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- 心電図の読み方パーフェクトマニュアル
商品情報
内容
医師に必須の心電図判読力を完全にマスターできる決定版。たくさんの実物大心電図を呈示しながら診断のポイントと不整脈の原因、症状を簡潔に解説。トレーニング問題も充実し、基本と応用が身につきます!
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序文
序
心電図のみならず,いかなる検査所見もくり返し勉強し経験を積むにしたがって原則が見えてきて,それを判読する知識や技術が自然に身についてくるものです.しかし,要求される知識量が加速度的に増加している現在の医療現場ではその効率性が薄れてきているように思えます.循環器分野では,かつての,心音,心電図,胸部レントゲン写真でこと足りていた私の研修医時代の40年前とは比べようもなく,最近は心エコー図,核医学,CT,MRI,MRA,カテーテル検査,電気生理学検査,PCI,カテーテルアブレーションなど,理解していなければならない検査や治療法が激増しています.このことは他の診療科でも同様であり,臨床研修の現場では本人の努力もさることながら,あふれる情報を整理しいかに効率よく教育し,習得させるかが問われる時代になったことを痛感します.
臨床心電図の現在の位置づけについて述べておきたいことが2点あります.例えば虚血性心疾患の診断法では病態や発生機序-すなわち,冠血流の減少→ 心筋代謝異常→ 心機能障害-は,心臓核医学検査,心プールシンチグラフィ,負荷心エコー法により,高感度に異常所見が検出されますが,心電図に異常所見となって現れるのは,これらの諸検査より後,下流であり,時に狭心症状が出現する段階に現れるという点です.これは言いかえれば,心電図異常が現れる時は,冠動脈造影の必要性が問われる段階にあり,緊急な治療が必要な時期にさしかかっていることを示すものです.判読者によって心電図異常所見が発見される時期であると同時に,被験者に自覚症状がなくても見逃されることがあってはならない病態の進行過程の決定的な場面に,心電図で遭遇することがあるというわけです.すなわち,特に心電図記録者と判読者が異なる場合には時間的なずれが生じるわけで,記録者の緊急性を読みとる判読力が要求されることの重大さを認識しておきたいものです.
もう一つの点は,心電図所見の経時的変化には重要な意味を持つものがあるということです.例えば胸痛を訴える初診の患者にST上昇が認められる場合には,経時的(急性)な所見の変化が鑑別診断上重要な意味を持つことが少なくありません.記録時間の異なる複数の心電図を容易に比較することができる点は,非侵襲的な診断法の特徴でもあります.
こうした観点から心電図は自ら記録し判断することが理想的ではありますが,本書を心電図の読み方の上で,ベテラン医師の目のつけどころと,判読・診断への思考過程の実践的な解説書として,心電図判読トレーニングに役立てていただければと願っております.
読者対象にレジデントおよび若手上級医師,コメディカル,医学部学生を想定しましたが,内科系・外科系を問わず他科の専門医,開業医の先生方にもお薦めできる内容になっています.
本書編集に当たっての基本的な考え方を以下に示します.
1.循環器内科専門医が心電図をもとに,どのようなポイントに注目し,思考過程を経て診断に到るかを簡潔,明快に示す.
2.理論的背景の把握により,読者の応用力を引き出す.
3.トレーニング問題でなるべく多くの実践的判断を養う.
4.構成は,心電図所見から入るproblem-orientedな分類からなっているが,診断名による見出しを作ると同時に索引から用語,波形,所見による検索もできるようにしたので,実際の心電図判読への手がかりとしても活用できる.
われわれの本書に込めた思いが読者に伝わり,多くの読者の心電図判読力アップが診療の推進力に結実することを願いつつ.
