に対するICDの考え方
4.QT短縮症候群に対するICDの考え方
5.カテコラミン誘発多形性心室頻拍に対するICDの考え方
❹特殊症例 ─ショック治療を減らすためにすべきこと,ストームの対策
1.頻拍検出ゾーンを高く設定し,初期検出を遅らせる
2.ICDの検出持続時間を長くして頻拍の自然停止に期待する
3.不適切作動と不必要作動
4.ショックリダクションプログラムの安全性
5.頻回作動,Electrical stormの対策
2 CRTの考えかた
❶虚血性心疾患・非虚血性心疾患
1.心室再同期療法(CRT)の適応
2.CRTによるリバース・リモデリングとそのメカニズム
3.CRTによる虚血性・非虚血性心疾患に対するリバース・リモデリング
4.CRTによる虚血性・非虚血性心疾患に対する生命予後改善・心不全抑制効果
5.CRTによる虚血性・非虚血性心疾患に対する心室性不整脈抑制効果
6.虚血性心疾患におけるCRTの効果を高める対策
❷CRT-PとCRT-Dの適応
1.どのような患者に適応すべきか ─CRTの適応の考え方
2.CRT-PとCRT-Dの選択
3.CRT-PとCRT-Dの長所と短所
4.当院での植込み例
❸超高齢者のICD・CDT-D治療の考え方
1.超高齢者と植込み型除細動器(ICD)治療
2.超高齢者と心臓再同期療法(CRT)
❹non-responderを減らすために
1.患者選択
2.リード留置部位
3.デバイス設定
❺特別応用編 ─特殊な症例(HOCM患者)への応用
1.閉塞性肥大型心筋症に対するペーシング治療
2.左室流出路圧較差出現機序とペーシングによる圧較差軽減機序
3.左室流出路圧較差軽減のための両心室ペーシング
4.HOCMにおける左室流出路圧較差に対する両心室ペーシング治療の位置づけ
第3章特別編─ 知って使う新しい除細動器 ─(脱静脈内除細動リードシステム)
1 自動体外式除細動器(AED)
1.AEDが誕生するまで
2.AEDの診断精度
3.AEDの法律的側面
4.国内におけるAEDの普及実績と課題
5.技術面における今後の期待
2 着用型自動除細動器(WCD)
1.WCDの仕組み
2.WCDの設定
3.WCDの適応
4.WCDの効果
3 皮下植込み型除細動器(S-ICD)
1.S-ICDの特徴と仕組み
2.S-ICDの適応と患者のスクリーニング
3.S-ICDの効果
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書籍情報
- ISBN:9784498136502
- ページ数:400頁
- 書籍発行日:2018年2月
- 電子版発売日:2018年7月20日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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