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心エコーハンドブック 別巻 心臓聴診エッセンシャルズ

  • ページ数 : 146頁
  • 書籍発行日 : 2012年9月
  • 電子版発売日 : 2013年6月29日
4,180
(税込)
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商品情報

内容

心エコー図時代における聴診の意義とは?
心臓聴診の第一人者がそのエッセンスを語る。聴診の仕方、心音の分類・疾患との関連・鑑別診断――明快に解説!

わが国の心臓病診療をリードしてきた著者の経験に基づく心臓聴診についての膨大な知識のエッセンスをまとめている。聴診の仕方に始まり、心音・心雑音の分類、疾患との関連、鑑別診断など心臓聴診のあらゆる情報を、本書でしか見られないユニークな図版・心音図を豊富にまじえて、明快に解説した。

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序文

この度,竹中 克,戸出浩之両先生の企画になる『心エコーハンドブック』というシリーズが金芳堂から出版される運びとなり,その別巻という形で心エコー図時代の聴診法について書いて欲しいという「至上命令」が下りました。

私はかつてメディカルレビュー社のThe Circulation Frontier(季刊誌)に『心エコー時代における心臓の聴診』と題して2 年にわたり8 回の連続掲載を行いましたが,この際,同趣旨であるので,それを原本として増補改訂し,今回の要望にお応えすることにしました。

それにはいくつかの理由があります。

心エコー図を記録する前に聴診所見をよくとっておけば,心エコーの優れた点を知ると同時に,逆にエコーの明らかな行き過ぎや,稀ならず,肝心な所見の見落としや誤診に気付く可能性があること。

しかし,そのために存在する最近のテキストをみると,首を傾げることが決して少なくないこと。つまり本当に聴診に通じている著者が書いたのか,普段そんなに熱心に聴診していない人が頼まれてただ単に普通のことを書いたのか,そもそも知識や経験が足りないのか,疑問に思うことが少なくないのです。この10 数年間の出版物をみても,わが国には残念ながら,畏友JM Criley 君のCD-ROM や,福田信夫君あるいは羽田勝征君の著作を除いて,諸手を挙げて推薦できるものがないのが現状です。近年,わが国に来られる優れた米国の医師が心臓聴診について述べられた書でも,「そんな馬鹿な」というお寒い点を見つけました。

一番肝心なことは,客観的な記述は勿論大切ですが,一,二を除き,書かれたものに命が感じられない,つまり著者の経験や考えがちっとも反映されていないことで,これが命取りでした。単に試験のことばかり考えている読者(私からみれば“軽石頭”人間です)を対象に書くのだといわれればそれまでですが,本を読んで内容に疑問を持ち,あるいは反発しながら読んでいかなければ,知識は本当に身に付かないと思うのです。読者は何か問題点を見つけ出そうとする,そういう方々であって欲しいと思うのです。

そういう意味で,本書では現存するどのテキストにもみられない,私自身の経験や臨床研究(たとえば,図0-1 魚骨雑音〔解説は本文P64〕)がかなり出てくる関係上,引用文献の25%が私の研究室からのものとなり,さらにその中には数十の心音図的考察を含む文献類もあります。いささか偏っているきらいがありますが,私自身が生きた内容を述べるにはぜひとも必要な根拠となるものです。『聴診錯誤』の記載など,奇妙だと思われた場合には論文にあたってみることをお勧めします。論文を読むと,結果だけではなく,その問題を巡る色々な意見や考え方を知ることができ,また単なる結論やサマリーにはない広範な知識を得ることができるのです。シリーズ発刊の言葉にある竹中先生の「考える葦」のように,考えることがとても大事です。そして自分の思考力の幅や深さが増すのです。医学的常識もそのひとつで,経験を積んだ医師のいうことが珍重される源もそこにあります。

