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- 救急医療パーフェクトマニュアル改訂版
商品情報
内容
ケーススタディ、検査・治療手技をはじめさまざまな切り口で解説し、よく出会う場面での対応がマスターできます!
序文
改訂の序
休日・夜間に家庭医の役割をする開業医が激減し,また,医療にコンビニエンス性が求められるようになったため,救急病院を受診する患者は年毎に増加した.一方,救急医療の専従医の多くは,交通事故を始めとした重症外傷の患者を救命することを主として,救命救急センターでの完結的医療に専念してきた.しかし,救命救急センターが対応する患者は,救急患者全体の数%に過ぎず,90%以上を占める一次・二次救急患者は,救急を専門としない各科の医師に任せられてきた.ところが,無用な医療訴訟が急増し,救急患者が専門性を強く求めるようになった今日,各科医師はリスクの高い救急医療を敬遠するようになった.その結果,救急医療専従医の負担増加,疲弊により救急医療崩壊の危機が迫っている.
解決策の1つとして,今後は救急医療専従医が各科と協力し,若手医師を育てながらER型救急医療を行い,病院全体で救急医療を支えていく体制が必要だと考える.こういった若手医師が最初から系統的な救急の専門書を読み始めても,日頃の救急医療にすぐに役立てることは難しい.それに対し,身近な症例から学び,それを積み重ねることによって,次第に系統的な知識へと結びつけていく方法は,救急医療を学ぶきっかけになりやすいと思われる.
本書はフローチャートを中心とした表面的なマニュアル本ではなく,初版の形態をそのまま活かし,日常よく遭遇する症例について,必要な検査,診断から治療まで考えながら学べるようになっている点が特徴である.したがって,これから救急医療に携わる若手医師にとってすぐに役立つ実用書として,また,救急医療に興味を持つための入門書の1つとして,本書をお勧めしたい.
初版が発刊されてすでに7年が経過した.現代では10年一昔ではなく,5年一昔であろうから,初版は一昔以上前ということになってしまう.今回,執筆者にお願いして大幅に改訂を行ったので,日常の救急医療に一層役立てていただきたい.そして,救急医療に興味を持っていただき,さらに専門的知識の習得へと発展していただきたい.
2009年 10月
編者を代表して
輿水 健治
初版の序
救急医療は,プレホスピタルケアおよび医療機関の両者が一体となってはじめて質的向上が得られるものである.近年,わが国における救急救命士を中心としたプレホスピタルケアに対する情熱は高揚の一途をたどっているが,その士気の高さは病院外心肺停止例に対する気管内挿管をルーチンワークとした地方の救急隊の存在が如実に物語っているといえよう.しかも今後この救急救命士の医療行為の質的評価を,メディカルコントロールと称して医療機関側が行おうとしており,プレホスピタルケアの質的向上は今後さらに加速するものと思われる.しかるに,一方の医療機関における救急患者の対応は,体力と熱意のある研修医も含めた若手医師に任せっきりであることが多いのが現状である.それにもかかわらず,医療機関はメディカルコントロールの質的評価の対象になっておらず,今後の重要な検討課題と思われる.
救急医療においては,一刻を争う処置が必要なこともあり,周知のように総合的かつ広範な医学知識や技術が不可欠であり,十分な臨床経験が必要である.したがって,体力と熱意はあっても知識や経験に乏しい若手医師たちが,目の前の問題を迅速に処理するための実践的な「マニュアル」は必要不可欠と考えるのは至極当然のことであろう.また「持っていないと不安」でつい買ってしまう気持ちもわかる.そしてあまたのマニュアル本を購入して読んでみたはいいが,結局“得体の知れない空虚感”のみが残ってしまうのではないかと訝っている.私自身も研修医時代は恥ずかしながらほぼ似たようなものであった.なぜこのようなことが起こるのか考えてみると,元来マニュアルというものは,知識のない人に表面的な浅い知識のみを簡潔に整理して提供するものであることに関係している.したがってマニュアル本で急場を凌いだら,その後必ず専門書などで深い知識を得た上でマニュアル本の記載内容を検証・理解すべきであり,そのようにしてはじめて“得体の知れない空虚感”から脱することができるのであろう.
さて本書もいわゆるマニュアル本ではあるが,表面的な浅い知識を羅列した単なるマニュアル本ではない.以前『レジデントノート』(研修医雑誌/羊土社編)で,ケーススタディを中心にした「救急対応を極める!」という特集が組まれたことがある.代表的な症候別にQ&A方式で症例を提示し,さらに鑑別診断,ピットフォール,失敗例などについて解説を加えたものであるが,これが大変好評であったことが本書を上梓するきっかけとなっている.
