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補完・代替医療 バイオフィードバックとリラクセーション法

  • ページ数 : 107頁
  • 書籍発行日 : 2011年3月
  • 電子版発売日 : 2013年1月1日
1,980
(税込)
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商品情報

内容

臨床バイオフィードバックの決定版! 心身症の改善やピークパフォーマンスの向上に役立つとされるバイオフィードバックの実際をわかりやすく解説!!

本書では,定義や対象などバイオフィードバックの実際と、呼吸法や自律訓練法、漸進的筋弛緩法といったリラクセーション法を詳しく解説した。バイオフィードバックとリラクセーション法を組み合わせた臨床例も紹介し、臨床バイオフィードバックの実際が理解しやすい。

序文


近代西洋医学以外の医療としての補完・代替医療(Complementary and Alternative Medicine : CAM)への関心が,近年欧米を中心として世界的に高まってきており,従来の医療システムにCAM の安全性と有効性を検証しながら取り入れていく統合医療(Integrative Medicine)という新しい概念も注目されている。実際,米国国立衛生研究所National Institutesof Health(NIH)の国立補完代替医療センター(National Center for Complementary and Alternative Medicine : NCCAM)の2009 年度の年間予算は約1 億2 千6 百万ドル(約120 億円)にも及んでおり,CAM の基礎研究や臨床応用や教育に対する本格的な取り組みがすでに始まっている。このような中で,バイオフィードバックやリラクセーション法は,NCCAM 分類の中の"Mind?Body Interventions(心身相関に基づく介入)"という領域の中に"Mind?Body Methods(心身医学療法)"の一つとして分類されている(http : //nccam.nih.gov)。これまでにも,従来の医療を補助する治療法として研究や臨床応用が試みられてきたが,薬物療法や手術などによる他者療法が医療の中心となる現代医学の中においては,セルフコントロールが重要視されるこのようなアプローチが認知され広がることは難しかった。このような状況の中で,近年バイオフィードバックやリラクセーション法が再び注目されるようになってきた背景には,生活習慣病など多くの慢性疾患がストレスの影響を受けているということが研究により明らかになってきたということが考えられる。すなわち,心身のストレス反応としての交感神経系の慢性的な緊張状態が内分泌系や免疫系にも影響を与え,結果的にさまざまな症状や病態を引き起こしているのである。そうであれば,治療的アプローチの選択肢として,自律神経系の働きを自らコントロールするバイオフィードバックやリラクセーション法が有用であるということも十分根拠があると言えよう。

本書では,心身のリラクセーション反応を自ら起こす手法として,バイオフィードバックや自律訓練法などのリラクセーション法を用いた実際のアプローチについて紹介する。バイオフィードバックについては,単にリラクセーションの方法を学習するだけでなく,さまざまな自律反応や筋肉の緊張弛緩反応を随意的にコントロールすることが可能であるため,リハビリテーション領域や看護領域などでも,適切な筋緊張の再学習を目的に用いられている。そのため,CAM に分類されることに違和感を持たれるかもしれない。他の心理療法や行動医学的アプローチにおいても,しばしばCAM に分類されることが認められる。このことは,心身二元論に基づく近代西洋医学の枠組みにおいては,身体の症状や病態に対しては身体に直接アプローチすべきであり,心理的アプローチやリラクセーション法は心理的問題に対してのみ効果があると考えられていたためである。

病気は苦痛や不快感を伴う極めて主観的体験である。客観的に観察される検査データは,単に身体面の異常という一側面しか実はとらえていないにもかかわらず,あたかもそれがすべてかのような錯覚をしてしまったところに近代西洋医学の大きな問題点がある。たとえ身体疾患に対する薬物療法や手術が必要である場合でも,その人にとっては「病(やまい)」の体験としての苦痛や苦悩に伴う自律神経系・内分泌系・免疫系などのストレス反応が起こっているという事実を考えるなら,バイオフィードバックやリラクセーション法などを併用することでよりその苦悩が改善される可能性があるということを理解していただけるであろう。多くのCAM が,自然治癒力を高めることで症状や病状の改善が期待できるとしているのも,このリラクセーション反応をより効果的に起こす要因が含まれていることが影響している。

以上のようなことから,本書で紹介するバイオフィードバックやリラクセーション法は,通常の近代西洋医学や他のCAM に併用することで,これまで以上に効果を上げることも可能となる。21 世紀になった現在は,心身二元論により分けられてしまった心と身体を再び統合していく時代と言えよう。バイオフィードバックやリラクセーション法はそのための強力な方法論を提供してくれるのである。


2011 年1 月

竹林直紀

目次

総論

 

1.補完・代替医療としてのバイオフィードバック

  1.補完・代替医療の医療モデル

  2.システム論的健康観

  3.バイオフィードバックの医療モデル

  4.臨床精神生理学

  5.臨床バイオフィードバックの実際

  6.リラクセーション反応とセルフコントロール

2.ヘルスプロモーションとバイオフィードバック

  1.健康とは何か?

   1)死因構造,平均寿命の変化と健康の関係について

   2)これからの健康とは

   3)健康の評価

  2.健康とセルフケア行動

   1)わたしたちの行動とセルフケアの重要性

   2)健康とバイオフィードバック

  3.ヘルスプロモーションにおけるバイオフィードバックの活用法とバイオフィードバックの意義

各論

1.バイオフィードバック

  1.バイオフィードバックとは

   1)バイオフィードバックとは

   2)バイオフィードバックと「からだ」

  2.バイオフィードバックの対象と心身症

   1)バイオフィードバックの対象

   2)心身症

   3)心身相関とバイオフィードバック

  3.バイオフィードバックの方法

   1)バイオフィードバックのシステム

   2)バイオフィードバックの種類

   3)バイオフィードバックで用いられる精神生理学的指標とその特徴

   4)バイオフィードバック機器の実際

   5)バイオフィードバックの手順

  4.バイオフィードバックの作用機構

   1)心身症の病態とバイオフィードバック

   2)末梢の機能的病態とバイオフィードバック

   3)背景に存在する自律神経系などの病態とバイオフィードバック

   4)心理・行動・認知面の病態とバイオフィードバック

   5)心身相関の病態とバイオフィードバック

  5.バイオフィードバック臨床の実際

   1)ストレス・プロファイル(Psychophysiological Stress Profile : PSP)

   2)心療内科における気づきに重点をおいたバイオフィードバック

   3)症例1 顎関節症(心身症)

   4)症例2 痙攣性発声障害

   5)バイオフィードバックの特徴のまとめ

  6.身体感覚・感情の気づきとバイオフィードバック

   1)アレキシサイミア(失感情症)とアレキシソミア(失体感症)

   2)身体感覚の気づきに関する研究

   3)気づきへのプロセスとバイオフィードバック

2.リラクセーション法

  1.リラクセーションとは

  2.リラクセーションの効果と活用

  3.リラクセーション法の実際

   1)呼吸法

   2)自律訓練法

   3)漸進的筋弛緩法

   4)ダイナミックフローストレッチ

  4.リラクセーション法とバイオフィードバックの併用について

   1)リラクセーションプログラム

   2)症例 緊張型頭痛

3.臨床バイオフィードバックと認定制度

  1.臨床バイオフィードバックセラピスト

   1)米国でのバイオフィードバック認定制度

   2)BCIA認定ガイドライン(ブループリント)

  2.統合医療におけるチーム医療

  3.日本における臨床バイオフィードバックの可能性

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書籍情報

  • ISBN:9784765314688
  • ページ数:107頁
  • 書籍発行日:2011年3月
  • 電子版発売日:2013年1月1日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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