呼吸器疾患 診断治療アプローチ5 COPD

金子 猛 (専門編集) / 三嶋 理晃 (総編集) / 中山書店

  • ページ数 : 371頁
  • 書籍発行日 : 2019年8月
  • 電子版発売日 : 2020年3月6日
12,100
(税込)
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商品情報

内容

わが国のCOPD罹患者は500万人を超えると推定されているが,疾患認知度が極めて低い.喫煙が最大のリスクファクターと言われているが,発症と進展に関してはさまざまな仮説が存在し,複数の要因が組み合わさっていると考えられている.本書ではCOPDの病態・検査・診断・管理などについて,第一線で活躍する専門家が最新知見をわかりやすく解説.COPD診療に必携の一冊となっている.

序文

近年,COPDの病態についての理解が進み,発症における肺の発育障害の関与が指摘されるようになり,日本呼吸器学会の『COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン2018 第5 版』において,COPD の定義から炎症の文字が消えた.実際,COPD の薬物療法の主体は気管支拡張療法であり,抗炎症薬である吸入ステロイド薬(ICS)は,本ガイドラインでは喘息病態合併症例に限定して推奨されている.しかし最近になり,長時間作用性抗コリン薬(LAMA),長時間作用性β2 刺激薬(LABA)およびICS の配合剤である,いわゆるトリプル製剤が発売となったことで,COPDに対するICS の適応に関する議論が再び活発化してきている.本書でも,COPDにおけるICSの

位置づけや適応の考え方について取り上げて詳しく解説している.さて,本書は,「呼吸器疾患診断治療アプローチ」シリーズの最後の一冊として発刊に至った.本書を心待ちにしていた読者の皆様のもとに届けることができたことは無類の喜びである.COPDの各領域における第一人者の先生方にご執筆いただき,「COPDの疾患概念・定義と疫学」,「COPDの病態」,「合併症と併存症」,「検査・診断・評価」,「安定期の管理」,「増悪期の管理と増悪予防」,「教育・指導,病診連携」の領域を網羅しており,これまでの国内外の専門書と比べても類を見ない非常に充実した内容となっている.そして,何よりも,手にとってページをめくっていただくと即座に実感できるのが,図表を多用した,カラーで視覚的に理解しやすいフォーマットになっていることである.さらに,本書の特筆すべき点は,Column,Mini Lecture,Debate の数がこのシリーズの中でも突出して多く,Column 18 本,Mini Lecture 11本,またProsとConsに別れてのDebateが2本,あわせて31本のテーマで執筆され,各所に散りばめられている.興味を引くテーマが目白押しで,いずれも気軽に読むことができ,本文の理解のための一助となるものと考える.医学生や臨床研修医,ならびに呼吸器専門医を目指す若手医師から専門医まで,さらには一般医家や医師以外の医療従事者の方々にも広く本書を活用いただき,COPD についての基本を学び,加えて学術的,先進的な内容,そして臨床現場での課題など幅広い領域についても理解を深めていただきたいと願っている.

最後に,本書の発刊にあたり,専門編集の機会を与えていただきました京都大学名誉教授の三嶋理晃先生,私の無理な注文に応え素晴らしい原稿を書き上げてくださった執筆者の先生方,そして企画編集において素晴らしいサポートをいただいた中山書店編集部の皆様に深謝したい.本書がCOPD の診療の向上と今後の臨床研究の発展に大いに資することを願ってやまない.

2019年8月

金子 猛
横浜市立大学大学院医学研究科 呼吸器病学 主任教授

目次

1章 COPDの疾患概念・定義と疫学

疾患概念,定義

日本呼吸器学会(JRS)ガイドラインの動向

疫学

 Column 健康日本21(第二次)-COPDの認知率と診断率を向上するには

 Column 日本の疫学調査1-北海道COPDコホート研究

 Column 日本の疫学調査2-高畠研究

 Column 日本人のCOPD潜在患者数はどのくらいと推定されるか,NICE studyの予測は妥当か

 Column 世界COPDデーを知っていますか?

2章 COPDの病態

発症と遺伝因子,環境因子

 Column 電子タバコとCOPD

病因

病理

 Mini Lecture blue bloaterとpink puffer

 Mini Lecture 日本と欧米のCOPDの病型の相違-気腫型vs非気腫型

病態生理

 Column 日本では欧米に比べて増悪が少ないのは,病態の違いか,あるいは管理の違いか

 Column 小児期の成長障害が原因でCOPDの診断に至る症例の臨床像とは

 Column 女性の非喫煙者で閉塞性換気障害を有する症例の頻度と病態,治療の必要性について

3章 合併症と併存症

全身併存症

肺合併症

 肺癌

 ACO(喘息・COPDオーバーラップ)

 Column  ACOは重症度が高く,予後不良か

 気腫合併肺線維症(CPFE)

4章 検査・診断・評価

身体所見

胸部画像

呼吸機能検査

 Mini Lecture IOSとMostGraphの違い-どのように活用すべきか

運動負荷試験,呼吸筋の評価,睡眠時検査

バイオマーカー

呼吸困難とQOL

鑑別疾患

 Column 質問票

5章 安定期の管理

薬物療法

 SABA,SAMA

 LAMA,LABA

 Column LAMA/LABA配合剤の登場で実際に日本人COPD患者の予後は改善したのか

 ICS(吸入ステロイド薬)

 Column LAMA/LABA vs ICS/LABAのメタ解析・システマティックレビュー-あのJAMAから総説依頼が来た!

 テオフィリン

 喀痰調整薬

 Column たかが去痰薬,されど去痰薬

 マクロライド系抗菌薬

 新規抗炎症薬

 Column 管理目標の中で,現在の症状の改善を目指すのか,将来のリスクの低減が重要か

 GOLDキュメント,スペインCOPDガイドライン等海外薬物療法の考え方

 Mini Lecture LAMAはなぜLABAより増悪抑制効果に優れているのか

 Debate LAMA/LABA併用療法を最初から行うべきか-Prosの立場から

 Debate LAMA/LABA併用療法を最初から行うべきか-Consの立場から

 Mini Lecture 大規模臨床試験データの見方・考え方

非薬物療法

 COPDと禁煙

 Column 受動喫煙の害

 Mini Lecture 受動喫煙の法的規制-日本と海外の違い,このままでよいのか喫煙天国日本

 ワクチン

 Mini Lecture 肺炎球菌ワクチンのエビデンス-PPSV23とPCV13は併用すべきか

 呼吸リハビリテーション

 Mini Lecture 身体活動性の向上・維持の重要性のエビデンス

 Column 簡単で楽しく長続きする呼吸リハビリテーションの具体例-座ってできるCOPD体操の紹介

 栄養療法

 外科療法・気管支インターベンション

 酸素療法,補助換気療法

 Mini Lecture 在宅酸素療法導入のタイミング

 エンドオブライフケア(終末期ケア)と緩和ケア

 患者のQOL評価

6章 増悪期の管理と増悪予防

増悪の診断と重症度判定

増悪期の治療-薬物療法と呼吸管理

 Mini Lecture COPD増悪-全身ステロイド薬は投与すべきか

増悪予防と管理

7章 教育・指導,病診連携

吸入療法管理・支援(指導)

 Column 患者教育,吸入指導のための資材と活用法

医療連携-病診連携,在宅訪問診療

 Mini Lecture 身体障害者手帳の申請と公的支援-受けられる福祉サービス,助成( 国,地方)

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書籍情報

  • ISBN:9784521745299
  • ページ数:371頁
  • 書籍発行日:2019年8月
  • 電子版発売日:2020年3月6日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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