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- 網膜機能検査 A to Z〈専門医のための眼科診療クオリファイ14〉
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内容
>専門医のための眼科診療クオリファイ シリーズ
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序文
序
網膜機能検査は,幅広い眼科診療のなかでも実に奥深い分野といえる.この分野を専門にして20 年たった今でも,診療中に予測しえない網膜電図(ERG)に遭遇し,感動すら覚えることがある.考えてみるとその理由は明解で,“眼底をみただけではわからない情報が得られるから”,そして“診断への道筋を大きく左右するから”,の二つである.この網膜機能検査の奥深さを,いつか何らかの形でまとめたいと考えていたが,今回本巻を編集する機会を得て実現することができた.
そもそも網膜疾患のなかには,眼底をかなりしつこく眺めても診断できない病気がある.たとえば先天停在性夜盲,眼底所見では正常にみえる錐体ジストロフィ,オカルト黄斑ジストロフィ,AZOOR(acute zonal occult macular dystrophy),癌関連網膜症(CAR やMAR)などである.これらは,以前は特殊な検査機器をそろえた専門施設でしか診断できない疾患であった.しかし現在では,ERG の錐体応答や杆体応答,また黄斑部局所ERG が市販の検査機器で直接記録できるようになり,また眼底画像検査の解像度はここ数年で飛躍的に向上した.以前はスペシャリストしか確定できなかった疾患が,今では一般の臨床眼科医でも十分に診断できる時代になったのである.今,この技術を習得しない手はない.
本巻では,網膜機能を評価する際に重要な検査の特徴と限界について,各分野のエキスパートにわかりやすく解説していただいた.また,OCT などの眼底画像検査は機能検査と密接に関連しており,両者を使いこなすことが網膜疾患の診断に重要であることから眼底画像検査の項目も多く含めた.その結果,かなり読み応えのある重厚な一冊になっている.なかには少し難解な項目もあるかもしれないが,どの項目から読み始めてもよい構成になっている.
本巻は大きく5 章より構成されている.1 章の総論では,網膜機能検査がなぜ必要かが述べられている.2 章では,視力低下,視野欠損,夜盲,羞明など,特徴的な症状からどのような疾患を想定してどの検査法を選択していくべきか,を学習することができる.3 章では視野や色覚検査などの自覚的検査,4 章では他覚的な網膜機能検査と画像検査の原理と使用方法を詳しく解説した.最後の5 章では,具体的にどのような網膜疾患にどのような検査を使って診断・評価すべきかが記載されている.
本書を読み終えた後,網膜の機能診断学の実力が確実にアップしていることを自覚できるはずである.難しそうにみえるが,一度理解すれば一生の武器になる,そんな“網膜機能検査ワールド” の扉をどうぞ開いてみてください.
2012年8月
三重大学大学院医学系研究科臨床医学系講座眼科学/教授
近藤峰生
目次
1 総論
網膜機能検査の威力 (近藤峰生)
2 症状別にみた検査法の選択
急激な視力低下 (引地泰一)
緩徐な視力低下 (香留 崇,三田村佳典)
視野欠損 (辻川元一)
夜盲 (國吉一樹)
昼盲(羞明) (篠田 啓)
変視症 (小池英子)
色覚異常 (久保朗子)
3 自覚的機能検査
動的視野検査 (若山曉美,國吉一樹)
静的視野検査 (鈴村弘隆)
視野障害の判定は,どのようにすればよいのでしょうか? (加藤 聡,柳澤美衣子)
MP-1® (植谷留佳)
コントラスト感度 (平岡孝浩)
Amslerチャート (松本長太)
M-CHARTS® (松本長太)
新しい眼底視野計,maia™の特徴について教えてください (杉本昌彦)
色覚検査の方法と原理 (市川一夫)
色覚異常に対する検査の実際 (中村かおる)
光覚と暗順応検査 (安田俊介)
ロドプシン代謝による暗順応のしくみについて教えてください (大黒 浩)
Watzke-Allenテスト (山切啓太,坂本泰二)
4 他覚的機能検査と画像検査
全視野ERG:記録方法と正常波形 (篠田 啓)
全視野ERG:さまざまな網膜疾患におけるERG (國吉一樹)
黄斑部局所ERG (町田繁樹)
多局所ERG (島田佳明)
皮膚電極によるERG (近藤峰生,船田英明)
眼球電図 (上野真治)
小児のERGを記録するよい方法を教えてください (近藤峰生)
VEPが診断に有効な場合を教えてください (溝田 淳)
MRIによる視機能評価 (吉田正樹,井田正博,野田 徹)
瞳孔反応 (石川 均)
網膜疾患と視神経疾患の瞳孔反応の違いについて,研究的知見を含めて教えてください (石川 均)
OCT (伊藤逸毅)
functional OCTの進歩 (角田和繁,鈴木 航)
手持ちのOCT装置は有用でしょうか? (伊藤逸毅)
OCT検査の際に陥りやすい落とし穴について教えてください (大谷倫裕)
蛍光眼底造影(FA,IA) (佐藤 拓)
眼底自発蛍光 (河野剛也)
眼底自発蛍光での網膜機能評価の実際 (石龍鉄樹)
共焦点レーザー眼底観察装置(F―10®) (石子智士)
網膜循環測定装置 (長岡泰司)
脈絡膜循環測定装置 (山田義久)
補償光学による視細胞の観察 (大音壮太郎)
Retinal Function Imager (野崎実穂)
5 網膜疾患にどの検査をどう使う ?
糖尿病網膜症 (北野滋彦)
加齢黄斑変性 (佐藤 拓)
網膜静脈閉塞と網膜動脈閉塞 (﨑元 晋,瓶井資弘)
裂孔原性網膜剥離 (川村 肇)
網膜色素変性 (池田康博)
錐体(杆体)ジストロフィ (林 孝彰)
黄斑ジストロフィ (藤波 芳)
中心性漿液性脈絡網膜症 (丸子一朗)
黄斑円孔,黄斑上膜 (大谷倫裕)
AZOORとAZOOR complex (齋藤 航)
視神経疾患と網膜疾患を鑑別する検査法を教えてください (長谷川 茂)
小児の網膜疾患に有用な検査について教えてください (仁科幸子)
視力・視野異常の原因が不明のときはどう検査を進めたらよいでしょう? (近藤峰生)
癌関連網膜症を疑うべき所見について教えてください (大黒 浩)
心因性視力障害が疑われるときは,どうしたらよいでしょうか (南雲 幹)
詐盲が疑われるときは,どうすればよいでしょうか (南雲 幹)
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書籍情報
- ISBN:9784521734729
- ページ数:392頁
- 書籍発行日:2012年9月
- 電子版発売日:2020年11月20日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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