本書では,まず第1章として日常診療でよくみかける24症例を取り上げ,症例と問題を提示し,それに対する解答・解説を配するという構成とし,読者に自ら考えてもらうように配慮した.ぜひ力試しにチャレンジしてもらいたい.第2章では,第1章で提示した24症例を,10項目のジャンルに分けて,鑑別診断の進め方,キーワード,注意事項とピットフォール,体験談・失敗例などを取り上げ,懇切丁寧に解説した.第1章で提示した症例はすべて執筆者自身が経験したものであり,第2章も第1章とジャンル別に同じ執筆者が担当した.この1章と2章のリンクは,本書の特徴であり,より深い理解が得られるように工夫した点である.ついで第3,4章では,救急医療において習得しておくべき治療・検査手技,全身管理法について解説した.ふんだんに図表を使用して大変わかりやすく構成されている.第5章では,各種画像診断の読み方を執筆者自身の経験した画像を使用して解説した.また役に立つ付録として,普段なにげなく使用している各種パラメータの正しい使い方について概説した.このようにまとまって解説されているものはめずらしく,きっと重宝していただけることと思う.さらにコラムとして,救急医療においてよく遭遇する医療周辺の問題をいくつか取り上げて,その対処方法をわかりやすく解説した.このようにあらゆる角度から“救急医療”にアプローチしている点が本書の優れた特徴となっている.
執筆者としては,救急医療に造詣の深い専門医を選定し,研修医を含む若手医師が救急,当直で必ず出会うであろう状況を想定し,より実践的な視点から解説してもらっており,必ずや救急医療の日常診療に役に立つであろうと自負している.しかし最後に誤解のないように申し述べておくが,“得体の知れない空虚感”の残らないよう工夫したつもりではあるが,本書の記載内容はあくまで表面的な知識の域を脱しているわけではなく,疑問点があれば必ず専門書などで理解を深めていただきたい.
2002年 6月
編者を代表して
森脇 龍太郎
目次
● 概 論 ● 救急医療の概略と心構え
救急医療とは
[ 救急医療はもはや日常診療そのもの / 救急医療を楽しもう ]
身近な救急医療体制を知る
[ 病院の体制・情報を知る/ 救急外来・処置室の環境をチェックしよう / 近隣の病院の状況を把握しておこう ]
救急患者に接する心構え
[ 診察は早く開始しよう / 救急患者で呼ばれたらいつでも外来にいける服装にしておく/ 顔を洗って外来に出よう.くれぐれも眠そうな顔をしてはいけない /「何でこんな軽いのに来たんだ!」は禁句 / 自分の名前を名乗ろう ]
救急診療の原則
[ ない知恵は人から借りる / 思い込みは失敗のもと /「まあいいか」は,もう危ない.最悪の事態を想定しよう / 検査データ・画像所見のみにとらわれるな / 診療録の記載は迅速・確実に / 申し送り(引き継ぎ)を的確にしよう ]
患者さん・家族への病状説明
[ 診察後,帰宅させる場合には注意事項について説明しよう / 薬の効果と副作用,服用の方法については口頭で説明しよう / 次回の再診の指示は明確にしておく ]
他の医療職との連携
[ 外来の看護師とのコミュニケーションをよくとっておく / 救急隊員の力を借りる ]
感染防御
[ 自分の体は自分で守る ]
● 第1章 ● ケーススタディで実践する救急医療(Q & A)
Case:呼吸困難①
[ 68歳 女性 うつにて精神科通院中.整形外科で物理療法を受けた後,突然呼吸困難,動悸が出現 ]
Case:呼吸困難②
[ 78歳 男性 旅行から帰国時に悪心・嘔吐が出現 ]
Case:ショック①
[ 26歳 女性 交通事故による多発外傷 ]
Case:ショック②
[ 30歳 男性 空き家の一室でいびきをかいて倒れているところを発見される.呼びかけに反応しない ]
Case:ショック③
[ 69歳 男性 畑で作業中,「痛い,痛い」といって倒れる.顔面は真っ赤で呼びかけても返事なし ]
Case:胸痛・背部痛
[ 49歳 男性 突然前胸部から左背部に激痛を自覚,冷汗あり ]
Case:胸痛①
[ 60歳 男性 断続的な前胸部鈍痛.息苦しさあり ]
Case:胸痛②
[ 73歳 男性 夕食後嘔吐あり.前胸部から心窩部にかけ痛みが増悪.呼吸困難あり ]
Case:腹痛①
[ 61歳 女性 夕方より心窩部痛出現,嘔吐もあり,翌日未明疼痛増強 ]
Case:腹痛②
[ 48歳 女性 2~3日前より胸やけあり,突然強い腹痛が出現 ]
Case:腹痛③
