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- 薬局 2021年4月 Vol.72 No.5 感染症とステロイド~感染リスクと感染症への効果を理解して使いこなす
商品情報
内容
ステロイドによる感染症の発症機序とリスク要因(上蓑 義典)
ステロイド使用患者の感染症予防と早期発見のポイント(冲中 敬二)
ほか
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序文
巻頭言
生体の免疫・炎症反応を抑制する副腎皮質ステロイド(グルココルチコイド;以下ステロイド)は,米国の生化学者Kendallによって,ウシの副腎皮質から初めて抽出・精製された.この物質は後にコルチゾンと命名され,関節リウマチの治療に効果を発揮することが示された1).それ以来,ステロイドは炎症性疾患や自己免疫疾患をはじめとしたさまざまな疾患の治療薬として用いられてきた.
ステロイドは細胞の中に入った後にグルココルチコイド受容体に結合する.ステロイドの結合したグルココルチコイド受容体は,細胞の核内へ移行し,炎症に関与する遺伝子の発現を調節するといわれている.その結果として強力な抗炎症作用と免疫抑制作用が発揮されるが,反面長期に使用することにより,易感染性,糖尿病,高血圧,成長障害などの副作用が認められることはよく知られている.そのため,ステロイド治療を安易に行うことは避けられており,治療に際しては十分な副作用マネジメントが必要となる.一方で,易感染性という副作用があるにもかかわらず,微生物の感染に対する生体の過剰な反応をステロイドにより抑えることで,良好な転帰が得られる場合があることも事実であり,実際,感染症であってもステロイドの使用を考慮するべき症例が存在する.現在,世界規模の流行が問題になっている新型コロナウイルス感染症においても,肺炎の重症化に対してステロイドの投与が有効であることが証明され2),酸素需要のある症例に対する標準的な治療として使用されていることはよく知られているところである.
感染症の病態に対して負と正の二面性をもつステロイドを適切に使用することは,感染症の実臨床の場において極めて重要であることから,今回ステロイドと感染症にスポットをあてた特集を企画させていただいた.本特集では,ステロイドの使用によって起きる感染症の副作用マネジメントと,感染症治療に対するステロイドの考え方・使い方について,第一線でご活躍中のわが国を代表する先生方に解説をお願いした.本特集が読者のみなさまの感染症診療のお役に立てば幸いである.
引用文献
1) Hench PS, et al : Ann Rheum Dis, 8 : 97-104, 1949.(PMID:18623812)
2) Horby P, et al : N Engl J Med, 384 : 693-704, 2021.(PMID:32678530)
国立がん研究センター中央病院 感染症部長/慶應義塾大学医学部 客員教授
岩田 敏
目次
特集の目次
特集にあたって(岩田 敏)
ステロイドによる感染症の発症機序とリスク要因(上蓑 義典)
ステロイド使用患者の感染症予防と早期発見のポイント(冲中 敬二)
各種剤形のステロイド使用患者に感染症が生じたときのアプローチ
・ステロイド経口剤・注射剤(亀田 秀人)
・ステロイド吸入剤(宮下 修行 ほか)
・ステロイド軟膏剤・クリーム剤(塩原 哲夫)
感染症に対するステロイド治療の考え方と使い方
・細菌性髄膜炎(宮入 烈)
・ニューモシスチス肺炎(小林 治 ほか)
・市中肺炎・ARDS(岡森 慧 ほか)
・敗血症(横山 泰昭 ほか)
・結核(永井 英明)
・ウイルス性肝炎・肝不全(安井 伸 ほか)
・HIV感染症(村松 崇 ほか)
・新型コロナウイルス感染症(COVID-19)(保科 斉生 ほか)
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書籍情報
- ISBN:9784009107205
- ページ数:0頁
- 書籍発行日:2021年4月
- 電子版発売日:2021年3月31日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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