腎臓病・高血圧と薬剤 実践Q&A

  • ページ数 : 240頁
  • 書籍発行日 : 2014年9月
  • 電子版発売日 : 2015年3月20日
5,280
(税込)
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商品情報

内容

近年、腎専門薬剤師の登場や薬剤性腎障害のガイドライン改訂などから、腎疾患における薬物療法の注目度が高まっています。
本書は、研修医や薬剤師、非専門医などに向けて腎機能が悪い時の薬や、薬の腎への影響などを簡潔に解説。実現場で困った時には、該当する設問からすぐに疑問点を解消でき、辞書的な要素もあるので、手元に置いておきたい心強い一冊です。

序文

現在わが国では,30万人を超える人が慢性維持透析を受けており,末期腎不全透析療法への進行を阻止できているとは言えないのが現状である.その3大原因疾患は,糖尿病腎症,慢性糸球体腎炎,高血圧性腎硬化症であるが,特に糖尿病腎症の進展抑制が求められている.高血圧の持続は,腎障害・末期腎不全を引き起こすだけでなく,その他の多くの疾患の増悪・進展に深く関与していると考えられる.そのため,腎臓病と高血圧の発症・進展機序の解明と,それに基づいた本格的治療法の開発が強く望まれる.最近は,急性腎障害と慢性腎臓病の2つの疾患概念が提唱され,腎疾患の早期発見と治療に活かされている.わが国の慢性腎臓病患者数は大変多く(成人の1,330万人といわれる),"新しい国民病"の一つとも考えられている.しかし,腎疾患を急性腎障害と慢性腎臓病のどちらかに診断することで安易に完結してしまい,個々の疾患の病態解明への追及がやや疎かになっているのではないかとの疑問もよせられている.また,わが国の高血圧は,本態性高血圧が大半であるが,近年の診断技術の進歩により,二次性高血圧の頻度はかなり多くなっている.したがって,高血圧の診断にあたっては,より慎重な検査・診断が求められる.

 

これまで,「腎臓病・高血圧と薬剤」については多くの優れた解説書が発刊されている.また,インターネットが広く普及した現在では,教科書,解説書は国内外ともにあまり活用されなくなかったと認識している.それなのに,今回敢えて本誌を上梓した意図は,実際に寄せられた疑問(Question)に対し,国内外で発表されているEvidenceに基づいた診療ガイドラインが臨床の場でどのように活かされているのか,また各執筆者のExperienceがどのように活かされているかを簡潔に答える形式(Answer)にし,疑問を少しでも解消していただきたいと考えたからである.また,疑問が生じた際にすぐに解決することが出来るので腎臓病・高血圧治療の辞書的役割を果たすと考えている.したがって,本書を受け取った際にはまずQをご確認いただき,必要に応じてすぐに活用できるように準備しておいていただきたい.

 

最近,人間ドック学会から検査の基準値について報告されたが,臨床の現場では患者からの質問も多くなり,若干の混乱を招いている.私は,腎臓病・高血圧の患者が健常者・健常時と変わらぬ日常生活を送られるようにとのOutcomeを重視する観点から,本誌でもこれまでの基準値を採用した.多剤の併用や一緒に摂ってはいけないものについては,思わぬ症状や検査異常等を呈することもあり,注意が必要である.今回のご執筆は,腎臓病・高血圧の診療に日々あたっておられる専門医に,これらの問題を含めお願いした.ご多忙のところご協力いただいたことに対し,紙面をお借りし心からお礼申し上げる.

 

本書を腎臓専門医のみならず,かかりつけ医や臨床研修医など多くの医師にお読みいただき,診療に活かしていただきたいと願っている.また,皆さまからの忌憚のないご意見をいただければ幸いである.最後に,本書の刊行にあたり,ご尽力いただきました中外医学社の皆さまに深謝いたします.


2014年 初秋 神田川のほとりにて

富野康日己

目次

第Ⅰ部 総論

Q1 腎臓病と高血圧とはどのような関連があるのですか?

Q2 糸球体機能はどのようにして正しく評価すればよいのですか?

Q3 尿細管機能はどのようにして正しく評価すればよいのですか?

Q4 血圧の値は,何によって規定されますか?高血圧の定義・分類はどうなっていますか?

Q5 急性腎障害って,どういう状態ですか?これまでの急性腎不全とはどう違いますか?

Q6 慢性腎臓病って,どういう状態ですか?CKD 診療ガイド2012の新分類はどのように用いるのですか?

Q7 CKD を末期腎不全へ進行させないようにするには,どのような薬剤がありますか?

Q8 CKD と心血管疾患の関連性はどうなっているのですか?

Q9 脂質異常症(高脂血症)が腎臓・血圧に悪い理由は何ですか?

Q10 高尿酸血症は,どうして腎臓に悪いのですか?腎臓が悪いから高尿酸血症になるのですか?

