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麻酔科医のためのリスクを有する患者の周術期管理《新戦略に基づく麻酔・周術期医学》

  • ページ数 : 360頁
  • 書籍発行日 : 2018年4月
  • 電子版発売日 : 2019年2月6日
14,850
(税込)
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商品情報

内容

新戦略に基づいた情報をコンパクトにまとめた一冊

さまざまな疾患や症状などのリスクを有する患者においては,適確な術前評価と麻酔計画が重要となる.本書では,日常診療で遭遇する頻度が比較的高いリスクを有する患者を取り上げ, 各種麻酔法の選び方や使い方,周術期管理の実際を分かりやすく解説した.また,十分な術前コントロール・評価のできない緊急手術における対応についても実践的な解説を加えた.

あわせて読む → 「新戦略に基づく麻酔・周術期医学」シリーズ

序文

最近の医学技術の目覚ましい進歩は,過去には不可能とされた困難な手術へのチャレンジへと繋がり,一方で超高齢社会の到来という時代背景は,合併症を抱える割合の多い高齢者の手術症例の劇的な増加を招いている.その結果,過去に比べて極めてリスクの高い患者の手術が施行される件数が圧倒的に増加している.この傾向が今後ますます増加することは容易に想像され,ハイリスク患者に対して,現状以上の質の高い周術期管理を麻酔科医に強く求める時代がまさに到来したといえる.本書『リスクを有する患者の周術期管理』は,そのような背景のもとに《新戦略に基づく麻酔・周術期医学》シリーズの9冊目として刊行された.

過去においても「リスクを有する患者の麻酔」に関してはいくつかの書籍が刊行されているが,本書の特徴は上記のような背景を配慮したうえで,日常臨床において特に重篤な問題となるリスクを有する患者の周術期管理に焦点を当てたところにある.さらに,本書の冒頭では「リスクを有する患者での麻酔の考え方」の章を設け,吸入麻酔,静脈麻酔,区域麻酔のそれぞれの特徴を活かしたハイリスク患者への使用法について述べ,専門医としての麻酔科医の知恵と工夫の実際を概説した.さらに,最近大きな問題となっている筋弛緩薬およびオピオイドの使用法に関しても概説し,モニタリングの活用法とあわせて,安全な周術期管理に重点を置いた.また,後半では「リスクを有する患者の緊急手術」に焦点を当て,日常臨床に際して生死を大きく左右する患者管理においても,すぐに役立つ症例を重点的に配した.

本書もシリーズの他巻と同様に,できるだけ最新のエビデンスを取り入れ,麻酔科医にとって日常臨床に必要な周術期医学をコンパクトにまとめることを編集の基本とした.また図表を充実させ,必要に応じてTopicsの項目をつけるなど,内容を整理しやすい工夫も心がけた.忙しい臨床業務のなかで,前後に関係なく必要な章や項目だけを読んでも理解できるように編集している.

本書はそのような観点からも新戦略に基づいた情報をコンパクトな一冊としてまとめている.本シリーズの他巻と同様に,皆さまの臨床の傍らに常に置いていただける一冊となれば,編者としてはこのうえない幸せである.


2018年4月

高知大学医学部麻酔科学・集中治療医学講座教授
横山 正尚

目次

1章 リスクを有する患者での麻酔の考え方

1-1 吸入麻酔薬の有用性

1 高リスク手術における吸入麻酔薬の有用性

2 リスクを有する患者における吸入麻酔薬の有用性と問題点

1-2 静脈麻酔薬の有用性

1 静脈麻酔薬の利点と欠点

2 薬物効果の個体差

3 リスクを有する患者とは

4 ケースシナリオ1(Difficult Airway 患者の気管挿管)

5 ケースシナリオ2・3(脳神経外科手術 頭部固定用ピンの刺入)

