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外来精神科診療シリーズ メンタルクリニックが切拓く新しい臨床―外来精神科診療の多様な実践―

  • ページ数 : 368頁
  • 書籍発行日 : 2015年1月
  • 電子版発売日 : 2020年4月3日
8,800
(税込)
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商品情報

内容

さまざまなタイプのメンタルクリニック48例を3群・12タイプに分けて、その実践例を紹介。先達の業績を偲びつつ、従来の病院外来では十分対応しきれなかった症例に意欲的に取り組むメンタルクリニックの多様な形態の現状と、今後の方向性を示すバラエティー豊かな実践指針。

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序文

序 精神科クリニックの分類─3 群・12 タイプに分ける私案

精神科クリニックのスタイルを分類する方法には,いろいろなやり方がありうるでしょう.ここでは,わたしが勝手にイメージすることのある3 群・12 タイプに分ける私案を紹介させていただきます.あるいはこの3 群・12 タイプ分類を通して,「精神科クリニックが発展してきた歴史」や「幅広い多様な形をとっている現状」や「今後の精神医療の方向性」の一端を垣間見ることができるかもしれない.なお,拙文中に出てくる人名の敬称は,略させていただきます.


全類型の共通基盤

精神科臨床に関する知識・経験・技能・ネットワークを活かして,精神障害の当事者・家族のために,クリニックという場で自分なりの臨床活動を日々継続していく決意と覚悟の存在.そして,その初志に基づく日々の実践.


Ⅰ群:地域に根ざして患者と家族を支える─地域ケア志向タイプ

① 地域密着型:地域の患者に良質な医療を提供するとともに,「居場所の提供」や「よ ろず相談」なども企図しており,地元で当事者の生活を支える「街角の診療所」 を志向する類型.本書Ⅰ-A の「先達の臨床活動と業績」でとりあげている浜田 晋 や藤澤敏雄らが創始したタイプで,精神科クリニックの元型といえよう.

② 地域ネットワーク重視型:地域の各種関連組織,たとえば病院・医師会・精神神 経科診療所協会・学校・職場・各種行政~福祉機関との連携に力を入れて,地域 ネットワークの活性化に寄与するとともに,その成果を自らの診療に活かしてい くタイプ.本書の執筆者では,Ⅰ-B の石井一平,田川精二,松㟢博光らが該当す るといえるだろう.

なお「① 地域密着型」と「② 地域ネットワーク重視型」が志向する理念は,(程度 の差こそあれ)他のすべての類型がふまえるべき基本的で重要な内容,アルファであ りオメガである事項である.以下のI 群に属する亜型は,この2 つのタイプの発展形 と考えてよいだろう.

③ 専門療法─リハビリ組織併設型:地域で専門療法~リハビリテーションをすすめ る組織,たとえばデイケアや作業所などを併設している類型.本書ではⅠ-C で, 認知症デイケアを運営してきた三原伊保子が活動内容を報告している.

④ 往診重視型:往診,アウトリーチ型支援を重視するタイプ.本書ではⅠ-D で,和 迩秀浩,高木俊介が日頃の実践を紹介している.

⑤ 小規模病棟併設型:小規模病棟を併設している類型で,本書ではⅠ-E の佐藤順恒 が活動状況を記している.

⑥ 包括的地域ケア志向型:デイケアをもち,往診・訪問看護の機能を有する多機能型精神科クリニックにおいて,医療・看護・心理・福祉を含む多職種の地域ケア チームが活動して,包括的な精神科地域ケアを志向するタイプ.本書に寄稿して いるⅠ-F 窪田 彰が代表的な実践者である.


Ⅱ群:この対象・治療法にこだわる─対象・治療法特化タイプ

⑦ 特定の年齢層に焦点をあてた型:たとえば,小児~青年期(本書では小倉 清,川 畑友二)がある.

⑧ 特定の精神障害に焦点をあてた型:たとえば発達障害(田中康雄),不安障害(貝 谷久宣),強迫性障害(原井宏明),睡眠障害(中村真樹・井上雄一),てんかん(伊 藤ますみ),性障害(針間克己),ギャンブル障害(森山成彬),認知症(小阪憲司) などが存在する.

⑨ 特定の精神医療~保健領域に焦点をあてた型:本書では,産業メンタルヘルスに 力を注いでいる神山昭男がこのタイプに属すると思われる.また,女性専用のう つ病リワークを展開している西松能子,女性医師として患者とかかわる海老澤佐 知江,心理職との恊働を実践する鬼頭 諭の臨床活動にも,このタイプに該当する 面があるといえるだろう.

⑩ 特定の薬物療法に焦点をあてた型:本書では、漢方薬を用いた医療を展開してい る杵渕 彰が当てはまる.

