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結膜炎オールラウンド〈専門医のための眼科診療クオリファイ2〉

  • ページ数 : 308頁
  • 書籍発行日 : 2010年11月
  • 電子版発売日 : 2020年10月28日
15,400
(税込)
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商品情報

内容

ウイルス性か,細菌性か,はたまたアレルギーか.眼科ならば誰でも出合う結膜炎は,原因の見極めが治療に直結する.所見,眼脂,スメアの採取など基本の心構えはもちろん,涙液中のIgE測定や免疫抑制点眼液,眼表面の免疫機構といった最新トピックを盛り込んだ.日本眼科学会専門医制度の専門医資格取得に関する書籍として認定されました.

専門医のための眼科診療クオリファイ シリーズ

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序文

よく,「釣りはフナに始まりフナに終わる」と言うが,釣果の秘訣は長年積み上げた経験と勘でヒットポイントを見抜くことにあると聞く.テトラポットの近くで,まわりより少し深くなっているあたりが狙い目ということなのだが,寒ブナ釣りは,「1 尺ずれたらアタリなし」との格言があるくらい難しいとされている.これは,寒い時期のフナが一か所で群れているうえ,ほとんど動かないために,ポイントがちょっとでもずれれば一匹も釣れないという悲惨な結果が待っていることを意味している.

これを眼科診療にたとえれば,「外来診療は結膜炎に始まり結膜炎に終わる」ということになるのかも知れない.駆け出しの研修医のころ,外勤先で遭遇する急性結膜炎患者の診断に難渋した記憶はだれにもあるはずだが,歳を重ねるうちに,経験知は積み上げられ,問診やスリット所見などから,的を射た診断を下せる自分なりの診療体系が完成されていく.しかしながら,いつも事がうまく運ぶとは限らない.ヒットポイントをはずして,思ったような治療効果が得られなかったり,自分のメモリーにない奇妙な所見に出くわしたりして,頭を抱えてしまうこともある.でも,くじけてはいけない.ちょっとした知識やヒント,労力でそうした苦境を乗り越えるチャンスは必ずある.

結膜には,ウイルス,細菌,クラミジアなどによる感染性結膜炎,I 型アレルギー反応を基盤とするアレルギー性結膜疾患などのほか,ドライアイやStevens-Johnson 症候群のような眼表面疾患まで,実に多様な炎症性疾患が起こる.その意味で,結膜炎の診療スキルをさらに研ぎ澄ますとともに,自分だけでは経験できないような特殊な症例の知識を補給しておくことがきわめて重要である.

本巻『結膜炎オールラウンド』では,まず1 章の“結膜炎が来た! ” で,結膜炎の診断に必要なエッセンスを復習してほしい.充血を鑑別し,眼脂を見分ける.患者背景を探り,感染性か非感染性かを判断する.スメアを採ることを決して億劫がってはいけない.この1 章こそが“結膜炎クオリファイ” への第一歩なのである.ぜひ,繰り返して読んで体得してほしい.そのうえで,2~4 章では感染性結膜炎,5~7 章では非感染性結膜炎の臨床をマスターしよう.8,9 章で治療法と検査法を系統的に整理し,最終章で基礎知識を補充すればもう完璧.読み終えたとき,あなたは結膜炎診療のオールラウンド・ドクターに変身しているはずである.自信をもって明日からの診療に向かおう!

結膜炎に出合ったとき,これまでとはちがう自分を発見できるにちがいない.


2010年10月

愛媛大学大学院医学系研究科視機能外科学分野(眼科学講座)/教授
大橋裕一

目次

1 結膜炎が来た !

結膜充血を鑑別する (秦野 寛)

眼脂を見分ける (秦野 寛)

瞼結膜所見をみる(濾胞,乳頭,偽膜など) (高村悦子)

球結膜所見をみる(輪部,出血,浮腫など) (高村悦子)

感染性か非感染性かを読む (岡本茂樹)

患者背景を読む (岡本茂樹)

スメアを採る (中川 尚)

結膜以外を観察する(眼瞼・角膜・涙道など) (中川 尚)

2 感染性結膜炎/ウイルス性結膜炎

アデノウイルス結膜炎/咽頭結膜熱 (内尾英一)

アデノウイルス結膜炎/流行性角結膜炎 (内尾英一)

