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- 愛知県がんセンター 頸部郭清術
商品情報
内容
甲状腺を含む頭頸部がんの外科治療における基本術式「頸部郭清術」の基本手技からポイントまでをこの一冊に。豊富な写真・イラストで分かりやすく解説しています。長谷川博士の渾身の集大成!
序文
はじめに
頸部郭清術は頭頸部がん外科的治療の基本術式の一つである.がんの治療においては原発部位と領域リンパ節を一塊一括en blocに切除する.
Halstead, W.S.は1894年に乳がんにおいて,胸筋切除乳房切除と腋窩リンパ節郭清術を伴う乳房切除術を報告し,治療成績の向上を示した.原発部位切除と徹底した領域郭清が治癒率向上の鍵であるとするen bloc 切除が,がん外科的治療において重要であるとするHalstead理論は他の領域にも応用された.頭頸部がんの外科的治療においても同様であるが,ただ頭頸部がんにおいては領域リンパ節郭清術を頸部リンパ節郭清術でなく,頸部郭清術と称することと,頸部郭清術が単一の術式として成立することが他と異なるところである.
Radical neck dissectionを頸部郭清術と称した岩本彦之亟は最終講義において以下のようにこの手術法を述べている.「私は文献を見まして,これは良い方法だというので昭和26年の頃からこの方法を行いまして,日本で初めてRadical neck dissectionの症例とその解説を発表しました.Radical neck dissectionというのはただ腫れているリンパ節だけを摘出するのでなくて,胸鎖乳突筋,内頸静脈,副神経,およびこれらに沿うすべてのareolar tissueいわゆる脂肪組織とか,リンパ系統結合組織をen blocに全部一塊として摘出する方法でありまして,ときには唾液腺まで取ることもあります.だから手術創に残されるものは頸動脈,迷走神経,横隔膜神経,舌下神経ぐらいが露出されている状態にするのであります」.
en blocが頸部郭清術の基本であるが,これはしばしば機能障害を伴う.この概念を維持しつつ機能の温存を図ってきたのが今日の頸部郭清術の歴史である.Radical neck dissectionにおいて頸部郭清術の基本概念と術式を理解し,そこからの術式の展開を知ることが,最適な頸部郭清術を行うために重要である.
この書を仕上げるに当たり,筆者が2002年から2007年度まで参加した厚生労働科学研究費補助金による研究班Japan Neck Dissection Study Group の研究成果を大いに参考にさせていただいたことを記しておく.
2016年10月
長谷川 泰久
目次
推薦のことば
はじめに
1章 頸部郭清術の歴史
2章 リンパ節と筋膜の解剖
1 筋膜の解剖
2 リンパ節の解剖
3 その他の重要な解剖構造
4 頸部解剖のポイント
3章 頸部郭清術式の分類
1 これまでの頸部リンパ節分類法と頸部郭清術分類法
2 放射線治療研究グループによるレベル分類
3 本邦の頸部郭清術の分類
4章 頸部郭清術の概念(楕円柱を切り出す)
5章 手術手技の基本
1 メスとハサミの扱い方
2 皮膚切開法
3 手術に用いる器材
6章 頸部リンパ節転移に対する治療の適応と選択
1 治療法の選択
2 頸部郭清術
3 放射線治療
4 アジュバント療法
7章 全頸部郭清術
1 ND(SJP)(頸部郭清術変法)
2 ND(SJP/VNM)(根治的頸部郭清術)
3 ND(SJP/VM)とND(SJP/M)
8章 選択的頸部郭清術
1 ND(SJ1-2)
2 ND(J)
3 その他の選択的頸部郭清術
4 前後アプローチ
5 原発部位との連続性
9章 その他の郭清術
1 気管周囲郭清術〔ND(C1),ND(C1-2)〕
2 咽頭後リンパ節郭清術
3 後頭側頸部郭清術(Posterolateral neck dissection)
10章 頸部郭清術後の合併症と対応
1 喉頭浮腫と反回神経麻痺による気道閉塞
2 乳糜漏
3 頸部郭清術後のQOL
11章 化学放射線治療後頸部郭清術
12章 頸部郭清術の均一化
あとがき
文献・日本語索引・外国語索引
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書籍情報
- ISBN:9784765316910
- ページ数:136頁
- 書籍発行日:2016年11月
- 電子版発売日:2017年12月8日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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