Q11 低尿酸血症は,どうして腎臓に悪いのですか?

Q12 腎臓における薬剤の排泄機構は,どうなっているのですか?

Q13 腎臓が薬物・薬剤によって障害を受けやすいのは,どうしてですか?

Q14 薬剤性腎障害の発症機序は,どのように考えられているのですか?

Q15 どのような薬剤によって,蛋白尿がみられるのですか?

Q16 どのような薬剤によって,どのような水・電解質異常が起こるのですか?

Q17 どのような薬剤によって,腎機能低下が起こるのですか?

Q18 腎機能低下の程度により,どのようにして薬剤投与量を調節するのですか?

Q19 どのような薬剤の組み合わせによって,どのような腎障害が起こるのですか?

Q20 多科にまたがって薬剤を投与されることが多いですが,腎障害を防ぐには具体的にどうすればいいですか?

第Ⅱ部 各論

A.腎臓病と薬剤 Q&A

Q1 蛋白尿が腎臓に悪いのはなぜですか?蛋白尿を改善させる薬剤はありますか?

Q2 血尿はどうして現れるのでしょうか?血尿を改善させる薬剤はありますか?

Q3 CKD 患者に第一選択薬として推奨される腎保護作用のある薬剤は何ですか?また,その理由は何ですか?

Q4 腎機能が悪いときに服用すると,問題が生じやすい薬剤にはどのようなものがありますか?

Q5 腎機能低下患者が風邪をひいた時に飲んでよい薬剤は何ですか?逆に飲んではいけない薬は何ですか?

Q6 腎機能低下非透析療法患者では,ビタミン剤やサプリメントを飲んでもいいですか?

Q7 CKD に効果のある漢方薬はありますか?また,腎機能低下があるときに飲んではいけない漢方薬は何ですか?

Q8 動脈硬化ガイドラインにそった治療の原則は何ですか?

Q9 LDLコレステロールを下げる薬剤は何ですか?その薬理作用は?副作用は?

Q10 HDL コレステロールを上げる薬剤は何ですか?その薬理作用は?副作用は?

Q11 高中性脂肪血症に用いる薬剤は何ですか?使用禁忌と注意点は何ですか?

Q12 ネフローゼ症候群では,どうして高LDL血症になるのですか?

Q13 高尿酸血症を改善する薬剤は何ですか?その薬理作用は?

Q14 低尿酸血症を改善する薬剤はありますか?

Q15 糖尿病腎症の新しい薬物治療薬は何ですか?

Q16 糖尿病腎症を悪化させないようにするには,どうすればよいですか?

Q17 糖尿病腎症にて血清Cr 1.78 mg/dL でネフローゼ症候群といわれ,上・下肢のむくみもみられます.空腹時血糖145 mg/dL,HbA1c 7.4%(NGSP)です.この患者の食事療法,薬物療法は何ですか?

Q18 腎生検を受けていない慢性腎炎症候群では,抗血小板薬を内服するのですか?魚の成分EPA・DHA はよいですか?それらの副作用は?

Q19 IgA腎症での口蓋扁桃摘出(扁摘)+ステロイドパルス療法とは,どのようなものですか?その適応は?禁忌は?

Q20 IgA腎症の診断で扁摘+ステロイドパルス療法を行い蛋白尿・血尿が消失しました.しかし半年後からまた蛋白尿,血尿が再度出現してきました.このような場合の治療法は何ですか?

Q21 急性糸球体腎炎に有効な薬剤は何ですか?副作用は?

Q22 急速進行性糸球体腎炎に有効な薬剤は何ですか?副作用は?

Q23 ループス腎炎といわれましたが,最新の薬物療法は何ですか?

Q24 副腎皮質ステロイド薬の効果と副作用は何ですか?

Q25 非ステロイド性抗炎症薬の効果と副作用は何ですか?

Q26 免疫抑制薬の効果と副作用は何ですか?

Q27 多発性囊胞腎で,腎機能が悪くならないための薬物療法は何ですか?

Q28 吸着活性炭クレメジンの効果と使用法は何ですか?副作用は何ですか?

Q29 高カリウム血症をきたしやすい降圧薬は何ですか?高カリウム血症の治療薬は何ですか?

Q30 低ナトリウム血症をきたしやすい降圧薬は何ですか?低ナトリウム血症の治療薬は何ですか?

Q31 腎性貧血に用いられる注射薬は何ですか?その効果と副作用は何ですか?また腎性貧血に鉄剤を用いてもいいですか?

B.高血圧と薬剤 Q&A

Q1 降圧薬にはどのような種類があるのですか?

Q2 各降圧薬の大きな副作用は何ですか?

Q3 腎機能に好作用を及ぼす降圧薬は何ですか?逆に悪影響を及ぼす降圧薬は何ですか?