[ 85歳 男性 左側腹部痛が生じ近医を受診するが軽快せず,入院.腎機能障害が進行 ]
Case:失神①
[ 74歳 女性 気分不快を訴え,失神を繰り返す ]
Case:失神②
[ 52歳 男性 健康診断で胃潰瘍を認め生検.帰宅後,黒色便に気づく.パチンコ中,失神して転倒 ]
Case:失神③
[ 65歳 男性 ゲームセンターで失神して椅子から転落 ]
Case:頭痛①
[ 50歳 女性 夜遅く従来にない激しい頭痛,吐気で寝つけず.翌朝夫が起こすが反応が鈍かった ]
Case:頭痛②
[ 32歳 男性 2週間前より微熱,全身倦怠感,4日前40℃の発熱,咳,痰あり.頭痛出現し嘔吐 ]
Case:痙攣①
[ 9カ月 女児 発熱して痙攣.近医を受診し,処方を受ける.再び発熱,痙攣 ]
Case:痙攣②
[ 74歳 女性 交通事故受傷後,リハビリ入院中,左顔面・上肢から始まり全身に広がる痙攣 ]
Case:めまい①
[ 72歳 女性 2カ月前から激しい運動時にめまい.頭部CT異常所見なし.歩行中にめまい出現で来院 ]
Case:めまい②
[ 59歳 男性 めまい症状で来院.診療中に急激な意識レベルの低下 ]
Case:発熱①
[ 44歳 女性 全身倦怠感.悪寒を伴う発熱(弛張熱),寝汗,多関節痛出現 ]
Case:発熱②
[ 58歳 女性 全身倦怠感. 体重減少,発熱. 近医受診するが改善せず, 後頭部痛出現 ]
Case:中毒①
[ 33歳 19歳 20歳 男性 大学のスキー合宿中. 石油ストーブをつけ, プロパンガスを使用して炊事. 食後, 1人が散歩に出かけ戻ってきたところ2人が意識を失っていた ]
Case:中毒②
[ 22歳 女性 自殺目的でアジ化ナトリウム粉末1g服用.もうろうとした状態で自ら救急車要請 ]
Case:精神疾患①
[ 28歳 男性 残業中に突然動悸が激しくなり, 「死んでしまう」と感じる ]
Case:精神疾患②
[ 55歳 男性 糖尿病, 肝機能障害の悪化で入院. 深夜落ち着きなく歩き回る. 上肢, 顔面の振戦. 発汗 ]
● 第2章 ● 主要症候別救急医療の実際
呼吸困難
ショック
胸痛・背部痛
腹 痛
失神・意識障害
頭 痛
痙 攣
めまい
発 熱
急性中毒
精神疾患
● 第3章 ● 救急医療における検査・治療手技
心肺蘇生法
気管挿管
気管切開
中心静脈カテーテル挿入
バルーンカテーテル挿入法
胸腔ドレナージ
腰椎穿刺
救急時輸液
血液型判定・交差試験・輸血
● 第4章 ● 一目でわかる全身管理の基本
呼吸管理の基本 ~酸素療法から機械換気(人工呼吸)まで
循環管理の基本
体液・電解質管理の基本
体温管理の基本
救急時の抗菌薬の使い方
● 第5章 ● 救急医療における画像の読み方
頭部CT
胸部X線
胸部CT
心エコー
腹部X線
腹部CT
腹部エコー
● 付 録 ●
① 救急医療で用いる各種パラメータの正しい理解と使い方
呼吸・酸素代謝(PaO2, SaO2, A-aDO2, FIO2, CaO2, DO2, VO2, O2ER, PaCO2, RI, OI, Cstat,Vd/Vt, VPI)
循環(Killip分類,CVP,PCWP,CO,CCO,SVR,PVR,LVEF,RVEF,Forrester分類)
中枢神経系(JCS,GCS,ICPとCPP)
腎機能[尿量, 尿比重, 尿浸透圧, 乏尿の鑑別(FENa),腎機能の評価(Ccr, Cosm, CH2O)]
水・電解質・血糖(水分,電解質,非電解質,Anion Gap,Osmolar Gap,血糖)
出血・凝固能(出血時間,血小板数,PT,APTT,ACT,DICスコア,フィブリノーゲン,FDP,D-ダイマー,AT活性,活性化プロテインC,トロンボモジュリン)
重症度評価(APACHE Ⅱ,SOFA,SIRS,RTS)
検査値一覧
② 救急医療における書類作成と届出義務
死亡診断書(死体検案書)の書き方
異状死体の届出について
感染症法に基づく医師の届出・報告の義務について
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書籍情報
- ISBN:9784758106764
- ページ数:365頁
- 書籍発行日:2009年11月
- 電子版発売日:2012年12月15日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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