CQ アデノウイルス8 型がみられなくなったと聞きましたが,本当ですか? (有賀俊英)

急性出血性結膜炎(エンテロウイルス結膜炎) (岡本茂樹)

CQ ウイルス性結膜炎の伝播予防対策の基本と関連法規を教えてください (有賀俊英)

単純ヘルペス結膜炎 (中川 尚)

その他のウイルス性結膜炎 (中川 尚)

CQ アデノウイルス結膜炎の治療にステロイドは使うべきでしょうか? (内尾英一)

EV 感染性結膜炎サーベイランスの意義と最近の傾向について教えてください (青木功喜,藤本嗣人)

3 感染性結膜炎/細菌性結膜炎

カタル性結膜炎(インフルエンザ菌,肺炎球菌) (秦野 寛)

ブドウ球菌結膜炎 (佐々木香る)

EV 細菌性結膜炎の起炎菌(検出菌)動向と感受性変化について教えてください (松本治恵)

CQ 結膜?からMRSA が分離されました.どうしたらよいでしょうか? (佐々木香る)

CQ 結膜炎の患者からコリネバクテリウムが分離されました.どう考えればよいのですか? (井上幸次)

淋菌性結膜炎 (江口 洋)

クラミジア結膜炎(新生児・成人) (井上幸次)

4 感染性結膜炎/特殊な病型

東洋眼虫症 (鈴木 崇)

Parinaud眼腺症候群 (井上昌幸,塩田 洋)

結膜乳頭腫 (外園千恵)

涙小管炎 (井上幸次)

5 非感染性結膜炎/眼表面疾患

ドライアイ(涙液減少型) (渡辺 仁)

ドライアイ(蒸発亢進型) (横井則彦)

上輪部角結膜炎 (山口昌彦)

lid-wiper epitheliopathy (白石 敦)

CQ 結膜生体染色検査のコツを教えてください (横井則彦)

Stevens-Johnson症候群 (外園千恵)

EV 厚生労働省SJS班研究の概要を教えてください (外園千恵)

眼類天疱瘡 (大家義則,西田幸二)

薬剤毒性結膜炎(偽類天疱瘡を含む) (稲富 勉)

結膜弛緩症 (山本康明)

6 非感染性結膜炎/アレルギー性結膜疾患

季節性アレルギー性結膜炎 (庄司 純)

通年性アレルギー性結膜炎 (藤島 浩)

アトピー性眼瞼・角結膜炎 (海老原伸行)

春季カタル (高村悦子)

巨大乳頭結膜炎 (福島敦樹)

CQ カルシニューリン作動薬とステロイドはどのように使い分ければよいのでしょうか? (藤島 浩)

EV カルシニューリン作動点眼薬の長期成績について教えてください (海老原伸行)

7 非感染性結膜炎/特殊な病型

リグニアス結膜炎 (鈴木 崇)

結膜フリクテンと瞼裂斑炎 (井上智之)

Behcet病 (大橋裕一)

酒さとマイボーム腺異常 (鈴木 智)

接触性眼瞼結膜炎 (庄司 純)

8 治療薬の特性と使い方

抗微生物薬 (宇野敏彦)

ステロイド (福島敦樹)

抗アレルギー薬 (福島敦樹)

カルシニューリン作動薬 (深川和己)

ヒアルロン酸製剤・人工涙液 (堀 裕一)

CQ 開発中のドライアイ治療薬について教えてください (堀 裕一)

涙点プラグ (山口昌彦)

CQ 観血的涙点閉鎖術の適応とコツを教えてください (渡辺 仁)

保護用眼鏡 (高村悦子)

9 検査法・診断薬の適用と限界

アデノウイルス結膜炎 (岡本茂樹)

クラミジア結膜炎 (井上智之)

涙液IgE (深川和己)

塗抹染色と分離培養 (鈴木 崇)

PCR法 (有賀俊英)

impression cytology (稲富 勉)

10 結膜の基礎知識を学ぶ

微生物学の知識 (星 最智)

結膜組織の免疫 (海老原伸行)

結膜の分子生物学 (白石 敦)


文献

索引

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書籍情報

  • ISBN:9784521733234
  • ページ数:308頁
  • 書籍発行日:2010年11月
  • 電子版発売日:2020年10月28日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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