私の実地臨床では,臨床対象が限られていることもありますが,問診・身体所見(聴診が最も大切)・レントゲン・心電図・生化学検査や検尿で,弁膜症は勿論,先天性心疾患・後天性の虚血性心疾患・心筋症・動静脈疾患など,ほぼすべての疾患の診断と治療方法(どこでどのように取り扱うか)が決まるのです。勿論,現在の臨床で欠くことのできない心エコー図は全例記録し,臨床所見の是正を行う一方,身体所見の素晴らしさも同時に実感しています。これはという例は竹中君などに経食道エコーや三次元エコーその他の検査をお願いし,また心臓MRI なども撮ってもらい,自分で分析もしますが,こうやって経験を積み,自己の臨床能力を高めていくのが日常臨床の本筋であろうと思っております。

誰にでも間違いや誤診があって,その点で完璧さは夢であり(かつての誤診や見落としには汗顔の至りです),また方法論にも同じことがいえますが,自分の犯した誤りについては,同じ悔いを残さぬよう,本書では少し詳細に記述したつもりです。そのためもあって,本書の企画内容はそれまでの巻の様式とはかなり異なっております。

この簡潔にして要領をえた素敵なシリーズを通読することによって心エコー図を十分勉強された方が,振り返って本書で心臓聴診の大切さを知っていただければと念じています。また,欄外に歴史的なことを入れましたが,先人の努力を知っていただければと思っています。


平成24年7月21日

坂本 二哉

目次

1 序論

1 はじめに

2 現代における聴診のリハビリテーション

2 聴診の基礎知識

1 聴診器の使い方

2 聴診領域

3 聴診の順序

3 心音

1 心音と心雑音

2 心音の種類

1 Ⅰ音

1 Ⅰ音の亢進

2 Ⅰ音の減弱

3 心拍ごとに変動するⅠ音

4 Ⅰ音の分裂

5 いわゆる不純なⅠ音

2 Ⅱ音

1 Ⅱ音の強さ

2 Ⅱ音分裂

3 拡張期奔馬調―第3音と第4音―

1 第3音(Ⅲ音)

2 第4音(心房音,Ⅳ音)

3 四部調律

4 重合奔馬調

4 その他の過剰心音

1 駆出音

2 収縮期クリック

3 僧帽弁開放音

4 心膜叩打音

5 その他

4 心雑音総論

1 心雑音概論―心雑音の定義

2 心雑音検討項目

1 雑音最強点

2 心雑音の時相

3 心雑音の音量

4 雑音伝達方向

5 心雑音の周波数

6 雑音の音調

7 心雑音の恒常性

3 注意すべき事項

1 聴診錯誤

2 振戦

3 擬音法による聴診所見の表現

4 心雑音発見と心エコー図

5 心雑音各論

1 収縮期雑音

A 駆出性収縮期雑音

1 左室流出路狭窄 大動脈弁狭窄

2 右室流出路狭窄 肺動脈弁狭窄

3 心房中隔欠損

4 血流速度増大を主な原因とする駆出性収縮期雑音

5 機能性収縮期雑音および無害性収縮期雑音

6 高心送血量状態

B 逆流性収縮期雑音

1 僧帽弁閉鎖不全

2 特殊な僧帽弁逆流性雑音

3 僧帽弁逸脱症候群

4 僧帽弁腱索断裂

5 閉塞性肥大型心筋症

6 三尖弁閉鎖不全

7 心室中隔欠損

8 アイゼンメンジャー複合

2 拡張期雑音

1 僧帽弁狭窄

2 三尖弁狭窄

3 左房粘液腫

4 拡張期ランブルを生じうるその他の状態

5 大動脈弁閉鎖不全

6 急性重症大動脈弁閉鎖不全

7 Austin Flint雑音

8 肺動脈弁閉鎖不全

9 Graham Steell雑音

3 連続性雑音

1 動脈管開存

2 大動脈肺動脈中隔欠損

3 人工的大動脈・肺動脈連絡

4 静脈性連続性雑音(静脈コマ音)

5 動脈狭窄性疾患

6 連続性雑音と紛らわしい聴診所見

4 心外性雑音,ほか

1 心膜摩擦音

2 心膜摩擦音類似の心雑音

5 人工弁音

6 ペースメーカー音

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書籍情報

  • ISBN:9784765315388
  • ページ数:146頁
  • 書籍発行日:2012年9月
  • 電子版発売日:2013年6月29日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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特記事項

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