自信がつく 研修医のための腹部超音波

  • ページ数 : 100頁
  • 電子版発売日 : 2011年5月10日
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商品情報

内容

研修医の第一歩で学ぶべき内容を厳選してまとめた「自信がつく 研修医のための腹部超音波」の電子書籍版です。

序文

[はじめに] 研修医へのIntroduction

研修医にとって,超音波検査を学ぶ目標はどこにあるのだろうか?

超音波像がわかるようになりたい,ルチン検査ができるようになりたい,あるいは緊急時の検査がある程度できるようになりたいなど,さまざまな希望を持っているだろう.しかし実際に到達できる技術や,研修医が他に学ぶべきことの多さを考えると,研修医の到達すべき超音波検査に関する技術や知識を高度なものに設定することは現実的でない.

実際に,まず研修医が真っ先に知らなくてはならないことは,超音波検査の依頼のしかた,利用のしかたについてであろう.診療の現場を考えると,まず患者さんの症状や所見から超音波検査を依頼する必要があるかどうか判断し,検査の予約をとり,患者さんに前処置を説明し,検査を受けてもらう.そののち,返ってきた返事をみて,次にどのように検査を進めるか,あるいは問題が解決したか判断する.研修医はまず,これらの点について理解しなくてはならない.

次に,自分である程度検査ができるようになるということであろう.しかしルチン検査やスクリーニング検査に対して一般的にもたれている考えはあまりに安易である.ほとんどの早期の悪性腫瘍は全く無症状である.したがってルチン検査やスクリーニング検査だからこそ,小さい悪性腫瘍を見つけなければならないのである.

われわれが医療の現場で要求しなくてはならないルチン検査やスクリーニング検査のレベルとは,5年生存率95%以上の早期の悪性腫瘍を発見することである.具体的にいうと2cm 程度の腎癌を確実に見つけることであり,膵であればどの部位であっても1cm 程度の膵癌を確実に発見することである.むろん技術的な限界があることは承知しているが,このようなレベルを追及せずには,患者さん(被検者)の命を預かることはできないはずである.

実際,十分な技術のない者がルチン検査を行い,重要な疾患を見落すことは日常よく見られることである.患者さんや被検者に対する責任を十分自覚することが,医師をはじめとする医療従事者の教育の第一歩であり,常々再確認すべきことである.

では,実際に必要なトレーニングはどのくらいのものであろうか? 私たちの病院では,内科研修医の教育のカリキュラムとして2カ月間の放射線診断を中心とするローテーション(超音波検査を含む)を行ってきた.一般病院の通常業務のあいまに行っているため,いろいろな制約があり,超音波検査に関しては80例近くの症例を実際にやってもらうのが,精一杯といったところである.この程度であると,ようやく初歩の段階をクリアーし,形だけ検査できるようになったといったレベルであろうか.

当院での超音波検査を担当する技師の教育から類推すると,きちんとした指導のもとで最低200から300例程度の検査を経験し,他の人が施行した症例(異常例,正常例を含めて)を4,000から5,000例くらい見ていると,ほぼ通常の検査はまかせられるレベルに到達すると思われる.

このような内容の実習が必要であるので,「ルチン検査ができる」という目標は,かなりスペシャリティーやサブスペシャリティーを意識した時点での研修でなくてはならず,研修医の時期には達成不可能である.ただし,緊急超音波検査については自分自身で行わざるを得ない状況もありうると考えられるので,十分に臨床所見を考慮しながら自分の能力をわきまえて補足的に利用することが現実的である.

超音波検査に関して研修医に期待するレベルをまとめると,

①超音波検査の適応や依頼のしかたや得られた結果の判断を正しく把握できる.

②正常像が理解できる.

③典型的な異常像が理解できる.

④自分の能力の限界を理解し,患者さんに対する責任を自覚して検査ができる.

(1)緊急検査として,典型的な病変の診断や除外診断ができる.

(2)ルチン検査ができる.

最低限マスターしなくてはならないことは①のレベルである.できれば④-(1)のレベルに到達していただきたい.熱意があれば,それは不可能ではない.

また研修医が知らなくてはならないことは,どんなベテランの医師も知っておかなければならないことである.すなわちこのレベルは,臨床に携わるすべての医師に当てはまることでもある.

このブックレットは,腹部超音波検査に関するminimal requirement を意識して著しているので,①,②,③の一部,④ -(1)の一部を理解していただくように設定している.興味のある方や運よく超音波検査のトレーニングをまとまった時間受けられる方は,他のテキストも参照して勉強してほしい.

目次

1章 超音波検査の利用のしかた

1. 超音波検査の特徴

2. 超音波検査でわかることとわからないこと

3. 超音波検査の適応

4. 超音波検査を依頬するときのマナー

5. 超音波検査の前処置

6. 超音波検査と他の検査を依頼するときの注意

7. 超音波検査結果の受けとめ方

8. 超音波検査における計測

2章 超音波診断装置と画像の基本画理

1. 超音波断層法(Bモード法)の原理

2. 基本の物理現象

3. 超音波ビームと電子スキャンプローブ

4. 分解能

5. ゲインカーブ(STC)

6. 原理とアーチファクト

3章 超音波像の見方

1. 断面像の表示方向――一般的ルール

2. 超音波像の見方の基本

3. 腫瘤性病変の各部位のよび方と評価

4. 嚢胞性パターン,充実性パターン,混合性パターン

5. 画像の評価と臨床所見を加えた評価

4章 腹部超音波検査装置の使い方とスクリーニング検査

1. 装置の取り扱い上の注意

2. プローブの選び方

3. プローブの裏表と画像の表示

4. 知っておかなければならない装置のスイッチ,ボタン,ツマミ

5. プローブの持ち方

6. プローブの当て方と動かし方

7. 呼吸のさせ方

8. Acoustic window(音響窓)の利用

9. 体位変換の利用

10. ルチン検査法の実際

11. 超音波スクリーニング検査の目指すもの

12. 超音波スクリーニング検査の具体的目標

13. 研修医に求められる超音波検査の技術レベル

5章 腹部臓器の正常像と異常所見

1 胆嚢・胆管

1. 解剖と正常超音波像

2. 胆嚢,胆管の所見の見方

3. 胆嚢と胆管のおもな疾患

2 肝

1. 解剖と正常超音波像

2. 肝の所見の見方

3. 肝のおもな疾患

3 脾

1. 正常超音波像

2. 脾の所見の見方

3. 脾のおもな疾患

4 膵

1. 解剖と正常超音波像

2. 膵の所見の見方

3. 膵のおもな疾患

5 腎

1. 解剖と正常超音波像

2. 腎の所見の見方

3. 腎のおもな疾患

6 副腎

1. 解剖と正常超音波像

2. 副腎の所見の見方

3. 副腎のおもな疾患

7 大血管・後腹膜

1. 正常超音波像

2. 大血管・後腹膜の所見の見方

3. 大血管・後腹膜のおもな疾患

8 腹腔(腹水)

1. 解剖と超音波像

2. 腹水の見方

3. 腹腔(腹水)のおもな疾患

9 消化管

1. 解剖と正常超音波像

2. 消化管の所見の見方

3. 消化管のおもな疾患

10 骨盤腔

1. 正常像

2. 膀胱・前立腺の所見の見方

3. 膀胱・前立腺のおもな疾患

4. 子宮・卵巣の所見の見方

5. 子宮・卵巣のおもな疾患

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書籍情報

  • ISBN:9784895901406
  • ページ数:100頁
  • 電子版発売日:2011年5月10日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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