⑪ 特定の精神療法に焦点をあてた型:家族療法(本書では下坂幸三,中村伸一),精 神分析(鷺谷公子,鈴木 龍,成田善弘),ユング心理学(石岡弘子),森田療法(内 村英幸,北西憲二,鈴木知準,岩木久満子),認知行動療法(井上和臣・内海浩彦, 吉田卓史),ホリスティックアプローチとアロマテラピー(松薗りえこ)などが存 在する.また,複数の流派の精神療法を統合して活用している執筆者に,竹田康彦, 山田秀世がいる.この類型には、保険診療と自費診療の2 つの亜型がある.


Ⅲ群:自らの実践を持続し深める─従来の診療・研究の継続・発展タイプ

⑫ 従来自ら行ってきた臨床精神医学の実践~研究を,引き続きクリニックで進める 型:本書の寄稿者ではⅢ-L-41~48 泉谷閑示,臺 弘,小俣和一郎,笠原 嘉,熊木 徹夫,鈴木二郎,星野 弘,八木剛平らがあてはまるだろう.

本書では,この私案に沿った順で,各クリニックからの多様な実践の報告を紹介さ せていただきます.


原田誠一

目次

 地域に根ざして患者と家族を支える―地域ケア志向タイプ

A 地域密着型

先達の臨床活動と業績(1) 浜田 晋先生を偲ぶ―地域で暮らす患者とともに 

先達の臨床活動と業績(2) おーい,フジサワ,どうしている―時代を彩ったひとり,藤澤敏雄を偲ぶ 

B 地域ネットワーク重視型

メンタルクリニック開業から20年余の歩み―診療の楽しみと苦労 

精神障害者就労支援と精神科診療所 

藪医竹庵・駅前ただの医者開業?末記 

C 専門療法―リハビリ組織併設型

認知症高齢者を在宅で支える―精神科診療所のチャレンジ 

D 往診重視型

往診と地域精神医療 

ACT-K 高木俊介

E 小規模病棟併設型

ゆるゆる病棟の現状とこれから 

F 包括的地域ケア志向型

多機能型精神科診療所における精神科地域ケアと精神科リハビリテーション 

I この対象・治療法にこだわる―対象・治療法特化タイプ

G 特定年齢層特化型

子どもの精神科―私のクリニック 

私の子どもの精神科臨床 

H 疾患特化型

発達障害の臨床 

不安障害の臨床研究 

強迫性障害の認知行動療法―個人療法,集団集中治療,サポートグループ 

睡眠クリニックのニーズと使命―現状と問題点,これからの未来像 

精神科クリニックで実践するてんかん診療 

性別違和を診るクリニック 

ギャンブル障害の臨床 

クリニックにおける認知症の臨床の実際―特に「レビー小体型認知症」の診断と治療 

I 特定領域志向型

職場と主治医との連携を軸としたメンタルヘルス不調者の就労支援 

女性に特化した復職支援プログラム―何を臨床は引き受けるか 

女性医師と精神科クリニック 

外来精神科医療における心理職との協働―理念・実際・経営 

J 薬物特化型

漢方薬による治療 

K 特定精神療法特化型

家族療法 

精神科クリニックにおける精神分析的な診療の実際 

精神科外来診療における精神療法的アプローチ 

精神分析をふまえた診療の実際 

日常診療で出会うこころと身体の境界領域の「人生」の治療―ユング心理学の立場から 

クリニックにおける森田療法の実践と展望 

外来森田療法専門クリニックの治療システムについて―現代的病態への対応 

認知療法の実践―外来個人療法から復職デイケアまで 

認知行動療法の実践 

クリニック臨床の工夫と楽しみ―実学派こころ医者・逍遥記 

ホリスティックアプローチを取り入れた精神科クリニック 

認知・行動療法と森田療法の統合の試み―思春期・青年期臨床の立場から 

強迫的行為に対する条件反射制御法の効果 

先達の臨床活動と業績(3) 下坂幸三先生を偲ぶ 

先達の臨床活動と業績(4) 鈴木知準先生を偲ぶ 

II 自らの実践を持続し深める―従来の診療・研究の継続・発展タイプ

L 継続・発展型

病の意味を問い直す精神療法 

統合失調症の簡易精神機能テスト 

歴史と精神医学,精神療法と自由診療 

今日の精神科クリニックで診る「外来統合失調症,躁うつ病,うつ病とその周辺」 

「官能的評価」が生み出す双方向性のダイナミズム―精神科臨床における"グリム兄弟"をめざして 

精神科クリニックでの診療と臨床研究の実践 

クリニックの開業 

ネオヒポクラティズムとレジリエンス―回復論的な治療思想と疾病抵抗モデル 

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書籍情報

  • ISBN:9784521740003
  • ページ数:368頁
  • 書籍発行日:2015年1月
  • 電子版発売日:2020年4月3日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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