Q4 降圧薬は各腎臓病患者によって効果に違いはありますか?また,薬の飲み合わせで何に気をつけるべきですか?

Q5 血圧が上昇したらすぐに降圧薬を服用すべきですか?

Q6 降圧薬は一度服用したら,一生服用しなければなりませんか?

Q7 血圧が低い時や安定している時は,薬を飲まなくてもよいですか?

Q8 家庭用血圧計で正常範囲であれば,薬を服用しなくてもよいですか?

Q9 至適血圧以下の期間がどの程度続いたら降圧薬を減量・変更するのですか?

Q10 降圧目標の数値はどの位ですか?それは合併する基礎疾患や年齢によって異なりますか?

Q11 カルシウム拮抗薬とはどんな薬剤ですか?最新の知見はありますか?副作用は何ですか?

Q12 アンジオテンシン変換酵素阻害薬とはどんな薬ですか?最新の知見はありますか?副作用は何ですか?

Q13 直接的レニン阻害薬とはどのような薬剤ですか?最新の知見はありますか?副作用は何ですか?

Q14a a遮断薬とはどのような薬剤ですか?最新の知見はありますか?副作用は何ですか?

Q14b b 遮断薬とはどのような薬剤ですか?最新の知見はありますか?副作用は何ですか?

Q15 降圧利尿薬はどのような場合に用いるのですか?最新の知見はありますか?副作用はなんですか?

Q16 抗アルドステロン薬はどのような場合に用いるのですか?最新の知見はありますか?副作用は何ですか?

Q17 バソプレシン拮抗薬とはどのような薬剤ですか?最新の知見はありますか?副作用は何ですか?

Q18 浸透圧利尿薬は,腎機能に影響を与えますか?副作用は何ですか?

Q19 降圧薬治療開始後,血圧が正常値に下がるまでにどのくらいの期間が必要ですか?薬剤による差はありますか?

Q20 降圧薬の中にはグレープフルーツジュースを飲んではいけないものがあると聞きましたが,なぜですか?

Q21 高齢者に用いる降圧薬は何ですか?若い時期とは変わるのですか?

Q22 高齢者CKD 合併の高血圧患者の薬物治療で,注意すべきことは何ですか?

Q23 高血圧に対して効果のある漢方薬はありますか?副作用はありませんか?

Q24 低血圧の治療薬はありますか?

Q25 朝の血圧が高くモーニングサージと言われました.モーニングサージとは,どういうことですか?また,防ぐ治療法は何ですか?

Q26 夜の降圧薬は飲酒などをした後に内服してもよいですか?また,飲酒で血圧は上がりますか?

Q27 降圧薬服用後立ち上がった時に「ふわっとなった」ことがありましたが,なぜですか?薬の影響でしょうか?

Q28 バイアグラ®,シアリス®や経口避妊薬は,血圧にどんな影響を与えますか?副作用は?

Q29 降圧薬は妊娠出産にどんな影響を与えますか?どんな薬剤を使用してはいけないですか?

C.末期腎不全代替療法と薬剤 Q&A

Q1 血液透析患者での薬剤投与量を決定する原則は何ですか?

Q2 血液透析患者で用いる消化性潰瘍薬は何ですか?どのように調節するのですか?

Q3 血液透析患者で用いる降圧薬は何ですか?どのように調節するのですか?

Q4 血液透析患者で用いる抗不整脈薬は何ですか?どのように調節するのですか?

Q5 血液透析患者で用いる感染症治療薬,抗結核薬は何ですか?どのように調節するのですか?

Q6 透析を続けていると合併症,特に骨が弱くなると聞いたのですが,骨を強くする薬剤は何ですか?

Q7 血液透析を受けているのですが,血清リン値が高いと言われました.最近注目されている高リン血症治療薬は何ですか?

Q8 血液透析の後半に血圧が下がってしまうのですがなぜですか?それに対して効果的な薬剤は何ですか?昇圧剤はどのように使うのですか?

Q9 血液透析の後半に下肢がつるのですがなぜですか?それに対して効果的な薬剤は何ですか?

Q10 腹膜透析患者での薬剤投与量はどのように調節するのですか?

Q11 腹膜透析での腹膜炎・トンネル感染に対しては,どのような薬物療法を行うのですか?

Q12 腹膜透析は5年位で血液透析へ移行すると言われました.腹膜透析をできるだけ長く続けるための薬剤はないですか?

Q13 透析患者でのかゆみ(瘙痒症)を抑える薬は何ですか?

Q14 透析患者での不眠を改善させる薬は何ですか?

Q15 透析患者でのうつ病を改善させる薬は何ですか?

Q16 透析患者では,健康食品・サプリメントをとっていいですか?


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書籍情報

  • ISBN:9784498224148
  • ページ数:240頁
  • 書籍発行日:2014年9月
  • 電子版発売日:2015年3月20日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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特記事項

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