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商品情報
内容
代表的なソフトウェアの基本操作とともに、細胞数のカウント、シグナル強度の定量、形態による分類など、あらゆる用途に応用可能な実践テクニックをやさしく解説!イメージングデータを扱うすべての研究者、必読の1冊!
序文
バイオイメージングとバイオ画像解析
「この画像データを"観る" だけではなく"定量" してみたい」──本書を手に取った読者の多くは,日頃からそういった意識をどこかで抱いていることと思う.また研究者のそうした要求は,バイオイメージング技術の発展と普及とともに,日に日に高まりを見せているのが現状であろう.実際,この10年で生体内のさまざまな動態をバイオイメージングで非侵襲的に計測することが一般的になっただけではなく,蛍光プローブ,1分子・超解像イメージング,二光子・シート型顕微鏡,組織透明化など,バイオイメージング計測にかかわる多面的な技術革新により,分子から細胞,そして組織に至る空間スケールの現象を,マイクロ秒から数週間にわたる時間スケールで,多数の分子種に関して多重測定することが可能になった.バイオイメージングが提供するこの多彩な画像データから,画像解析によって生体現象の時空間動態にかかわる情報を得ることができる.そのようなデータは,旧来の生命科学と,物理や工学,数学など異分野とをつなぐ具体的な接点であり,最近のシステム生物学や定量生物学,生命動態システム科学などの発展に大きく寄与している.バイオ画像解析はしたがって,イメージングに基づく多様かつ多量の情報を効果的に活用し,生命現象の定量的で動的な理解を進める上で不可欠の技術である.
広がるバイオ画像解析の裾野
しかしその重要性とは裏腹に,バイオ画像解析の分野は,バイオイメージングと時期を同じくして発展してきたバイオインフォマティクスと比べても圧倒的に専門的人材も情報も少ない.2005年ごろから,生命科学の各分野で個別に扱われていた画像解析の諸問題を,"バイオイメージインフォマティクス" という形で集約する活動が始まり,アルゴリズムの開発とともに,データベースや標準化にかかわる整備なども進んできているものの,画像解析が生命科学の現場に普及しているとは言いがたい.まずは実験系科学者が自身で取得した画像を当たり前のように解析できる環境とリテラシーを整えるのが不可欠である.実際,われわれが研究の現場で直面する画像解析の問題は非常に多様であるが,同時に高度な画像解析技術を必ずしも必要としないものが大部分である.大学学部生程度のプログラミングの知識と,バイオ画像特有の問題さえおさえればできることは多い.
また一方で,最近では一度の解析で数十GBから数TBに匹敵するデータを生成する顕微鏡技術も現れつつある. このような問題は,画像の素人には全く手が出ない.日進月歩に進化するバイオイメージング技術とそこから生成される新たな画像解析の問題を専門家と共有し,必要な技術を合わせて構築してゆくことも同時に重要な課題である.
本書の目的と構成
このような背景を受け,本書の目的は2つある.1つは,バイオ画像を用いた定量的な解析を志す実験研究者が,必要な画像解析の基本を実例を交えて学び,実践してゆくためのきっかけと道標を提供することである.もう1つは,画像解析の専門家に対して,バイオ画像解析の現状を伝え,本分野における問題を共有することである.
第1章では,バイオ画像解析の現状や有用な文献を紹介するとともに,画像解析の前に考えるべき計測の諸問題や,画像データを扱う上での基本知識,そして解析に用いるソフトウェアやデータベース環境について概説している.バイオ画像解析に取り組むに際し,まず初学者が知るべき情報が網羅されている.また画像解析の専門家がこの分野特有の状況を理解するうえでも有用であろう.
第2章は実際に自分の手でバイオ画像の解析を行う手順を,順を追って詳説する.画像解析に不可欠なフィルター処理などについて学んだ後,画像解析の具体的なイメージをつかむために解析事例を紹介する.そして,ImageJ,MetaMorph,そしてMATLAB® の異なるソフトウェアプラットフォーム上で基本的な画像解析を行う手順を実例をもって紹介する.ここで紹介する事例は少数ではあるものの,使われている手法などを対象に応じて工夫することよって,実際の現場で現れる多くの問題に対応できると思われる.画像解析をこれから志す実験研究者はぜひ,第2章を読み込んで「自分で」画像解析を実践してもらいたい.
第3章では,第2章で学ぶような基本的な画像処理だけでは対応が難しい,より高度な応用解析の個別事例を紹介する.トラッキング,機械学習による自動判別,組織変形解析,3D,4Dのデータ解析などをカバーしている. 内容的には画像解析の初学者が自分で手を動かして実践できるレベルを超えている.むしろ,画像解析によって得られる情報の可能性を知っていただくとともに,どこまでが基礎的でどこからが専門家との協働が必要な応用問題になるのかを,実例をもって認識してもらうことを期待している.また画像解析の専門家に対しては,現時点でのバイオ画像解析の課題などを把握していただくのにも有用であると思っている.
本書により,画像解析の手法が日本の生命科学研究において広く普及し,実験研究者から画像解析の専門家までが,バイオ画像の諸問題を共有するきっかけになれば幸いである.
2014年11月
小林徹也,青木一洋
目次
第1章 画像解析の予備知識 〜備えあれば憂いなし
1)バイオ画像解析のオーバービュー
2)画像解析の前に考えるべきこと
3)画像解析ソフトの環境紹介 〜ImageJ,MetaMorph,MATLAB〜
4)画像データの基礎知識 ~画像の種類と見せ方~
5)バイオイメージと定量データのデータベース
第2章 チャレンジ!画像解析DIY 〜自分の力でやってみよう!
基本の処理を学ぼう
1)画像解析の基礎① 〜フィルター処理〜
2)画像解析の基礎② 〜マスク作成 〜
MetaMorphを使ってみよう
3)MetaMorphによる簡単な画像解析
4)MetaMorphによる画像解析プログラミング
ImageJを使ってみよう
5)ImageJによる簡単な画像解析
6)ImageJによる画像解析プログラミング
MATLABを使ってみよう
7)MATLABによる簡単な画像解析
8)MATLABによる画像解析プログラミング
ソフトウェアを組み合わせて使ってみよう
9)動く細胞の定量的動態解析
第3章 画像解析フロンティア 〜最先端を知ろう!
1)3D画像解析の基礎とその周辺
2)トラッキングの基礎とその周辺
3)ランドマークデータからの組織変形動態の推定
4)機械学習による細胞形態の分類と推定
5)画像処理統合プラットフォームVCAT5
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書籍情報
- ISBN:9784758108157
- ページ数:221頁
- 書籍発行日:2014年11月
- 電子版発売日:2016年4月28日
- 判:A4変型
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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