2006年1月
編者を代表して
筑波大学附属病院 山口 巖
目次
Introduction 心電図を読むための基本事項
1 心電図の原理
2 心電計の扱い方と心電図のとり方
3 心電図波形の名称と計測法
4 QRS波形の呼び方
5 肢誘導および胸部誘導の観察方向
◆ 心電図診断における用語
Chapter 1 正常心電図
◆ 心電図のチェック事項とその順序
1 調律,心拍数,P波,PQ時間のここをチェックしよう
2 QRS群(QRS complex)のここをチェックしよう
3 ST-Tのここをチェックしよう
4 QT間隔,U波のここをチェックしよう
Chapter 2 正常なP-QRS関係がみられない− 基本調律の異常(頻脈を除く)
1 心房細動 〈AF〉
2 心房粗動〈AFL〉
3 房室接合部調律と促進性房室接合部調律
4 心室固有調律と促進性心室固有調律〈AIVR 〉
5 心房停止〈AS〉/ 洞室調律
Chapter 3 P波の形,大きさがおかしい
1 左房拡大
2 右房拡大
3 異所性心房調律(冠静脈洞調律 / 左房調律)
4 移動性ペースメーカ
Chapter 4 PQが短い,長い
1 WPW症候群
2 LGL症候群
3 I度房室ブロック
Chapter 5 QRS幅が広い(QRS時間の延長), QRS平均電気軸が異常
1 右脚ブロック〈RBBB〉
2 左脚ブロック〈LBBB〉
3 非特異的心室内伝導障害〈nonspecific IVCD 〉
4 左脚前枝ブロック〈LAH〉
5 左脚後枝ブロック〈LPH〉
6 2枝ブロックと3枝ブロック
7 両脚ブロック,交代性脚ブロック
Chapter 6 左室電位が高い,低い
1 左室高電位
2 左室肥大〈LVH〉
3 左室容量負荷
4 肥大型心筋症〈HCM〉
5 低電位差
Chapter 7 異常Q波
1 心筋梗塞〈MI〉
2 左右電極のつけ間違い
3 右胸心
Chapter 8 胸部誘導のR波の増高不良
1 R波増高不良
2 reversed r progression
3 時計方向回転
Chapter 9 右側胸部誘導のR波増高またはIや左側胸部誘導でS波が深い
1 反時計方向回転
2 後壁梗塞
3 右室肥大〈 RVH〉
4 右脚ブロック〈RBBB〉
5 急性肺性心
Chapter 10 STの上昇
1 急性心筋梗塞〈AMI〉
2 右室梗塞〈RV infarction〉
3 異型狭心症〈VAP〉
4 心室瘤
5 心膜炎
6 脳血管障害〈cerebrovascular disease〉−くも膜下出血〈SAH〉
7 たこつぼ型心筋症〈Takotsubo (ampulla) cardiomyopathy〉
8 Brugada 症候群〈Brugada syndrome〉
9 低体温〈hypothermia〉
Chapter 11 T波の増高
1 高カリウム血症〈hyperkalemia〉
Chapter 12 STの下降,T波の減高・陰性T波
1 心筋虚血
2 心内膜下梗塞(あるいは非Q波心筋梗塞)
3 2次性ST-T変化
4 非特異的ST-T変化
5 ジギタリス効果
6 低カリウム血症
7 巨大陰性T波〈GNT〉
Chapter 13 QTの延長と短縮
1 低カルシウム血症
2 高カルシウム血症
3 先天性QT延長症候群〈idiopathic LQT syndrome〉
4 薬剤性QT延長〈drug-induced LQT〉
Chapter 14 U波の増高と陰転
1 心筋虚血(前壁虚血)
2 心筋虚血(後壁虚血)
Chapter 15 予定より早くPやQRSが入る
1 心室期外収縮
2 間入性心室期外収縮と代償性休止期を伴う心室期外収縮
3 心室期外収縮の分類
4 副収縮
5 上室期外収縮〈SVPC〉
6 上室期外収縮の分類
Chapter 16 予定のところにPやQRSが入らない
1 洞停止
2 洞房ブロック〈SA block〉
3 MobitzII型II度房室ブロック
4 Wenckebach型II度房室ブロック
5 非伝導性(ブロックされた)上室期外収縮〈blocked SVPC〉
Chapter 17 徐 脈
1 洞徐脈
2 洞不全症候群〈SSS〉
3 徐脈頻脈症候群
4 2:1房室ブロック
5 高度房室ブロック
6 完全房室ブロック(III度房室ブロック)
Chapter 18 頻 脈(幅の狭いQRSで規則的なもの)
1 洞頻脈
2 発作性上室性頻拍−房室回帰性頻拍
3 発作性上室性頻拍−房室結節回帰性頻拍
4 発作性上室性頻拍−SANRT
5 心房頻拍〈AT 〉
6 2:1伝導の心房粗動
Chapter 19 頻 脈(幅の狭いQRSで規則的なもの)
1 心室頻拍〈VT〉
2 特発性心室頻拍(左室の左脚後枝起源)
3 特発性心室頻拍(右室流出路起源)
4 脚ブロックを伴うPSVT
5 副伝導路を順行伝導するPSVT
Chapter 20 頻 脈(幅の狭いあるいは広いQRSで不規則的なもの)
1 心室細動〈 Vf〉
2 torsade(s) de pointes〈TdP〉
3 偽性心室頻拍〈pseudo-VT〉
Chapter 21 先天性心疾患
1 心房中隔欠損〈ASD〉
2 心室中隔欠損〈VSD 〉/動脈管開存〈PDA〉
3 肺動脈弁狭窄〈PS〉
4 Fallot四徴症〈TOF〉
5 Ebstein奇形
6 修正大血管転位
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書籍情報
- ISBN:9784758106092
- ページ数:366頁
- 書籍発行日:2006年2月
- 電子版発売日:2013年11月22日
- 判:A4変型
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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