6 静脈麻酔薬各論

1-3 区域麻酔の可能性

1 区域麻酔の利点

2 区域麻酔の欠点

3 neuraxial anesthesia による脊髄損傷

4 末梢神経ブロックの合併症

1-4 困難症例での筋弛緩薬の使い方

1 気道確保困難予測患者のマネージメント

2 重症筋無力症患者のマネージメント

3 高齢者のマネージメント

4 小児のマネージメント

5 帝王切開時のマネージメント

6 その他の病態におけるマネージメン

1-5 オピオイドを使いこなすために

1 オピオイドの特徴

2 リスクのある患者でのオピオイドの使い方

1-6 モニタリングをいかに活用するか

1 脳循環代謝モニター

2 脳機能モニタリング

2章 リスクを有する患者の周術期管理の実際

2-1 気道確保手技が困難な症例

1 疾患の概要

2 術前評価と麻酔計画

3 合併症への対応

4 インフォームドコンセント

2-2 慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者

1 疾患の概要

2 術前評価と麻酔計画

3 合併症への対応

4 インフォームドコンセントなど

2-3 巨大前縦隔腫瘍

1 巨大前縦隔腫瘍の概要

2 巨大前縦隔腫瘍と呼吸

3 巨大前縦隔腫瘍の症状評価,画像診断

4 巨大前縦隔腫瘍を有する患者の麻酔

5 腫瘍切除と分離肺換気

6 巨大前縦隔腫瘍の診断と治療戦略

7 PCPSとECM

8 患者および家族への説明

9 まとめ

2-4 高度心機能低下

1 心機能低下の分類

2 高度心機能低下の臨床症状とその術前診断

3 心機能低下の原因と高度心機能低下の評価とケア

4 高度心機能低下患者の周術期管理

2-5 たこつぼ型心筋症既往患者

1 疾患の概要

2 術前評価と麻酔計画

3 合併症への対応

4 インフォームドコンセント

2-6 重篤な不整脈を有する患者

1 総論

2 各論I:不整脈と周術期管理

3 各論II:遺伝性不整脈疾患

2-7 心臓移植後の患者

1 心臓移植後症例の概要

2 心臓移植症例の術前管理

3 心臓移植症例の術中管理

4 心臓移植症例の術後管理

5 インフォームドコンセント

2-8 複雑心奇形術後の成人患者

1 疾患の概要

2 術前評価と麻酔計画

3 合併症への対応

4 インフォームドコンセント

2-9 肝不全

1 疾患の概要

2 術前評価と麻酔計画

3 合併症への対応

4 インフォームドコンセント

2-10 肝移植後の患者

1 術前評価と麻酔計画

2 術後管理

3 インフォームドコンセント

2-11 慢性腎不全・透析

1 術前評価

2 麻酔計画と術中管理

3 インフォームドコンセント

2-12 脊髄損傷患者

1 脊髄損傷とは

2 麻酔管理上の注意点

2-13 脳圧亢進症

1 疾患の概要

2 術前評価と麻酔計画

3 合併症への対応

4 インフォームドコンセントなど

2-14 筋・神経疾患

1 重症筋無力症

2 筋ジストロフィー

3 その他の筋・神経疾患

2-15 重度リウマチ

1 疾患の概要

2 術前評価

3 麻酔計画

4 インフォームドコンセント

2-16 精神神経疾患

1 注意欠如・多動性障害(ADHD)

2 統合失調症

3 躁うつ病(双極性障害)

4 うつ病

5 パニック障害

6 認知症(アルツハイマー型)

