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- 総合診療専門研修の手引き 何をどう教え学ぶか 工夫と実例
商品情報
内容
中小病院や診療所での研修の仕方や、比較的大きな病院の総合診療部門での研修の仕方の相違点など、総合診療のオールスターが集結し執筆された手引書。総合診療医を目指して研修中の専攻医やその指導医はもちろん、医学生や研修医などに役立つ内容となっています。
■総合診療専門医になるためのシリーズ
① 総合診療専門医のカルテ-プロブレムリストに基づく診療の実際
② 総合診療専門医 腕の見せどころ症例 最上のポートフォリオに向けて
③ 総合診療専門医のためのワークブック
⑤ 病院で輝く総合診療医
序文
2017年4月,いよいよ総合診療専門研修プログラムがスタートする.日本において「総合診療」を一つの専門領域として位置づける大変画期的かつ重要なタイミングと言って良い.2015年の8月に研修プログラム整備基準が公表されて以来,全国の多くの方がプログラム構築に汗をかいている.ただ,外科や小児科のように専門領域としての長年にわたる厚い実績があるとは言えない総合診療においては,「家族志向型ケア」「地域志向アプローチ」「ビデオレビュー」「プリセプティング」のような独特の概念や用語を聞いても,すっと頭に入る方は少ないであろう.
日本プライマリ・ケア連合学会は,20 年前からゆっくりだが着実にプライマリ・ケア及び家庭医療の専門医養成に取り組んできた.そこで蓄積してきた総合診療の概念に対する知見や研修プログラム構築のノウハウをまとめ,今まさに日本全国で研修プログラムに関わる方たちに提供することが本書の狙いである.執筆には,専門研修に長年携わり,総合診療の概念にも造詣の深い総合診療のオールスターが結集したと自負している.
以下に,本書を活用する読者のイメージを列挙し,次に本書の構成と使い方を説明する.
●家庭医療専門医や総合診療専門医を目指して研修中の専攻医
●そうした専攻医を総合診療のフィールドで指導している指導医
●家庭医療や総合診療の研修プログラムを構築しようとするプログラム統括責任者
●総合診療専門研修プログラムでどのような研修が行われるかを詳しく知りたい医学生や研修医
●総合診療専門医がどのようにして養成されるかに関心を持つ方々
第1章では,総合診療専門研修がめざすものを,わかりやすく丁寧に説明した.特に,抽象的でわかりづらいコアコンピテンシーについては,第一線の専門家からの豊富な説明を提供している.
第2章では,そうした目標を達成するために構築された専門研修の3年間をいかにして学ぶかという視点で,3年間を通じた学び方について教育方略から評価法に至る総合診療領域ならではの工夫やコツ,そして総合診療,内科,小児科などの各研修ローテーションにおける学び方のコツを説明した.
第3章では,ここまでの総論を踏まえつつ,日本全国で比較的成功し定評のある家庭医療専門研修プログラムの概要と特徴・工夫などを具体的に紹介して頂いた.すぐにこうしたプログラムを構築することは厳しいが,高みを目指すことによって多くの専攻医に支持される可能性は高まる.
本書を通じて,一人でも多くの専攻医,指導医が質の高い総合診療専門研修を展開することができ,ひいては日本全国の多くのプログラムで研鑽を積んだたくさんの総合診療専門医が,地域社会の中で真に国民に求められる医療を提供する時代が,そう遠くない将来にやってくることを心より期待したい.
2016年6 月
北海道家庭医療学センター 理事長
草場鉄周
目次
◆総合診療専門医をめざす君たちに
1 総合診療専門研修がめざすもの
◆専門医制度改革と総合診療専門医制度
◆総合診療専門医の果たすべき役割
◆総合診療専門医のコアコンピテンシー
■人間中心の医療・ケア
■包括的統合アプローチ
■連携重視のマネジメント
■地域志向アプローチ
■公益に資する職業規範
■診療の場の多様性
◆総合診療専門医の経験目標
■身体診察および検査・治療手技
■一般的な症候への適切な対応と問題解決
■一般的な疾患・病態に対する適切なマネジメント
■医療・介護の連携活動
■保健事業・予防医療
◆3年間のローテーションの構築
2 研修をどのように学んでゆくか
◆3年間を通じた学び方
■研修目標と研修の場の適切な組み合わせ
■ポートフォリオを活かした学び
■定期的な省察による生涯学習
■ロールモデルとメンターとしての指導医の役割
■さまざまな教育法の活用
プリセプティング
症例カンファレンス
ビデオレビュー
SEA
技能教育
シャドウイング
360°評価
mini-CEX
◆多様な研修の場に応じた学びの工夫
■総合診療専門研修
診療所における学び
中小病院における学び
大病院や大学病院における学び
■必須領域別研修
内科研修
小児科研修
救急科研修
■他の領域別研修
ブロック研修を行う際の工夫
パートタイム研修を行う際の工夫
3 さまざまなプログラムでの学び方の実例
■多様な現場でタテ・ヨコ・ナナメのメンバーと学ぶ――北海道家庭医療学センター
■圧倒的臨床力と診療領域の広さ,そして仲間の存在――亀田家庭医・総合診療専門医プログラム
■都市型診療所を基盤とした家庭医を育てる――CFMD家庭医療学レジデンシー・東京
■地域の最適な研修の場に大学の教育機能を展開――筑波大学プログラム(つくば家庭医・病院総合医プログラム)
■「子宮の中から天国まで」地域を診る視点を学ぶ――静岡家庭医養成プログラム
■アカデミック・キャリアを含む多様なセッティングで学ぶ――三重大学総合診療科における総合診療(家庭医療)プログラム
■多様な研修の場を行き来しながら学ぶ――岡山家庭医療センター
■地方都市の小病院で学ぶ――飯塚・頴田家庭医療プログラム
■歴史を背景に急性期基幹病院から離島診療所までの特性を生かして学ぶ――沖縄県立中部病院での研修
■地方都市の単一医療機関でどこででも活躍できるように学ぶ――赤穂市民病院
付録
■総合診療専門医·専門研修カリキュラム
到達目標:総合診療専門医の6つのコアコンピテンシー
経験目標
■総合診療専門研修プログラム·研修目標及び研修の場
Column
●「家庭医療学」を学ぶために行ってきたこと
●研修中に「総合診療医」としてのアイデンティティを維持し続けるため
●研修中の,組織を越えた仲間づくり
●研修中にも研究を
●専門医試験対策として行っていること
●産婦人科研修の実際
●新しいプログラムのつくりかた
●研修期間中の出産・育児体験談
●指導医の集めかた,リクルートのしかた
●他施設での研修を依頼するには
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書籍情報
- ISBN:9784521741918
- ページ数:415頁
- 書籍発行日:2016年7月
- 電子版発売日:2017年11月10日
- 判:A4判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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