7 パーキンソン病

2-17 熱傷

1 熱傷の概要

2 熱傷の重症度推測

3 初期熱傷患者への麻酔管理

4 実践! 熱傷患者麻酔管理

5 まとめ

2-18 褐色細胞腫

1 疾患の概要

2 術前評価と麻酔計画

3 合併症への対応

4 インフォームドコンセント

2-19 長期オピオイド使用中

1 各領域のオピオイド治療の考え方の違い

2 オピオイド治療中の問題点

3 周術期のオピオイド治療の継続と問題点

2-20 高度肥満

1 肥満,肥満症,高度肥満

2 麻酔前評価

3 麻酔計画

2-21 糖尿病

1 疾患の概要

2 術前評価と麻酔計画

3 合併症への対応

4 インフォームドコンセントなど

2-22 拒食症・るいそう患者

1 拒食症患者の特徴

2 拒食症患者の周術期管理

3 るいそう患者の一般的な注意点

2-23 超高齢者

1 高齢者の特徴

2 高齢者の薬理学的反応

3 超高齢者の周術期管理

2-24 悪性高熱症の既往や家族歴を有する患者

1 悪性高熱症とは

2 診断

3 術前評価

4 インフォームドコンセント

5 麻酔計画と準備

6 麻酔管理

7 治療

8 術後の管理

2-25 妊娠中の非産科手術

1 術前管理

2 麻酔計画

3 術後管理

2-26 輸血拒否の患者

1 宗教的理由から輸血を拒否する患者の概要

2 宗教的理由で輸血を拒否する患者に対する対応

3 麻酔科医が術前に確認すべきこと

4 術中の対応

5 患者が小児である場合の対応

6 救急搬送されてきた患者あるいは院内発症の不測の原因で緊急手術が必要となった患者への対応

2-27 静脈血栓塞栓症

1 疾患の概要

2 診断

3 治療および合併症

4 PTE/DVTの予防

5 インフォームドコンセント

3章 リスクを有する患者の緊急手術での対応

3-1 喘息発作中の患者

1 疫学

2 診断

3 喘息を有する患者の術前に考慮すべきこと

4 術中

5 全身麻酔中の喘息発作に対する対処

6 術直前に喘息発作を起こした患者の全身麻酔の一例

7 まとめ

3-2 扁桃摘出術後出血患者

1 扁桃摘出術の基礎知識

2 扁桃摘出術後出血とは

3 緊急手術での対応・戦略

4 おわりに

3-3 不安定狭心症合併患者

1 不安定狭心症合併時の緊急手術対応

2 麻酔管理

3 モニター管理

4 術後管理

3-4 大動脈解離,大動脈瘤

1 大動脈解離・大動脈瘤合併時の手術適応判断

2 術前評価

3 麻酔・周術期管理

3-5 脳動脈瘤

1 未破裂脳動脈瘤(UIA)とは

2 術前管理

3 術中管理

4 術後管理

5 おわりに

3-6 一過性脳虚血発作を生じている患者

1 一過性脳虚血発作(TIA) とは

2 TIA患者の緊急手術

3 術中管理

4 脳保護のためコントロールすべきパラメーター

3-7 急性腎不全患者

1 急性腎不全患者の特徴

2 急性腎不全患者への対応

3-8 バセドウ病

1 バセドウ病について

2 バセドウ病と麻酔

3 バセドウ病患者の緊急手術

3-9 HELLP症候群

1 術前管理

2 術中管理

3 術後管理

3-10 敗血症患者

1 疫学と病態生理

2 術前管理:急性期の治療

3 麻酔管理

4 術後管理

5 まとめ

3-11 RhD(-) 型血液の患者

1 RhD異型輸血に関する基本的事項

2 RhD(-) 型の患者に対する緊急手術の麻酔管理上の注意点

3 RhD(-) 型の患者にRhD(+) 型の血液を輸血した後の対応

3-12 抗血栓療法を受けている患者

1 緊急手術の術前評価

2 麻酔管理

3 脊髄幹麻酔と抗血栓療法

4 抗血栓療法のリバース

3-13 新生児(非心臓疾患)

1 新生児の特徴

2 麻酔管理

3 新生児期に手術となる疾患特有の注意点


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書籍情報

  • ISBN:9784521743271
  • ページ数:360頁
  • 書籍発行日:2018年4月
  • 電子版発売日:2019年2月6日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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